杉元達と一緒にアシリパを追う。
「ん、チカパシもいたんだね」
「シトゥリ!」
抱き着いてきたチカパシを受け止め、よしよしと頭を撫でてあげる。けど、チカパシとリュウがいるなら追跡も簡単だと思う。
逃げるより先に臭いで追える。
「しとり、月島が呼んでるぞ」
「分かった」
剣路に着いていくと杉元がアシリパの情報を得たらしく、それを追うことになった。やっぱりアシリパの事になると、杉元はとても頼りになる。
そう思いながら道行く人に話を聞き、樺太アイヌの村に向かったという言葉に期待を高めつつ、私は右手を支えるように走り出す。
「いた!アシリパさん!!」
「待って、杉元。違う。樺太アイヌの女の子だ。あのフレップの店主もいい加減だな」
荒く白い息を吐く月島の言葉を聞きつつ、チカパシと一緒に話を聞いていたその時、「ガウガウガウッ!!」と吼えるリュウの唸り声に視線を移す。
「ヒグマだ!チカパシ!しとり、下がれ!」
谷垣の言葉に全員が警戒する。
───だけど、違和感を感じた。
背中に何かが乗っている。
「ん、みんな、アレはクズリだよ」
「えっ!?不味い不味い不味い!!クズリって、あのヒグマの首を千切り落としたヤツだよな!」
「そう、強くて可愛いクズリ」
「いや、貴女のペットのクズリですわよね?」
紗那の言葉に頷きながら、私の影は波紋を打つ。同種の存在にドンも喜んでいるのかな?と思いながら、視線をヒグマに戻した刹那、クズリが落ちた。
「……小さいな」
「鯉登少尉、離れて下さい」
「だが、可愛い見た目を゛ぉ゛ッ!!?」
「音之進様ぁ!?」
「ん、紗那も危ない」
慌てて近付こうとする紗那を押さえ、月島の蹴りがクズリの身体を蹴り飛ばした瞬間、私の抑えを振り払って紗那は駆け出す。
が、クズリは木に登った。
「───ッ、みんなクズリは飛ぶよ!!」
「なに!?」
私の言葉を遮るがごとく跳ねたクズリは樺太アイヌの女の子に飛びかかるも、チカパシがそれを守るように女の子を抱き締めた。
「でかしたぞ、チカパシ!谷垣と剣路は二人を連れて離れてくれ。月島軍曹、投げるぞ!」
「よしッ」
その言葉に合わせて、銃声が響く。
「まだ生きてるのか!?」
「ん、みんなは先に行ってて。ドン、あの小さいのに格の違いを教えてあげるよ」
そう言うと私の影を飛び出し、吼えるドンの存在に杉元と剣路、紗那の三人以外はビックリし、警戒するも「大丈夫だ。アイツはしとりの家族だ」と剣路が、みんなに伝えてくれた。
「ドン!横から尻尾で目を叩いて!続けざまに、クズリの背中を踏みつける!」
私の言葉にドンは身体を横回転させ、しなる尻尾をクズリの顔に叩きつけ、目を閉じて唸るクズリの背中に向かって爪を突き立て、抑え込んだ。
ん、流石は私のドンだね。