銀の雪はt…ぅぉデッッッ!!!! 作:Tkmraeua2341
流石にテンション落ち着いて来ました、てか最近暑すぎね?
ラミアの発言からゲーセン巡りをやめ、ネトゲを中心に捜す事になった。
姫川さんが場所を提供してくれると言うのでその移動中にどのゲームジャンルで捜すか話し合って、ネトゲをやり始めて日が浅い事、ゲーセンでずっと格ゲーの対戦台に座ってた事から格ゲーを中心に捜す事に決まった。
姫川さんが提供してくれる場所は姫川さんの借家らしいが、そこにあったのはヘリポートまである高層ビルであった。
皆でエレベーターに乗り止まったのは25階、ここから上全部が姫川さんの借家らしい…ひくわー。
そんでいの一番にゲームをやり出した千秋さんが、
「あの…それ…今戦ってる人かも…」
一発で引き当てました。
そこから芸風が変わったように展開が代わり、千秋さんのメンタルを犠牲に何とか別のゲームで対戦する機会をつかんだ。
場所が聞ければ一番だったが、まだ機会があるので諦めなければ大丈夫だ。
次の日、ホントは嫌だがアランドロンに送ってもらい焔王様が所望したゲームの練習を始めた。
ジ・エンド・オブ・ウォー4、三人称視点で銃を持って打ち合うゲームだ。
練習風景は…うん、悲惨だった。
あえて言うなら…寧々さんが可愛かったです、はい。
そんで約束の時間になりゲームを始めたが、状況は劣勢だった。
しかし花澤さんが低確率の超強ロボットを引き当て、戦況が好転し、ちょーしに乗って撃破された。
それをきっかけに焔王様側がイカサマを使いだし、姫川さんが別方向に本気になった。
ゲームを買い取ったらしい、会社や権利諸々。
いやゲーム買い取るとかなんなん?
現実じゃ絶対出来ないでしょ、いくらしたんだよ…。
そっからはやりたい放題で、このゲームでは勝った。
このゲームでは…。
あれから私達は、三日間、昼夜を問わずゲームをやっていた。
やってるのは桃鉄、一向に終わる気がしない。
今こうして起きてるのは私とラミアと神崎さんに夏目さん。
姫川さんは調べ物のために外出、城山さんは寝落ち、寧々さん達は空き部屋で仮眠中。
眠気覚ましがてら順番が来るまでの短い時間で部屋を掃除しながらゲームをする、気分は怠惰な夏休みだ。
「いつもこうなのよ…忘れてたわ、あいつがゲームで負けを認めた事なんてないんだから。こっちが負けてあげるまで永遠にもう一回って言い続けるわよ」
「おいおい、じゃあ今までの勝負はなんだったんだ?もうやめだやめっ」
「一緒にゲームする仲だったのか?」
「昔、いやという程付き合わされたわ…」
「おはよ〜、交代の時間よ〜…ってあんた達よくそんなに人ん家でくつろげるわね」
「あ?お前らだって人ん家で寝てたんだろーが、この不良娘」
「あ、アタシらは姫川が使ってない部屋使っていいって言うから…ちょっと仮眠を…それよりも神崎」
「んだよ」
「…ユキに手ぇ出してないでしょうね」
「はぁ!?んなわけあるかっ!!」
雑談してたら寧々さん達が起きてきた。
はぁー…それにしてもまいった。
どうする?どうにかして焔王様の居場所を聞き出したいんだけど…。
ん?
「ねぇラミア」
「何よ?」
「そんなに仲いいならラミアが呼んでみたら?」
「は?」
それで神崎さんが憂さ晴らしにちょっとアレな文章だったが焔王様宛にメールを書き、送ってみれば…
《ぬぉぉぉぉぉっっ!!ラミアー!!ラミアかっっ!!なぜお主がっっっ!!どこじゃ!?今こっちに来とるのか!?》
めっちゃくいついた。
場所を聞こうとするも流石に教えてはくれなかったが、
「返信はえー」
「ククッこいつ絶対お前の事好きだぞ」
「なになに…余はいつでもお前の事を」
「大切に思っているぞ…?」
「えーっ!!何これ何これ!!」
「カレシ!?」
「なっ…なんでもありませんっっ!!ぜんぜんちがいますっ!」
微笑ましい…小学生や中学生の初心なカップル未満を見てるみたい。
んー私もイジるのに混ざりたいが、ここは我慢して焔王様を探るか…。
「神崎先輩!私にも貸してください!」
「古市っ!!ちょっ…もう!!本当にやめなさいよ!!」
「大丈夫、相手はゲーマーならこのフリを無視出来ないはず…」
《そこをなんとか!》
《ラミア…スマヌが教えられないのじゃ》
《そこをなんとか!》
《だからのラミア、余だって会いたいのだぞ?しかし今は無理なのじゃ…》
《そこをなんとか!》
《そんなに余に会いたいのかラミア!?そんなに余を求めてるのか!?》
《そうですよエンオウちゃま〜どうします?私の居る場所の近くにカフェがありますよ!デート…しません?》
《デデデデデートだとぉぉおおっっ!!!いやしかし…今だけは無理なのじゃ!!どうか、どうか今の状況が落ち着いてから行かぬか!?》
《そこをなんとか!》
《たのむ!!このとおりじゃ!!》
名付けるなら、【はいを選ぶまで進行出来ません戦法】だろうか。
時々揺らいだりするのでその瞬間にこちらに有利になるよう誘いかける。
しかし…強いな、ここまで誘いをかけているのに落ちないとは…流石焔王様だ。
「おい古市…お前そういうサギとかしてたのか?」
「いいえ?今まで読んできた少女漫画や少しお色気が強い少年漫画とかを参考にしてメールしてますが…」
「時々変化を入れてるから自動メールとも思われないだろうし、いい手じゃないかな?」
「ユキ…アンタ以外とえぐいわね…」
「パネェっすねこいつ」
「いい加減やめなさい古市っ!!私のキャラじゃないわよ!!」
「お腹空いた…」
あ、じゃあひとまずここらで、
《エンオウちゃまごめんなさい!ご飯の準備しなくちゃなんで返信遅れます!…所で…家庭的な女性って…スキ…ですか?》
《大好きじゃっっ!!!》
《フフッ…嬉しいなぁ、じゃあ待っててくださいね♡》
《フォォォオオ!!いつまでも待っておるぞーっっ!!》
「焔王様、お前のこと好き過ぎじゃね?」
「うっさい!!」
さて、ラミアに成りすまして焔王様とやり取りした後、私とラミア、夏目さんに由加さんで買い出しに出かけた。
買い物袋を持っての帰り道、綺麗な金髪のとても見慣れた顔をしたOL風の女性とばったり会った。
「あ…ヤバ…」
「…ヨルダ」
すぐに走り出した侍女悪魔ことヨルダさんを追いかけると辿り着いた先には、
「ヨルダー余のポテチはまだかのぅ〜」
「ぼっ坊っちゃま!今はまずいですっ!!」
「「いたぁーーーーっ!!!」」
私達がゲームをしていた部屋の隣から顔を覗かせた焔王様がいたのだった。
その後、私とラミアは部屋に連れ込まれ、眼鏡の侍女悪魔さんとラミアによる軽いジャブや少し…結構…かなりめんど…シャイで初心な焔王様を見たりした。
いや可愛くはあるんだけどさ、もっとこう…勇気を振り絞ってください。
「えっと…ヨルダさん、私達はしばらくここから出られないって認識でいいんですか?」
「えぇそうね、だから無駄なことは…」
「じゃあ、掃除させて下さい」
「は?」
「ダメなんですか?」
「え、いや、そんな事はないけど…え?」
「ちょっと古市!」
ラミアに腕を引かれて内緒話の体勢にされた。
「あんた何考えてんの!?ここは相手の本拠地なのよ!?」
「作戦とは言いきれない賭けだけど、時間を稼ごうと思って」
「時間?」
「状況が好転するまで待つって事だよ、私達がここで出来る事なんてたかが知れてるだろ?なら助けが来るのを待つか、逃げ出せる機会を見逃さない事が重要だ。それならある程度動いてても怪しまれない事をすればいいって思ったんだ」
「いやそれで掃除ってあんた…」
だって汚いんだもん、食べかけのピザとか脱ぎ捨てられてる服とか。
「えっと…古市だっけ?掃除してもしなくても別にいいんだけど…」
「あんたノンキ過ぎない?」
「奉仕精神があるのは良い事だと思いますが…時と場合を考えられないのはいけませんね」
「いやー、いつまでここに居るのか分からない状態でこの空間にいるのは心境的になかなか辛くてですね。それにせっかく焔王様と一緒にゲームするのなら綺麗な部屋の方が健康的にもいいと思ったんですよぉ」
「よく舌が回るわね…」
ラミアシャラップ!
部屋を綺麗にした後、ラミアがお手洗いに入って数分後を見計らいゴミ袋を運び出すために玄関へ向かう。
トイレのドアから出たラミアを連れ静かに脱出しようとしたが…
「無駄よ」
部屋の外と人間界の次元をヨルダさんによってずらされてしまった。
前門のヨルダさん、後門のどこに繋がってるかも分からない暗黒空間。
絶体絶命の中、ヒルダさんが駆け付けてくれた。
ラミアの持っていた端末からアランドロンの新技によって転送してきたヒルダさん、侍女悪魔さん達を瞬時に完封し、その後現れた悪魔の男もヒルダさんの攻撃で天井を突き抜けて吹っ飛ばされていった。
男とヒルダさんを追って屋上まで急げば、あいつがいた。
「おいおいヒルダなんだこりゃ。せっかくかっこよく駆けつけたってのに、ボロボロじゃねーかそこのエラホクロ。てめーおいしいトコ全部もってく気だったか?」
いつの間に修行終えたんだよ、男鹿。
「まぁいい、あとはオレにゆずって貰うぜ…」
男鹿は修行の成果を見せるように武器を構えた。
それはまるで、人のような武器だった。
いや、人そのもの…てか直立不動なアランドロンだった。
……は?
男鹿はアランドロンとの茶番が終わった後、修行の成果である"
姫川さんのビルを半壊させながら。
「…流石に死ぬかと思った」
何処で引っ掛けたのか上着が縦に破けてチラリと下着や…素肌が見えている。
それを覆い隠すように私の上にラミアが乗っていた。
「あんた、今は下手に動くんじゃないわよ」
「確かにこんな格好じゃなぁ」
「私の方も瓦礫に白衣が引っかかってるみたいですぐに動けないのよね」
「頭とかぶつけなかった?」
「目の前に充分すぎるクッションがあったから平気よ」
そう言いつつ私の腰に馬乗りになるラミアは徐に白衣を脱ぎ始めた。
「終わったら白衣貸してくれない?」
「当たり前でしょ、そのために脱いだんだし…ん?」
視線を感じラミアとそちらを向くと、
「「「……」」」
焔王様に侍女悪魔さん、寧々さんに千秋さんと由加さんがこちらを見ていた。
「オネロリ?」
「レズロリ…」
「ユキ…あんた…」
「古市…ラミア…余の嫁は…古市が好きなのか…?」
レッドテイルの皆さんはひとまず置いておこう、ラミアへの印象がとんでもない事になってるけど、どうにか後で事故だったと説明しよう。
問題は焔王様だ、なんか脳破壊と新しい扉を同時に迎えたようななんとも言えない表情でこちらを見ている、ついでに私の胸元も見てたのは黙っとこう。
「焔王様、これは事故なんです、ラミアは私の破けた服を隠そうとしてくれてたんです、決してそのような事は行っていません」
「あぁ…だが…頭が痛い…胸もだ…なぜ、なぜそなたたちを見てこうも胸が高鳴るのだ…?まるで百合園のようなこの光景に…余は何を…」
「正気に戻ってください!ほんとにただの事故なんですから!!」
あかん!てっきりBSSで脳破壊されてると思ったら別の扉を開きかけてらっしゃる!!
私はともかくラミアはノーマルだろう!!
巻き込むのイクナイ!!
「余はラミアを嫁にしたい…だがこの光景を壊したくもない…そうじゃ、こうすれば…古市よ、余は戦争を行う、全面戦争じゃ」
「いやなんで!?この流れでなんで!?」
「この戦に勝ったら、ラミアと共にお主も迎えに行く。そして、お主を余の側室とする!!」
「はぁぁああ!?」
「これで余のそばにありながらお主たちも近くに居られる…中々良い手じゃな」
ちょっ、まっ、はぁ!?
「ではな!!古市、近いうちに全軍率いてくるからの!!それまでラミアを預かってて貰うぜ」
そくしつ…側室!?
せ、せ、せめて…。
せめて侍女見習いにしてぇぇええ!!!
〇〇〇〇
焔王様からの側室発言から色々合った。
その日の夜に目を覚ました男鹿だが、男鹿はベル坊と体が入れ替わってしまっていた。
一夜明けても元に戻らなかったので修行をつけてくれたらしい早乙女先生から何か方法がないかと学校へ。
教室では神崎さんとケンカになりかけ、脱走したベル坊入り男鹿を追跡中に邦枝さんと合流し、ヒルダさんとの女の戦いにまで発展した。
ところで、普段静かでクールビューティな方がするいないいないばぁ〜や幼児向け体操を恥ながらも歌って踊る先輩の姿を、皆さんはどう思いますか。
私の意見?ちょぅかぅわいい!!!
その後は女の戦い(ガチ)勃発、あのヒルダさんと渡り合うほどの腕を見せた邦枝さん、これから修行の成果を見せる…という所でベル坊が邦枝さんに抱き着いた。
ただ抱き着くだけでなく無邪気にクンクンしたりスリスリするベル坊、しかし体は男鹿のため傍目からはイチャついてるようにも見えた。
それを阻止しようと動き出した男鹿、ベル坊への嫉妬に狂ったヒルダさん、とうとう恥ずかしさに耐えられなかった邦枝さんからの三連撃中に、男鹿とベル坊は入れ替わりが元に戻ったらしい。
結果、男鹿だけが負傷した。
男鹿…いい奴だったよ(死んでない)。
週明け、とうとう石矢魔高校が再建されたらしい。
神崎さんら中心に騒ぎに騒いで、いつもの事ながら授業にならない。
というか授業中の佐渡原先生に勝手にお礼言って勝手に帰り始めた。
唯一残ってた私と姫川さんだが、姫川さんはヘリを使って行ってしまった。
「…行ってしまった」
「…佐渡原先生」
「うん?ああ古市君か…君も、行くのかい?」
「はい、私も…石矢魔ですから」
「そうか…体には気を付けてね」
「…お世話になりました、佐渡原先生」
「行ってらっしゃい……授業中だけど」
再建された校舎は、外から見るとちょっとした城みたいだった。
チェスのルークのような時計塔、そこから伸びる校舎部分も西洋風で三角屋根だけでなくドーム屋根まである。
早速看板に落書きしようと騒ぎ出す男子達だが、業者さん達により中断。
なんと、石矢魔高校の看板を剥がし始めたのだ。
皆呆然とする中、寧々さんが業者さんに何故なのか聞けば、石矢魔が別の学校に変わることを教えられた。
そして、新しい看板に書かれていたのは、
『悪魔野学園』
私が適当に言った、焔王様達の学校名だった。
…そんなことある?
中に入った私達を出迎えたのは、一足先に乗り込んだ姫川さん。
そして見せられる焔王様リスペクトのオブジェの数々、最後に案内されたのは唯一通れる校舎への扉。
恐る恐る全員で入ると、綺麗な内装がそこにあった。
高い天井、豪華なソファ、色とりどりなステンドグラスにシャンデリア。
見惚れつつも探索すれば、神崎さんと姫川さんが気になった事を皆に言った。
神崎さんは、ここまで上に上がる階段が一つもないこと。
姫川さんは、人数が増えてること。
バッと後ろを向けば、三人の悪魔が居た。
1人はつんつんとした短髪の背の高い男性。
1人は首から上を包帯でグルグル巻にした、体も両腕を後ろで組んで鎖で縛られてる背の低い性別不明。
最後の一人が、
「ありゃ、気づかれちった」
三つ編み眼鏡ビキニ鎧ロングコートとかいう、あまりにもキャラが濃い女性。
「ベヘモット柱師団柱将、アギエルちゃんだよ!!」
ピースしながらウインクするアギエルちゃん、言動まで濃ゆかった。
その後、包帯の方はオドネル、男性の方はゼラと名乗った。
そこからすげー喋るアギエルにタジタジだったが、女とわかって急に強気になったモブ2人が前に出て、それぞれデコピン一発で壁まで吹き飛ばされてしまった。
一瞬呆けるも寧々さんが動きアギエルを鎖で拘束、しかし悪魔の腕力では止めきれずすぐに千切られてしまった。
抜刀しつつ距離を一瞬で詰めるアギエル、狙いは寧々さん。
絶体絶命な中、寧々さんを助けてくれたのは、邦枝さんだった。
「いくわよコマちゃん、初陣よ…」
アギエル達を邦枝さんに任せ、あるかも分からない安全地帯まで逃げる私達。
おそらく入ってきた扉の近くまで辿り着いたが、そこから急に襲ってきたのは、聖石矢魔以外の学校に転校したはずの石矢魔の生徒だった。
まさか…洗脳!?
「フフッその通りじゃ…」
「…この声は!!」
声のする方を見れば、予想通りの少年と、道化師のようなメイクと格好をした…性別不明の悪魔が3階の手すりに立っていた。
「確かにそやつらは貴様の仲間だった者達…だが今や余の忠実な下僕じゃ…久しいの、古市…」
「焔王様…」
「のぅ古市、ゲームをしよう」
「ゲーム?」
「お前達の学校も仲間も余が預かった、返して欲しくば余と勝負しろ」
落ちぬように横の道化師に捕まりつつも両手を広げ、天井を見上げる焔王様。
「この学園のいたる所にステージを用意しておる、そこには我が柱師団の誰かが待ち受けておるのじゃ。あの時つかなかったゲームの決着をつける、愛と、誇りと、友と、絆と…命をかけて」
焔王様の言葉に皆沈黙する、ゲームを楽しむような無邪気さはどこにも無い。
そこには、確かに1人の王族が立っていたのだ。
「一週間じゃ。一週間後、余の軍団が全員揃う。それまでに戦力を整えてくるんじゃな、古市」
焔王様による演説の後、帰って対策を練ろうとする私に待っていたのはヒルダさんが攫われたという恐ろしい報告だった。
抵抗しただろう男鹿は保健室でラミアに治療されており、
「男鹿…」
「古市か、ラミアから聞いたぞ、学校のっとられたって」
「お前、強くなってきたんだよな、相手はそれでも上なのか?」
「バカヤローすぐにオレが上に上がるわボケが」
「どーやってだよ!たった一週間しかねーんだぞアホ!!」
「アホっつった方がアホだアホッ」
「バカ!」
「うんこ!」
「ミジンコ!」
「ハナクソ!」
もはや小学生の口喧嘩になった時、聞こえるはずのない涙の雫が落ちた音が響いた気がした。
「私の…私のせいだ…」
酷く弱々しい声で、ポロポロと涙を流しながら懺悔のように言うラミア。
「私が捕まればよかったのに…なんでヒルダ姉様が…ヒルダ姉様が死んじゃったら私、私…ふぇぇぇえん」
「…ラミア…」
とうとう堰を切ったように泣き出すラミア、いつもの数割増に幼く、小さいその姿に固まってしまう。
そうしているうちに、ポンッとラミアの額に赤子の手が添えられた。
「坊っちゃま…」
「アーウィー」ヨシヨシ
「ダブッ!」
「ベル坊…」
「…ちっ、いつもならまっ先に泣き出してるやつが…」
「だな」
男鹿と二人して歩き出す。
「こいつの言う通りだ、ラミア。オレ達がなんとかする」
「大丈夫、きっと大丈夫だよ…だから」
「「泣くな!!」」
「うん…」
保健室を出れば、扉の前に邦枝さんが居た。
「人数は多い方がいいでしょう?」
そして教室へ行き焔王様探索組に六騎聖も加えてヒルダさん(プラス学校)奪還チームが出来上がった。
なんだこの最強チーム。
そこへ流れるように合流してきた早乙女先生により、男鹿は倒れるまで特訓させられ、悪魔の力関係の修行でラミアと邦枝さんもセットで別行動。
残ってる男子組は早乙女先生が、女子組には邦枝さんの祖父さんが監督になって特訓している。
私も走ったし組手相手にもなった、避けてばっかで攻撃出来なかったけど。
そして、決戦の日の前夜。
普段は呼ばないアランドロンを部屋に入れ、勝率はあるのかと話していた時、
「今からおれ、悪魔野学園ぶっ潰してくるわ」
男鹿が帰って来ると同時に出て行った。
男鹿が乗り込んじまう前に明日攻め込む予定のチーム全員に男鹿が先走った事をメールして双眼鏡片手にラミアと一緒に高い所へアランドロン(次元転送)してきた。
見える先では男鹿による戦国無双ならぬ悪魔無双が始まっている。
「うーん…圧倒してるな」
「でもヨルダに言われたからってあのバカ…あの女が嘘ついてないとも限らないのに…」
「そりゃ違うよラミア、確かにバカだけど、アイツはどっちにしろ一人で行ったよ、ヨルダさんが来ようが来まいがね…」
そう、男鹿が私の家を飛び出す前にヒルダさんの格好をしたボロボロのヨルダさんが転送してきたのだ。
『ヨルダ…!』
『どうしてヒルダ姉様の格好を…!!何があったの!!』
『…男鹿…辰巳……』
『ヒルダを助けて─』
その言葉を聞き、男鹿は飛び出した。
ヨルダさんはひとまず私のベッドに寝かせラミアの治療を受けてもらった。
酷い熱で魔力も枯渇ギリギリだったらしく、今は安静にするのが一番らしい。
「ん…おい、屋上!煙が上がってる所…」
何故すぐに気づかなかったんだろう、あんな目立つところに捜し人が居たとは。
でもあれじゃまるで…魔女狩りじゃないか。
「男鹿ーーーーっ!!!」
「「ヒルダさん!!」姉様!!」
「この大バカ者がっ!!!貴様何故来たっ!!」
大声で男鹿を罵倒するヒルダさんだが、どう見ても時間の猶予は無い。
「男鹿!!ヒルダさんだ!!時計塔の屋上!!急げ!!磔にされて足元に火をつけられてる!!」
ヨルダさんの治療とメール作業中にアランドロンに頼んで男鹿に持たせた小型無線機で見たものを伝える。
その後、ヒルダさんの罵倒の返答として、何十メートルと離れているはずのこちらにも聞こえる声でこう叫んだ。
「んなもん助けに来たに決まってんだろ!?黙って待ってろやボケがっ!!!!」
「東条さんが!?」
『あぁ…あいつこの学校の工事をずっとやってやがった』
男鹿が校舎の中に入り見えなくなってしばらく、通信が入ったかと思えば男鹿が東条さんが居たと言ってきて驚いた。
「まー…あの人らしいようななんとゆーか…」
『そっちはどうだ!?ヒルダはまだ無事か!?』
「あぁ…無事っちゃ無事だけどゾッとする、さっきあのメガネのおじいさんと目があっちまった」
『ベヘモットか!?』
「おそらく…その気になればいつでも殺れるぞって感じでウィンクされたし」
『ナメたじじいめ…』
「あと口パクで「今晩どう?」とか言われた」
『クソジジイが!!!』
「それより男鹿、メールしておいた助っ人達から返信が順次来てる。そろそろそっちに着く人も居るはずだ」
『助っ人…!?』
「石矢魔が関わってんなら、石矢魔が出てこなきゃだろーが」
『…たく、邪魔じゃねーだろーな』
「大丈夫だって、きっとお前の助けになる」
通信が終わってすぐ、邦枝さんが一番乗りで助っ人に入った。
それから順次神崎さんグループにレッドテイル、六騎聖が突入、指揮は我らが財力の姫川さんがとっている。
というか私の所にヘリでやってきて更に見やすく広い場所まで連れていかれ、お付きの人が現場基地を設置し始めた。
これにより驚く早さで学校を攻略していき…と思ったが。
「ジャバウォック…」
「画面ごしでもわかるぜ…こいつは相当ヤバイぞ…」
「ヒルダさんをさらった敵の、総大将」
元々私達が攻略しようとしていたのは焔王様が学校各地に設置していたゲームだ。
ゲームはそれぞれ男鹿の所ではナンプレが、神崎さんグループはビリヤード、レッドテイルはボウリングで六騎聖はダーツ。
だが、そのゲームをジャバウォックが破壊して行った。
小さくも『ケツァル達のかけた魔言は解いた』と聞こえたため、奇しくもクリア判定となり男鹿は扉を通る事が出来た。
破壊し終わったジャバウォックは屋上に現れ、不気味に佇んでいた。
「ん?男鹿?」
ふと移動中ベル坊が困惑気味に何かを訴えていた。
「これは…サラマンダーの奴ね」
ラミアがそう言うと両手を広げ、大きく拍手をした。
『んあ?オレどうしたんだ?』
『おぉ男鹿、さっき変だったよな』
『あぁ…なんか意識飛んでた』
「男鹿!!あとそばに居る奴!!これは相手の罠よ!!私が大きな音を出してアンタ達に掛かりそうになる催眠術を解いてやるから一気に進みなさい!!」
『『催眠術!?』』
ラミアの活躍により屋上に着いても相手に操られる事はなかった。
屋上に着いてからは、男鹿達を操ろうとしたサラマンダーって悪魔を速攻で潰し、男鹿と東条さんの2人がかりでジャバウォックに挑んだ。
石矢魔最強の二人組での猛攻は凄まじく、しかしジャバウォックには届かなかった。
まず東条さんが吹き飛ばされ、反撃する男鹿の頭を掴み床がクモの巣状に半壊するパワーで叩き潰された。
そこに東条さんが戻ってきたが、結果は同じ。
約10分間、男鹿と東条さんはジャバウォックに叩きのめされ続け…。
とうとう二人とも起き上がれなくなった。
ジャバウォックは勝ちを確信したように二人に背を向けた、その瞬間。
男鹿が、立ち上がった。
『ククッいいぞ、最高だお前。何がきっかけかは知らんが、この土壇場で壁を越えやがったな。理屈じゃねぇ、あるんだこういう事が、強者との戦いで突然何かを掴んじまうって事がな。感謝しろよ男鹿辰巳…それはてめぇ一人じゃ到底辿り着けない場所だ』
ジャバウォックが走り出す。
『魔力もカラ!!意識も半分とんだその状態でとうとう…っ!てめーは覚醒したんだよっ!!!』
『違うわっ!!!!』
攻めこもうとしたジャバウォックに、男鹿はボディに拳をを決めながら否定した。
『誰の意識がとんでるって?覚醒だぁ?んな都合よくパワーアップするわけねーだろボケッ!!』
男鹿は、高らかに、
『これは、お父さんスイッチだ!!!』
意味わからん事を言い出した。
男鹿の新技…?痩せ我慢?により戦闘はジャバウォックと拮抗し、屋上を破壊し床まで突き抜けながら殴り落とした男鹿が勝利した。
男鹿やヒルダさん、そして石矢魔の皆さんを迎えに走っていく最中、唐突に明るくなった。
既に朝の5時を過ぎているのだ、朝日でも登ったのだろうと明るい方を見れば、
校舎が燃えていた。
これは後日聞いた話になるのだが、ベル坊が泣くと電撃を放つように、焔王様は泣くと辺り一帯が火の海になるそうだ。
後これは私の思いつきなのだが、ベル坊も小学校低学年くらいになれば焔王様のような呼ばれ方をするんじゃないだろうか。
例えば…電王様。
すごい、まるでどっかの仮面ライダーみたいだ、人気もすげーありそう。
…うん、現実逃避はもうやめよう。
「もしもし、消防署ですか?火事です、中に人が居たはずなので救急車もお願いします。…はい、場所は…再建すぐの石矢魔高校の校舎です」
悪魔野学園との戦いから1日がたった。
戦い…というか消火活動が済んですぐ、男鹿と焔王様プラス侍女悪魔さん達がゲームをしに家に来た。
家でヨルダさんの看病をしていたからヒルダさんもまとめて看ようって事だ。
ラミアによる治療の後、ゲームをしつつヒルダさんとヨルダさんが姉妹である事、侍女悪魔の養成学校でトップを争うライバルだった事を聞いた。
そして、記憶が消える事が必ずしもヒルダさんにとって不幸であるとは限らないという事。
確かにヒルダさんはベル坊を愛してるし、ラミアの言う通りベル坊に仕えてる時が一番幸せそうだ。
だが、そのヒルダさん自身に対する幸せというか、愛情を感じる機会はそうそうないと思う。
まぁつまり、立場とかしがらみとか、そういったものを一度なくしてリラックスして欲しい。
上手く言えないけど、多分こんな感じかな。
その後は焔王様がゲームに飽きてヨルダさんを引き取り帰宅、男鹿も昼寝が済んだらしくヒルダさんにラミアを連れて帰って行った。
それから一夜明けて、結局聖石矢魔学園へ登校中、男鹿からヒルダさんの現状を聞いた。
「えーつまり、男鹿の家族によりヒルダさんは自身をお前の妻、ベル坊も自分の子供だって認識なのか…」
「そういうことだ…まじで困ってんだよオレは、なんとかしてこいつの記憶を戻す方法を探さねーと、ベル坊もムリヤリ服着せられてご立腹だ」
「ダブ」
「話してみれば分かる、調子くるうぜ実際」
「えー」
ここまで大人しく男鹿の後ろを歩いてたヒルダさんに向き直り挨拶する。
「えーと、古市です、男鹿とは友達やってます」
「ウザツッコミの古市さんですね」
「漫才芸人みたいな覚えられ方してるんだけど!?」
「スマン、ちょっとだけ前情報を与えた」
「前情報に悪意乗ってるだろこれ!!」
「いつもたつみさんとベルちゃんがお世話になっております」
「あ、これはどーもご丁寧に…」
「私がたつみさんの傍に居られない時はよくベルちゃんの面倒も見てくれてたとか」
「いや男鹿も私も最初の頃は育児に慣れてなかったので拙いものでしたが、微力ながらベル坊の役に立ててたなら良かったです」
「…なるほど、たつみさんのお姉さんの言う通りですね」
「え?」
「なんでもありませんよ」
そう笑顔を向けてくるヒルダさん、確かにこの笑顔は慣れない。
普段がお月様のような静かで冷たい、でも綺麗な笑顔だとしたら今は太陽のような笑顔だ。
暖かくて朗らか、綺麗だけど可愛いが先に来る笑顔。
記憶、いやでもこの性格もヒルダさんの一側面なら…悩ましい。
例え記憶を思い出せても、消えないでほしい、そんな都合のいい想像をしてしまった。
「「「「記憶喪失?」」」」
教室についてすぐ、寧々さんを除くレッドテイルの皆さんに話しかけられ、ヒルダさんの状態を話した。
「記憶喪失、記憶喪失か…うーん」
「そう来ましたか」
「ちぃっその発想はなかったなー」
「まぁありっちゃありだけど」
「なんの話だ?」
ほんとなんの話?
「トトカルチョッス、ウチら今助けられたオガヨメが最初になんて言うかで賭けてたんスよ」
「本命「ありがとう」次点「愛してる」」
「大穴「無言でチュー」」
「で、実際のところは?チューした?」
「してねーよ人の災難ネタにしてんじゃねーよ」
なんとも…発想がヤンキーですなぁレッドテイル…そいやレッドテイルもヤンキーだったわ。
いやヤンキーというかレディースだわ。
「いやいや実際ネタにしないとやってらんないっスよねぇ」
「そうそう、ウチら結局殆ど活躍できなかったし」
「あんなに修行したのになぁ」
「知らねーよ、ったく。どーだ?なんか思い出したか?」
「すいませんまったく…ただ、とても不愉快になりました。それよりたつみさん」
「あ?」
「助けられたって…なんですか?」
「私何かでたつみさんに助けられたんでしょうか?」
「……」
「アイッ」
今までことの成行を見守っていたヒルダさんが男鹿を見つめる。
その横でベル坊が必死に説明をしていた。
「アイッダブアーイ!!」
「……」
「「……」」
男鹿もレッドテイルの皆さんも黙り込んだ空白の間の中、ベル坊が元気よく答えるが赤ちゃん語では伝わらない。
いや、何かがあって、男鹿が尽力した事は伝わっていたのだろう、ヒルダさんの見つめる目に期待がこもっている気がする。
「知るか」
「ダーブッ」
「あっまって下さい」
たまらずその場を去る男鹿にそれを追いかけるヒルダさん。
それを見てきゃいのきゃいの騒ぎ出すレッドテイルの皆さん。
何…このラブコメ。
レッドテイルにいじられた後はどんなに関係性が薄くても記憶を思い出す刺激を期待して神崎さんに姫川さん、聖石矢魔の生徒に先生…結構な人数と話した。
結果は惨敗、屋上で気落ちする男鹿に対しヒルダさんは記憶を戻す事に戸惑いがある様子。
自分の事は知りたいが今のままでも十分幸せで、記憶が戻った時その幸せだという気持ちが消えてしまいそうで心配らしい。
なお、我らが男鹿くんはすぐに台無しな事を言ったため空気が死んだ。
仕方なく屋上から帰る途中、バッタリと邦枝さんと寧々さんに出会った。
そして、
「はじめまして、たつみさんの妻のヒルダです」
ヒルダさんのトンデモ発言により、空気が凍りついた。
「たつみさん、なんですかこの女は…いやらしい。私と古市さんというものがありながら他の女に手を出しているのですか?」
「いや、出してない」
「男鹿…何これ?なんで私こんな失礼な事言われなきゃいけないわけ?ヒルダさんとうまくやってるみたいでよかったじゃない」
「いや、やってない」
「お、男鹿…多分これ止まらない奴」
「古市!ヘルプ!」
「無理だろ…」
二人は睨み合い、空気は重くなる。
いつの間にかギャラリーが出来ていたが二人はお構い無しに口撃を始めた。
「あなた名前は…?」
「はぁ?何言ってんの知ってるでしょ?」
「どろぼう猫の名前など知りません」
「誰がどろぼう猫よっ!!」
「違うというのですか?」
「違うわよっ!!何を根拠にそんな事言ってんのよっ!!」
「では、たつみさんの事もなんとも思ってないわけですね?」
「と…」
一瞬呆ける邦枝さん。
「と」チラッ…カァァ
「?」
男鹿を見て赤面する邦枝さん。
「当然でしょーっ!!!」
「姐さーんっ!!」
脱兎のごとく逃げ出した邦枝さん、完全に脈アリです。
「……なんか」
「思い出しませんよ」
「こわいよベル坊くん」
「アウ」
「…少し、思い出すのが怖くなってきました」
それからお昼を食べた後ヨルダさんが現れ、ヒルダさんに皮肉を言いつつもヒルダさんの記憶を消した悪魔、サラマンダーに記憶の戻し方をはかせDVDにして持ってきてくれたのだが、
「知りたくありません」
「……はぁ?」
ヒルダさんはそれを拒絶した。
「何言ってんのよ!!記憶が戻るって言ってんのよ!?」
「そんなの…思い出したくありません」
「しゃんとしなさいヒルデガルダっ!!あなたはそれでも由緒正しき大魔王の末子ベルゼバブ4世の侍女悪魔ですかっ!!」
「そーだぞヒルダッ!!ベル坊だって本当はお前に思い出してほしいと」
男鹿はそれ以上言えなかった。
「……そんなに私は、いらない存在なんでしょうか……」
ヒルダさんが、泣いていたからだ。
「ヒルダッ!!」
「男鹿!ヒルダさんは任せろ!!」
そう言い残し走り出す。
今のヒルダさんを一人にしておけない、どうにかして元気になってもらわなくては…。
……。
……美人の涙って、こんな心にくるんだ。
いや、美人ってより…好きな人が泣いてることに対して、だな。
はぁ…。
ヒルダさんを追いかける間に学校を出てしまった、そのうち補習かなぁこれ。
やっとヒルダさんに追いつけたが、そこはいつもの川原だった。
ほんとこの場所に縁があるんだろうな私達は。
「ヒルダさん」
「…古市さんですか」
「隣、座ってもいいですか?」
「……どうぞ」
初めのうちは無言の時間が多く、まるでコミュ障な男が必死に女性に話しかけてるような会話だったが、日が沈む頃までくればお互い自然と話せるぐらいにまでなった。
「そっか!ベル坊お風呂でも楽しそうだな!私まだベル坊をお風呂に入れてあげたことがないから新鮮だわ」
「そうなんですか?ふふーん、やはり私の方がベルちゃんの親として相応しいようですね!」
「いやベル坊の女親でヒルダさん以上に相応しい人いるわけないでしょ」
「そーでしょーそーでしょー!なんたって私は!ベルちゃんの親ですから!!」
んー…やっぱ可愛いなこの人。
ヒルダさんの可愛いが限界突破してくんだけど。
そんなふうに話してたら無粋なヤツらが来た。
悪魔野学園の残党らしいが、丁度よく来た男鹿によって川に犬神家された。
ベヘモットの残党だし、悪魔だからきっと生きてるよ、多分。
「ありがとうございました、たつみさん」
「おう、あんま心配かけんじゃねーぞ」
「……以前にもきっと私は、こんな風に助けられたんですね。こんなに、たくさん傷を作って」
男鹿の腕に触れるヒルダさん、そこに男鹿は何やら小瓶を見せた。
いつの間にか私の傍にヨルダさん、邦枝さん…何よりもラミアが来ていたため何となく察っした。
あれが、記憶を思い出す方法なのだろう。
「これは…もしかして記憶を戻す薬ですか?」
男鹿も昼間の事を気にしているのだろう、渡すのを戸惑っていた。
「下さい、大丈夫です」
それをヒルダさんは、朗らかに求めた。
「今の私は消えてしまうかもしれませんが、元の私もきっと幸せですから」
ブン……ポチャン
「あーぁ、ベル坊何投げてんだよ、これじゃあヒルダ元に戻れねーじゃねーか」
「アウ」
「─ま、あれだ。しばらくこのままでいいか、どっちにしろお前がこいつの母親って事には変わりねぇしな」
「ダウ」
男鹿はベル坊をヒルダさんに渡しつつそう言う。
「アー」
「…ベルちゃん」
ヒルダさんはベル坊に、愛のキスをした。
「それによくよく考えたら今のお前の方が飯もうまいしな、いーんじゃねーのそのままで」
「……そんなに私の作る飯は不味かったか?」
…あれ?
「あ?まずいなんてもんじゃねーよありゃ、殺人未遂だ殺人未遂…ん」
「ほう」
口調、戻ってね?
…後で聞いたのだが、薬の方はラミアの師匠が急遽準備してくれたもので、本当の戻し方は「王子様の口付け」だったらしい。
王子様…この場合の王子様は夫ではなく、本当に魔界の王子様であるベル坊の事だった。
そして、ヒルダさんはさっきベル坊とキスをした。
つまり、
「いい度胸だな、ドブ男。だが次は未遂ではすまんぞ」
「……あれ?もどってる?」
「この愚か者がっ!!」ゴキィ
「あがぁっ」
こうして、ヒルダさんの記憶は戻ったとさ…。
いつか投稿したいネタ未満のなにか
※次話とは何も関係ありません。
原作:呪術廻戦
名前:禪院
所属:禪院家
術式:十種影
年齢:15歳
概要:あの悪名高い禪院 扇の第3子、つまり真希と真衣の妹として誕生。
初めは五条 悟に及ばずも劣らない呪力量を持って生まれたことにより女でなければと惜しまれながら育てられる。
転生者特有の知恵や原作知識で危機を回避していくが5歳で発覚した術式が十種影法術…ならぬ十種影
相手は
召喚した式神は呪力を渡した相手と虚真に付き従い
これによって扇が絶妙に当主ラインへ登ったりするがもちろんなれるわけがない。
断念理由:呪術廻戦は…にわかなんだ…すまねぇ。もしこれを投稿し始めたら裏で「あぁ、全巻買ったんだな」って察してください。