銀の雪はt…ぅぉデッッッ!!!!   作:Tkmraeua2341

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あ、ちなみに今回出てくるお菓子はヨーグルッチよろしく一文字変えただけの実在する商品を想像してもらえれば…はい。



銀の雪はt…ぅぉデッッッ!!!!6

ヒルダさんの記憶喪失騒動が落ち着いてしばらく、神崎さんがやつれていた。

何かあったのかと少し心配していれば男鹿経由で神崎さん家までヘルプに行くことになった。

なんでも、神崎さんのお兄さんの娘さん、つまり姪っ子さんの面倒を昨日から任されていたらしい。

それがとてもヤンチャな娘らしく、神崎さんでも手に負えなかったようで育児経験がある…というより経験中の男鹿に助っ人を頼んだって流れだ。

ちょっと買い物してそれにホイホイ着いて行った訳だが…

 

 

 

「「「「お帰りなせぇっ若っっっ!!!!」」」」

 

 

 

見事な武家屋敷で、強面のスーツ姿のおじ様たちによるお出迎えをうけた。

 

「おー」

「おらっ何してんだとっとと入れ」

「やばいな…男鹿、準備した菓子折り安っぽすぎたかな…」

「知らねーよ」

「いずれこれが全て坊っちゃまの物になるんですよーすごいですねー」

「アー」

「物騒な事言わないでくださいよ…」

 

 

 

関東恵林気会(かんとうえりんぎかい)

 

 

 

石矢魔を拠点にその勢力をのばす極道一家。

組長の名は神崎武玄(かんざきむげん)神崎一(かんざきはじめ)…つまり神崎さんの父である。

 

二葉(ふたば)ちゃんっ!萌えぇーーーっっ!!!

二葉ちゃーんどこでちゅかーっ!!おじーちゃんと太鼓の名人やりまちゅよー!!」

 

「なんだ、あのゆかいなおっさんは?」

「…うちの、親父だ…」

「組長!?」

「孫の事になるとどーにもあの調子でな…」

 

その後も一波乱あったが、組長の腰を犠牲に姪っ子さんである二葉ちゃんとの邂逅を果たし、神崎さんの部屋に移動した。

なお、二葉ちゃんはヤスという方を呼びお馬さん状態で移動した。

ヤッバイわぁ。

 

あ、そうだった。

 

「えっと、神崎さんのお父さん…」

「ん?なんだねお嬢さん…(ぅわデッッッ)」

「これ…つまらないものですが…」

 

デパ地下のいいお値段なクッキー、特別な日にしか食べないようなやつ。

でもこんな武家屋敷だとちゃっちく見えて仕方ない。

 

「神崎さん…あー息子さんにはいつもお世話になってます、古市と言います。息子さんのクラスの鼓舞や統率、細かい気配りはお父様の教育の賜物と思います。今後とも、よろしくお願いします」

「…君、幾つかね」

「…へ?…15…ですけど」

「ふむ…」 

 

あのー、なぜそんなに見られるんですかね。

いや確かに菓子折り渡すの十数年ぶりで結構テンパっちゃったけど…そんなおかしかったかな!?

 

「古市君と言ったね」

「はい…」

「君、ウチに嫁ぎに来ないかい?」

「へぁっ!?」

 

「いい加減にしろクソジジイ!!!」

 

神崎さんによって横に蹴り飛ばされてしまった。

 

「…古市、いい加減行くぞ」

「あ、はい…」

 

神崎さんのお父さんとのやり取りはキング・クリムゾンされたらしい。

高そうな障子から生えてる脚は見なかったことにされました。

…お?

 

「ベル坊?どったの」

「ダッ」

「そうですね坊っちゃま、負けてはいられません。たつみ、馬だ」

「よし古市、馬だ」

「まじかよ」

 

制服だから私スカートなんだけど?まじで?

…結局切れたヒルダさんによって男鹿が馬をした。

ところでヒルダさん、いつの間に男鹿の名前を呼ぶようになったんです?

私、気になります。

 

 

 

「─ま、つーわけで、改めて紹介するぜ。姪の二葉だ」

「おっす」

「こんにちは二葉ちゃん、古市ユキって言います」

「「……」」

 

いや自己紹介くらいしてよ二人とも。

 

「何をキョロキョロしてやがる」

「広いな」

「あぁ、ドッジボールできんじゃねーか?」

「すんなよ」

 

確かに神崎さんの部屋広いなって思ったけど、あーほら二葉ちゃんむって不満顔になっちゃってんじゃん…金髪ツインテ幼女なせいで可愛いだけだけど。

 

「そうだ、神崎さんこれ、二葉ちゃん用に買ってきたんです。二葉ちゃん、良かったら食べてね」

 

見せたのはお子様用のせんべい、菓子折りを買う時に一緒に買ってきたものだ。

 

「ハイライン?二葉これ食ってたか?」

「おー!うまいやつだな!ユキ!!献上品に感謝する!」

「大丈夫みてーだな」

「…そっちは?なんもないのか?」

「あ?オレらはなんもねーよ、貰うんなら古市だけにしろ」

「…お前ら二葉に会いにきたんじゃないのか?(はじめ)、なんかムカつくぞこいつら、ぶっとばせ」

 

…しかしまぁ元気な子だなー、ちまっこくてかわいい。

 

(おい古市なんか言ってやれ)

 

モノローグで神崎さんが話しかけてきた、ほんと急にくるなーこのテレパシー現象。

 

(えぇ?なんかって言われても何を?)

(説教だ説教、ガツンと言ってやれ)

(そうはいってもさ男鹿…)

(貴様が適任だろう、やるだけやってみせろ)

(マジすかヒルダさん)

(ダ…)

(…うん、応援ってことで受け取るねベル坊)

 

えーなんと言おうか…矛盾しないように…。

 

「二葉ちゃん、お姉ちゃん的にさっきのはよくないと思うな…」

「あ?」

「おじいちゃんにドロップキックしたり、人を馬にして移動手段に使ったり」

「あれはじじいがキモすぎるのがわるい」

「確かに」

「男鹿シャラップ!」

 

二葉ちゃんの前に座って目線を合わせる。

 

「…いい二葉ちゃん、例えば二葉ちゃんがあんなふうに蹴られたら、どう思う?」

「ムカつくな」

「そ、だから自分がやられ「だから二葉は常に蹴る側の立場なんだぜ」…」

 

まじか…。

んー…しょうがないか…。

 

「二葉ちゃん、二葉ちゃんはまだわかんないかもだけど、世の中は理不尽に溢れてるんだ…学校で一番強くなっても、急に現れた奴に倒されたり、日本一強くなっても蹴落とされてしまったり」

「でも二葉の立場は揺るがないぞ」

「…古市、代われ」

「男鹿?」

「おいガキ」

「ガキじゃないっ!二葉だ!!」

「二葉…おめーさっき自分は常に蹴る側だって言ったな。だがな…それは、最強になって初めて言えるセリフだ。聞くが二葉、おめーはそんなに強ぇーのか?」

 

おお…男鹿が、男鹿が年長者やってる!

滅多に見ないけど面倒み自体はいいもんな男鹿!

 

「では最強とは何か?最強とは、つまりオレだ」

 

…ん?

 

「つまりだ二葉、何が言いてーかっつーと、オレが一番強ぇって事だ」

 

と、途中までいい感じだったのに…。

 

「もうよい、代われ男鹿」

 

え、ヒルダさんたつみ呼びじゃないんすか?

まじであれなんだったんだ?ふざけて呼んだだけ?

えー…興奮していた私がバカみたいじゃん。

知らず知らずのうちに少女漫画脳になってたのかな。

 

「ここからは坊っちゃまが王として有難い言葉を下さる」

「アイ」

「心して聞くがよい」

 

気合いの入ったベル坊が、テーブルの上に仁王立ちする。

ベル坊…凛々しくなって…!

これには二葉ちゃんも畏怖の念を…

 

「おーっかわいいっ!まるだしじゃねーか!!」

「……」

 

急に赤面して両手で股間を隠すベル坊。

 

「お前なん歳だ!!名前は?二葉より年下だよな!?子分にしてやろーか?」

 

二葉ちゃんによる怒涛の攻めにベル坊は、

 

「…アイ」

 

頷く事しか出来なかった。

 

 

 

 

「ベルっ!!しっかりついてこいやてめぇ、いいとこつれてってやるからよ!!」

「アイ」

 

さて、二葉ちゃんとベル坊は相性が良かったらしく、すぐに仲良くなることができた。

…ヒルダさんの目的とはかけ離れた状態で、だが。

後で知ったのだが、ヒルダさんは今回の外出でベル坊に家来を作って欲しかったらしい、てか最近ほとんど後から事情聞いてるような気がする。

まぁ結果は二葉ちゃんの子分に成り下がったわけで…

 

「坊っちゃまっ!!」

「アウッ」ビクン

「将来大魔王へなろうとする者が、そんな軟弱な態度でどうするのです!!」

「アウ…」

「たかが小娘にペコペコペコペコお前を妾にしてやろうかくらい言えないのですか!!」

「まず喋れねーって」

 

ヒルダさんってしっかり厳しい所は厳しいよね…それに対し二葉ちゃんは、

 

「うるせぇ、ガミガミババァ」

 

とんでもねぇ爆弾発言をぶちかました。

ヒルダさんの目元に影が差し不穏な空気が漂い始めた。

 

「アー、ウー、ダウッ」

「坊っちゃま、その小娘から離れて下さいまし」

「ニョッ!?ウーアー」

 

二人の間に立ち必死に両手をふるベル坊、しかし二人は挑発を続ける。

 

「なんだ?やろーってのか?変な格好したおばはん」

「おばはん?はて、貴様は一体誰と話しておるのだ?」

「アー!ウアー!」

 

この時、私と神崎さんはベル坊に嫁と姑の確執に挟まれて右往左往する夫の姿を見た。

 

「…はぁ、ベル坊」

「アイ」

 

とうとう見てられなくなったのか男鹿が動いた。

 

「情けねーなお前は、いーんだよこーゆー時はどーんと構えてりゃ」

「ダ…」

「大体こいつら両方とも女っつってもメスゴリラなんだからよ、ウホウホ言ってるだけだと思えばウホォッ!!!」

 

お察しの通り、男鹿は失言によりヒルダさんと二葉ちゃん二人に制裁された。

二人の飛び蹴りはそれぞれ男鹿の後頭部と向こう脛に当たり力尽きることとなった。

おぉ男鹿よ、力尽きるとは情けない。

まぁ、残当。

 

「よーしわかった!!お前ら二葉の事ナメてんだな!!勝負だ!!どっちがどっちの子分になるか!!河原で白黒つけよーじゃねーか!!ついてこいやコラァッ!!」

「アウッ」

「坊っちゃまっ!」

「「……」」

「…神崎さん」

「だから言ったろ、手におえねーって…」

 

二葉ちゃんが提案した勝負の内容は、水切りだった。

 

 

―水切り。

 

別名『水面石飛ばし』とも言い、水面に向かって投げた石が跳ねた回数を競う遊びです。

 

 

まずは二葉ちゃんが投げ、5回石を跳ねさせた。

懐かしくなって続けて私も投げてみたが、結果は4回。

二葉ちゃん、渾身のドヤ顔である。

 

それを見た男鹿は…

 

 

「おおおおおっ!!ぶっとべっっっ!!!」

 

 

魔力を使い、まるでレールガンのように石を投げ飛ばし、結構な距離がある対岸まで届かせ爆発させた。

大人げねぇ……。

 

「卑怯だぞっ!!4歳児相手に本気出しやがって!!」

「オレが最強♡」

「何が最強だ!!あんなもん反則だ反則!!」

 

当たり前だが二葉ちゃんが猛抗議、実際投げる前にベル坊に呼びかけてたし魔力使ったのは間違いないだろう。

 

「大体あれじゃ何連段か分からねーじゃねーか!!」

「あ?もう一回やるか?」

「プッ…クク…やめてやれ男鹿…かわいそうではないか」

「アー」キラキラ

 

ヒルダさんが思いの外嬉しそう…絶対根に持ってただろババァ呼びされたの…。

そんでベル坊は目をキラキラさせて男鹿を見ている、それに歯噛みする二葉ちゃん。

 

「……っ!にぃ〜〜っ!!(はじめ)っ!!負けんなっ!!お前の力見せてやれ!!」

「あぁ?無茶言ってんじゃねーよ、あんな化け物じみた事出来るわけ…」

 

呆れ混じりに言いながら二葉ちゃんに目線をやる神崎さん、しかし二葉ちゃんの真剣な表情に感じるものがあったのだろう、

 

「……やってみる…だけだぞ」

「おうっ!おめーならやれる!!二葉の仇をとってくれ!!」

 

神崎さんも参加する事になった。

 

 

 

 

「やいこら子連れ番長!!見とけよ、これがホントの水切りだ!!」

「おいおいいーのかよ姪の前で恥かくだけだぜー」

 

男鹿が完全に悪役な件…。

それに対し神崎さんは、上着を脱ぎ腕をまくりつつ石を選んでいた。

石を選び終わり脱力する神崎さん、離れていても分かるほど、纏う空気が変わった。

 

「…神崎さん?」

「見せてやるよ」

 

そう言い、水切りのためだけのような構えをとり、振りかぶる。

 

「おぉおおおおおおおっっらぁっ!」

 

シュパッと放たれた石は、今まで見たことがないほど綺麗に水の上を跳ねていた。

パッパッパッと続く石の足音は、間隔を縮めつつも途切れることなくなり続ける。

 

 

「見たかっ!!(はじめ)はすげぇんだ!!」

「いっけぇぇええええええっっっ!!!」

 

神崎さんと二葉ちゃんの思いの乗った石は、

 

 

ゴンッ

 

 

川魚との衝突により、

 

 

ポチャン…

 

 

水の底に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

「まだだもんっ!!」

 

 

 

 

 

 

「まだはじめは負けてないもんっ!!余裕かましてんじゃねーよ!!」

 

二葉ちゃんが叫ぶ、目尻に溢れた涙が流れていく。

 

「あ?何言ってんだバーカバーカ、オレの勝ちだよーん」

「違うもんっ!!」

 

…男鹿、お前また三木君の時みたいなのしてるだろ。

 

「はじめの方が…はじめの方が…」

「おっ泣くのか?やーい」

 

おそらく男鹿の狙い通りに。

 

「男鹿」

 

ゴキン

 

神崎さんの拳が、男鹿の頬を貫いた。

 

 

「うちの姪っ子、泣かしてんじゃねーぞ」

 

 

「わかってんじゃねーか」

 

「あ?」

 

「そんだけわかってんなら、あとはてめーで面倒みろや」

 

…ほんと、こういう所があるからほっとけねーんだよなぁ。

まぁ後は、帰るだけか。

家族と一緒に、帰るだけ。

 

(はじめ)ーーーっ!!」

「だーっ、くっつくんじゃねーよ!」

 

 

 

 

二葉ちゃんとの和解後、学校に行けばホームルーム中に早乙女先生から修学旅行へ行く旨を聞いた。

こちらは学年が違う、金も払ってない、行くのが明後日という急な展開についていけなかったが、そこで話された石矢魔高校卒業生からの経験談がクラスを一致団結させた。

早乙女先生いわく、石矢魔には修学旅行という行事が存在しない。

理由は設立当初から三年、行った先輩方が他校ともめ暴れ回ったから。

早乙女先生が入学した頃にはもう修学旅行も遠足も体育祭も無くなっていたという。

残念だけど当然だと思う、なんて学校だ…。

 

「つまり先生は、こんな機会滅多にねーから何がなんでもついて行きてーと?」

 

 

「その通りだ!!!!!!!!」

 

 

力強い、てかここに来て1番でかい声がこれかよ早乙女先生ぇ…。

その後のゴタゴタはあえて語るまい…というか語りたくない…逆になんであれで行けることになったんだ?

ひとまず言えることといえば…先生方、苦労をかけてしまってまじですみませんでした。

 

 

 

 

飛行機乗ってるとマジで思う、先生方、特に旅行計画とかを担当してた先生にはまじで申し訳ねぇ事したわ…。

だって実質1日の猶予で飛行機の席を三十数個急に準備しろとかほんと狂った内容をどうにかしてくれたんだもん、もしこれで今回の沖縄旅行に行ってないとかならまじで申し訳ねぇ。

せめて職員室の先生方と校長先生にお土産買ってこなきゃ。

 

…ここだけの話、出発の一日前に職員室に謝罪を込めて菓子折り持って突撃したんだよね…「学生がすることじゃない」って呆れられたけど、流石にこう…前世のね?常識というか経験というか失敗談というか…そこら辺がつい脳裏にチラついてしまって。

とりま受け取って下さい先生方、個人とはいえ石矢魔からの謝罪と菓子折りのおかきです。

あと男性陣の皆様、後方で女性陣が凄い目で見てるので私の肩や腰に手を回さないでくださいね…。

校長の分?…校長室が修理中で更に校長先生もいらっしゃらなかったわ…。

 

で、機内では六騎聖の金髪君ことボクシングの新庄くんに話しかけられたり東条さんが浮かれまくってたり神崎さんのお父さんや二葉ちゃんが着いてきちゃってたりと修学旅行というものにまで喧嘩を売りつつ空港へ。

そこから送迎バス(多分ここも一台急に追加したんだろうなぁ…)に乗り込みホテル(ここもry)に到着。

ちょっとずつ胃にダメージを負っていると聖石矢魔学園の御一行様看板の隣に書かれてた文字に嫌な予感を感じた。

 

「ん?」

「南珍比良高校…」

「なんだこの、隣のやつ」

 

南珍比良高校…南のチンピラ高校…どう考えても今回のトラブル相手はここだろ!!

なんか新しい不良が出てくんだろ!!

新しいライバルが出てくるパターンだろ!!

 

はい、まあ案の定ですね、絡まれましたね。

所で南珍比良の皆さん、私を見てから「デッッッ!!」以外の言葉を喋らないのはなんでですかね?

ねぇなんでですかね!?おい!?

そんでね?男鹿や東条さん達が瞬殺して行くんですけどね?

おそらくあちらさんの大将が出てきたんですよ。

でもね、

 

「騒ぐんじゃねーよみっともねー」

哀場(あいば)さんっ!!」

「うちの子が起きちまうじゃねーか」

 

新キャラ…子連れ番長かよーーーっ!!!

 

 

 

 

 

今回の沖縄修学旅行、必ずなんかあると思ってたけど。

鬼が出るか蛇が出るか、薮をつついた結果、

 

「あー…酔った…バス最悪」

 

出てきたのは、子連れ番長でした。

 

「…お前ら、他所様のガッコに迷惑かけんじゃねーよ、はっ倒すぞ」

 

金髪に学ランを羽織り、前ボタンはひとつも付けず腕まくりをした…背中には子供用のクロッシェだろうか、つばが全体にある帽子を被って寝ている小さい子をおんぶ紐で背負っている男が現れた。

そいつが現れた瞬間、騒いでた南珍比良高校の不良達が静かになり、口々に「哀場さん」とそいつを呼んだ。

 

「哀場さん違うんすよっ」

「こいつらが」

 

不良のうち二人が男に近寄り何か言おうとすると、哀場と呼ばれた男は右手の人差し指を口元にやり、左手は近寄った不良の顔の前でデコピンを放つ前の状態になり。

 

「静かに、しろ」

 

デコピンが放たれると、不良は吹き飛び、二回転後に上半身が壁にめり込んでいた。

既視感…。

 

「ちぃちゃんが起きちまうだろ」

 

「ほう」

「むっナイスめりこみ」

 

こらそこの石矢魔最強と戦闘狂コンビ、変に反応しない。

 

「悪かったなアンタら、オレは南校の番はってる哀場ってもんだ。まーこいつらも悪気しかねーから気をつけ…ん?」

 

「………」

「………」

 

男鹿と目が合った哀場、お互いに何かを感じたのか見つめ合い微動だにせず数秒後、

 

「お前、名前は…?」

「あ?とんぬらだボケ」

 

哀場に名前を聞かれた男鹿は意味の無いウソをついた。

とんぬらてお前…。

 

「…そうか…とんぬらか…

 

─ってうそじゃんっ!!それドラクエ5のパパスが主人公につけようとした名前じゃんっ!!」

「そしてこいつがミルドラースだ」

「アイ」

「魔王じゃんっ!!」

 

魔王なんです、マジで。

 

「お前のは何ドラース?」

「魔王じゃねーよ!!「の」ってゆーな妹だっ!!」

 

いやそこで固まるなよ男鹿…ん?

ふざけてるようでふざけてなかった?

哀場が魔王…もしくは悪魔関係者かどうか確かめてたのか…?

いやでも男鹿に限ってそんな器用なこと…でも最近の男鹿は学力とは別に賢くなってきてるし…。

 

……流石に考えすぎだなこれ、男鹿の中で変な連想ゲームが起きてたんだろう、それで予想外な返答で固まった…て所か。

 

「あのっ待って下さいっ!!」

 

考えてたら邦枝さんが止めに来た。

 

「ごめんなさい、彼はその…悪気はないんです、ちょっとバカなんです許して下さい」

 

 

 

「へぇ」

 

 

 

ん?

なんか哀場が邦枝さんを見てから雰囲気が変わった。

 

「バカのバカンスなんつってね」

 

男鹿…それ私もちょっと思ったけど。

今言うことか?

 

「あの、お友達を殴ってしまったのは謝ります、本当にすみませんでした。でも、お互い大切な修学旅行です。どうかこれ以上のもめ事は」

「あぁ、安心しな。オレもそんな気はねーよ」

 

なんか声の力具合が変わってないか子連れ番長。

 

「本当ですか!?よかった、ありがとうございます」

「そんな事より、あんた…こいつのコレかい?」

 

ほっとしてる邦枝さんに小指を立てる哀場。

男鹿の彼女なのかと聞かれた邦枝さん、彼女ではないが惚れてる邦枝さんは…

 

「え?えぇぇ!?ちっ…ちがっ違います!!そんなんじゃ全然っ!!」

「そうか」

 

案の定、顔が真っ赤である。

それに対し哀場は邦枝さんの手を取って両手で包みってぇええ!?

 

哀場(あいば) 猪蔵(いぞう)だ。後で部屋に遊びに行ってもいいか?」

 

「「「なっ!」」」

 

「大丈夫、こーみえてオレは紳士だぜ。仲直りの証に飯でも一緒にどうだ?」

 

恋の方のライバルかよぉお!!!!

面白くなってきたぜぇ!!!

 

 

 

〇〇〇〇

 

 

前回のあらすじ!

 

担任の早乙女先生並びに石矢魔生徒達による暴走によって聖石矢魔学園の修学旅行へくっついてきた私達!

早速お世話になるホテルのチェックイン中に他校と揉めてしまったが瞬殺!

相手校の番長登場!男鹿と同じ子連れ番長!

 

名は哀場(あいば) 猪蔵(いぞう)!

 

一触即発かと思いきや男鹿のギャグによりダダ流れ!

思わず仲裁に入った邦枝さんだが…!!

 

「大丈夫、こー見えてオレは紳士だぜ。仲直りの証に飯でも一緒にどうだ?」

 

哀場にナンパされてしまった!

 

 

 

…一旦テンション戻すか。

いや分かるよ?邦枝さんめっちゃ可愛いし、綺麗だし、さっきなんて完全に委員長タイプの真面目系美少女だったし。

でもさ、会って数分もしないで食事に誘うどころか部屋に行きたいとな?

もしや下半身直結野郎か?

そんなの許さん。

…いやまて落ち着け古市クールになれ…ただ気になる子の部屋に遊びに行きたい小学生男子みてーなテンションの可能性があるだろ…。

 

しかし…これで更に別の三角関係が出来上がったのか。

哀場は邦枝さんが好きで、邦枝さんは男鹿が好き、だが男鹿はそっち方面は小学生以下だから好きな相手は居ない。

うへぇ。

 

「…や、いや、でも…」

 

てか邦枝さんすっげー赤面してんじゃん、カワヨ。

やっぱ男子に慣れてない純情美少女って需要があるよね!

それに対して男鹿は…

 

「…バカのバカンスはバカザンス」

 

男鹿…いや、お前はそのままでいろよもう…。

 

「よし決まりだな、名前聞いてもいいか?」

 

いや何も決まってないが?

現に堪えきれなくなった寧々さんや千秋さんが哀場の背後に移動して行ったし。

そして寧々さんの拳骨が哀場の脳天にゴーン!

それなりにいい音がしたのに動じないとは、いや邦枝さんの前でカッコつけてるだけの可能性もあるな…。

 

「いぃ〜〜わけねぇ〜〜だろ。どこまで子連れ番長かぶせてくんだてめーは、あ"ぁ!?ウチの姐さん口説こうなんざ100億光年早いんだよ」

「姐さん?」

「ちょっ寧々っ!!やめなさいっ今話まとまりかけてんだからっ」

 

あらまぁ怖いお声ですわよ寧々お姉様、千秋様も音もなく銃を構えないでくださいませんか?

怖すぎて口調がお嬢様になってしまいましたわ。

 

「葵姐さんっ!!まさかこんな奴部屋に入れるんスか!?気ぃ許したんスか!?」

「いやっ…そうじゃないけど、こっちはケガもさせてるわけだし、無下に断るのは…」

「葵って言うのか、いい名前だ」

「あっ!?聞いてんじゃねーよっ!!!」

「それじゃ葵、また後でな」

 

ここから離れようとする哀場だが、最後に男鹿を一瞥し、

 

「とんぬらも、お互い頑張ろーぜ」

 

男鹿…とんぬらの肩をポンっと叩いて離れていく。

「あ?誰がとんぬらだ」

「お前だよっっ!!」

 

 

 

チェックインも終わり、各々部屋でくつろぎ始めた頃、

 

「フルユキー風呂行こー」

「分かりましたけど…フルユキ?」

「ノリで呼んだだけっスよー?どう?」

「正直言うと微妙っす」

「じゃあフユキ」

「うわー宇宙人好きそう」

「なんだっけ、軍曹であります!」

「花澤軍曹…なんか普通に居そう…」

 

同室になったレッドテイルの3人とだべりつつもお風呂に向かっていた。

一人目はパネーで知られる花澤(はなざわ) 由加(ゆか)さん、オレンジ髪に花飾りの姿も言動も可愛い人。

二人目は片目隠れにマスクの飛鳥(あすか) 涼子(りょうこ)さん、癖のある金髪だが本人の男勝りな物言いとマッチしててグッド。

三人目は同じ一年の梅宮(うめみや) (かおる)さん、クールでボーイッシュな見た目のせいか聖石矢魔学園で密かに同性の王子様候補になってる人。

 

もれなく全員美少女である、緊張!

 

いや私も前世男をやっていたとはいえ15年も女を伊達にやってはいないんですよ、しっかり慣れてはいるんすよ…それはそれとしてこんな美人さんと一緒に居るのは緊張のひとつはするものでして…。

由加さん達も何となくそこら辺を感じ取ったのか、手っ取り早く裸のお付き合いをして遠慮や緊張をとっぱらおうと考えてくれたんだろう。

良い人たちやぁ…。

 

「およっ」

「む」

 

ふと振り返ると、ヒルダさんと廊下で遭遇した。

 

「ヒルダさん」

「オガヨメ」

「ヒルヒルー、何してるっスかー?ウチら今からフロに行くとこっスー」パネー

「ヒルヒル?それはそうと、男鹿と坊っちゃまを見なかったか?」

「ダンナ捜してるっスか、あちーっすねー」

 

一瞬の間、アイコンタクトをしあうレッドテイルの御三方、最後にこちらを見た後ヒルダさんの傍により、

 

「まぁまぁ」

 

飛鳥さんが左側を抑え、

 

「そんな事よりフロに行こーぜ」

 

梅宮さんが私の手を引きつつ背後を抑え、

 

「女同士裸で語り合うっスよー」

 

由加さんが右側を抑え、ヒルダさんを風呂場まで連れて行った。

 

「いや私は男鹿と坊っちゃまを…」

「まぁまぁ」

「ぶっちゃけあの後男鹿っちとはどーなのよ?」

 

女の子が仲良くなる方法って色々あるけど…。

恋バナってかなり楽しいよね!

ただし当事者は気が気でないものとする。

 

なお、

 

「リョーコさん…なんか…なんか…もう…わかってたケド」

「ゆーな」

「?」

 

貧富の格差により撃沈する人が居たそうな。

まぁ…その、なんだ。

セクシー古市ですまない。

 

 

 

 

修学旅行二日目。

私達石矢魔生徒や聖石矢魔生徒は朝食のためホテルのバイキングをしていた。

窓からの眺めが絶景すぎて少し涙すら出てくる。

 

「あーーねみぃ」

「ニャ」

「坊っちゃま、何か気になる様でしたらヒルダがよそってさし上げますよ」

 

そんで旅行先でも変わらない親子三人に何処となくほっこりする。

案外私も寝起きでぼーっとしてるな、なんて考えてれば邦枝さんが男鹿の隣に並んだ、ちょうど私も行こうとしてたサラダやフルーツのコーナーだっだ。

 

「男鹿」

「おう」

「あんた、今日はわかってるんでしょうね」

「あぁ」

「ニャッ」

「なんの話だ?」

「いやなんか知らねーけど、今日はこいつと一緒にまわらねーといけねーらしいんだ。ほら、昨日の子連れナンパ野郎も一緒に」

「ほう…あのデコピン男か…」

 

なんか考え込んでるっぽいヒルダさん、いい加減私も取るもの取って席に着こうと挨拶しながら近くを通る。

 

「男鹿、ベル坊おはよー。ヒルダさんも邦枝さんもおはよーございます」

「おー」

「アー」

「おはよ、古市」

「…古市か、お前も一緒に来い。坊っちゃまの家来になるかもしれぬ男だ、興味がわいた」

「え」

 

あれ、なんか巻き込まれたっぽい?

ちょっと挨拶して離れるつもりだったのに…。

 

「どうだかなー、妹は苦手だもんなベル坊は」

「アウ」

 

え、妹…?

そっか…哀場さんはお兄ちゃんだったか。

 

「―ってゆーか、ヒルダさんや古市も来る気?ホントに?」

「当然だろう、坊っちゃまがついていくのなら」

 

あ、邦枝さんが疲れた目をしてる。

なんなら目があったので苦笑いしておいた。

今日もご苦労さまです。

 

 

 

 

自由行動の時間となり私達は美ら海水族館へ来ていた。

まぁ早速美ら海の所で石矢魔の皆がボケ倒していたがツッコミは夏目さんにしてもらってた。

なんせ、私が今居るのは、

 

「……」

「どーした?」

「別に…」

 

少しじとっ…としてる邦枝さんに天然二人にベル坊というなかなかに気まずい空間だからだ。

どうしよ、せめてもう一人くらい男子がいれば班行動みたいになりそうだけど。

現状を客観的に見たら少し気まずそうな女子二人に堂々とした男女と赤ん坊の組み合わせなんだけど!

字面の時点でなんかヤバい!

下世話な噂めっちゃ立ちそう!

 

「おーい」

 

内心この状況に愕然としてると遠くから声が聞こえた。

そちらを見れば爽やかそうな哀場兄とベル坊に目線をやる哀場妹の姿があった。

 

「いやわりぃわりぃ、服買うのに手まどっちまってよ…ん?」

 

「ベル様ー」

 

「あ、私の事はお気遣いなくごゆっくりー」

 

「遅いわよ」

 

さて、もう一度現状を見てみよう。

哀場は妹連れとはいえ邦枝さんと遊びたくてこの場に来た。

だがここには邦枝さんの他に前もって言われてた男鹿と言われてない部外者な私、そして部外者でも美人でベル坊に首ったけなヒルダさん。

 

「とんぬら」

「ん?なんだよ」

 

哀場兄が見た場合、まぁ…お察しというやつである。

 

 

「この…っ、色ボケ野郎っ!!!」

 

 

「まさかのっ!?」

 

 

ボコォッといい音を出しながら男鹿は殴られた。

なんというか、うん、ドンマイ男鹿。

 

「てめぇどーゆー事だこりゃっ!!ふざけんじゃねーぞっ!!」

「ちょっと…」

「こんなきれーなねーちゃん三人もつれやがって、誰が本命だこらっ!!」

「はぁ?」

「誰が好きなんだって聞いたんだよ言ってみろっ!!」

「え?誰って…」

 

完全に巻き込まれ事故じゃん男鹿…哀場兄、多分それ無駄に終わるぞ?

男鹿の恋愛観とかゼッテーガキだしヒルダさんは頭に?マーク浮かべてるし邦枝さんなんか一目瞭然…すっげードキドキしてるよ邦枝さん!?

顔も耳も真っ赤でお目々グルグルじゃんか!

あーなるほど、これはあれだ、いつものやつだ。

 

「えーと…」

 

「ダメーーーェッ!!!」

 

「まじでかっっ」

 

どっから千切ってきたかは知らないが、さとうきびで大技を放つ邦枝さん、男鹿はボロボロである。

やっぱり予想通りに邦枝さんの照れ隠しによりボコられた男鹿、強く生きて。

 

「ごっ…ごめんなさい男鹿!!大丈夫!?」

「――…」

「これはだいじょばないやつですね、邦枝さん」

「古市、どうしよ、私ったらまた…」

「まぁしゃーなしですよ、手当するんで手伝ってもらえます?」

「そ、それはもちろん」

 

 

「…ははっすげぇな」

「…うーん、でも…あの女の人はあにじゃには難しいと思う。だって、まるわかりじゃない」

「…何言ってんだ、ちぃ。ますますホレるってもんじゃねーか。それに、オレにはとっておきの味方がついたんだぜ」

「?」

 

 

 

 

水槽の魚やジンベイザメを見てご飯を食べた後、私達はイルカショーを見に来ていた。

その素晴らしさたるや、ベル坊が魔界の言葉で叫び散らすほどだ。

 

「ベル様、もっと前にいって見ませんか?」

「アイッ」

 

あら〜妹ちゃん攻めるわね〜微笑ましくて内なるおばちゃんが出てきたわ。

 

「千夜のやつなかなか積極的だな、こりゃオレも負けられねーな」

「ホント、ベルちゃんもまんざらでもないみたいだし。鈍感な所まで親に似なくて良かったわねー」

「なんだあの娘は…坊っちゃまに対してなれなれしい、殺すか」

「ヒルダさん抑えて抑えて、哀場兄の妹なら将来有望だろうし哀場兄が家来にする予定なら余計不味いですよ」

「……」

 

…うん、そりゃ男鹿も黙るわ、会話の前後で物騒さがすげーもん。

つい遠い目をしてしまい、ふと視界の端に可愛く動く金髪を見つけた。

…これは…ほう?

 

「よっベル!!見たか!?イルカジャンプ!すげーなおいっ!」

 

元気よくベル坊に手を上げて近づく二葉ちゃん、その先にはベル坊の手を握る哀場妹…千夜ちゃんの姿が。

…ほほう?

 

「なんだ?お前は」

「……あなたこそ、ベル様のなんなのよ?」

 

場を静かに満たす重圧、幼女達の目が据わり、イルカが空高く飛び跳ねる。

そして、流れに取り残され困惑するベル坊。

わぁ…既視感あるぅ〜。

 

「髪色だけなら邦枝さんとヒルダさんみたいだなぁ」

「え!?」

「いや違うだろ」

「そうだな、あまり笑えん戯言だぞ古市」

「いやーすみませんヒルダさんに邦枝さん。あと男鹿も、なんか最近妙に思考が少女漫画になってまして」

「「??」」

「…うん、素直にすみませんでした」

 

でもこれは…。

 

「こ…これは…ラブの嵐が吹き荒れておりますぞーーーーっっ!!!!」

 

「アランドロンうっさい」

 

 

 

 

男鹿にアランドロンをぶっ飛ばしてもらい、前方の女の戦いの観戦に戻る。

 

「どこのどいつか知らねーが、二葉の子分に気安く触ってんじゃねーよ」

「あらやだこわぁい子分だなんて、ベル様なんですの?この頭の悪そうな女は」

「てめぇこら何歳だ?」

「4歳ですけどぉ?」

「…じゃあ何月生まれだ」

「はぁ?もう何よ…9月14日の乙女座よっ」

「ちっ」←2月生まれ

「私の名前は哀場(あいば) 千夜(ちよ)、ベル様の未来のお嫁さんよ♡キャッいっちゃった…」

「……オヨメサンだぁーー?このドクサレビッチがっ!うちのベルたぶらかしてんじゃねーよっ!!はなれろやっ!!」

「まぁっなんて汚い言葉遣いっ!!あなたこそ子分子分って頭おかしーんじゃないの!?ベル様を束縛しないで下さるっ!?」

 

 

 

「例え4歳児でも女か…」

「坊っちゃまはモテモテだな」

「ですね…」

 

 

 

「いいわっ!!だったらベル様に聞いてみましょう!!」

「おもしれぇ!!ベル!!二葉とこいつどっちにつくんだ!?」

「つくとかじゃないですわっ!!ベル様、どちらをより愛しているのかこたえて下さいっ!!」

「はぁっ!?愛!?ばっかじゃねーのお前っ!」

 

 

 

とうとう詰め寄られてしまったベル坊、なんかラブコメの主人公みたいだぞ。

 

 

 

「さぁっ!」

「どっちだベルっ!!」

「………アウ、アウ…

 

 

ニャッ!」

 

 

「ベルっ!!」

「ベル様!」

 

ベル坊は走った、想いを寄せる女から逃げるために。

というか恋愛はまだ早いからね、こうなってもしょうがないよね。

 

「っておわ!?」

「何やってんだてめーは、情けねーな」

「あぁ坊っちゃま私めの胸に…っ」

 

ベル坊はぐしゅっと飛び込んだ…私の胸へ。

ヒルダさんからの目線が後から怖いが、震える体をしっかり抱きしめ頭を撫でる。

そりゃ初めてだろーなぁ、複数の女性に想いを寄せられて、どっちが好きかと詰められて…赤ん坊の頃にこんな経験済ませてしまうのか…流石魔王、流石王族って事にしよう。

けして現実逃避ではないぞ。

 

「…どうやらベル様はまだ保護者様が一番のご様子」

「だな…この勝負はおあずけだ」

「いずれまた」

「あぁ、せいぜい首を洗って待ってな」

 

こうして、一つの因縁がひとまず幕を閉じた。

閉じれば良かったんだが…。

 

 

 

バゴォッ!!!!

 

 

 

「ん?やけにとんだな…」

 

哀場兄と同じ学校の生徒が聖石矢魔の女子にナンパ…ナンパかアレ?

まあちょっかいを掛けてしまい、邦枝さんとのお出かけを邪魔したしつけとしてデコピンを放った哀場兄だが…。

それを受けた坊主頭の男子は、隣島の海まで飛ばされてしまった。

騒然とする中、静かにだが男鹿が哀場兄に真剣な目線を送っていた。

 

「貴様も気づいたか男鹿」

「?」

「…魔力の気配だ」

「えぇっ!?それってあの哀場って人が悪魔かもしれないって事!?」

「かすかな気配だが…あの男…貴様も気になると言っていたが…やはりただの人間ではないのかもしれん…」

 

不穏だ…。

その後は東条さんが喧嘩を売りに行き、一触即発になりかけたのを邦枝さんが止めに入って終了した。

 

 

 

 

ひとまず問題事が終わり夕方、何かあれば戦力外になるだろうから私は男鹿達と離れ、お土産を買うために由加さん達と国際通りへと来ていた。

なお男鹿達も行くみたいだったから別れた意味あったかっていうと…うん。

お、お荷物は嫌だったってことで…お。

 

「はじめ、はじめはおらんかっ!?」

 

前方に恐らく迷子の二葉ちゃん発見!確保!

 

「さっきぶりだね二葉ちゃん」

「おう」

「神崎先輩の姪っ子ちゃんっスねー」

「迷子?」

「二葉は迷子じゃねーよ、はじめ達がはぐれやがったんだ」

「ほほーそいつはヒドイっスねー」

「まぁ仕方ねーよ、あいつらちょっとぬけてるからな」

「アハハ」

 

相変わらずの尊大さ、このまま成長すると怖い事なりそうだけど…4歳児だしなぁ。

てか今更だけど4歳児の語彙力じゃねーだろ…。

つーか由加さん幼児にすっごい慣れてない?…って、何ぷるぷるしてるんだろう。

 

「リョーコさんっ!ナマイキで超かわいいっス!!だきしめて〜」

「やめてやれ…しょーがねー、一緒に捜してやるか」

「よーし二葉ちん、どっちが先に神崎先輩見つけるか勝負っスよー」

「のぞむところだっ!!」

「あ、ちょ!涼子さん薫さん!一応私ついて行くんで何かあれば連絡します!」

「…大丈夫かな」

「…多分」

 

 

結果、はぐれました。

 

 

「…まぁ、しょうがないですよね、初見の場所だし」

「だ、大丈夫っスよこんな時こそケータイっス!!」

「オォッすまほってやつだな」

「って神崎先輩の番号しらねぇっっ」

「いや…ふつーにさっきの仲間にしろよ」

「オォッ!!二葉ちん流石!神崎先輩姪っ子なだけあるっスね!!」

「じゃあ私は地図アプリ開きましょうか」

 

 

「ハイどーも、ちんぴらですよー」

 

 





いつか投稿したいネタ未満のなにか
※次話とは何も関係ありません。

原作:呪術廻戦
名前:重面 春美(はるみ)
所属:夏油→偽夏油
武器:原作でもあった組屋 鞣造の作った握手剣の呪具
年齢:25歳
概要:あの七海さんがガチギレしてた金髪サイドテールのキショい若い男…をTSさせて転生者をぶち込んだ存在。
一般家庭出身で、術式も原作と同じ()()()()()するあれ…だが原作知識により呪力操作を手探りながら鍛え続けた結果、蓄積した奇跡を他者にも贈る事ができるようになった。
だが、縛りの影響か自身があの重面 春太とわかっていない、どころか原作の知識から()() ()()()()()()()()()()
なのに気付けば呪詛師と成り果ててしまう…が、結局甘いので離反後の夏油が見つけ拾ってしまうほど善行を積んでいた。
しかし夏油死亡後あの双子のよき姉となり静かに暮らしていたが、何故か偽夏油が接触してきて…!?

断念理由:だから私呪術廻戦にわかなんだって!!どうして思いつくかなこういうのに限ってよぉ!!
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