戦姫絶唱シンフォギア 七つのヒカリ   作:レーラ

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タイトルを考えた結果、こんな感じになりました。

またバトルシーンは次回に持ち越しとなります。


剣姫光煌 グラデアメイル

 Z.E.U.S.と名乗る組織。そしてその一員である氷室結が姿を現した。それも、シンフォギアやファウストローブと酷似しているパワードスーツ、グラデアメイルを備えて。

 

「グラデア……メイル……?」

「グラデアメイル。神器、聖遺物、妖魔の遺骸のエネルギーを抽出、それを魔剣に転換し、身に纏う戦闘装束。君達のシンフォギアのようなものだ。そしてこれは、ラハブの魔剣。全ての呑み込み、凍てつく氷水の刃」

 

 レイピアの凍てつく刃を響に向ける。

 

「本当に戦わなきゃいけないの?!あなた達のしたい事って、人の命を奪ってでもしなきゃいけない事なの?!」

「口説い。我々が成すべきは国防。そして脅威の排除。その為ならば、君達を殺す事に躊躇いはない!」

 

 例え敵でも無闇な戦いはしたくない。そんな響の思いは結には届かない。

 

「もう止せ。あいつは話し合いに価値を見出してねえ。そんな面してやがる」

 

 諦めきれない響とは対照的に、クリスは察していた。結の鋭く冷たい目つきに隠された殺意を。

 

「そんなに戦いたくないのならば、これでも遊んでいると良い」

 

レイピアの刃を地面に刺し、周囲に幾つもの氷の結晶が地面から隆起。それが割れると、中から現れたものに響とクリスが驚愕する。

 

「アルカノイズが?!」

 

出てきたのはなんとアルカノイズだった。本来アルカノイズは使用者が召喚石を地面に落として割る事で呼び出される。だがこれは従来の出現方法ではない。

 

「まさかこのアルカノイズ、お前が作ったのか?!」

「ああ。ラハブの力で再現した擬似的なアルカノイズ。安っぽいネーミングだが、アイスノイズとでも呼ぶと良い。尤も、アイスノイズは炭素分解も解剖器官もないが」

 

呼び出されたアイスノイズは響を標的としている。例え解剖器官が無くとも、これらが近隣の街に解き放たれれば、一方的な破壊に繋がりかねない。

 

  結とアイスノイズを止めるべく、響とクリスは臨戦態勢に入る。

 

「かかって来いよ!そのグラデなんたらってやつも、アイスノイズもぶっ飛ばしてやる!」

 

 クリスが啖呵切りながら拳銃を構えた。

 

 

〇〇

 

 

 ポイントCの地下水道でアルカノイズに混じった謎のアルカノイズと交戦していた調と切歌。

 

 女神ザババのギアを身に纏う二人のコンビネーションにより、粗方片付いた。とはいえ二人の消耗は激しい。

 

「大丈夫デスか調?」

「うん。何とか。けど、そろそろLiNKERが……」

 

 二人はLiNKERという特殊な薬品を使用して、ギアを纏っている。これを用いる事で元々低い適合係数を引き上げてギアを纏う事が可能になる。

 

 だがその効果にも時間が限られている上に副作用も凄まじいリスクに対してリターンが釣り合わない劇薬である。

 

 現在はLiNKERに改良が施され、デメリットは抑えられているが、それでも正規適合者と比べれば劣ってしまう。ちなみにマリアもこのLiNKERを使用している。

 

 幸い予備がもう一本あるが、劇薬であるが故に薬害のリスクもある為、使用は控えるように言われている。そういった背景もあって時間をかけるわけにはいかない。

 

 先程本部からポイントBへの救援に向かうよう伝達され、二人は来た道から戻ろうと踵を返したその時だった。

 

「こんばんは〜!」

「「うわああぁっ!!」」

 

 突然目の前に現れた緑色の癖っ毛女性にビックリして、二人とも尻もちをついてしまう。

 

「ビックリしちゃいました?」

 

 えへへと笑顔を浮かべながら手を振っている女性にもそうだが、二人はそれよりもその身長の高さに一番驚いている。

 

「お、大きい……」

「マリアよりずっとあるデスよ?!」

 

 マリアの身長が百七十センチであるが、緑色の女性はそれよりも一回り大きい。立ち上がって見上げると、その大きさに驚きを禁じえなくなる。

 

 そこにもう一人、緑髪の女性の背中からひょっこりと、赤いツインテールの少女が頭を出す。

 

「また出てきたデス!」

「今度は小っちゃい……!」

 

 緑髪の女性に対して赤毛少女は調よりも低く、容姿も幼い。身長の低さを指摘されて出てきた萌芽だが、頬を膨らませて怒っていても、幼さが全面的に出てしまっているせいであまり怖さを感じない。

 

「あははは♪けど、気をつけた方がいいですよ。私達、この間のコンビナートの作戦に参加してましたから」

 

 明るい声でとんでもない事をカミングアウトされ、急に身構える切歌と調。見た目で判断するな、という忠告ともとれる発言だ。

 

「あなた達を足止めするように言われてる。だから、悪く思わないで」

「というわけで、この(ユー) 影風(インファン)と、炎城(えんじょう) 萌芽(ほうか)先輩がお相手しますね♪」

 

 二人が首にかけていたペンダントを出した。

 

「「グラデエルフォーゼ!!」」

 

 

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 赤と緑色の光柱が二人の身体を飲み込んだ。光から放たれる衝撃波に、調と切歌は吹き飛ばされないように踏ん張っている。

 

「嘘……シンフォギア?!」

「それともファウストローブデスか?!」

「ぶっぶー!残念でした〜♪」

「見せてあげる。私達の姿を!」

 

 光が消えると、二人がパワードスーツを纏った姿となって再び現れる。

 

「ポイントCにて、新たな聖遺物反応!」

 

 本部でもそのエネルギーが確認され、藤尭が解析する。

 

「解析結果出ました!これは?!」

 

 モニターに反応があった聖遺物の名が明かされる。

 

《LEVANTEIN》

《SYO-EI》

 

「レヴァンティンと承影……!北欧の神々の地を焼き尽くした魔剣と、古代中国の伝承にある不可視の魔剣。それが一度に相対するなんて……!」

 

 どちらも伝説として名高き魔剣であり、それが一度に敵対する事になった。何故そんな魔剣が起動されているのか、同時にグラデアメイルとは一体何なのか。謎ばかりが深まるこの状況に、エルフナインが戦慄している。

 

 姿を現した萌芽と影風。どちらも制服のようなジャケットではなく、グラデアメイルを身に纏っていた。 

 

「グラデアメイル レヴァンティン!」

「グラデアメイル ショウエイ!」

 

 ゴスロリを思わせる黒いフリルと赤色のパワードスーツを身に纏った萌芽。両手には自身の身長の大きさを誇る大剣を持っている。

 

 対して影風は緑色の中華風のパワードスーツが装着されており、両腕には竜の形を象った篭手を身につけている。

 

「それじゃあ……始めましょうか」

「覚悟は良い?」

 

 二人に先程の明るかったムードが消え、暗部組織に相応しいプレッシャーと威圧感を放った。

 

 

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 ——

 

 山中にある廃屋の倉庫。その中に、逸れ錬金術師が隠れ潜んでいた。

 

 ここは元々、緊急用の潜伏地点の一つとして確保していたのだが、ここに逃げ込まなくてはならなくなった。だがそれも放棄せざるを得ない状況に陥っている。自身の命を狙っている組織がここに迫っている。

 

 コンビナートに向かう途中、仲間が次々と殺されていると知って逃げ出した。何とかS.O.N.G.にも補足される事なく逃げ込んだが、アルカノイズが殲滅されつつある。もう召喚石は手元に無い。しかもここまで逃げる時に足を痛めてしまった。

 

「まだ……死にたくねぇ……!」

 

 赤く腫れ上がった足を見て、涙を流した。自分達はどこで間違えてしまったのだろうか。どれほど恨みを買ってしまったのか。だがそんな事を考えても、死にたくないという思いが強まる。

 

 だがその時、扉に一閃の筋と共に扉が落ちた。終わった。もうここまでなのか。絶望したその時だった。

 

「司令。錬金術師を発見しました。これより保護し、本部まで送ります」

「えっ……?」

 

 聞き間違いかと思った。処分ではなく、保護すると言ったのだ。錬金術師は驚きのあまり呆けている。通信を終えたのか、翼がこちらに歩み寄る。

 

「立てるか?ここを離れるぞ」

「た、助けてくれるのか?」

「それが任務だ。お前を生かして捕まえる」

 

 翼の答えに、錬金術師が安堵する。このまま殺されるくらいならば、刑務所の中にいた方が良いのかもしれない。

 

「悪い……足が……」

 

 だがここから逃げようにも足を怪我を負っている。翼に腫れ上がった足を見せる。

 

「分かった。掴まれ」

 

 翼の肩を借りて少しずつ移動する。歩みは遅いが仕方ない。小屋を出て、翼のバイクまで歩いていく。

 

「所で、何で俺の居所が?」

「お前の仲間の一人が供述した」

「そうか……他の奴らは……死んだんだよな……」

 

 逃亡している錬金術師達は殆どが下っ端連中。その面子の仲間意識は皆無に等しい。だが他の同士が死ぬのは思う所がある。

 

「だが、お前達は何故追われているんだ?」

「アイツらはイカれた連中さ……。何でも、ギリシャの非合法組織みたいでさ」

「ギリシャの?何故ギリシャの組織がここまで……」

「奴らは国を守る為なら何でもやる。暗殺、破壊工作に爆破。それでうちの身内が何人も奴らに殺された。俺達も、何処に隠れても死ぬまで追い回されちまう。今更だけどよ、俺達はとんだヤバい組織を敵に回しちまった」

 

 何をすればそんな組織に狙われるのか。言ってしまえば因果応報。そんな彼らに翼は呆れてしまうが、少しでも情報が欲しい。何とかバイクまで辿り着いた翼達。

 

「よし、行くぞ」

「おう」

 

 バイクに手を伸ばしたその時だった。

 

「っ!」

 

 気配を察した翼が刀を脚部のユニットから刀を射出すると、鋼同士がぶつかり火花が散った。弾かれた刀を掴み、警戒態勢に入る。

 

「上だ!」 

 

 錬金術師の声で反応し、刀の峰でナイフを止めて払った。

 

「何奴だ?!」

 

 翼が切っ先を向けた先には、全身黒づくめのナイフ使いがそこにいる。灰色の眼が標的である錬金術師を捉えているが、翼がいては任務に差し支える。

 

 まともな返答すらせず、ナイフを構えて接近。翼が振り下ろす刀を、ナイフで正面から打ち合う。刃がぶつかり合う度に火花が散る。

 

(刃が重い……!アームドギアと対等に渡り合うとは……!)

 

 漆黒の暗殺者は刀の長さをものともせず、素早く振るって押している。翼がシンフォギアに対して、暗殺者は生身。それでいて何の仕掛けも無いナイフだけでアームドギアと戦っている。

 

 だがそれで負ける翼ではない。暗殺者を振り払い、距離を取ると巨大な刃となった刀から集まったエネルギー波の斬撃を放つ。

 

【蒼ノ一閃】

 

 暗殺者はこれを見切って避けた。そして再び翼の懐に入り、その首を狙って刺しに行く。だが刀でそれを弾き飛ばした。いかにシンフォギアと互角に戦える身体能力があるにせよ、武器は特別なものではない。当然ナイフの刃が脆い。

 

 それを暗殺者は承知でいる。新しいナイフを腰の鞘から抜こうとしたその時だった。

 

 その時……

 

「はあぁ!」

 

 もう一人の装者、マリアが割って入り、暗殺者の脇腹に蹴りが入った。

 

「マリア!」

「待たせたわね」

 

 マリアがここにいるという事は、下のアルカノイズは全て倒した。後はこの暗殺者の対処のみ。

 

「形勢逆転だ。何故錬金術師を狙うのか、教えてもらおうか」

 

 マリアに蹴り倒された暗殺者が立ち上がった。だが素直に教えるどころか翼を睨みつけている。まだ戦意は失われていない。

 

「待って!」

 

 だが暗殺者を見た時、マリアが目を見開いて驚いた。

 

「どうしたんだマリア?」

 

 訳が分からない翼はマリアに尋ねるが、そんな彼女の問いが耳に入らなかったのか、暗殺者の顔をじっと見ている。 

 

「あなた……まさか!」

「知っているのか?!」

 

 マリアには覚えがあった。幼き頃、F.I.S.の白い孤児院にいた時。髪の色は違えど、幼き風貌の面影が重なった。

 

「ソフィ……?」

「マリア……」

 

 これまで言葉を発しなかったソフィと呼ばれた暗殺者が、マリアの名を静かに口にした。

 

「やっぱりソフィ……なの?!何でこんな事を?!」

 

 マリアが疑問を投げかけた。数年ぶりの再会が、何故このような形で果たす事になってしまったのか。

 

「その名は捨てた」

 

 だが帰って来た返事は拒絶にも似た否定だった。

 

「俺は……黒夜実(くろやみ)愛亜(めあ)だ」

「黒夜実愛亜……?」

 

 聞いた事のない名前にマリアが戸惑う。だが目の前にいるのは確かにかつて一緒に、あのF.I.S.の白い孤児院で過ごした親友ソフィに間違いない。

 

 それが何故暗殺を平気でやる組織に入ってしまったのか。マリアは今でも信じられずにいる。

 

「あなたに何があったのか知らない。けどこんな事は今すぐやめなさい!」

「断る」

 

 マリアの説得に対して返事は素っ気なく、冷たいものだった。出来れば戦いたくはないが、少なくとも愛亜は殺すつもりで相対している。

 

「だが、今のお前に勝ち目はない。無意味な戦いを止め、潔く投降せよ」

 

 シンフォギア装者二人に対し、愛亜は生身。この状況で二人を倒す事はおろか、逃亡を図ったところでそれは不可能に近い。それは愛亜も分かっている。

 

 だが愛亜は翼とマリアを前にしても、退くつもりはない。まだ灰色の眼に闘志の炎は燃え尽きていない。

 

「ならその余裕……お前達の血で塗り替えてくれる!」

 

 すると、愛亜の首に掛けている橙色のペンダントが月の光に反射して煌めいた。

 

「グラデエルフォーゼ!!」

 

 

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 拳を突き出したと同時に、ペンダントから橙色の閃光が強く輝く。その光を前に翼とマリアは直視出来なかった。

 

「な、何だこの光は?!」

「まるでシンフォギア、いや……ファストローブ?!」

 

 まるでシンフォギアやファウストローブを起動する際に唄われる詠唱。眩い光が消えた時、その予感は当たっていたと知る。

 

 本部でも通信が妨害されている中、発せられた反応を検知した。

 

「これは?!」

「司令!アウフヴァッヘン波形と類似した反応パターンを検知!」

「またしてもグラデアメイルの反応か?!」

 

 藤尭と友里がすぐにその反応パターンを解析。コンソールをタッチする指がいつにも増して速い。その結果、解析が出た。

 

「解析結果出ます!」

 

 友里がコンソールを強く押した。そしてモニターに大きく表示される。

 

《KALVENAN》

 

「カルヴェナンだとぉ?!」

 

 弦十郎が驚きながら口にした聖遺物の名はカルヴェナンの魔剣。かつてある王が魔女を殺すために用いられた聖遺物。それが用いているのは四つ目のグラデアメイル。

 

「それも気になりますが、ここに来て三箇所同時に奇襲をかけられるなんて」

「ああ……。情報が漏れているとしか思えん」

 

 この作戦は外部に決して漏れていない。仮にアルカノイズの反応を拾ったとしても、ここまで早く連携して攻撃を仕掛けるなど不可能だ。

 

 つまりそれよりも前、作戦開始時点時点かそれよりも前に把握していたとしか考えられない。

 

 Z.E.U.S.という謎の組織の不気味さに、公安出身の弦十郎も冷や汗をかいていた。 

 

 眩い光が消えて愛亜を視認可能になったが、愛亜が身に纏っていた愛亜の黒い衣服は分解され、代わりに黒いグラデアメイルを装着。胸元には菱形の橙色の結晶がはめ込まれている。

 

 そして両手には、鎖で繋がれた二本一対となっている橙色の刃が煌めく短剣。

 

「さあ……続きを始めようか」

 

 逆手に持った短剣を静かに構えた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 




用語解説

【アイスノイズ】
ラハブの魔剣の力で作り上げたノイズの亜種。
ノイズのような炭素分解やアルカノイズの持つ解剖器官は存在しない。代わりに触れれば氷漬けとなってしまう。
作り出した結や他のグラデアメイル使用者の命令に従うようプログラムされており、命令以外で人を襲う事はない。


【炎城萌芽】
身長:142cm
誕生日:2月5日
BWH:B72 W54 H78

ギリシャ政府管轄 特務機関『ZEUS』のエージェント。
炎の魔剣 レヴァンティンの使い手。
幼き見た目に反して実年齢はそれを超えている。
人見知りで引っ込み思案な性格をし、無益な争いを好まないが任務の為ならば勇気を出して応戦する。

【胡 影風-ユー・インファン-】
身長:184cm
誕生日:1月18日
BWH:B88 W56 H85

ギリシャ政府管轄特務諜報機関 Z.E.U.S.のエージェント。
風の魔剣 承影の使い手。
184cmという高身長と盛大に跳ねさせた癖っ毛が特徴的。
天真爛漫で常に明るいが、マイペースでルーズな一面があり、敵味方問わずに振り回す。但し、パートナーである萌芽の事は大事に思っている。


【黒夜実 愛亜】
身長:168cm
誕生日:4月4日
BWH:H86 W59 H83

ギリシャ政府管轄特務諜報機関 Z.E.U.S.のエージェント。
地の魔剣 カルヴェナンの使い手。
冷酷無比で無愛想、命を殺める事を何の躊躇いもなく実行する。Z.E.U.S.の非合法活動の実行の大半は彼女の手によるもの。
かつてF.I.S.に在籍していた過去があり、マリアとはその時の付き合いであり、ソフィと呼ばれていた。
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