戦姫絶唱シンフォギア 七つのヒカリ   作:レーラ

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今回本格的なバトルシーンになります。

そして最後には……?


再び繋がる世界

 

 地下水道のポイントCで、レヴァンティンのグラデアメイルを纏った萌芽と承影のグラデアメイルを装着した影風と交戦。

 

 切歌が突っ走り、調のツインテールアームから小型の鋸をばら撒くように放ち、援護する。

 

 一方、影風は突撃せずにノーガードで立っている。代わりに萌芽が巨大な剣を振りかぶると、その刃に炎の渦が迸る。

 

「でやああぁ!」

 

 それを大きな声と共に水平に振り回した。

 

【FLAME SLASH】

 

 炎とその風圧で鋸を全て吹き飛ばした。さらにその余波と熱が調と切歌に襲い掛かる。

 

「アチチチ!」

「高熱の盾……?!」

「余所見してる場合ですか?」

 

 いつの間にか調の懐に入られ、鉄山靠で飛ばされた。何とか踏ん張ったが、そこに影風が飛び蹴りを繰り出す。

 

 調を助けようとするが、その前に萌芽が振り下ろした大剣を避ける。だが床が陥没し、その破片が飛び散って頬のすぐ横に飛んできた。

 

「デッ?!」

 

 思わず驚いてしまうが、そうしている間に萌芽の大剣が水平に払われる。今度は大鎌の碧刃で防ぐ。だがアームドギアを持ってしてもその衝撃が全身に直接降りかかるばかりか、そのまま切歌をボールのように飛ばした。吹き飛ばされた切歌は床に叩きつけられた。

 

「切ちゃん!」

「まだまだ行きますよ!」

 

 立ち上がった調はツインテールアームに巨大な円盤鋸を展開、それを盾にして影風の拳を防いで押し退けた。だが影風はすぐに体勢を立て直した上で走り出し、再び殴り掛かる。

 

 今度は調がアームドギアであるヨーヨーを繰り出し、それを投擲。それを影風は蹴りで弾き返すも、今度はツインテールアームの鋸が振り下ろされ、アッパーカットで防ぐ。

 

「流石♪間合いに入れさせてくれませんね♪」

 

 徒手空拳を相手にするには最も適した対策をしている。

 

「ですが、その対策も万全ですよ!」

 

 影風は間合いの外だというのに拳を振りかぶった。嫌な予感を覚えた調は阻止しようとヨーヨーを投擲するが、その前に拳が振り抜いた。

 

【轟竜断空拳】

 

 そこから放たれた拳圧がヨーヨーを吹き飛ばし、そのまま調に襲い掛かる。脚部のローラーを用いて辛うじて避けるも、僅かに横髪が掠り、ほんの僅かに髪が斬り落ちた。

 

「拳が斬撃みたいに……っ?!」

 

 再び影風が轟竜咆哮拳を放つ。調はローラーで移動しながら避けながら、両手に持つヨーヨーを投擲しながら応戦する。

 

 一方、切歌と萌芽の戦いも激しさを増している。碧刃の大鎌を連続で振り下ろして、攻撃を封じ込めて追い込む。こうする事で、萌芽に攻撃をさせずに防御に集中させ、一瞬の隙を見て刈り取るのが狙いだ。

 

 一見、切歌が優勢に見えるが実はそうではない。こうしなければ、萌芽の攻撃によって何もかも吹き飛ばされてしまう。何しろパワーに長けた萌芽とまともに打ち合ってはならないと、先程の一撃で思い知らされた。

 

 ならば間合いに入って畳み掛けるべし。切歌は肩のアーマーを四つに分裂させた鎌に形を変えて展開。それをカマキリのように萌芽を狙う。

 

【封伐・PィNo奇ぉ】

 

 止まらない連続攻撃に、得物が大きい萌芽は反撃する事が出来ず、弾いて防御に徹するしかない。

 

 さらに畳み掛けるようにもう一振の大鎌と合体、左右が三日月状の刃となった大鎌へと可変させる。

 

【対鎌・螺Pぅn痛ェる】

 

「やらいでかデェェース!」

 

 元に戻した肩アーマーに搭載されたバーニアを点火し、その勢いを乗せて振り上げようとしたその時だった。

 

「うぐっ?!」

「うあぁっ!」

 

 切歌が纏うイガリマのギアにスパークと苦痛が生じる。その症状は影風と戦っている調にも同じ事が起きた。

 

「シュルシャガナ、イガリマ、適合係数が低下!」

「二人の身体にギアのバックファイアが!」

「しまった!これが狙いだったのか!」

 

 本部でもその様子がモニタリングされ、報告を受けた弦十郎がハッとする。

 

 先程からアイスノイズとの戦いで体力を消耗していた上にそこから連続してグラデアメイルの使い手と戦っている。敵はLiNKERの効果が切れるのを待っていたのだ。

 

 だが苦痛に身を焼かれても切歌は攻撃を続行。強引に大鎌を振り下ろした。だがその一瞬の隙が生じた事で萌芽に反撃の糸を与えてしまう。

 

 今度は防御が間に合い、刃が打ち合ったと同時にそのまま押し切って投げ飛ばした。

 

 さらに調の方は防御が間に合わず影風の回し蹴りを、胴体に直接入れこまれて吹き飛ばされた。

 

「「ああああぁぁっ!!」」

 

 二人ともコンクリートの壁に叩きつけられて床に倒れてしまった。

 

 

〇〇

 

 

 ポイントBでは翼とマリアがぐれ錬金術師を確保し、本部まで移送するはずだったが、カルヴェナンのグラデアメイルを身に纏った愛亜が立ち塞がる。

 

 変わり果てた旧友の姿にマリアが一瞬戸惑うが、グラデアメイルを纏った以上、止める他ない。翼も、愛亜が手練の暗殺者を前に気を引き締める。

 

 先に動いたのは愛亜の方だった。駆け出した瞬間、すぐに首元に迫った橙色の短剣を、アガートラームの短剣が防いだ。だが愛亜のもう一本がマリアの胴体を狙う。それが届く寸前で左手で掴んで止めた。

 

(動きも速い……!)

 

 だがそれもギリギリであり、気を抜けばこのまま刺されてしまう。力押しされる前に頭突きを食らわせる。額に重たい一撃をもらった愛亜がふらついた所を、翼が仕掛ける。

 

 愛亜が咄嗟に投擲した短剣を弾いて愛亜に迫り、間合いに入った。

 

「覚悟!」

「ダメよ翼!離れて!」

 

 マリアに注意を促された途端、頭上から短剣がエネルギーを纏いながら急速に襲いかかった。

 

【DEATH=EDGE】

 

 身体を逸らした事で紙一重で回避したが、地面に深く刺さった短剣を見て、ハッとする。すぐにその場から離脱した時、地面ごと抉る爆発が発生。

 

 間一髪で事なきを得たが、その威力を目の当たりにして、もし当たっていたらと考えるとゾッとする。

 

 すぐさま短剣は鎖を引き抜き、手元まで手繰り寄せて柄を握り直すと今度は翼を狙い、刃がぶつかる。得物の長さは翼の刀に軍配が上がるが、リーチが短い分速さは愛亜が勝る。

 

 だがマリアが翼の援護に入ろうとするも、愛亜が後ろを見ずに左手で鎖に持ち替えてそのまま高速で振り回し、生み出したエネルギーを竜巻に変えてマリアに向けて撃つ。

 

【DELETE=WIND】

 

 エネルギーの大嵐に突如晒されたマリアは防御が間に合わず、上空に吹き飛ばされてそのまま背中から落下した。

 

「マリア!」

「ここで隙を晒すか度し難い……!」

 

 愛亜の蹴りに刀身で受け止めるが、その衝撃で僅かに後方へ引きずってしまう。

 

 何とか踏ん張る翼だが、ここで距離を大きく離せば、愛亜は本来の目的である錬金術師の殺害を実行に移す。

 

 攻撃の手を緩めずに、翼が逆立ちすると同時に脚部のブレードを展開。そのまま高速回転する。

 

 だが愛亜も両腕を大きく広げて、自身を軸に高速回転する。

 

【逆羅刹】

【DESTROY=CYCLONE】

 

 両者同じ回転技で威力も互角。だが唯一の違いがあるとすれば、手数が愛亜の方が多いという点だ。回転の軸となっている右脚とは別に、自由となっている左脚が、回転で無防備となっている翼の腹を容赦なく蹴り込む。

 

「がぁっ……!」

「翼!っ!しまった……!」

 

 蹴り飛ばされた翼はそのまま大樹に背中を打って倒れる。そして翼が倒れた今、はぐれ錬金術師を守るものがいない。

 

 二人の予想通り、愛亜は標的をはぐれ錬金術師に向けて方向転換。短剣の切っ先が錬金術師の命を狙う。

 

 だがそこに立ち上がったマリアが割って入り、短剣で阻止する。

 

 刃を正確に弾くがその重さが手に直接のしかかったのか、手が痺れる。だがここで引き下がる訳にはいかない。

 

「私の目の前で死んだ錬金術師、やはりあなたが殺したの?!」

「だったらどうした?」

「あなたらしくないわソフィ!昔のあなたは、そんな冷たい目をしていなかった!」

 

 マリアはよく覚えている。幼き頃のソフィは誰かを徒に傷つけるような人間ではなかった。社交性が高く、弱い者いじめを決して許さない正義感の強い人柄だった。

 

 それが今では冷徹な眼でこちらに憎しみすら向けているようにも感じる。マリアとっては受け入れ難い変貌だった。

 

「だから……その名で呼ぶなと言っただろう!!」

「うわあぁっ!」

 

 怒りと共に引き上げられた膂力でマリアを吹き飛ばした。今度こそ錬金術師を守る者がいなくなった。

 

 足に怪我を負っていては、手練の暗殺者である愛亜から逃げられるわけがなく、すぐに組み伏せられた。

 

「やめて!ソフィぃぃーー!!」

 

 マリアの必死の叫びが、愛亜の耳に届くわけがなく、オレンジ色の切っ先が振り下ろされた。

 

 

〇〇

 

 

 ポイントAに姿を現したラハブの使い手、結を止めるべく響とクリスが交戦する。結が呼び出したアイスノイズは響が受け持ち、クリスは結の相手をする。

 

 まずは挨拶と言わんばかりに、クリスざ纏うイチイバルの腰部アーマーからジャッキを展開。小型ミサイルを一斉に発射させる。 

 

【MEGA DETH PARTY】

 

 結はレイピアを前に突き出し、そのまま強く振り上げた。そこから発生した吹雪が小型ミサイルの信管が凍結、結に辿り着く前に全発落ちていった。

 

「全部凍らせやがった?!」

「安易に挑んだ事を後悔するといい!」

 

 結が駆け出し、突き出したレイピアの刃がクリスの心臓を狙った。だが銃身で弾いて防ぐも、すぐに連続で突いてくる。

 

「クリスちゃん!はっ……!」

 

 クリスの援護に回りたい響だが、アイスノイズが壁となって阻まれる。

 

「退けえぇぇ!」

 

 アイスノイズを殴り飛ばし、蹴り、穿つ。だが召喚した数が多く、包囲に穴が空かない。

 

 

「まずは君からだ。雪音クリス!」

「掛かって来やがれ!」

 

 向かってくる結にリボルバー拳銃で応戦するが、レイピアの刃を振るって銃弾を弾かれる。空になっ弾倉を破棄。腰部のジャッキから射出された弾倉を装填しようとした時、それがレイピアの餌食となった。

 

(コイツ、速すぎるだろこいつ?!)

 

 想定外の速さに驚くが、狼狽えている暇はない。間合いに入られれば今度はクリスが標的となる。次の刺突を回避するが、瞬く間に次の攻撃に入られる。刺突のスピードが早く、反撃の隙を一切見せない。

 

「近いんだよ!」

 

 攻撃を避けながら悪態つくクリス。咄嗟に得物をクロスボウに変えて飛ぶと、連装された赤く光るエネルギーの矢を乱射する。

 

【QUEEN's INFERNO】

 

 流石の結も回避と防御に回らざるを得ない。走りながら避け、自身に直撃するものはレイピアで弾く。

 

 だが距離が開けた事で、クリスは今度こそ銃をリロード。装填完了する。

 

「さっきの借りは倍にして返してやるよ!」

 

 二丁の銃口から連続で発砲。だが放たれたのは弾丸ではなく、徹甲弾となって軌道が変化させた。

 

【HORNET PISTOLS】

 

 軌道が変則的に変化する弾丸を前にしても、結は左手から氷の薔薇を目の前に生み出し、それをレイピアの刃で一突きした途端、散った花弁が弾幕のように放たれた。

 

【BRILLIANT ROSE】

 

 氷の花弁は刃のように鋭く、クリスの弾丸と打ち合う。弾丸は弾かれ、花弁はガラスのように砕け散る。だが薔薇の花弁の方が多く、残った十枚が襲い掛かる。

 

 舌打ちしながら回避したクリス。だがこちらに来た枚数の少なさにハッとした。

 

「おい避けろ!!」

 

 アイスアルカノイズと戦っている響に警告した。クリスの声に気が付いたその時、花弁がアイスアルカノイズの身体を貫き、響の背中に刺さった。

 

「響いぃ!!」

 

 花弁に肉体を抉られて鮮血が宙を舞い、倒れた響を目の当たりにしたクリスが悲鳴に似た叫びを挙げて駆け寄った。

 

「おい!しっかりしろ!」

「く……クリスちゃん……」

 

 致命傷は避けられたが、それよりも響の体温が低くなっている。心做しか響の体が震え、唇が青ざめている。

 

「テメェ!」

「それが君達の甘さだ。私達は目的の為ならば、殺す事も辞さない」

 

 結の言葉通り、他のポイントでも絶体絶命の状況に陥っていた。ポイントCで萌芽と影風に容赦ない攻撃に切歌と調が倒され、LiNKERの補助も絶たれた。

 

「そ、そんな……強くなったはずなのに……!」

「こんなの……あんまりデスよ……!」

 

 数多くの事件を経て強くなっていても、また高い壁にぶち当たってしまう。そして今、自分達を見下ろしている強敵を二人の悔しさを露にする。

 

「あなた達に恨みはないけど、悪く思わないで……!」

「それじゃあバイバイです♪」

 

 大剣と拳。握りしめた二人はそれを無抵抗の調と切歌に向けた。 

 

Rei shen shou jing rei zizzl……

 

Croitzal ronzell Gungnir zizzl……

 

Seilien coffin airget-lamh tron……

 

 

 突如聞こえてきた詠唱。それぞれの戦場に異なる歌が奏でられた。

 

 そして光と共に、紫色の扇、撃槍、短剣がグラテアメイルの使い手を阻んだ。

 

「神獣鏡のギア……魔を祓う光!」

 

 追い詰めた矢先に、現れないであろう神獣鏡の装者がここに現れ、目を見開かせる結。

 

「大丈夫二人とも?!」

 

 ポイントAに、響の唯一無二の親友にして神獣鏡の装者 小日向未来がアイスノイズを蹴散らし、結の前に相対する。

 

 

 錬金術師の心臓を狙った短剣ごと槍によって弾かれ、大の字になって倒された。

 

「な……何だと……?」

「ノイズならともかく、人の命を奪うなんざ感心しないな」

 

 天羽奏が現れ、その穂先を愛亜に向けた。立ち上がった愛亜も、奏に敵意をむき出しにして睨む。

 

 トドメを刺すべく萌芽と影風が襲いかかったその時、突然飛来した無数の短剣を慌てて避けた事で、倒されていた切歌と調への攻撃が阻まれてしまった。

 

「嘘……!」

「えぇっ?!援軍ですか?!」

 

 まさかここでS.O.N.G.に救援が来るなど思いもせず、二人は驚いていた。

 

「月読さんと暁さんを傷つけさせません!」

 

 ポイントCに絶体絶命の切歌と調を守るべく、セレナ・カデンツァヴナ・イヴが駆けつけた。

 

 未来というイレギュラーの装者。そして既にこの世の者ではないはずの奏とセレナ。仲間を守るべく現れた。

 

 そして一方、S.O.N.G.本部の最奥で厳重に保管されているギャラルホルン。既に機能停止していた完全聖遺物が、鼓動を打つように光を発していた。

  

 




奏さん、393、セレナ参戦!
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