『Corvus ―オルフェノクがいるよ―』   作:木崎真帆

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AI生成補助による『仮面ライダー555』二次創作小説です。

第一話「目隠し」の続編。

仮面ライダー555』二次創作『Corvus』第二話。

「ありがとう」と「ごめんなさい」を伝えられなかった一人の老婦人の物語。

流血・残酷描写はありません。
全年齢向けです。


第二話「Corvus」

# 第二話「Corvus」

 

 寒い。

 

 最初に感じたのは、それだった。

 

 そして。

 

 静かだった。

 

「……あら?」

 

 筑摩はゆっくり目を開けた。

 

 夜。

 

 路地裏。

 

 濡れたアスファルト。

 

 足元には杖。

 

 買い物袋。

 

 落ちた携帯電話。

 

「私……」

 

 起き上がろうとした瞬間。

 

 思い出す。

 

 知らない女。

 

 灰色の怪物。

 

 そして。

 

 胸を貫く痛み。

 

「……!」

 

 胸に手を当てる。

 

 鼓動はある。

 

 けれど。

 

 妙に遅い。

 

 身体も冷たい。

 

「夢……」

 

「そうよ……」

 

「悪い夢……」

 

 震える手で携帯を拾う。

 

 画面には通話履歴。

 

 スマートブレイン。

 

 そして。

 

 あの青年。

 

 オルフェノク。

 

 自分が通報した。

 

「あの人……」

 

 どうなったのかしら。

 

 初めて。

 

 そんなことが頭をよぎった。

 

 

「脈拍が低すぎます」

 

 看護師が困惑した顔で言った。

 

「体温も低いです」

 

 医師が眉をひそめる。

 

「心電図を」

 

 しばらくして。

 

 出力された波形を見つめた医師は息を止めた。

 

「……何だ、これは」

 

 古い資料。

 

 スマートブレイン医療連携局。

 

 対オルフェノク対応マニュアル。

 

 看護師が小声で言う。

 

「先生……」

 

「まだ断定はできない」

 

「ですが……」

 

「決めつけるな」

 

 その時。

 

「先生……」

 

 筑摩が不安そうに二人を見つめていた。

 

「私、悪い病気なんでしょうか……」

 

 医師は笑顔を作った。

 

「大丈夫です」

 

「少し検査しましょう」

 

 しかし。

 

 看護師が思わず口にする。

 

「スマートブレインへ連絡を……」

 

「!」

 

 筑摩の顔が強張った。

 

 オルフェノク。

 

 その言葉。

 

 数時間前。

 

『オルフェノクがいるよ!』

 

 自分の声。

 

 あの青年。

 

「違う……」

 

「私は……」

 

「違う……」

 

 筑摩は立ち上がった。

 

「奥さん!」

 

「待ってください!」

 

「私は人間です!」

 

「人間なんです!」

 

 そのまま病室を飛び出していく。

 

 医師は立ち尽くした。

 

「……頼む」

 

「人間であってくれ」

 

 

 夜の公園。

 

 ベンチに腰掛ける筑摩。

 

 震える手。

 

 冷たい身体。

 

「私は……」

 

「人間よ……」

 

 涙が零れる。

 

 その時。

 

 胸の奥が脈打った。

 

「……!」

 

 指先に黒い模様が浮かぶ。

 

 灰色の外殻。

 

 肩に広がる羽根のような模様。

 

「いや……」

 

「いや……」

 

 震える声。

 

 街灯の下。

 

 濡れたアスファルトに映る姿。

 

 灰色の異形。

 

 嘴。

 

 羽根。

 

 黒い翼。

 

「……嘘」

 

 誰かが叫ぶ。

 

「オルフェノク!」

 

「逃げろ!」

 

「スマートブレイン!」

 

 誰かがスマートフォンを向ける。

 

 誰かが悲鳴を上げる。

 

 その視線だけで十分だった。

 

『オルフェノクがいるよ!』

 

 数時間前。

 

 自分が発した言葉。

 

「違う……」

 

「私は……」

 

「違う……」

 

 逃げた。

 

 ただ。

 

 逃げた。

 

 

 高架下。

 

 いつの間にか人間の姿に戻っていた。

 

 胸に手を当てる。

 

 弱い鼓動。

 

 冷たい身体。

 

 ふと。

 

 思い出す。

 

 少し照れくさそうな笑顔。

 

『それじゃ、お婆さん』

 

『気を付けて帰ってください』

 

 優しい声。

 

「ありがとう……、ちゃんと聞こえたのかしら……」

 

「ごめんなさいも……、言えなかった……」

 

 胸を押さえる。

 

「もし、あの人も……」

 

「私みたいに……、誰かに怖がられて……」

 

「逃げていたのなら……」

 

『オルフェノクがいるよ!』

 

 自分の声。

 

「私は……」

 

「何てことを……」

 

 涙が零れた。

 

 その時。

 

 夜空を一羽のカラスが横切った。

 

 カァ――

 

 

 雨のビル屋上。

 

 黒いコートの女が立っていた。

 

 シュライクオルフェノク。

 

 彼女は逃げていく灰色の鳥を見つめていた。

 

「……嘘」

 

 確かに殺した。

 

 そのはずだった。

 

「何で生きてるのよ……」

 

 人々は怯え。

 

 灰色の鳥は涙を流しながら逃げていく。

 

 その姿に。

 

 説明できない感情が胸を掠めた。

 

「……本当に」

 

「何なのよ」

 

 怒りでもない。

 

 憎しみでもない。

 

 ただ。

 

 理解できない戸惑いだけが残っていた。

 

 

 その頃。

 

 遠く離れたどこかで。

 

 一人の青年が、

 

 誰かを守るために戦っていた。

 

 その青年はまだ知らない。

 

 助けた老婆が生きていることを。

 

 そして。

 

 老婆もまた知らない。

 

 自分を救ってくれた青年の名前を。

 

 もう二度と会えないかもしれないことを。

 

 サイレンの音が、

 

 雨の夜に溶けていった。

 

 雨はまだ、

 

 静かに降り続いていた。

 

 

――第二話「Corvus」 終――

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