有名所のヒーローは大体ヒロアカで扱われてるなー。
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あれ? この子まだ書かれてなくね?
なお、この子に関しては基本、映画しか知りません。
某県に広がる、某温泉地。
冬の冷え込みも峠を越えて、寒気と同時に温かさも感じることができる。そんな今の季節に限らず、年中を観光客や温泉を愛する者たちが、安らぎや癒しを求めてやってくる。
そんな有名な観光地に、とある一家が、家族全員……といっても、両親と息子一人の三人家族だが、やってきていた。
あまり明るい一年とは言えなかった。むしろ、この一家のことではない物の、この一家のほとんど目の前で、暗く哀しい出来事があって、自然とこの一家にも暗い雰囲気が漂うことになった。
それでも、ずっと暗いままではいられない。何せ、息子は現在、中学二年生。あと一ヶ月としない内に三年生へと上がり、今後の生活は一年後の受験が中心に回ることになる。
何の気兼ねも無くノンビリできる期間は、今が最後になるだろう。
そう考えて、暗い一年に対するリフレッシュも兼ねて、今回の進級祝いという名目の温泉家族旅行は企画されたものだった。
そんな旅行にやってきた、爆豪一家の一人息子、爆豪勝己は一人、宿泊施設や、周辺の商店や温泉施設やらから離れた、山の中を上っていた。
元より、夢に向けての体力作りも兼ねた登山が趣味であることも理由の一つ。
とは言え、その山は観光地の近くということもあって、そこへのアクセスのための車道・歩道の舗装はしっかり整っていて、標高も大して高くないことで、登山と呼べる体験を期待することはできそうにない。
もっとも、そんなことは勝己自身、この地へやってきた時点で分かっていた。
にも関わらず、温泉へ行くでもなく、土産物屋を回るでもなく、植物に囲まれただけのアスファルトの上を通っている理由は単純に、口うるさくてウゼー
要は、思春期特有のアレである。
「……は?」
登ったところで何も無く、適当にぶらついた後は戻って、家に帰る日まで適当に温泉を回って、さっき見つけた美味そうな温泉饅頭でも土産にしよう。そんなことを考えていた。
だから、そろそろ戻ろうかと歩きながら山の頂上近くまで歩いた瞬間、目に入った光景には、思わず声が出た。
「デク……」
そんな一言を漏らした時……
勝己の前に立っていた、その少年は、振り返った。
身につけているのは、ボロボロのズボンと靴。上半身に衣服は一切身に着けておらず、ただ一つ、首から兵隊が持っているような
そんな姿に加えて、こちらに向けている目は、最後に見た時以上に鋭く細まっていたものの……
モサモサの緑がかった髪。そばかすの浮いた幼げな顔。
何より、幼稚園から今日まで一緒だった幼なじみとして、見間違えるはずがない。
「……」
デク。
そう呼ばれた少年は、勝己の声に構わず、再びそっぽを向いて、歩き出していた。
「な……おい、待てやクソデク!!」
怒声で呼びかけながら、急いで走りより、その手首をつかんだ。
「テメェ!! この半年間、どこで何してやがった!? テメーがいなくなって、おばさんすげぇ心配してたんだぞ!! 俺はテメーがどうなろうが知ったこっちゃねーが、テメーは――」
感情のままに声を上げ、それにようやく、デクが振り返った時……
初めて勝己は、デクの顔ではなく、身体を見ることになった。
半年前……勝己が最後に見たデクの身体は、大して鍛えている様子も無く、どころか肉付きさえ人より少ない、ひ弱で貧弱な、モヤシと言って差し支えない細身な身体だった。
なのに、今の身体は……
大胸筋、僧帽筋、おそらく背筋も、大きく発達し、なのに血管が太く浮き出るほどに引き締まっている。腹筋は六つに……どころか八つに割れていて、脇腹が膨らんで見えるのもぜい肉ではなく、これも同じく発達した斜筋や前鋸筋に違いない。
それらの膨れ上がった上半身と共に発達した二の腕も合わさり、金属と見紛うほどに光沢を放つ肉体の全て、躍動しているのが見て取れる。ズボンに隠れた、ズボンを張り詰めるほど主張している下半身からも、そんな躍動が感じられた。
「テメェ……何があった?」
勝己自身、夢のために長年に渡って自身の肉体を鍛えてきた。それでも、目の前に立つ、少年の肉体には及ばない。
だからこそ分かる。
行方不明になって半年そこら。たったそれだけの期間で、モヤシだった肉体をここまでに作り変えることなど、少なくとも正攻法でできるわけがないと……
「……誰だお前は?」
と、目の前の肉体に釘づけになり、諸々の感情やら疑問から言葉を失っている勝己に対して、
「初対面の相手に、何度も何度も、
「な……なッ――」
その物言いと、デクの反応に、勝己は咄嗟に返事ができなかった。
体と一緒で、気弱で大人しい弱虫。何もできない木偶の棒。そんな侮蔑を込めての呼び名だった。そんなデクが、自身の記憶とまるきり違う口調で、今までしてこなかった反論をしてきたことにも驚きはしたが……
言い返してきたデクの顔は、本人の言った通り、勝己のことを、勝己だと認識していなかった。
名前も顔も知らない、初対面の赤の他人。
親の顔なんかお互い何度も見てきた仲である自分のことを、綺麗さっぱり、忘れている。
「放せ」
と、言葉を失っている間に手を振り払い、歩き出した。
「……な! おい待てや!! どこ行くんだクソデクが!!」
すぐに我に返り、急いで追いかけ、再びその手を掴んだ。
「おい止まれ!! 行くんじゃねえ!! テメーは俺と来い!! 一緒に帰んぞ!!」
「……さっきから鬱陶しいぞ、クソガキ。いい加減にしないと――」
と、互いにシビレを切らして、喧嘩が始まろうかという、正にそんなタイミングだった――
ズンッ ズンッ
ズンッ ズンッ
二人が立つアスファルトから、そんな振動が響いた。
アスファルトだけでなく、山に生えた木々も同じように揺れている。
ズンッ ズンッ
ズンッ ズンッ
地震……そんな無難な想像が頭を過ぎった勝己も、すぐに気づいた。
小刻みに一定のリズムで発生する揺れと振動。これは、地震でも地鳴りでもない。
巨大な何かが歩く、足音。
そしてそれは、俺たちの方へ近づいてきている――
「なんだ、喧嘩か? 俺も混ぜてくれよ?」
太く、暗く、重く、強い声が、振動が止むと同時に聞こえた。
そちらを持た時……
見上げるほどの巨体。短い金髪。顔半分には片目が潰れた大きな傷。そんな傷に覆われた顔は、見るからに凶悪な笑みを貼りつけて、二人の少年を見下ろしている。
「テメーは――血狂いマスキュラー!?」
「あぁん? 俺のこと知ってんのか?」
勝己が声を上げ、呼ばれた巨漢――血狂いマスキュラーは疑問と、同時に嬉しさを顔と声に出していた。
「ちぃッ、こんな時に、
現れた巨漢を前に、勝己は冷や汗を流しつつ……
それでも顔には不敵な笑みを浮かべ、開いた両手を左右に構えた。
「……ん? おい?」
そんな勝己をよそに、デクは、巨漢に向かって歩き出していた。
「そうだった……俺はコイツを探していたんだ」
強がりじゃない。好戦さを浮かべるでもない。
まるで、ただ仕事をしに歩き出す。そんな冷静さと冷淡さをにじませながら、巨漢に向かって……
歩きだった足を速め、振り上げた拳を、巨漢の顔目掛け――
「……痛ってぇじゃねーか!!!」
拳を顔面に受けつつ、だが効いている様子はない。そんな巨漢から返ってきた拳は、デクを真横へ吹き飛ばした。
「デク!?」
「ほぉ……変わった感触だな。鍛えちゃいるが、全身が鉄みてーに硬いうえに重てぇ。今のパンチもまぁまぁだったし。そういう『個性』ってわけか?」
飛んでいった少年のことをある程度考察した後で、もう一人のガキの方へ目を向けた。
「クソデクが……『無個性』の分際で、自業自得だ」
勝己も、巨漢の男を睨み据える。
飛んでいったデクに対する心配がないことは無い。とは言え、なんの力も持たない『無個性』のくせに、無謀にも
結果、あれだけの勢いで飛んでいって、木にぶつかった。
死んだか……あるいは大ケガか。
いずれにせよ、おばさんには気の毒だが、死体であれ息子が見つかったなら、これ以上行方不明で苦しい思いはしないで済むだろう。
そう、ドライになりきり割り切らなければ、コイツを前に生き残ることはできやしない。
そのことを、デクを犠牲に知ったことで、爆豪勝己は覚悟を決めた。
「さぁ、次はお前の番だぜ? 爆発頭のガキ?」
「ハッ! やってみろや。俺はアイツとは違ぇーぞ!」
言いながら、勝己は自身の『個性』……両手の平の『爆破』を見せつけ威嚇した。
巨漢、血狂いマスキュラーもまた、凶悪な笑みを増しながら、自身の『個性』で、裂けた皮膚の下から硬く大きく肥大した筋繊維を露出させた。
「死ねぇ!!」
巨漢が動き出す前に、勝己は右の大振りからの『爆破』を発動。右手の平から発生した熱と火花と衝撃が、巨漢の身にぶつかった。
「……それで終わりか?」
「なッ――嘗めんなァアア!!」
まるで効いていない――そんな現実を否定するため、左手を、すぐさま右手を、両手を振るい続け、『爆破』を発動させ続ける。熱が、火花が、衝撃が、煙と共に巨漢の身をつつんでいるのに……
「おいおい……煙たいじゃねーかよ」
「なぁ……!!」
最初の一撃と同じ、全く効いていない様子に、勝己は絶句し、後ずさった。
「なんで効いてねぇのか教えてやろうか?」
勝己の反応がよほど面白かったらしい。高笑いをしながら、男は、自身の身から、再び巨大な筋繊維を露出させ、見せつけた。
「『筋肉増強』……それが俺の個性だ。皮下に収まんねぇほどの筋繊維。こいつを使えば、文字通り『筋肉の鎧』を身につけることもできるってわけだ! もっとも、
「そいつで、俺の爆破が効いてなかったってのかぁ?」
「そういうことだ……で、だ。これだけの筋繊維がありゃあ、俺自身のパワーとスピードはどれだけ強化されると思う?」
そんなもの、わざわざ想像したくもないが……
少なくとも、成績優秀な勝己は理解してしまう。自慢の『個性』が通じない、超パワーを持った敵。こいつを倒すことは、俺にはできない。
「クソが……」
倒せないと、分かっているのに。生来の自尊心の高さが、逃亡という選択肢を頭から消し去っていた。代わりに考えているのは、絶望的な敵を前に、勝てる唯一の可能性。
(俺は勝つんだ……オールマイトみてぇに、
自身の夢を、野望を思い出し、言い聞かせ、奮い立たせる。
そして、あるかどうかも分からない、ただ一つ見つけた可能性に思いを馳せる。
(一か八か……俺の今出せる
どうせ、やらなきゃやられる。やってもやられる。
なら、やって、勝つだけだ――
「……ぐおぉ!」
と、可能性を実行しようと、走り出そうとした時。
巨漢の横から、別の何かが飛んできた。
「デク! テメェ!?」
それは、さっきぶっ飛ばされたはずの、デクが、再び拳を振るっていた。
「マジかよお前! 手加減したつもりは無かったぜ? なのに、生きてる上に無傷だとぉ?」
疑問を感じ、だが同時に歓喜している。
そんな異常者らしい顔を向ける男に向かって、再びデクは飛び掛かる。
小さな見た目に似合わない、重く緩慢な、だがキレのある、鋭く重い拳の連打。
それを、マスキュラーは敢えて避けることもせず、全て受けていく。
「ぐぅ……弱くはねぇ。だが――ウザってぇだけなんだよ!!」
再びデクに拳を振るった。今度は、『個性』を発動させたうえでの、先ほど以上の威力を乗せたパンチに、再びデクは吹き飛んだ。
「さぁ……今度は爆発野郎、テメェ、だ――」
言葉を切り、デクが飛んでいった方を見る。
そこには再び、何事も無かったかのように、平然と立ち、歩いてくる、デクの姿があった。しかも、
「テメェ……なんで無傷なんだ!?」
いくら、目立った傷の付きにくい拳による打撃と言っても、自身の拳をマトモに受けて、マトモに立つどころか、青アザ一つ残らないなんてあり得ない。まして、あれだけ派手に吹っ飛んでおいて、出血一つしていないなど、不自然に過ぎる。
「だったら――直接ぶっ潰してやる!!」
再び走ってきたデク目掛け、上に振り上げ、組んだ両手を振り下ろした。
「デク!!」
振り下ろされた両手に潰された。常人なら、全身の骨が砕けている、それだけの威力の攻撃だった。
「なんだ、このガキ、骨が、硬ぇ」
このガキの骨は、一本も折れていない。細かいことを考えない無頼と言えども、それが理解できてしまえる。そして、
「なッ、テメェ……!」
「なんだと!?」
マスキュラーも、勝己も、再び立ち上がったデクを見て、驚愕の声を上げた。
マスキュラーの攻撃。アスファルトに叩きつけられたダメージ。それらによって、全身が傷だらけの出血まみれだった。
そんな傷が、デクが立ち上がる間に見る見る塞がり、癒えていき、完全に仁王立ちした時には、一切の傷が消えていた。
「『傷の超再生』……それがテメェの個性かよ?」
(バカな……デクは無個性だぞ! 何もできねぇ木偶の棒だぞ! なのに、なんなんだ、ありゃあ……!?)
「お前が死なねぇ理由は分かった。だがなぁ、死なねぇだけじゃ、俺は一生倒せねぇぜ?」
勝己が混乱し、イラついている前で、男は余裕でデクを蔑み笑っている。
そんな男の言葉に応えるように……
デクは、腕をクロスさせ、その先にある、握りしめた拳から――
「……爪?」
「ほぉ……格好いいじゃねーか?」
拳……両手の指の隙間から三か所ずつ、計六本。
20センチか、30センチか……いずれにせよ、少なくとも生物的とは言い難い、金属でできた鋭い爪。それが、デクの両手から伸び、男へ向けられた。
「いいぜ? だったら、何度でも潰して、殺してやらぁ!!!」
楽しげに、嬉しげに、男が拳を振るい、デクは、両手の爪を振るう。
デクは何度も拳を受けているが、何度も吹っ飛び慣れたからか、飛んでいくことは無く、その場に踏ん張り、爪を振るった。
男はそんな爪の攻撃を、増強させた筋繊維で防いでいるが、先ほど本人の言った通り、身体の一部である以上、防いでいるようで痛みはあるらしい。
それでも、一撃の威力は明らかに男が上。パワーも、スピードも、圧倒的に男が上。
「おらぁ! ぶっ潰れなぁ!!」
最初こそ、何度でも殺せることに、大喜びで潰していた。
「そろそろくたばっちまえよぉ! チビ介がぁ!!」
やがて、回数が増える度、楽しげだった声に、イラ立ちが込められていき。
「いい加減死ねよ!! 死ねぇええええええええ!!!」
何度も、何度もデクを、潰しているのだが。
「ぐぉおおお!!」
デクは、何度潰されようが、何度でも立ち上がり、両手の爪を、男へ突き刺し、切りつけ、引っ掻き続けている。
「なんだテメーは――なんなんだよ、テメーはよぉ!!?」
あまりのしつこさに、男がとうとう、叫んだ。
「オレが誰かだと? オレが知るかァアア!!」
デクも、負けじと叫び返した。
「……」
殺しても死なない、そんな二人の、いつ終わるとも知れない戦いを前に。
こんな時だと言うのに、爆豪勝己はふと、過去に見た動画を思い出していた。
野生動物同士の喧嘩の様子を収めた動画。
一方はヒグマ。誰もが知っている、デカくて強い動物だ。
その相手は、少なくとも勝己は聞いたことが無い、ヒグマよりもはるかに小さな動物。
どっちが勝つか。考えるまでもない。そう思っていた。
なのに、いざ始まってみたら……
優勢なのは、終始ヒグマに違いなかった。力でも体格でも、爪も牙も備えたヒグマの攻撃に、その動物は圧倒されている……ように見えた。
だが、そのどれも、ほとんど効いておらず、加えて何度やられても立ち上がり、どう猛なそいつは何度でもヒグマに向かっていった。
字幕の説明によれば、その動物の皮膚は生半可な動物の爪や牙を通さないほど分厚く、そこから来る防御力に加えて、どう猛かつ怖いもの知らずな性格から、脅威ではあるが臆病さと用心深さを併せ持つヒグマ以上に地元では恐れられているらしい。
もっとも、先に説明したとおり、ヒグマに比べれば体格で劣り、加えて、ヒグマを仕留められるだけの武器や攻撃力を持ち合わせていないことから、大抵は決着がつかないか、ヒグマの方が先に音を上げ逃げ出すらしいのだが……
「はぁ……はぁ……」
「……」
ヒグマと喧嘩した動物が何という名前だったかは覚えていない。その動画も、過激な内容だったせいか、とっくの昔に消されてる。
それでも、その動画を見たことで、勝己は理解したことがあった。
どんな攻撃をされても、効かない。死なない。倒れない。
倒れねーってのは、クソ強ぇ。
「……うぅぅ」
致命傷となるはずの攻撃をし続け、とうとう疲れた様子のマスキュラーの動きが止まった瞬間だった。
両手を構えたデクが爪を突き出し、それが、マスキュラーの筋繊維に突き刺さり、止まる。
ここまでは、さっきから何度となく繰り返された光景だが……
「GUUUUUAAAAAAAAAAHHHHHHHHHH!!」
今まで以上に、両手の爪を大きく振り回した。
いくら肥大し、増強されても、本人も言った通り筋肉は筋肉。打撃はもちろん、熱もある程度は耐えられるだろうが、刃物で突き刺せば穴が空くし、切り付ければ二つに裂ける。
もちろん、それだけ大きく硬い筋肉に刃が立ち、切り裂き貫けるだけの威力と切れ味を持った刃であることが条件だが……
「GAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHHHH!!!」
「ぐぁあああああああッ!!!」
デクの振るう刃は、すでに出してあった筋繊維の全てを切り裂いていった。慌てて筋繊維の量を増そうとするも間に合わず、とうとう丸裸になったマスキュラーの身に、六本の爪が突き立った。
「デッ……!!」
刺された部位的に、おそらく心臓は無事だろう。
それでも、あの爪の長さなら、巨漢のマスキュラーと言えども間違いなく内蔵に届いている。
どれだけ頑丈で強靭な肉体を有していようが、内蔵を攻撃されて、耐えられる人間なんか存在しない。どんな『個性』を持っていようと関係ない。
事実、腹を刺されたマスキュラーは、痛みのショックからか、白目を向いて、気を失っている。爪を引き抜いた傷口からは、出血は見られない。どうやら、まだ残っていた筋繊維が傷口に蓋をし、図らずも止血を促しているらしい。
呼吸もしている。内蔵は傷ついているだろうが、失血死の心配は無さそうだ。
「……」
勝己がそんなことを考えている間に、伸ばしていた爪を拳に引っ込めながら、デクは、歩き出し――
「って、コラデク!! だからどこ行く気だ!?」
「……しつこいぞ。いい加減、その手を放せ」
「放さんわ!! テメーは俺と!! テメーの家に帰るんだよ!! クソデク、コラ!!?」
と、脅威が去って、再び二人が言い争いを始めている内……
デクが首から下げている認識票を、勝己はマトモに見ることになった。
いかんせん、認識票という小さなものに刻まれた細かく小さな文字は、英語ということもあって、何が書いてあるかはよく分からない。
だが、その中で一際大きく書かれた文字は見えた。
その文字列を見て――
勝己は、デクの姿から思い浮かべた、その動物の名を、ハッキリと思い出した。
史上初登場エピソードの、vsハルクを意識して書いてみました。
ところで、出久の腕胸剛毛を想像してくれ。こいつをどう思う?
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ねーよ
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すごく…
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なんていうか……下品なんですが、フフ