モジュロ虎杖成り代わり、透き通る世界へ 作:もじゅろいたどり好き
久しぶりに運動しようと思ってランニングしたら吐きました。運動不足すぎて笑えない。
◆
────夢を見た。
呪い呪われ、廻る世界の物語の。
『お前は強いから、人を助けろ。』
『オマエを助けた理由に、論理的な思考を持ち合わせていない。危険だとしても、オマエの様な善人が死ぬのを見たくなかった。それなりに迷いはしたが、結局は我儘な感情論。でも、それでいいんだ。俺は正義の味方じゃない。呪術師なんだ。』
『気づきを与えるのが教育だ。死に際の心の在りようを想像するのは難しい。たが、これだけは断言できる。今のままだと、大好きな祖父を呪うことになるかもしれんぞ。呪術師に悔いのない死などない。』
『結局助けられる人間なんて限りがあんのよ。私の…人生の席…っていうか、そこに座ってない人間に、私の心をどうこうされたくないのよね。……冷たい?ま、アンタみたいに自分で椅子持ってきて座ってるヤツもいるけどね。』
『君はいくつか死線を越えてきた。でも、それで大人になったわけじゃない。枕元の抜け毛が増えていたり、お気に入りの総菜パンがコンビニから姿を消したり、そういう小さな絶望の積み重ねが、人を大人にするのです。』
『人に心なんてない。ないんだよ。──そうでなきゃ、そうでなきゃ、母さんも僕も、人の心に呪われたって言うのか。』
『オマエは何を託された?──今すぐ答えを出す必要はない。だが、答えが出るまで、決して足を止めるな。それが呪術師として生きる者達への、せめてもの罰だ。』
『虎杖、自分の意志で人を殺めたことはあるか?……そうか、最悪の気分だったろう。』
『ありがとう、悠仁。俺の弟になってくれて。』
『期待してるよ、悠仁』
◆
目を覚ます。ここは……どこだ?
「仙台だよ。」
後ろから声を掛けられ、少し驚きつつ、声の主を確かめようと振り向く。そこにいたのは───
「虎杖悠仁!?」
「あぁ、初めましてだな。」
いや、初めましてではあるけど。ちょっと今それどころじゃないんだが?虎杖悠仁がいるってことは、ここは虎杖悠仁の生得領域なのか?
「正解!よくわかったな。」
てかさっきから俺の思考に反応してる?頭の中覗かれるの恥ずかしいんだけど…
「いやぁ、悪いな。そういうもんだと思って諦めてくれ。」
嫌だが?領域展開にこんな効果ないだろ。マジでどうなってるんだ。
「思考を覗けるのは今だけだよ。ていうか、俺とオマエがこうして会えるのも今だけ。今の俺は体の記憶に引っ張られた、言わば体の残穢?みたいな感じ。」
体の残穢?なるほど……俺が虎杖悠仁の体に入っているから、そこから繋がりができたのか。
「そうそう。そうだ、あまり悠長にしてる時間はないんだよ。伝えたいことがあるんだ。」
伝えたいこと?それは一体……
「よく聞けよ?──遠慮するなよ。何の因果かは分からない。けど今、俺の力は確かに君に宿った。ソレはもうオマエの力なんだ。そもそも俺の術式も宿儺や兄弟達から貰ったものだからな。今更所有権がどうこうなんて言うつもりもない。もっと欲張れ。」
遠慮?どういうことだ?
「自分で気づけるように頑張れよ!あ、それから脹相から伝言があったんだ。『お前も確かに俺の弟だ。もし会えたら、俺のことをお兄ちゃんと呼んでくれ。』だってよ。」
………考えておくよ。脹相はカッコいいけど、流石に初対面でお兄ちゃんなんて言う度胸、俺にはないな。
「ハハッ、まぁ、そりゃそうだ。……おっ、そろそろみたいだな。じゃあ、これでサヨナラだ。」
あぁ。伝言とアドバイス?ありがとう。自分なりにいろいろ考えてみるよ。
「そうしてくれ。ここから先はオマエの物語だ。楽しく過ごせよ!この青春を!」
◆
目を覚ます。視界に入ったのは見覚えのある天井だった。
それよりも…やけに鮮明な夢だったな。遠慮するなよ、か。…あぁそうだ。俺はこの力を俺の力だと思ってなかったんだな。俺はこれを虎杖悠仁の力だと思っていた。彼の体に俺が宿ったことに、彼の力と経験を俺が手にしたことに、引け目を感じていたんだ。コレは俺の力…か……本人にあそこまで言わせたんだ。受け入れろ。そして、誇れ。この力は俺のものだと。俺は確かに最強になったと。ソレが虎杖悠仁への手向けとなる。
よし、これからは俺が始める、俺の物語だ。
でもブルーアーカイブって確か地雷めっちゃ多いんだよな。一つのミスがキヴォトスの終焉に繋がりかねん。シナリオにはあまり詳しくないんだけど……原作の先生凄すぎん?そもそもいくらタブレットが守ってくれるからって、銃弾一発で死ぬかもしれないのに銃弾が飛び交うキヴォトスの先生をするって、どんなクソ度胸してんだよ。そんであれもこれも生徒のためって言って面倒事も引き受ける。アンタ聖人だよ。
とまぁ、原作先生のことは置いとこう。どうでもいい。いや、よくはないけど、少なくとも今はどうでもいい。原作まであとどれくらいの猶予があるのかもわかんないからな。一番手っ取り早いのは、原作キャラに会って学年を聞くこと。特にわかりやすいのは………アビドスかな。そういえばこの前柴関ラーメンに行ったとき柴大将が言ってたな。
『最近まで生徒さんは一人しかいなかったんだが、今年は新入生が入ってな、二人で頑張ってるんだよ。』
つまり、四年も五年も前でない限り、今は梔子ユメと小鳥遊ホシノがいる代ってことだな。原作まであと………二年?ってところか。
後二年で俺はこの力を使いこなし、最強になる。
そして、困ってる人を助ける。俺がこの力を授かった意味があるんだと、俺が納得するために。俺が俺の為にこの力を振るう。
さて、アレコレ考えるのは此処までだ。とりあえず早いところ生活基盤を整える。自分のこともしっかりできないやつに、他人を救う余裕なんて無いからな。
とりあえず昨日泊まったホテルのチェックアウトをして、街に繰り出す。目指すのは賞金首だ。ソレが一番俺にあっている。じゃあ、ゲヘナに行くかぁ。
◆
ゲヘナに到着した。流石だな、やっぱり地獄っていうだけはある。そこらで銃声が鳴り響き、爆発音まで聞こえてくる。治安終わりすぎだろ、どうなってんだ。
俺は賞金首を狙いつつ、ゲヘナの自治区を歩き始めた。
「ヒャッハー!」
「喰らえぇ!」
「ぶっ放してやるぜえ!」
ほんとにヤバいな。見る奴がほぼ不良なんだが?………自分で決めたばっかだしな。この不良共を鎮圧すれば、誰かの助けになるだろう。よし、行くか。
「少しいいか?」
「あぁん?なんだテメェ?銃もねぇ、ヘイローもねぇ。そんなヤツがアタシに声かけてんじゃねぇよ!オラ邪魔だぁ!」
声を掛けた不良生徒が銃を撃ってくる。ヘイローがないって分かってんなら撃つなよ。俺だからいいものの、他の人なら死にかねん。
よし、少し本気で行こう。目に付く不良全部拘束してやる。先生が来たときに、俺に銃を撃っても無事だったから、なんて理由で先生に銃を撃って、先生が死にかけましたなんて洒落にならん。俺が最強なのは俺だからだと、二年でキヴォトスに知らしめる必要があるな。
◆
ふぅ、ひとまずはこんなところか。俺は気絶した不良の山の上を前にして満足気にしていた。途中から不良が仲間を呼び始めたせいで少し時間がかかってしまったな。そこらで鳴り響いていた銃声は少なくとも近辺では聞こえなくなり、近隣住民の方々が遠目で俺を見ているのが分かる。
───ワァァァァァァ!
歓声が上がる。相当不良共に迷惑してたみたいだ。でもなんというか、恥ずかしいな。あまり人前に出ることがなかったから、初めて貰う歓声に戸惑う。すると、近隣住民の方々は俺に話しかけて来た。
「あんちゃんすごいな!」
「ありがとう!助かったよ。」
「ヘイローがないのにすごいなあ。」
「兄ちゃんが操ってたあの赤い物体は何なんだい?」
「ちょ、落ち着いてくれ。わかったから、待って、服を引っ張るのやめてくれ。」
俺は近づいてきた近隣住民の方々に揉みくちゃにされながら、なんとか落ち着くように声をかける。それでも止まる気配はなく、もう強行突破して逃げようか、なんて考えていたときだった。
「ねぇ貴方、少しいいかしら。」
声をかけてきたのは白い髪の毛に小柄な体。紫色の目に角と翼を携えた───
「おい、兄ちゃん何したんだ?ありゃゲヘナの風紀委員会のエースだって言われてる空崎ヒナだぜ?まだ一年生なのにすげぇんだ。不良をバッタバッタとなぎ倒してな!俺も本人は一回しか見たことないんだよ。」
「大丈夫よ、自己紹介は自分でするわ。私はゲヘナ学園所属、風紀委員会の空崎ヒナよ。」
「あぁ、俺は虎杖悠仁だ。よろしく頼む。」
「えぇこちらこそ、よろしくお願いするわ。」
「それで?何で声をかけたんだ?」
「もともとこの地区で暴れていた不良の対処を任されていたの。でもその必要はないようね。ありがとう。ゲヘナ風紀委員会として、貴方に感謝を。」
「別にいいよ。俺がやりたくてやったことだしな。」
「そう、そういえばこの中にも懸賞金の懸かっている子たちもいたの。うちの学園の生徒だから、貴方に懸賞金を支払い、一度学園で引き取ってから矯正局に送らないといけないの。その手続きの為に声をかけたわ。」
「そっか。そんでその手続きはどこで?」
「風紀委員会本部よ。案内するわ、ついてきてちょうだい。」
「わかったよ。案内、よろしく頼む。そんなわけだから、ここで解散。あんたらも気を付けて帰れよ。」
そう言うと、はしゃいでいた近隣住民の方々は渋々といった様子でそれぞれの道を歩き始めた。
風紀委員会本部に向かう途中、俺と空崎ヒナの間には沈黙があった。気まずいな。少し話しかけるか…
「えっと…空崎さんは一年生なのに風紀委員会のエースなんだって?すごいな。」
「ヒナでいいわ。ありがとう、でもまだまだよ。今も不良達は沢山いるの、私にできる事なんてほんの一握り。」
「そっか……でも無理しないようにしなよ?君は何ていうか…責任感が強いから、いつか潰れそうだ。君だけ強くてもきっとダメだ。周りを頼ることから始めてみたら?」
「………そうね。忠告ありがとう。考えてみるわ。」
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面倒な手続きも終わり、まとまった大金を手に入れることもできた。コレで当分の生活は大丈夫そうだ。さて、まずはスマホの契約からだな。その後家を借りたいんだが………戸籍なくてもいけるかな?まぁそこら辺は後でいいだろう。無理なら別の方法を考えよう。
さて、家を借りるとしたら……やっぱミレニアムだな。ゲヘナは不良ばっかだし、トリニティは肩身が狭そうだし、三大学園だと便利そうだしな。それにミレニアムは近未来都市って感じがしてカッコいいし。
よし、じゃあスマホの契約から始めよう。
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今日あったあの男、ユウジって言ったかしら。私だけが強くてもダメ……ね。まるで前例を見てきたかのような口振りだったわ。
確かに周りを頼ることはあまりしてこなかった。私なら何とかできると、そう思っていた。
でも私は風紀委員会、組織で動いている以上、常に人との関わりが着いてくる。………頼ることを覚えてみようかしら。
お気に入り百件突破しました。皆様ありがとうございます!!
これからもこの作品をよろしくお願いします。
序盤のセリフは、虎杖に大きな印象を与えた者、与えられた者達のセリフを作者が勝手に判断して載せてます。