モジュロ虎杖成り代わり、透き通る世界へ 作:もじゅろいたどり好き
課題終了の目処が立ったので投稿します。
ぼんち揚げ美味しすぎる
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俺はユメと連れ立ち、雑談をしながらアビドス高校に向かって歩いていた。
「もう聞いてると思うけど、私たちの高校はアビドス高等学校っていうんだ〜。今はちょっと問題があって生徒は私とホシノちゃんの二人だけだけど……いつか高校も、このアビドスも、昔みたいにたくさんの人で賑やかにするのが夢なの!」
「そうか…いい夢だ。さっきも言ったと思うが、応援するよ。」
「本当に!?ありがとう!うれしいな〜」
そう言ってユメは本当に嬉しそうに微笑む。
「そういえばユージ君が通ってた高校ってどうなところだったの?」
「あぁ、それは……」
高校に通っていた記憶を頭の中から引っ張り出す。俺は確か、近くの公立高校に合格した…はず……なんだ?思い出せない…高専に行っていた記憶が脳内に満ちていく。いや、これは虎杖悠仁の記憶だろ…俺は…俺の記憶は…?
両親の顔も友人の声も自身の名前すらも思い出せない。肉体に記憶が引っ張られているのか?柴関ラーメンで俺は自分のことを八十は超えているといったな…違うぞ…俺はまだ大学生だったはずなんだ………。
俺は違和感すらなく俺のことを八十を超えていると言っていた。だが、俺は虎杖悠仁ではない。これは断言できる。だとしたら……記憶の整理?俺の中に二人分の記憶があることに俺が耐えられなかったのか?
整理しよう。俺の中にある記憶は大きく分けて二つ。俺の一生と虎杖悠仁の一生の記憶………そういうことか。
俺が死んだ後の記憶はないから、そこに虎杖悠仁が二十歳ぐらいになったときの記憶から呪物になるまでの記憶が当てはまった。だが、そうすると俺が元から持っていた俺の一生の記憶との辻褄が合わなくなってしまった。そこで、虎杖悠仁が二十歳ぐらいになるまでの記憶を挿入して辻褄を合わせようとしたんだ。結果起こったのは塗りつぶし。当然俺の記憶よりも虎杖悠仁の記憶のほうが濃いからな。
俺の記憶がぼんやりとしかない理由は何となく分かった。だが、俺が彼の記憶をさも自分のもののように他人に話すことに抵抗と罪悪感を覚える。この記憶は、きっと彼の宝物だ。辛く、苦しい道のりだったかもしれない。でも、それは確かに彼が楽しく過ごした青春だろう。そんなものを部外者の俺が軽々しく扱うことなど………
ふと、彼との会話を想起する。交わした言葉は少なくとも、それでも彼からもらった言葉。
『遠慮するなよ。』
あぁ、もしかしたらこうなることすらお見通しだったのかもしれない。ほんと、敵わないよ……じゃ、遠慮は無しだ。ありがとう。
「ユージ君、大丈夫?」
「大丈夫だよ。悪いな、急に黙って。」
「ううん、大丈夫だよ…言いたくなかった……?」
「いや、何て伝えようかと思ってな…流石にアビドス高校とまでは行かないが生徒数も少なかったな…」
「そうなの?何だか親近感がわくな〜」
「そうだな。あとは…個性的な先輩がいてさ、喋るパンダとか。」
「へぇ〜、モフモフしてた?」
「あぁ、それはもう。ついでに太陽の香りもしてたよ。」
「そうなんだ!でもね、ユージ君!キヴォトスには、たくさんの獣人さんたちがいるんだよ!」
確かに……確かに!柴大将も動物だし。喋る動物ってキヴォトスではそこまで珍しくないんだったな……。カルチャーショックだ…そこまで珍しくないことを自慢気に言ったのか、俺は。恥ずかしい……
「忘れてた、キヴォトスでは見慣れた光景だな…他で言うと…おにぎりの具しか語彙がない先輩とか。」
「ひぃん…何言ってるか分からなさそうだよぉ…ユージ君は会話できてたの?」
「まぁ、慣れるとな。最初は流石に何言ってるか分からなかったよ。」
「すごいなぁ…私にはできなさそうだよぉ…」
「そういえば、もう一人の小鳥遊さんには俺が行くことを伝えているのか?」
「ううん、伝えてないんだ〜。少しサプライズしようと思って!」
「それは……大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ!ホシノちゃんすごくいい子だから!あっ!見えてきたよ!」
目にはいるのは校門と、その先にある校舎。あれがアビドス高校だろう。これを二人で管理してるのか…。凄いな。
「いらっしゃい!アビドス高校へ!」
「お邪魔します。」
校舎に入り、廊下を歩いていく。直に生徒会室と書いてある教室の前に着く。
「ユージ君は少しここで待っててね!」
そう言ってユメは教室の中に入っていった。
◆
俺が廊下で待機していると、教室の中から声が聞こえてくる。
「ホシノちゃん、ただいま〜!」
「おかえりなさい、ユメ先輩。ところでユメ先輩、私の記憶が正しければ、これはユメ先輩がやっておく分の書類では?」
「ひぃん……後でやろうと思ってぇ…」
「ダメです。ユメ先輩は書類を溜めておくと面倒くさくなって手を付けなくなるじゃないですか。すぐに始めてください。そもそも、書類は溜めるものではありません。こういうのは日頃からコツコツとやっておくもので───」
「ひぃん…お説教が始まっちゃったよぉ…」
えぇ…大丈夫か…?あんまり長く外に居たくないんだが…だいたい、後輩に説教される先輩ってどうなんだろう。どっちが先輩なんだか…
「ちょ、ちょっと待ってホシノちゃん!」
「───。はい?何ですかユメ先輩。説教から逃げようなんて許しませんよ?」
「違うの!あの、紹介したい人がいて…」
「私にですか?というか、まさかもう来てるんですか?」
「うん…外で待ってもらってて…」
「何で早く言わないんですか!大方サプライズでもしようと思ったんでしょうけど…早く中に呼んでください!」
「うん、わかったよ…」
教室の扉の方に足音が近づき、続いて扉を開ける音がする。中から困り顔のユメが手招きをしていた。
「ごめんね、ユージ君。待たせちゃって。」
「別に、構わないよ。というか後輩に説教されるって、先輩としてどうなんだ…?」
「ひぃん…ホシノちゃん、私よりもしっかりしてるから…」
「そうか…」
教室の中に入ると、小柄な少女が一人。ピンク色の髪とオッドアイを携えた彼女は…
「えっと…ホシノちゃん!こちらは虎杖ユージ君!ユージ君!こちらは小鳥遊ホシノちゃん!仲良くしてね!」
小鳥遊さんは俺に警戒した目を向けている。俺はかぶっていたフードを取りながら、彼女に自己紹介をする。
「よろしく、小鳥遊さん。虎杖悠仁だ。」
「はい、よろしくお願いします。……ところで、制服を着ていませんが、貴方は学生ではないんですか?」
「あぁ、俺は学生じゃないよ。」
途端、小鳥遊さんの目には敵意が宿り、鋭い視線が俺を射抜く。そして、口を開き出てきた言葉は、
「ユメ先輩に近づいて、何が狙いだ!何をしに来た!」
「ちょっと、ホシノちゃん!ユージ君は─」
「ユメ先輩は黙っててください!大人は皆私たちを騙そうとしています!先輩だって騙されてきたじゃないですか!」
「ホシノちゃん、そんな言い方ユージ君に失礼だよ!」
こうなってしまった。だが、嘘をつくなんて出来ないだろう。事実、俺は学生じゃないし、そんなこと大将やユメに聞けばすぐに分かってしまう。それに、嘘つきな大人にはなりたくないからな。
「いいんだ、ユメ。小鳥遊さんはユメやアビドスのことを思って言っている。」
「何ですかその言い方!お前に私の何がわかる!」
「今日は帰るよ……これ、俺の連絡先だから困ったことがあれば使ってくれ。」
「早く帰れ!二度と来ないでください!」
「ごめんね、ユージ君…」
「気にしてないさ」
教室の扉を開け、一人来た道を辿っていく。嫌われたもんだ。大人だから仕方がないかもしれないが。さて、本題の呪術の試し撃ちに向かうとしよう。
◆
虎杖悠仁が去った教室には、重苦しい雰囲気と二人の生徒が取り残されていた。一人は泣きそうな表情を、一人は怒った表情をそれぞれの顔に張り付けていた。
「ホシノちゃん…ユージ君のこと、嫌いになっちゃった?」
「別にあの人のことが特別嫌いな訳ではありません。大人が皆嫌いなだけです。」
「でも、ユージ君はいい人だよ。今日会ったばかりなのに、私たちの学校を応援してるって言ってくれたし!」
「口では何とでも言えます。それに、一日でいい人かどうかなんて分かりません。」
「ひぃん…」
「ユメ先輩がアビドス高校のことを考えてくれているのは知っています。でも、だからこそ先輩を騙す大人のことが嫌いなんです。」
「ホシノちゃん……」
評価、感想、お気に入り、ありがとうございます。
ものすごく嬉しいです!
過去ホシノが悠仁のこと嫌いすぎ……でもこれくらい嫌っててもしょうがないとも思う。悠仁は大人だもんね。