魔法少女ノ魔女裁判をクリアした記念に書いてみました。クリアした記念がこんなんでいいのかはわかりません。

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第1話

 

 

ヒロ「まだ、殺人事件は起きていない……今のうちに、どうにか黒幕の正体を突き止めなければ」

 

【死に戻り】の魔法によって蘇った二階堂ヒロは、焦っていた。

牢屋敷に閉じ込められた十三人の少女たちは、鬱屈した日々の中で暇を持て余している。

まだ犠牲者は出ていない。だが、恐らくそれも時間の問題だと、ヒロは認識していた。

 

レイア「大変だよ、ヒロくん!!」

ヒロ「レイア……何があった?」

 

 そんなとき、ヒロのもとに、自称みんなのリーダー・蓮見レイアが勢いよくドアを開けて飛び込んできた。

ヒロは思わず警戒し、続きを促す。

 

(まさか、もう殺人事件が……!)

 

 レイアは額に汗を浮かべながら、真剣な表情で口を開く。

 

レイア「全裸の男性に何か一つつけるとしたら、エプロンと靴下、どっちがいいと思う!?」

ヒロ「は……!?」

 

 あまりにも常軌を逸した発言だった。牢屋敷の異常な空気とは、また別種の狂気である。

 

ヒロ「突然何を言い出す。暇を持て余しているにしても、もう少しまともな発言をしてくれないか」

レイア「違うんだ、ヒロくん! 私は真剣に……!」

 

 レイアは必死に言葉を紡ごうとしている。ヒロは身構えつつも、その先を待った。

 

レイア「私は真剣に……裸体を彩る真の魔法を探求しているだけなんだっ!」

ヒロ「部屋に戻れ。寝ろ。今の君は役者ではなく病人だ」

 

 氷のような目でレイアを見つめるヒロ。

 言動とは裏腹に、レイアは困り果てた顔をしていた。

 その場に助け船を出したのは、意外な少女だった。

 

アンアン「ヒロ、レイア。わがはいの【話を聞け】

ヒロ「ぐっ……!?」

 

夏目アンアンが操る『洗脳』の魔法によって、ヒロとレイアの注意は彼女へ向けられる。

アンアンがスケッチブックに何かを書き始めたのを見て、レイアもすかさずヒロに魔法をかけた。

 

ヒロ「視線がスケッチブックから離せない……! レイア、何のつもりだ……!」

 

 その問いに答えたのは、アンアンの掲げたスケッチブックだった。

 

アンアン『レイアは今、何らかの洗脳魔法を受けている』

ヒロ「何……!? 本当か、レイア」

レイア「裸エプロン!!」

 

 満面の笑みで返ってくる狂った返答に、ヒロはレイアへの本気の殺意が芽生えかけるのを必死に抑えた。

 

アンアン『わがはいの魔法より、はるかに強力な洗脳だ。レイアが逆らえないのも無理はない』

ヒロ「強力な魔法……まさか、黒幕の仕業か!」

 

 集められた魔女候補たちよりも強力な魔法となれば、黒幕の可能性は高い。

 思わぬ手がかりに、ヒロは一気に真剣味を帯びる。

 

 そんなとき、遠くから、忘れたくても忘れられない悲鳴が聞こえてきた。

 

エマ「だ、誰かー!?」

ヒロ「桜羽エマ……!! こんな時に……!!」

アンアン「【声を追え!】 恐らく、レイアをこんな風にした犯人がいる!」

ヒロ「行くしか……ないか!」

 

 エマには関わりたくない。だが、その逡巡をアンアンは許さなかった。

 レイアと共に声のした方へ向かうと、桜羽エマ、橘シェリー、遠野ハンナ、氷上メルルの四人が部屋の隅に追い詰められていた。

 

エマ「い、行き止まりだよ、ハンナちゃん……!」

ハンナ「わかっておりますわ! シェリーさん、名探偵の頭脳で何とかなりませんの!?」

シェリー「かくなる上は、この壁を壊して逃げるほかありませんね!」

メルル「や、やめてください……! 壁……じゃなくて、腕を治すのが大変です……!」

 

 そんな四人を追い詰めていたのは、一人の魔法少女だった。

 

マーゴ「ふふふ……良い子たちね。でも、そういう子の欲望を曝け出させるのが、私は好きなの」

 

 その魔法少女は、見慣れない黄色い杖を――桜羽エマに向けた。

 

ヒロ「エマっ!!」

 

 あんなに憎んでいたはずなのに。

気がつけばヒロは、杖から放たれた光線からエマをかばっていた。

 

エマ「ヒロちゃん!? 大丈夫!?」

ヒロ「ああ……」

 

 痛みはまったくない。

 ヒロは、いつも通り正しく答えた。

 

ヒロ「エマの小さな手で、ぽかぽか殴られたい」

エマ「ヒロちゃん!? 何言ってるの!?」

レイア「ああ! ヒロくんまで裸エプロンの魔の手に!?」

シェリー「こっちはこっちで裸エプロン先輩になってますね」

ハンナ「この方に劣等感を抱いていたのがアホらしくなってきましたわ」

 

 思わず口を塞ぐヒロとレイア。

 そんな有様を、犯人である魔法少女はくすくす笑いながら見つめていた。

 

マーゴ「ふふ……レイアちゃんとヒロちゃんを堕としてしまえば、こっちのものね」

シェリー「それで、あなたの魔法は『モノマネ』だったはずでは? 宝生マーゴさん」

 

 シェリーは、こんな異常事態の中でも朗らかに、犯人――黄色い杖を手にしたマーゴへ話しかけた。

 

マーゴ「マーゴ? 今の私は……『魔法少女Y談お姉さん』よ」

エマ、ハンナ「「魔法少女Y談お姉さん!?」」

 

 驚愕するエマとハンナ。

 

 Y談お姉さん「私の魔法にかかった者は、Y談しか話せなくなる……性癖をぶちまけて慌てふためく女の子たちを眺めるのが、私の趣味なの♡」

シェリー「めっちゃしょうもないですね★」

 

 シェリーの身も蓋もない言葉にも、今のマーゴは動じない。

 ともあれ、レイアとヒロがおかしなことしか言えなくなった理由ははっきりした。ヒロはマーゴを睨む。

 

ヒロ「お前は、未成年相手でも発育がよければ交際していいと思っているのか?」

エマ「ヒロちゃん! お願い、正気に戻って……!」

 

 『殺人ではないとはいえ、こんなことをして正しいと思っているのか?』

 そう言おうとしたヒロの言葉は、むなしくY談へと変換された。

 

Y談お姉さん「……もちろん、思っていないわ。ので、逃げさせてもらうわね♡」

レイア「ま、待ちたまえ!」

 

 走り出したマーゴを、ヒロとレイアは追いかける。

 逃げた先には、黒部ナノカがいた。

 銃を持つ彼女なら、今のマーゴを鎮圧できるかもしれない。

 ヒロはナノカに現状を訴えようとした。

 

ヒロ「君のような幼い少女が、身の丈に合わない武器を持っていると興奮する!!」

ナノカ「何言ってるの、あなた……!?」

Y談お姉さん「ふふ、隙あり♡」

 

 困惑したナノカに、マーゴは光線を放った。

 

ナノカ「ち……ちんちん!?」

Y談お姉さん「あらあら、小学生レベルの可愛いY談ね♡」

ナノカ「ちんちちん!?」

レイア「ナノカくーん!?」

 

 語彙力が壊滅し、真っ赤になるナノカ。

 その隙に、マーゴはなおも逃走を続ける。

 

 そしてマーゴは、通りすがった魔法少女たちに次々と魔法をかけていった。

 

アリサ「ウチは……あっちの方はリードされたい派……」

ミリア「腹回りを気にしてる男の人はえっち」

エマ「だ、大惨事だよ……!!」

 

 そして、ヒロに警告してくれたアンアンですら、次に会ったときには洗脳に支配されていた。

 

アンアン『脱毛した気になってる男に、微妙に産毛が残ってると興奮する』

ノア「のあはねー◼️◼️◼️だけど、特に◼️◼️◼️◼️だよ」

シェリー「ノアちゃんみたいな子が一番エグいY談してるのを聞くと、さすがの私も心にきますね♪」

メルル「な、なんとかマーゴさんを捕まえて、やめさせなくては……!」

 

 半泣きのメルルへ、こっそり忍び寄っていたマーゴの魔法が襲いかかる。

 

Y談お姉さん「隙ありY談波♡」

メルル「ゴクチョーガード!!」

ゴクチョー「まったく……あれほど『ピー』だから『ピー』しておきましょうと言ったのに……」

メルル「こ、こうなったら……奥の手を使うしかありません!」

 

 なんと、ゴクチョーですら魔法にかかってしまった。

 メルルは涙目になりながらも、マーゴを捕らえるための作戦を決行する。

 

Y談お姉さん「この牢屋敷も、すっかり愛で染まったわね……♡ あとは、シェリーちゃん、ハンナちゃん、そしてエマちゃんを手にかければ……」

ココ「そこまでだし。いや、あてぃし的にはめっちゃウケるからいいんだけど」

 

 マーゴの前に、沢渡ココが立ちはだかる。

 

Y談お姉さん「ココちゃん……すっかり忘れてたわ。あなたもY談に染まりましょう……?」

 

 マーゴが放った光線はココに直撃する。

 しかし、ココに焦った様子はない。

 

ココ「生憎さ〜、あてぃしみたいなサブカル女にとってY談なんか平常運転なワケ。てか、実はマゴちんのほうがウブっしょ?」

Y談お姉さん「っ……!? そ、そんなことないわ。私はみんなより大人のオンナだもの……Y談くらい……」

ココ「嘘松〜。てか、それなら自分からY談くらいしてみせてよ。どうせヤっててもマグロみたいにカチンコチンなんでしょ?」

マーゴ「マグロ……? 私は今、魚の話なんかしていないわ」

 

 その言葉に、ココは思わず吹き出した。

 劣勢を感じ取ったマーゴは、歯噛みしながら切り口を変える。

 

マーゴ「ココちゃん……私に協力してくれたら、みんなのY談を撮った動画をあげるわ。好きに配信で使ってちょうだい♡」

ココ「マジで!? レイアとかヒロちんが顔真っ赤にしてY談してるところとか激レアじゃん……って、そうはいくか! あんたを取り押さえたら、あてぃしだけは家に帰してくれるってゴクチョーが……」

 

 思わず意気投合しかけたが、ココは本来の目的を思い出す。

 そして、ココに追いついていたゴクチョーは言った。

 

ゴクチョー「ええ、ありがとうございますココさん。あんなウソを信じて時間稼ぎをしてくれて」

ココ「あれはウソかよ!? 死ね!」

マーゴ「あっ……!」

 

 ココに気を取られている間に、マーゴは顔を真っ赤にしたヒロとレイア、そして怒り心頭で銃を構えたナノカに完全に包囲されていた。

 

レイア「さあ、マーゴくん。おしりペンペンされる準備はできたかい?」

ヒロ「正しい行為をしよう。君なら折檻も快楽かもしれないがね」

ナノカ「ちん……!」

マーゴ「ま、待って……! 私を……愛さないでええええ!!」

 

 こうして、魔法少女Y談お姉さんとなった宝生マーゴは鎮圧され、

 殺人ではない事件は幕を閉じた。

 マーゴから杖を取り上げたあと、彼女は図書室に隔離処分となる。

 

 そして外出禁止時間になり、ヒロとエマは二人の部屋へ戻った。

 

エマ「ヒロちゃん……その……ボクの手で殴られたいって、本当……?」

ヒロ「顔を赤らめるな……! 忘れてくれ、頼む……!」

 

 何かを期待するように頬を染めるエマに、ヒロは殺意とは違う感情を覚える。

 一方その頃、一人部屋のメルルはゴクチョーと話していた。

 

メルル「Y談の魔法の杖……いつか大魔女様とお話しするのに取っておいたのに……」

ゴクチョー「だから言ったじゃないですか……ややこしくなるから処分しておきましょうって」

 

 そして翌日。

 メルルがゴクチョーを盾にしたことを理由に糾弾され、黒幕であることが露見した結果、マーゴとメルルが軟禁された状態で牢屋敷の日々が始まるのだが――

 

 それはまた、別のお話。




魔法少女ノ魔女裁判、switch版が出るのをずっと楽しみにしていたんですがめちゃくちゃ面白かったです。マーゴとシェリーとメルルとヒロが特に好きになりました。

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