『見えないふたり、見つけた光』
雄英高校ヒーロー科、入学試験・第七演習場。 立ち並ぶ疑似ビル群の間に、けたたましい駆動音が響き渡る。
「ターゲット確認! 突撃ィ!」
仮想ヴィランである巨大な3P(ポイント)ロボが、激しい地響きを立てて迫ってくる。受験生たちが我先にと逃げ惑う中、その足元に、一人の少女がへたり込んでいた。
「う、嘘……足が、すくんで……っ」
葉隠透。個性が「透明化」の彼女は、衣服を脱いで完全な透明状態になれるが、身体能力そのものは普通の女子高生だ。ロボの巨体に威圧され、完全に動きを止められていた。 容赦なく振り下ろされるロボの鉄拳。
(危ない――!!)
そう叫んで、ロボと彼女の間に割り込んだ影があった。 学ランを着たその少年の首から上には、あるはずの「顔」がない。代わりに、ゆらゆらと揺らめく白い煙が頭部を覆っていた。
白煙薫。常時発動型の個性をしている、一風変わった受験生だった。
ズドォォォン!!!
激しい衝撃音が響き、地面のコンクリートが砕け散る。 しかし、薫の身体を直撃したはずのロボの鉄拳は、手応えなく空を切っていた。薫の「煙」の個性が、物理攻撃を完全にすり抜けたのだ。
「え……?」
透明な透の視界の先で、白い煙の頭部が、声のする方を振り返った。
「だ、大丈夫……!? 怪我、ない……っ?」
薫の声は緊張で少し震えていた。実は薫自身、この状況に心臓がバクバクといっていた。いくら物理攻撃がすり抜けるとはいえ、巨大な質量が目の前に迫る恐怖は尋常ではない。それでも、誰も気づいていない「見えない誰か」の悲鳴が聞こえた気がして、身体が勝手に動いていた。
「あ、ありがとう……! でも、あなた顔が……!」
「あ、これ個性なんだ。気にしないで……それより、ここは危ないから!」
薫は透の手(何もない空間だが、感覚で位置を掴んだ)をギュッと握り、引っ張ろうとした。だが、ロボはまだ健在だ。攻撃がすり抜けたことに混乱しつつも、再びアームを振り上げて二人を追撃しようとする。
ロボの駆動部分から、ブワリと激しい排気風が吹き荒れた。
「う、わああっ……!?」
薫の白い煙の顔が、風に煽られて激しく形を崩す。風や爆風は、薫にとって最大の弱点だった。個性が吹き飛ばされそうになり、強烈な目眩と吐き気が薫を襲う。一瞬にして身体の自由が利きづらくなり、足元がよろめいた。
(しまっ、た……風は、ダメだ……頭が、うまく回らな……)
薫の頭部から立ち上る煙が、体調の悪化を示すように、禍々しい**「黒煙」**へと変色し始める。
「危ない!!」
今度は、透が動いた。薫が風に弱いことを察した透は、自分の制服の上着を脱ぎ捨てると、完全な透明状態で薫の前に躍り出た。そして、手近に落ちていたロボの残骸の鉄板を拾い上げ、薫を風から遮るように掲げたのだ。
「うおおおリタイアァァア!! そこまでぇええ!!」
その瞬間、演習場全体にプレゼント・マイクの爆音アナウンスが響き渡り、試験終了のブザーが鳴り響いた。 駆動を停止し、ガシャリと崩れ落ちる3Pロボ。
「……ふぅ、終わったぁ……」
鉄板を放り出し、へなへなと座り込む透。 風が止んだことで、薫の顔の黒煙は、徐々にいつもの穏やかな白い煙へと戻っていった。
「す、すみません……助けてもらったのに、僕のせいで……」
薫は申し訳なさそうに、白い煙の頭を下げた。
「ううん、ううん! 最初に助けてくれたのは君だよ! 私、透明だから誰も気づいてくれなかったのに……君だけは、私を見つけてくれたんだもん!」
空中から聞こえる透の声は、弾けるように明るかった。
「私、葉隠透! 君の名前は?」
「……白煙、薫、です」
顔が見えない少年と、姿が見えない少女。 お互いの「素顔」はわからないはずなのに、ふたりの間には、確かに温かい絆の第一歩が芽生えていた。
オリジナル男主人公
白煙薫(はくえん かおる)
個性「煙(けむり)」
常時発動型の個性
顔が煙で見えなくて、とあるヴィランにそっくり少年
物理攻撃は無効化出来る
ただし、攻撃力はゼロ!!
レスキューヒーローに憧れているぞ!!
ヒロイン
葉隠透(はがくれ とおる)
個性「透明化(とうめいか)」
常時発動型の個性
姿が見えない原作キャラ
原作終盤で明かされた超絶美少女