理由はfgoが好きだから
ヒロアカも好きです
7月20日現在。
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八斎會の終わりまで50話ほどプロットを作っています。
体育祭終わりまでは予約投稿を毎日18時にしています。
初めての小説ですが、よろしくお願いします。
入学試験から数日後。白煙家のリビングは、張り詰めた空気に包まれていた。
薫の首から上からは、緊張のあまりいつもより濃いめの白い煙がゆらゆらと立ち上っている。目の前のテーブルに置かれているのは、雄英高校から届いた一通の厚い封筒だ。
「……よし」
意を決して封を切ると、中からコロンと小さな金属製の円盤が転がり出た。床に落ちた円盤から、突如として眩い光が放たれ、ホログラムが空間に浮かび上がる。
『私が、投影(スクリーン)に臨む!!』
「えっ……オ、オールマイト!?」
画面に現れたのは、平和の象徴・オールマイトだった。あまりの衝撃に、薫の顔の煙がボフッと一回り大きく膨らむ。
『白煙少年! 筆記試験は合格点! そして実戦試験……君の個性「煙」による物理無効化は見事だったが、後半、弱点を突かれてポイントは伸び悩んだ。……しかし! 雄英ヒーロー科が見るのは、それだけではない!』
画面の中のオールマイトが、手元のリモコンを操作する。映し出されたのは、あの第七演習場の映像だった。
『巨大ロボの前にへたり込んだ受験生を守るため、君は自らのリスクを顧みず真っ先に飛び込んだ! 「人々を救うために自らを顧みない」……それこそがヒーローの素質! 君の行動は、審査員の心を動かした! ヴィランポイントは12点……だが、レスキューポイント、35点! よって――』
オールマイトがガシッと力強く拳を突き出す。
『合格だ。来い、白煙少年。ここが君の、雄英高校だ!』
プツン、とホログラムが消え、リビングに静寂が戻る。
「……合格、した……」
薫はその場にへなへなと座り込んだ。頭部の白い煙が、ほっと安堵したように柔らかく、ゆったりとした揺らめきに変わる。何度も不合格になる悪夢を見ていただけに、胸の奥から込み上げてくる嬉しさはひとしおだった。これで、憧れのレスキューヒーローへの第一歩を踏み出せる。
しかし、自分の合格を確信した直後、薫の脳裏に「あの瞬間の光景」が鮮明に蘇ってきた。
(……葉隠さんは、どうなったんだろう)
自分をロボの風から守るために、制服を脱ぎ捨ててまで鉄板を掲げてくれた、姿の見えない少女。彼女がいなければ、自分はあの場で確実にリタイアしていた。最後はお互いにポイントを稼ぐ時間なんてほとんどなかったはずだ。
「私、葉隠透!」と元気よく名乗ってくれた彼女の声が、今も耳に残っている。
「僕を助けてくれた優しくて勇敢な人だから、絶対に合格してほしいけど……。姿が見えないから、審査員の人たちにちゃんと見つけてもらえたのかな……」
薫は自分のことのように胸を痛め、祈るように両手をぎゅっと握りしめた。あの時、誰も気づかなかった自分を見つけてくれた彼女を、今度は自分が雄英の校舎で見つけたい――。
そんな淡い願いを胸に抱きながら、薫は雄英高校の入学式へと向かうことになる。
桜の花びらが舞い散る春。憧れの雄英高校の門をくぐる薫の心臓は、朝からずっと早鐘を打っていた。
新しく支給された雄英の制服――グレーのジャケットに緑のズボン――の着心地は悪くない。ただ、緊張のあまり頭部から立ち上る白い煙が、いつもより少し激しくゆらゆらと揺れていた。
「えっと、1-A、1-Aは……」
校舎の入り口で、薫が大きな掲示板を見上げながら呟いたその時。
「わわっ、ご、ごめんなさい……!」
すぐ横から、教科書通りにガチガチに緊張した男の子の声が聞こえた。見れば、緑色の縮れ毛をした少年が、緊張のあまり自分の足をもつれさせそうになりながら、薫のすぐ隣で立ち止まっていた。
「あ、いえ、こちらこそ……」
「うわぁっ!? か、顔が煙……っ!?」
少年――緑谷出久は、薫の顔を見て目を丸くした。だが、すぐに失礼だと気づいたのか、「あっ、すみません! 個性ですよね! 凄いな、常時発動型なのかな……」と、ぶつぶつと小声で分析を始めてしまう。
「あはは……うん、個性なんだ。僕は白煙薫。よろしくね」
「ぼ、僕は緑谷出久! よろしく、白煙くん! ……あ、白煙くんも1-A!?」
出久が見つめる掲示板の先には、確かに『白煙 薫』と『緑谷 出久』の名前が並んでいた。
「あ、本当だ。同じクラスだね、緑谷くん。お互い緊張するけど、頑張ろう」
「うん……! よろしく、白煙く――」
その時、出久の背後から「あ! あの時の、モジャモジャ頭の!」と、弾んだ声が響いた。振り返ると、ボブヘアの女の子――麗日お茶子が、満面の笑みでこちらに駆け寄ってくるところだった。
「やっぱり! 合格したんだね! 良かった〜! リカバリーガールの言う通りだった!」
「うわあああ! お、お茶子さん……じゃなくて、麗日さん!?」
入試で助け合って以来の再会らしく、出久は顔を真っ赤にしてパニックになっている。お茶子はそんな出久に気づかず、「あの時はすごかったね!」と天真爛漫に話し込んでいる。
微笑ましい二人を見守りながら、薫はふと、合格発表の日に想いを馳せていた。
(緑谷くんも、あの麗日さんも、入試で誰かを助けてここにいるんだ……。じゃあ、あの時の彼女も……)
そう思った、次の瞬間だった。
「――あーっ!! もしかして、白煙くん!?」
出久たちの後ろから、ふわりと**「宙に浮いた雄英の女子制服」**が、こちらに向かって大きく手を振りながら走ってきた。
「え……?」
薫の白い煙の顔が、驚きでパッと広がる。
制服の袖が、嬉しそうにぶんぶんと振られる。その胸元には、間違いなく1-Aのバッジ。姿は見えなくても、その元気いっぱいの声と仕草で、薫にはすぐに分かった。
「葉隠、さん……!?」
「やったぁ! やっぱり白煙くんだ! 制服の上からでも、その白い煙ですぐ分かっちゃった!」
透は薫の目の前まで来ると、ステップを踏むようにその場でぴょんぴょんと跳ねた。
「よかったぁ……! ちゃんと合格してたんだね! 私、あのあと白煙くんが風で体調崩しちゃったから、すっごく心配だったんだよ?」
「ううん、僕の方こそ。僕を助けてくれたのに、葉隠さんが合格できたかずっと心配で……。また会えて、本当に嬉しいよ」
薫の頭部から上る煙が、心の底から安心したように、ぽわぽわと温かく柔らかな形に変わる。
「えへへ、私も! これから3年間、同じクラスだね。よろしくね、薫くん!」
「うん、よろしく、透ちゃん」
お互いに「素顔」は見えない。けれど、桜舞う雄英の入り口で、二人の間には満開の笑顔が咲き誇っているのが、確かにお互いに伝わっていた。