職場体験は完全オリジナルストーリーです
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新米職場体験 消防ヒーローバックドラフト
320件あった白煙くんの指名リストは、透ちゃんたちの超厳重な検閲(乙女の防衛戦)によって、最終的にわずか8件にまで激減していた。
「……相澤先生、これが審査済みのリストです」
「あ、あはは……怪しいところは全部弾いておきました……」
さすがに減らしすぎた自覚はあったのか、透ちゃん、障子くん、梅雨ちゃん、緑谷くんの4人は、おそるおそる相澤先生にリストを提出。事情を(緑谷くんがマイルドに)説明したところ、相澤先生は深くため息をつきつつも、「……フン、妥当な判断だ。雄英の生徒を芸能まがいの客寄せパンダにする気は毛頭ない。この8件以外は雄英の権限でブロックしておく」と、あっさり承認してくれた。
そんな裏での大立ち回りを全く知らない白煙くんは、手元に残った8件の誠実なオファーをじっくりと見つめていた。
「僕、ここに決めたよ!」
白煙くんが嬉しそうに指差したのは、消防ヒーロー・バックドラフトさんの事務所だった。
「バックドラフトさん! 体育祭の時から白煙くんの『消火能力』に注目してくれていた、憧れのレスキューヒーローだね!」
「うん! 爆豪くんとの戦いで、僕は爆炎を消せるって分かったから……バックドラフトさんのところで、もっとたくさんの人を助けるレスキューの技術を学びたいんだ!」
頭の煙をやる気満々の形にモコモコと膨らませる白煙くんに、透ちゃんも「うん、エンちゃんにぴったりだよ!」と自分のことのように喜んでいた。
その透ちゃんはというと、麗日さんと一緒に、なんと武闘派のバトルヒーロー・ガンヘッドさんの事務所に行くことを決めていた。
「ガンヘッドさんって、あのめちゃくちゃ格闘技が強い……!?」
白煙くんが驚くと、透ちゃんは少し恥ずかしそうに、でも決意を秘めた声で拳を握りしめた。
「うん。体育祭で三奈ちゃんに負けた時、私、気づいたんだ。いくら『透明化』して相手から見えなくなっても、そこから確実に仕留める、戦うための技術(護身術)がないと駄目だって。だから私、ガンヘッドさんのところで、本気の格闘技(ガンヘッド・マーシャルアーツ)を覚えてくる!」
「透ちゃん……すごいよ! 格闘技を覚えた透ちゃん、インビジブルガールとして無敵になっちゃうね。がんばってね、応援してる!」
「えへへ、ありがと、エンちゃん! 頑張ってくるね!」
また、新しくチーム放課後に加わった梅雨ちゃんは、自身の個性を最大限に活かせる水難救助専門の事務所へ行くことが決まり、「お互い、実りある一週間にしましょうね」と静かに微笑んでいた。
「……みんな、自分の進むべき道がハッキリしていて羨ましいな」
少し離れた席で、障子くんが指名リストを見つめたまま、珍しく眉間にシワを寄せて悩んでいた。
「どうしたの、障子くん?」
白煙くんと透ちゃん、そして梅雨ちゃんがすぐに彼の席の周りに集まり、チーム放課後の即席相談会が始まる。
「いや……ありがたいことにいくつか指名をいただいたんだが、自分の『複製腕』という個性を、索敵に特化させるべきか、それとも純粋な戦闘力を磨くべきか、どの事務所が最適なのか決めあぐねていてな……」
「それなら、この事務所はどうかな? 索敵も救助も両方トップクラスのプロがいるよ!」
緑谷くんもどこからともなくヒーローノートを持って参戦し、みんなでああでもない、こうでもないと障子くんの未来について真剣に話し合う。
教室を見渡せば、他のA組のメンバーも「お前どこ行くんだよ!」「俺はここ!」と、ワイワイガヤガヤと騒ぎながら楽しそうに提出書類を書いていた。
(大変なこともたくさんあるけど、みんなでこうやって未来の話をしている時間が、一番楽しくて、一番幸せだなぁ……)
白煙くんは胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じながら、隣で一緒に障子くんの背中を押している透ちゃんの手(手袋)を、またそっと、自然に握りしめるのだった。
「それじゃ、各々コスチュームの入ったアタッシュケースは忘れないようにな。職場体験とはいえ、プロの現場だ。雄英の生徒としての自覚を忘れるな」
駅の改札前、相澤先生のいつもの気だるげ、だけど引き締まった声が響く。手元には、それぞれの夢と覚悟が詰まったヒーローユニフォーム入りの鞄。ここでA組のみんなとは、それぞれの目的地に向けてしばしの解散となる。
「エンちゃん、がんばってね! 消防の特訓、応援してるから!」
「うん、透ちゃんもガンヘッドさんのところで格闘技がんばってね! 帰ってきたら見せてね!」
改札の向こうとこちら側で、お互いに両手をぶんぶんと大きく振り合う白煙くんと透ちゃん。
「相変わらずあの二人は、見ていてこっちが痒くなるくらい仲が良いわね」と三奈ちゃんがニヤニヤし、周囲の男子たちがハンカチを噛み締めているが、当人たちはどこ吹く風だ。
「白煙ちゃん、障子ちゃん、透ちゃん、お互い良い一週間にしましょうね」
「ああ、自分の課題を必ず克服して戻ってこよう」
梅雨ちゃんと障子くんとも拳を軽く合わせ、チーム放課後の絆を確かめ合う。
ふと見ると、緑谷くんと麗日さんが、少し離れたところで飯田くんの後ろ姿を心配そうに見つめていた。
「飯田くん、やっぱりどこか様子がおかしいよ……」
いつもなら誰よりも大きな声でクラスを引っ張る飯田くんが、どこか暗い目をして、静かに保須市行きの列車へと乗り込んでいく。兄であるインゲニウムの事件が、彼の心に深い影を落としているのは明白だった。白煙くんも微かな胸騒ぎを覚えたが、今は自分に与えられた現場に集中するしかないと、鞄を強く握り直した。
電車を乗り継ぎ、目的地であるバックドラフト事務所へと到着する。
「うわぁ……」
そこは「事務所」というより、完全に最先端の設備を備えた巨大な『消防署』そのものだった。
「ようこそ、雄英生。待っていたよ」
奥から現れたのは、消防服のようなコスチュームに身を包んだバックドラフトさんだ!
両手に装備された特殊な放水管(ポンプ)と、背中のホースから水を自在に操り、あらゆる大火災を鎮火する第一線のレスキューヒーロー。
「はじめまして! 雄英高校ヒーロー科1年、白煙薫です。一週間、よろしくお願いします!」
頭の煙をピシッと引き締まった形にして挨拶すると、奥からさらに「おっ、来たな!」「可愛い雄英生じゃん!」と、総勢10人の精鋭サイドキック(隊員)の皆さんが笑顔で集まってきた。
「早速だがケムリン、君の『個性』について、現場の全員で共有しておきたい。改めて説明してもらえるかい?」
バックドラフトさんに促され、白煙くんは一歩前に出た。
「はい! 僕の個性は『煙』です。透明化の個性のように、頭部を中心に常に白い煙が漂っている常時発動型です。体育祭で分かったのですが、炎を煙で包み込んで一瞬で『消火』することや、周囲にある有害な黒煙や爆煙を吸い取って、自分のエネルギー(容量)に変換することができます!」
その説明を聞いた瞬間、バックドラフトさんと10人のサイドキックたちの目が一斉に輝いた。
「炎の消火だけでなく、有害な黒煙の『吸引・吸収』だって……!?」
「素晴らしい個性だ! 火災現場で一番人間を殺すのは、炎そのものよりも『有毒ガスや煙』なんだよ。君のその個性は、まさにレスキューの申し子じゃないか!」
バックドラフトさんが嬉しそうに白煙くんの肩を叩く。
「改めて歓迎するよ、ヒーローの卵くん。……いや、『ケムリン』。この一週間で、君のその素晴らしい個性を、人を救うための最強の盾へと鍛え上げよう。よろしくな!」
「はいっ!!」
温かくもプロの熱気に満ちた最高の環境で、救煙ヒーロー・ケムリンの、文字通り熱い職場体験が幕を開けた。
葉隠さん魔改造その1
麗日さんと一緒にバトルヒーローガンヘッドの元へ
格闘技を覚えます
バックドラフト
プロヒーロー
原作漫画1話やアニメ1話で登場
個性不明
原作では脇役ですが、ここでは白煙くんの師匠役になります
性格も個性もここのオリジナルです
バックドラフト超強化です
これからも出てきますので、よろしくお願いします