偶然にも白煙くんと透ちゃんの回です
これからもよろしくお願いします
その後、期末実技試験はめまぐるしい展開を見せ、モニター室の白煙くんたちを一喜一憂させた。
期末実技試験・中盤戦ダイジェスト
* 根津校長先生 vs 上鳴くん・芦戸さん
校長先生の圧倒的な知略による重機誘導で、指一本触れられないまま退路を断たれタイムアップ! 完全に手も足も出ず、二人の補習が確定してしまった。
* スナイプ先生 vs 麗日さん・青山くん
容赦ない銃撃の雨あられ。応戦しようとした青山くんだったが、個性のネビルレーザーを撃ちすぎてまさかのお腹崩壊(腹痛)。しかし、そのトラブルの隙を突いた麗日さんが見事な機転でゲートへ脱出! 逃げ遅れた青山くんのみ補習決定となった。
* プレゼント・マイク先生 vs 耳郎さん・口田くん
マイク先生の「指向性音波」という完全な上位互換の個性に大苦戦。だが、普段は無口な口田くんが勇気を振り絞って大声を出し、個性を発動! 地中の虫たちを動かす機転によって、見事勝利をもぎ取った。
* 飯田くん・常闇くん・尾白くん vs パワーローダー先生
飯田くんが高速で走り回り、常闇くんがダークシャドウをパワー全開で暴れさせる! だが、パワーローダー先生の地下掘削による地盤沈下攻撃を受け、尾白くんの足場が完全に崩壊して墜落。飯田くんと常闇くんは脱出したものの、尾白くんのみ補習行きに。
* ミッドナイト先生 vs 瀬呂くん・峰田くん
妖艶に迫るミッドナイト先生の『眠り香』の前に、防衛線を築く間もなく二人ともあっさりと眠らされてしまい、リタイア。揃って補習決定となった。
凄惨な結果が重なるにつれ、モニター室に残された生徒たちの間にも、ヒリヒリとした緊張感が漂う。
『――以上で、第8試合までが終了。残る試験はあと2つ』
アナウンスの声が響く中、白煙くんは自身のコスチュームの強化手袋をぎゅっとはめ直した。頭の白い煙が、緊張と強い決意で細かく波打っている。
残されたのは、ペアは2チーム。
レスキューのプロ・13号先生に挑む、白煙くん・葉隠さんペア。
そして、最強の壁・オールマイトに挑む、緑谷くん・爆豪くんペア。
「いよいよ僕たちの番だね、透ちゃん!」
「うん! サポート科の発目さんたちに改造してもらったこのコスチュームで、絶対合格をもぎ取るよ!!」
見えないながらもガッツポーズを作る透ちゃんと共に、白煙くんはチーム放課後の意地を見せるため、13号先生の待つ演習場へと力強く歩き出した。
『第9試合、スタート!!』
白煙くんと透ちゃんのペアが挑むステージは、足場の悪い瓦礫が四方に散らばる模擬災害エリア。対戦相手は、あらゆる物質を塵へと変える『ブラックホール』の個性を持つ、レスキュー界の重鎮・13号先生だ。
「吸い込まれたら即、補習決定……! 絶対にまともに喰らっちゃダメだね」
「うん、でも私たちには『完全隠密』っていう最強の武器があるもん!」
二人は瓦礫の影に身を潜めながら、こっそりと作戦を練っていた。透ちゃんの完全な『透明化』と、白煙くんの気配を消す『煙化』。この二つが合わされば、視覚的には完全に存在を消し去ることができる。
「もし万が一、個性の間合いに引っかかって吸い込まれそうになったら、私、ガンヘッド・マーシャルアーツを叩き込むから!」
「あ、それなら僕も合わせるよ! サポート科で13号先生の宇宙服モデルを着て分かったんだけど、あのコスチュームは指先や関節が厚くて、至近距離での素早い格闘戦にはちょっと不利な構造になってるはずなんだ!」
「さすがエンちゃん、目の付け所がプロ! よーし、作戦決定!」
一方その頃、脱出ゲートの前で待ち構える13号先生は、静かに周囲を警戒していた。
(二人の個性は、どちらも『隠密』に特化している……。こちらから探しに動けば、その隙にゲートへ脱出されてしまう。ここは動かず、ゲート前で迎撃するのが最善ですね)
プロとしての的確な判断。だが、それは白煙くんと透ちゃんの予想通りの動きでもあった。
瓦礫の間からこっそりと首を覗かせ、ゲート前に佇む13号先生を発見した二人は、目配せをして二手に分かれた。
透ちゃんは死角から回り込んでガンヘッド・マーシャルアーツを叩き込む構え。白煙くんは反対側から、新しく強化された手袋の出力調整を使い、捕縛アイテムを構えて機を伺う。
そして、タイムアップが目前に迫ったその瞬間――二人は同時に突撃した!
「そこですね!」
気配を察知した13号先生が振り返り、指先のキャップを開ける。しかし、右からも左からも不穏な空気が迫り、一瞬の迷いが生じる。
(どちらが本命……!? いえ、どちらも吸い込みます!)
強力な吸引力が全方位へと放たれた。
その凄まじい風圧に抗いながら、透ちゃんが叫ぶ。
「今だっ!」
ズゴゴゴゴゴ!!!
次の瞬間、13号先生のブラックホールによって、白煙くんの顔を常に覆っていた「もこもこの白い煙」が一気にすべて吸い込まれてしまった!
常時発動型だった煙が完全に剥ぎ取られ、白煙くんの『素顔』が白日の下に晒される。
「ほわあ!? 煙がなくなっちゃった!?」
突然の風圧に目を丸くし、少し涙目になりながらも必死に突き進む白煙くんの素顔は、誰もが息を呑むほどの超絶美少年だった。さらに、吸い込みの風圧で透ちゃんの衣服(手袋と靴)も少し煽られ、隠されていた境界線が一瞬だけ見えてしまう。
美少女の輪郭と、信じられないほどの美少年が同時に真正面から突撃してくるという想定外の光景に、13号先生の頭が真っ白になった。
「――えっ!? あ、あらやだ、美少年が迫ってくるーー!?」
あまりの眩しさにプロヒーローとしての理性が一瞬だけ吹き飛び、13号先生は思わず激しく照れて、個性の出力を緩めてしまった。
その決定的な隙を、白煙くんと透ちゃんが見逃すはずがない。
「ガンヘッド・ストレート!!」
「13号先生、確保!」
透ちゃんの見事な格闘技が13号先生の懐に決まり、体勢を崩したところへ、白煙くんが強化手袋から放った捕縛アイテムをシュート! 先生の身体を瞬く間にぐるぐる巻きに縛り上げた。
『13号、行動不能! 白煙・葉隠ペア、試験合格!!』
「やったぁぁぁあ!! 合格だよ、エンちゃん!!」
「うん! やったね、透ちゃん!」
煙がもくもくと戻ってきた白煙くんは、透ちゃん(の手袋)とパチンッ! と勢いよくハイタッチを交わした。特訓とコスチューム改造、そしてほんの少しのハプニングで見事に掴み取った完全勝利だった。
その頃、モニター室の片隅では、保健室から試験を見守っていたリカバリーガールが、画面に映し出された白煙くんの素顔をまじまじと見つめながら、フフフと満足げに微笑んでいた。
「いやねぇ……実に良いものが見られたわ。心が洗われるようだねぇ……」
最高の目の保養を済ませてお茶をすするリカバリーガールを他所に、モニター室のA組メンバーは「今の一瞬何だったんだ!?」と大騒ぎ。
そして、興奮冷めやらぬ演習場に、ついに最後の地獄のチャイムが鳴り響く。
最終第10試合。緑谷くんと爆豪くんの前に、ついに「平和の象徴」オールマイトが立ちはだかろうとしていた。
13号先生、宇宙服の中身は女性でした
原作漫画読んでてびっくりしました