個性「煙」の救煙レスキューヒーロー   作:ウルトラエックス

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オリジナル回です


英雄本格活動 新生レスキュー事務所

A組宿舎・共同スペース

新聞の朝刊とスマホのニュース画面を囲み、A組の宿舎は朝からお祭り騒ぎだった。

 

「切島、ネットニュースのトップに出てるぞ! 『硬化』のヒーロー烈怒頼雄斗(レッドライオット)、衝撃のデビューって!」

 

「大阪の治安を守る急先鋒。梅雨ちゃんと麗日ちゃんも、リューキュウ事務所のメンバーと一緒に巨大化したヴィランを完璧に捕縛したって載ってる!」

 

「みんな、本当にすごいなぁ……!」

 

スマホの画面に映る、誇らしげに胸を張る切島くんや梅雨ちゃんたちの写真を見て、白煙くんは自分のことのように胸を熱くしていた。仮免を取得してからまだ数日だというのに、仲間たちはすでに「プロの現場」で確かな一歩を踏み出している。

 

「私たちも負けてられないね、エンちゃん!」

 

「うん。僕たちも今日から、あの場所へ行こう!」

 

隣で気合十分に拳を握りしめる透ちゃんと顔を見合わせ、白煙くんは力強く頷いた。

 

 

 

 

 

 

新生レスキュー事務所(旧バックドラフト事務所)。

2人がやってきたのは、神野区のすぐ近くに佇む、かつて白煙くんが過ごした「バックドラフト事務所」だった。

バックドラフト殉職事件以来、立ち入り禁止となっていたその建物の前に立つと、白煙くんの胸に当時の思い出が一気に去来する。

 

「ただいまぁ"……戻り"まじだ……!」

 

ドアを開けた瞬間、懐かしい事務所の匂いと、あの日々が頭をよぎり、白煙くんの目からボロボロと涙が溢れ出してしまう。

「エンちゃん……」と透ちゃんが優しく背中をさすってくれていると、奥からドタバタと賑やかな足音が響いてきた。

 

「おかえり、白煙くん! 待ってたよー!」

 

「透ちゃん、お久しぶり!」

 

「訓練をサボっていないな!」

 

「今日から新生レスキュー事務所、始動だニャン!」

 

現れたのは、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの4人――マンダレイ、ピクシーボブ、虎、そして笑顔のラグドールだった。

 

「今日からお世話になります……! ケムリン改めスモークドラフトです、よろしくお願いします!」

 

「インビジブルガールです、よろしくお願いします!」

 

白煙くんは涙を拭い、透ちゃんと一緒に深く頭を下げた。

今日は事務所の立ち上げ初日。

13号先生は雄英での授業や救助訓練施設の管理があるため不定期の参加。マニュアルさんも保須市に自身の事務所を構えているため、基本的には不定期のサポートとなる。

 

「間に合って良かった」

 

「よろしくな」

 

「13号先生! マニュアルさん!」

 

けれど、「今日という始まりの日だけは」と、予定を調整して全員がこの場所に駆けつけてくれていた。

事務所の奥にある、バックドラフトさんとサイドキックの先輩たちの遺影が飾られた祭壇。

 

「――黙祷」

 

全員で並び、静かに、深く黙祷を捧げる。

――皆さん、見ていてください。この場所から、もう一度たくさんの命を救います。

黙祷を終え、全員が顔を上げた瞬間、新生レスキュー事務所は力強くスタートを切った!

 

 

 

 

 

「基本的には私達プッシーキャッツが貴方達をサポートするわ」

 

「サポート?」

 

「お前がリーダーだ白煙薫!!」

 

「ぼ、僕がリーダー!?お、畏れ多いです!!」

 

プロヒーローしかもベテランの皆さんを差し置いてのリーダー役に、白煙くんタジタジになる。

 

「エンちゃん、私と一緒にいるから頑張ろうっ!」

 

「透ちゃん……分かりました。まだまだ未熟ですが、皆さんの力を貸してください!!」

 

「「「「よろしく!!」」」」

 

新生レスキュー事務所。

学生ヒーローがリーダー。

リーダーのサイドキックは同じく学生ヒーロー。

そして、学生ヒーロー2人を支えるプロヒーロー達がサポートに回る。

異例だらけのプロ事務所がここに誕生する。

 

 

 

 

 

 

都市型・山岳救助訓練 開始!

 

「よし! プッシーキャッツが得意とする『山岳救助技術』を、ここ都内の演習場に落とし込んで訓練するぞ!」

 

虎さんの野太い号令のもと、さっそく実践的な訓練が開始された。

ビル群に見立てた障害物エリアで、まずはマンダレイの個性『テレパス』が響き渡る。

 

『――南西30メートル、ビルの3階部分に要救護者2名! 煙による視界不良あり、各員急行せよ!』

 

『テレパス』が全員の脳内に直接届くため、無線機なしでも完璧な連携が可能になる。まさに司令塔だ。

ピクシーボブの個性『土流(どこりゅう)』は、コンクリートに囲まれた都市部では本来使いにくい。しかし、彼女はアスファルトの隙間からわずかな土を呼び起こし、救助隊の足場となる簡易なスロープを器用に作り出してサポートに徹する。

 

「道を切り開くぞォ!!」

 

虎さんがその恐るべき『軟体』個性を活かし、狭い瓦礫の隙間へと文字通り自らの身体を滑り込ませて、要救護者(ダミー人形)を迅速に救出。

 

「火災発生! 消火は僕がやります!」

 

救出ルートに立ち塞がる疑似的な炎に対し、白煙くんが素早く前方へ。頭部から噴き出す煙の密度を極限まで高めて酸素を遮断し、一瞬にして消火活動(窒息消火)を完了させる。

 

「エンちゃん、こっちに運んで! 治療するよ!」

 

救出されたダミー人形を、透ちゃんが手際よく安全圏へ搬送。サポート科に改良してもらった「光の屈折を応用した特殊医療キット」を使い、迅速に包帯を巻き、応急処置を施していく。

そして事務所の奥では、個性を失ってもなお輝くラグドールが、持ち前の事務処理能力をフルに活かして、この新生事務所の「経理・管制」を完璧に回していた。

 

 

 

 

 

 

別の訓練へ

午後からは、さらにユニークな試行錯誤が行われた。

「消防車は私が運転する!」と、なぜか虎さんが巨大な消防車のハンドルを握って演習場を爆走。

 

「放水開始ィ!」

 

「ふにゃー! 狙いを定めるニャン!」

 

助手席と後部から、虎さんとピクシーボブがホースを抱えて豪快に放水を決める。

 

「あはは! プッシーキャッツの皆さん、何でも全力で楽しそう!」

 

「うん、でもすごく合理的で勉強になるよ。まだ新生レスキュー事務所は始まったばかりだけど、みんなが新しいことにどんどん挑戦してるんだ」

 

消防車の赤いボディに反射する、仲間たちの真剣で、どこか楽しそうな笑顔。

失った悲しみは消えない。けれど、この新しく生まれた温かい場所で、白煙くんと透ちゃんは自分たちの「レスキューの形」を模索し、一歩ずつ、確実に強くなっていた。

 

「僕も、もっとみんなの力になれるように……頑張るぞ!」

 

夕暮れに染まる都内の空を見上げながら、白煙くんの頭からポワポワと、明日への希望に満ちた白い煙が立ち上っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白煙くんが新生レスキュー事務所で新たな一歩を踏み出し、人々を救うための光として動き始めていた同じ頃。

その対極にある闇の世界でも、静かに、そして確実に「黒い影」が動き始めていた。

薄暗いアジトの扉を開け、音もなく滑り込んできた漆黒の煙。それが意志を持つようにして人の形を成した瞬間、ヴィラン連合のトゥワイスが素早く戦闘態勢を取った。

 

「誰だテメェ!? お久しぶり!」

 

「……黒煙と申します。トゥワイス様もお元気そうで何よりです」

 

禍々しくもどこか礼儀正しいその声に、奥のソファに座っていた死柄木弔が、死んだような瞳を黒煙へと向けた。

 

「黒煙……生きていたのか。死んだと聞いていたが……」

 

「正確には、白煙薫という器の底で、より純粋な個性の残滓として生まれ変わりました。……黒霧様が捕らえられた今、私が代わりに皆様の『盾』となり、最高のサポートをいたしましょう」

 

ドス黒い煙をたなびかせる黒煙の言葉に、死柄木は「フッ……いいだろう」と不敵に口元を歪めた。

 

 

 

 

数日後、ヴィラン連合にある男が接触してきた。

トゥワイスが手引きして連れてきたその男は、極道組織『死穢八斎會』の若頭、オーバーホール(治崎廻)。

鳥のマスクを被った冷徹な男は、オールマイト引退後の裏社会を牛耳るため、ヴィラン連合を自らの「傘下」に入れようと傲慢な交渉を持ちかけてきた。その態度に、連合のメンバーの血が一気に沸き立つ。

 

「対等じゃないなら、ここでアンタをぶちのめすだけだよ!」

 

激昂したマグネが磁力を発動し、巨大な磁石を手に治崎へと突撃した。だが、治崎は手袋を外した手を素早くマグネへと伸ばす。触れれば一瞬で肉体が分解される、一触即発の瞬間――。

 

 

 

 

「――させません。『ブラックシールド』」

 

 

 

 

――ガギィィィンッッ!!!

 

 

 

 

マグネと治崎の間に、突如として鉄壁のごときドス黒い煙の壁が出現した。治崎の手がその煙に触れた瞬間、粘性を持った高密度の黒煙がその突進のエネルギーを完全に殺し、物理的な接触を遮断したのだ。

 

「チッ……コイツ、煙か」

 

治崎は不快そうに眉をひそめ、素早く間合いを取る。触れたものを分解する彼の個性も、実体のない、それでいて質量を持った黒煙の防御を突破することはできなかった。

 

「……引き際です、若頭。ここで全員を敵に回すのは合理的ではない」

 

部下の乱入もあり、交渉は決裂。治崎たちは不気味な足音を残してアジトを去っていった。

 

「ふぅ……ありがと黒煙ちゃん。マジで一瞬、死を悟ったわ」

 

冷や汗を拭いながら、マグネがホッとしたように黒煙の肩を叩く。

 

「滅相もございません。お役に立てて何よりです、マグネ様」

 

黒煙は恭しく頭を下げた。こうして、黒霧を欠いたヴィラン連合に、新たな「壊れない盾」として黒煙が完全に加わることとなった。

 

 

 

 

 

 

その夜、アジトの屋上に佇み、遠くの街の灯りを見つめる黒煙。

 

(さて……私は私のやり方で『透さん』のために動いてみますか)

 

彼の本当の目的は、死柄木たちですらも知らない。

ヴィラン連合に身を置いたのは、ただの気まぐれに過ぎない。彼の中にある唯一にして絶対の行動指針――それは、白煙くんの魂の底から分断された時も消えなかった、**「葉隠透を想う心」**そのものだった。

もしもこの裏社会の有象無象が彼女を脅かす牙になるのなら、自分がここでその牙を全てへし折る。

光の少年が彼女を守るヒーローになるのなら、自分は闇の底から彼女に迫る全ての悪意を排除する影になる。

その想いは、奇しくも光の中にいる白煙くんと全く同じだった。

光と闇に分かたれた2人の少年。

それぞれが違った形で同じ少女を想い、運命の歯車は『死穢八斎會』という巨大な混沌へ向かって、同時に回り始めるのだった。

 

 




白煙くんはオリジナル事務所でインターンです

基本的はプッシーキャッツ4人組と一緒です
13号先生(不定期)
マニュアル(不定期)

新米リーダーの白煙くん
新米サイドキックの透ちゃん
サポートはプロヒーロー達




そして敵連合のマグネ生存です
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