透ちゃん
常闇くん
ホークス
チームアップミッションスタート!
文化祭が終わり、校内が再び落ち着きを取り戻した頃。
オールマイトから1年A組の生徒たちへ、新たな特別訓練「チームアップミッション」の概要が説明された。
現在、プロヒーロー界では事務所の垣根を超えたチーム結成がトレンドとなりつつある。代表的なのは、シンリンカムイ、マウントレディ、エッジショットが結成した『ラーカーズ』だ。
生徒たちも実践的な経験を積むため、くじ引きによって派遣先のプロヒーロー事務所が決まることとなった。
白煙くん、透ちゃん、そして常闇くんの3人が引き当てた派遣先は――なんとナンバーツーヒーロー・ホークスの事務所だった!
ホークスとの対面
「この度は……僕のもうひとりの存在(黒煙)が大変なご迷惑をおかけしました。本当にごめんなさい……!」
「ごめんなさい……!」
ホークス事務所に到着するなり、白煙くんと透ちゃんは深々と頭を下げた。福岡での大惨事やテレビで観た暗躍の件もあり、申し訳なさで胸がいっぱいだったのだ。
「いやいや良いって! 気にしてないから頭上げてよ。……しっかし、本当にそっくりだなぁ」
ホークスはひらひらと手を振りながら、白煙くんの顔を興味深そうにまじまじと観察する。
「僕は……まだ直接会ったことが無いんです」
(みんな僕にそっくりって言うけれど、本当なのかな……?)と不思議そうに首を傾げる白煙くん。
そんな白煙くんを見て、ホークスはニヤリと口角を上げた。
「うーん、そうだねぇ。白煙くんが素直な『美少年』なら、向こうの黒煙はどこか影のある『魔少年』って感じかな」
「魔少年……!?」
白煙くんは絶妙な例えに思わず苦笑いを浮かべた。
狭すぎる潜入場所と、甘い密着
「で、ホークス。今回の我らの任務は?」
常闇くんが腕を組み、本題へと切り込む。
「今回の敵は、潜伏中の盗賊グループの残党。リーダーの個性が『俊足』でね。とにかく足が早いのが厄介なんだ」
「僕たちは身を隠したり救助したりはできますけど、足の速さは普通以下です……」
「そうだね、飯田くんや緑谷くんみたいにスピードに特化したタイプなら追いつけるんだろうけど……」
白煙くんと透ちゃんが自分たちの課題を口にすると、ホークスは頼もしく頷いた。
「そのあたりのスピードのカバーは俺がするから安心して。それじゃ、潜入開始!」
アジトとなっている廃ビルに潜入した一行。
作戦通り敵を追い詰めるため、白煙くんと透ちゃんは狭い資材置き場の隙間に隠れて待機することになったのだが――。
「……狭いね」
「うん……すごく狭い……」
「透ちゃん、苦しくない? 僕、もう少し体を煙にしようか……?」
「こ、このままで大丈夫だよエンちゃんっ!!」
狭い隙間で、白煙くんと透ちゃんは完全に抱き合うような体勢になっていた。
白煙くんは申し訳なさそうにドキドキしているが、透ちゃんは服の上からでも分かるほど(役得だ~!!)と密かに大歓喜。見えない顔を真っ赤にしながら、幸せな密着時間を噛みしめていた。
俊足のリーダーvsチームアップ!
「――来た! 常闇くんが上手く誘導してくれた!」
「了解! エンちゃんが動きを制限して、私が隙を見て気絶させる……ね!」
アジトの廊下を、猛スピードで駆け抜けてくる男の影。
「クソッ、ここにもヒーローかよッ!!」
「捕縛しろ、ダークシャドウ!」
「見よう見まね……ホワイトシャドウ!!」
常闇くんのダークシャドウが飛び出すと同時に、白煙くんも濃縮した煙で巨大な『ダークシャドウもどき』を作り出し、狭い通路を一気に遮断! 俊足リーダーの足場と視界を激しく制限する。
「今だ! 虎さん流! 軟体パーンチ!」
すかさず透ちゃんがしなやかなフォームで渾身のパンチを繰り出す!
……しかし!
「ハッ、甘い! 止まって見えるぜ!!」
「「「なっ……!?」」」
俊足のリーダーは驚異的な反応速度で白煙くんの煙の隙間をすり抜け、透ちゃんのパンチを間一髪で回避。見事な包囲網を、その圧倒的なスピードだけで強引に突破してみせた!
「嘘でしょ!?」
「速い……っ!」
「我々の二重の包囲網を難なく突破するとは……!」
「ハハハ! 俺のスピードは日本一だ!!!!」
勝ち誇る盗賊リーダー。……だがその瞬間、彼の耳元でひんやりとした羽の音が響いた。
「――日本一にしては、随分とゆっくりだね?」
「……え?」
リーダーが振り返るよりも早く、赤い羽が彼の手足を正確に括り付け、一瞬で取り押さえてしまった。屋根の上から軽やかに舞い降りてくるホークス。
「ホークス!!」
常闇くんがその圧倒的な神速に目を見張る。
反省会と、ナンバーツーの余裕
事件解決後、ホークスに連れられてやってきたのは、彼が行きつけにしている焼き鳥屋だった。
美味しそうな焼き鳥が並ぶテーブルで、白煙くんと透ちゃんはしょんぼりと肩を落としていた。
「お疲れ様~! 美味しいからどんどん食べてね」
「……お疲れ様です。でも僕たち、結局全然役に立っていなかったです……」
「私も……せっかくのパンチ、かわされちゃったし……」
シュンとする二人に対し、ホークスは串焼きを頬張りながら優しく笑った。
「そんなことないって! 二人が通路を狭めて動きを制限してくれたから、俺も一発で仕留められたんだよ。あのスピードで広い外に逃げられたら、捕まえるのかなり厄介だったしね」
「……厄介『でも』、ホークスなら一人で普通に捕まえられたんですよね……?」
「ねー……」
白煙くんと透ちゃんは、そろってジト目でホークスを見つめる。
ナンバーツーヒーローの圧倒的な規格外さを、肌で実感した二人だった。
「ふっ……ホークス、ナンバーツーの謙遜は時に嫌味に聞こえるぞ」
常闇くんが腕を組みながら呆れたように呟くと、ホークスは「あはは! ごめんごめん!」と楽しそうに笑い声を響かせた。
実力差を痛感しつつも、頼もしいプロの背中と美味しい焼き鳥に包まれて、3人のチームアップミッションは賑やかに幕を閉じるのだった。