デュエルカフェ ドミノへようこそ!   作:ジェム貯めナイト

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ミコのフェイバリット VS剛鬼前編

 デュエルカフェでのバイト、その初出勤日。

 

 先輩となる妹に仕事を教わりつつも、お客との接客デュエルを見て学んでいる最中だ。

 

 ミコLP8000 男子学生LP8000

 

「ミコから始めるね。まずはヴァレット・ローダーを召喚だよっ!」

 

 やっぱり――。

 愛用するヴァレットデッキで接客するみたいね。

 

「ヴァレットですか」

 

「そう! ミコね~、アニメ遊戯王だとリボルバーが推しキャラなんだ」

 

 妹はスリーブ裏面に描かれた男キャラを指差してそう告げた。

 

 妹が最初に興味を持ったキャラだからよく知っている。

 “あのシーン”は衝撃的だったものね。

 

「ローダーの効果。モンスター1体を手札に加えて、ストライカー・ドラゴンをリンク召喚!」

 

 早速リンク召喚。

 効果で更にフィールド魔法1枚が妹の手札に加わる。

 

「そしてフィールド魔法リボルブート・セクターを発動して、効果発動。手札からアネスヴァレット・ドラゴンとオートヴァレット・ドラゴンを特殊召喚するよ」

 

 ヴァレットにとっては展開の要となるフィールド魔法だ。

 

 でも普段の私とのデュエルだと、もっとモンスターがバンバン出てたけど――。

 

「更にヴァレットがいるから、手札のアブソルーター・ドラゴンも特殊召喚っ! これで4体――」

 

 妹はフィールドに揃った4体のドラゴンを墓地へと移動させ、EXデッキから1枚のモンスターをフィールドへと置いた。

 

「この4体で、ヴァレルロード・ドラゴンをリンク召喚!」

 

 来た!

 リボルバーのエースモンスターだ!

 

「……確かにカジュアルですね」

 

 相手の男子学生はホッとしたようだ。

 

 彼の言う通り、本来ならばここからモンスターがズラリと並ぶのがヴァレットデッキ。

 

「アニメ遊戯王っぽくリクエストしてもらったからね~」

 

 妹の何気ない一言で気付いた。

 

 そうだ。今回はデュエルカフェでのカジュアルデュエル。

 

 ガチで展開するより、アニメでの使用キャラになりきるのが接客としては正しいってことね。

 

「アブソルーターの効果。ヴァレット1体を手札に加えるよ。そして永続魔法ヴァレル・サプライヤーを発動してターン終了っ」

 

 追加でカードがフィールドに置かれ、妹から男子学生へとターンが渡る。

 

 ミコ 手札2

 

 場:ヴァレルロード攻撃力3000

 

 フィールド:リボルブート・セクター

 

 魔法&罠:ヴァレル・サプライヤー

 

「それじゃあミコちさん、行きますよ?」

 

「は~い! 遠慮なく来ちゃってぇ~!」

 

 男子学生はカードを引く。

 

 引いたカードを見た途端、彼の目つきは変わった気がした。

 

「スタンバイフェイズにヴァレル・サプライヤーの効果で、墓地のアネスヴァレットを特殊召喚するよ」

 

「剛鬼スープレックスを召喚。効果で剛鬼ツイストコブラを特殊召喚!」

 

 剛鬼デッキか。

 まるでアニメVRAINSの再現みたいね。

 

「この2体でリンク召喚します。現れろ! 剛鬼シーク・オーガ……!」

 

 2体の剛鬼がフィールドから墓地へ送られ、リンクモンスターがEXモンスターゾーンに置かれる。

 

 ここからが本領発揮だ。

 剛鬼の展開が始動を始める。

 

「スープレックスとツイストコブラによって、2枚の剛鬼を手札に加えます」

 

「ってことはぁ~、使った手札2枚が丸々戻ったってこと!?」

 

 リンクモンスターまで繋げたのに、相手の手札は6枚から減っていない。

 

「更にシーク・オーガの効果で、剛鬼ライジングスコーピオと剛鬼ヘッドバットを特殊召喚」

 

 彼は更に手札に加えたばかりのカードを妹に見せ、フィールドに出した。

 

「そして3体で剛鬼ザ・ジャイアント・オーガをリンク召喚!」

 

 剛鬼のリンク4モンスターが現れた。

 

 しかも剛鬼がフィールドから墓地へ送られた。

 ということは――。

 

「再び剛鬼の共通効果。剛鬼再戦と剛鬼マシン・スープレックスを手札に加えます」

 

「またサーチ……まだまだ展開する気でいるね」

 

 妹の言う通り、剛鬼の展開力には感心せざるを得ない。

 新規カードが出てから、ここまでできるようになったのね。

 

「こっちも魅せないと! アネスヴァレットを対象に、ヴァレルロード・ドラゴンの効果発動だよっ!」

 

 妹も負けじとエースモンスターの効果を発動した。

 あのギミック、銃と弾丸の関係をうまく現していて、本当に完成度が高い。

 

「Lモンスターの効果対象になったから、アネスヴァレットの効果! 弾丸となり、ジャイアント・オーガの攻撃と効果が封じられる!」

 

「ジャイアント・オーガは、自分より攻撃力が低い相手モンスターの発動した効果を受けません」

 

 銃と弾丸のギミックで止めようとしたけど、その効果は強固な耐性に阻まれた。

 こんなのを出されて、妹はどう対処するんだろう?

 

「更に剛鬼再戦を発動。墓地からスープレックスとツイストコブラを守備表示で特殊召喚。バトルです!」

 

「だけど攻撃力は互角だよ?」

 

「いいえ、スープレックスをリリースしてツイストコブラの効果発動! このターンジャイアント・オーガの攻撃力がアップ。更にジャイアント・オーガの効果発動!」

 

「あっ!? これで攻撃力が4800――更に5800になっちゃった!?」

 

 ミコLP8000→5200

 

「だけどヴァレルロードが破壊されたから、手札からヴァレット・リチャージャーの効果発動! 墓地からアブソルーターを特殊召喚するよ!」

 

 妹もタダではやられなかった。

 墓地からモンスターを蘇生させて次のターンに備える。

 

「ターン終了。ジャイアント・オーガの攻撃力は3000に戻る」

 

「エンドフェイズにアネスヴァレットの効果発動っ! シルバーヴァレットを特殊召喚!」

 

 これでモンスターが2体。

 次のターンへの備えを即座に整えられたあたり、昔よりも切り返しがうまくなったみたいね。

 

「ヴァレルロードはやられたけど、ミコのデュエルはまだまだこれからだよっ!」

 

 ヴァレットは、妹が初めて自分で買ったデッキだ。

 思い入れも深い。

 

 少し優勢になったくらいじゃ、うちの妹はめげないわよ。

 

 男子学生手札5

 

 場:ジャイアント・オーガ攻撃力3000 ツイストコブラ守備力0

 

 魔法&罠:

 

「ミコのターン! ……来た!」

 

 妹が引いたカードを確認する。

 

「速攻魔法スクイブ・ドロー! シルバーヴァレットを破壊して2枚ドロー!」

 

 再びカードを引く。

 

 妹の目が一瞬輝く。

 目当てのカードは引けたみたいだ。

 

「ミコはアブソルーターをリリースし、スピードローダー・ドラゴンをアドバンス召喚。アブソルーターとスピードローダーの効果で、ヴァレット3体を手札に加えるよ!」

 

「一気に3体もサーチですか……!」

 

 対戦する男子学生も驚愕する。

 剛鬼並みのサーチで巻き返しを図るのね!

 

「そしてリボルブート・セクターの効果! 手札からシェルヴァレット・ドラゴンとメタルヴァレット・ドラゴンを特殊召喚!」

 

「来る……!」

 

 男子学生も身構える。

 妹が次なる切り札を出そうとするのを察知したみたいだ。

 

「スピードローダーとシェルヴァレットでデリンジャラス・ドラゴンをリンク召喚。更にヴァレット・キャリバーを特殊召喚!」

 

「――これで効果モンスターが3体以上……」

 

「ミコはデリンジャラス・ドラゴン、メタルヴァレット、ヴァレット・キャリバーで、ヴァレルソード・ドラゴンをリンク召喚するよっ!」

 

 現れたのは、銃剣をモチーフにした2体目のヴァレル・ドラゴンだ。

 

 リボルバーとGO鬼塚のデュエルも、確か最後はこの2体が対面してたよね。

 その場面をテレビで見ていたことを思い出すな~。

 

「バトル! ヴァレルソードでジャイアント・オーガを攻撃するよ! この攻撃時にヴァレルソードの効果発動!」

 

 戦闘するモンスターの攻撃力の半分を自身に加え、その数値分そのモンスターの攻撃力をダウンさせる。

 

「先に攻撃力アップしてから攻撃力ダウンさせる。だからジャイアント・オーガの耐性をすり抜けられるんだっ!」

 

 妹の説明に、私自身なるほどと思った。

 カードごとの裁定も覚えて、それを言語化して伝えるのも求められるわけね。

 

「今のは聞いていて分かりやすかったわよ」

 

「えっ、本当に……!?」

 

 私に褒められた妹は、得意げな笑みを見せた。

 ここでは妹が先輩、頼りになる姿を見せられたことが嬉しかったみたいだ。

 

「くっ……ならジャイアント・オーガの効果! 攻撃力を1000アップさせる! それにジャイアント・オーガは戦闘では破壊されない!」

 

 男子学生LP8000→6000

 

「残念、耐えられちゃった……」

 

 再び盤面を見た妹は、カードを1枚伏せてターンを終えた。

 

「じゃあターン終了時にシルバーヴァレットの効果で、エクスプロードヴァレット・ドラゴンを呼ぶよっ!」

 

 またしても破壊をトリガーに新たなヴァレットが現れる。

 

 あの伏せカード、妹のデッキ的に“アレ”の可能性が高いけど――。

 

 プルルルル――。

 

 その時、貸し出された機械が鳴り、厨房から注文が完成したという連絡が入る。

 

「メニューが準備できましたので、配膳させて頂きます」

 

「あっ、お願いします」

 

 山場だけど、仕事だし行くしかないか。

 

 一度デュエルを観戦するのを止め、踵を返してカウンターから立ち去る。

 

 戻ってくる頃には、どんな攻防が始まっていることやら……楽しみを残しつつ厨房へと向かうのだった。

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