デュエルカフェ ドミノへようこそ! 作:ジェム貯めナイト
妹の接客デュエルを見て理解が深まった。
デュエルカフェ店員とは、お客が求めるデュエルをプレイングで答えるのが仕事だ。
そして私はゆや君のデュエルも参考にするため、彼が接客しているカウンターへと見学しに向かった。
「では、始めましょう」
私とは違う高校で、先輩スタッフのゆや君――山田 裕也(やまだ ゆうや)君は、年上の男性客とのデュエルを始めたところだった。
裕也LP8000 男性客LP8000
「私も見学していいですか?」
今はお客も少なく、妹が対応した男子学生とゆや君が接客する相手しかいない。
「どうぞ。ナミコさんも見ていってください」
ゆや君は私が見学するのを快く受け入れてくれた。
「おっ、新人かな? ぜひ見ていってくれ」
相手する男性客も見学を了承する。
「今日から入りました。ナミ……コです」
「ナミコさんね。よろしく」
彼は5枚の手札を引くと、一言そう答えた。
危なかった。
早くお店での名前に慣れないと――。
「じゃあ僕から行きます。フィールド魔法ユニオン格納庫を発動します!」
先行はゆや君だ。
ユニオンデッキかな?
早速デッキからモンスターを手札に加えた。
「Y-ドラゴン・ヘッドを召喚し、ユニオン格納庫の効果発動! デッキからZ-メタル・キャタピラーを装備させます」
「通称XYZか。だがあと1体足りないぜ?」
「いえ、これで揃います。続けて永続魔法X・Y・Zコンバインを発動。そしてY-ドラゴン・ヘッドとZ-メタル・キャタピラーを除外し、YZ-キャタピラー・ドラゴンを特殊召喚!」
ゆや君のフィールドには、除外させた2体を合体させたかのようなモンスターが置かれた。
「そしてデッキからX-ヘッド・キャノンを特殊召喚。更にキャタピラー・ドラゴンをEXデッキに戻してX・Y・Zコンバインの効果発動!」
「なるほどな。分離させることで揃えたのか……!」
合体したモンスターが分離し、XYZの3体がフィールドに揃った。
「除外状態のY-ドラゴン・ヘッドとZ-メタル・キャタピラーを特殊召喚します。そしてXYZの3体を除外。XYZ-ドラゴン・キャノンを特殊召喚!」
早速出てきた。
海馬が神の召喚のために使った3体合体のモンスターだ。
「カードを1枚伏せてターン終了です」
「まずは第一段階――といったところか。俺のターン!」
男性客はカードをドローする。
裕也手札2
場:XYZ-ドラゴン・キャノン攻撃力2800
フィールド:ユニオン格納庫
魔法&罠:伏せ1
「捕食植物オフリス・スコーピオを召喚し、手札のモンスターを捨てて効果発動! デッキから捕食植物ダーリング・コブラを特殊召喚!」
彼が召喚したのは、アニメアークファイブでユーリが使った捕食植物だ。
「レベル3が2体――エクシーズか、それとも――」
ゆや君も、男性客の次なる手を予想し始める。
「そしてダーリング・コブラの効果で、デッキから烙印融合を手札に加える」
烙印融合……!
なるほど、捕食植物と組み合わせた融合デッキってところね!
「烙印融合を発動。俺がデッキから墓地へ送り融合させるのは――アルバスの落胤と“こいつ”だ!」
男性客はデッキから2体のモンスターを見せる。
1枚は発動に必要なアルバスの落胤。
もう1枚は……えっ!?
「絶望神アンチホープ! この2体で神炎竜ルベリオンを融合召喚……!」
アンチホープって……弱いとかネタ扱いされてるあのカード!?
「教えてなかったね。今回のリクエストは、召喚が難しいモンスター同士でのデュエルだよ」
ゆや君がこのデュエルでのリクエストを教えてくれた。
普段なら活躍が難しいカードを活躍させたい。
だからゆや君もその条件にあったデッキを選んだんだと。
「続けて手札1枚を捨ててルベリオンの効果発動! オフリス・スコーピオとダーリング・コブラをデッキに戻して融合。捕食植物アンブロメリドゥスを融合召喚!」
「E-HEROまで入っているのね……」
捨てられたシニスター・ネクロムを見て、彼のデッキが融合に特化したデッキだと気付く。
「そして融合召喚したアンブロメリドゥスの効果で、デッキから捕食植物トリアンティスを手札に加える。そして自身をリリースして効果発動。デッキから捕食植物ロンギネフィラを特殊召喚する!」
ロンギネフィラもフィールドに出た時サーチ効果を発動できる。
アンブロメリドゥス、ロンギネフィラと連続でサーチ効果を使い、彼が手札に加えたのは2体の捕食Pモンスターだ。
「俺は捕食植物トリアンティスとブフォリキュラをPゾーンに発動。ペンデュラム召喚! 捕食植物ビブリスプ! 更にPゾーンのトリアンティスとブフォリキュラの効果で2体を融合」
ペンデュラム召喚まで使うのね!
そこから更に、融合召喚まで繰り出してくるなんて――。
「捕食植物キメラフレシアを融合召喚し、融合素材となった2体の効果発動! トリアンティスを手札に戻し、ルベリオンとキメラフレシアに捕食カウンターを置きレベル1にする!」
これでレベル1のモンスターが4体揃った!
こんな簡単に条件を満たすなんて……そこまでしても出したいって気持ちがひしひしと感じられるわ。
「俺はルベリオン、ロンギネフィラ、ビブリスプ、キメラフレシアを墓地へ送り、墓地から絶望神アンチホープを特殊召喚! 現れろアンチホープ……!」
満を持して、そのモンスターがフィールドに姿を現す。
現れたのは、攻撃力5000を誇るレベル12のモンスター。
それでも、この手間を考えれば思い入れがなければ使おうとは思わない。
「まずは召喚、おめでとうございます」
ゆや君が彼を褒め称える。
手間をかけて出したら、その働きを労うのも接客の一部みたいね。
「ああ。ビブリスプの効果で、デッキからサンデウ・キンジーを手札に加える。問題はどう活躍させるかだが、墓地のシニスター・ネクロムを除外し効果発動。デッキからE-HERO ヘル・ゲイナーを特殊召喚する」
ヘル・ゲイナー……覇王十代が使用した2回攻撃を付与させるモンスター。
……彼の目的が見えてきたわ。
「ヘル・ゲイナーを除外しアンチホープを対象に効果発動。フィールドにいる限り2回攻撃できる!」
「攻撃力5000を最大限生かす気ですね」
そう言いつつも、バトルフェイズが始まろうとするのを察したゆや君は、伏せていたカードを発動させた。
「永続罠おジャマパーティ! デッキからおジャマジックを手札に加え、これを捨てます。そして墓地へ送られたおジャマジックの効果で、デッキからおジャマ三兄弟を手札に加えます」
「ならバトル 俺はアンチホープでXYZ-ドラゴン・キャノンを攻撃!」
「機械族・光属性の融合モンスターが破壊される代わりに、おジャマパーティの効果で墓地のおジャマジックを除外します」
「だがダメージは受けてもらうぜ!」
男性客はお決まりのセリフを発した。
破壊できなくとも、ダメージ計算は通常通り適用されるからだ。
裕也LP8000→5800
「更にヘル・ゲイナーの効果で連続攻撃だ!」
「手札のおジャマ・ブルーを除外して、もう一度破壊を無効!」
裕也LP5800→3600
「ふぅ……なんとかXYZを残せました」
「ターン終了。このアンチホープをどう攻略するかな?」
男性客は不敵に笑う。
「どうするの……?」
「決まっているでしょう? こちらも応えるまでです!」
ゆや君も男性客に張り合うかのように、未だ姿を見せない超大型モンスターの召喚を目指している。
デッキに手を掛け、カードを引く。
彼もまた、ロマンある大型モンスターを召喚するため動き出したのだ。
そう私が理解するまで、時間はかからなかった。