「思い上がったお前に思い知らせてやる!」
「やれるものならやってみろ正義の味方!」
ブレイカムブレイカーが火を噴き、佐倉の槍がそれを弾く。
<カリバーモード!>
距離を詰めてくる佐倉に弾幕を張ることを諦めた俺は武器を近接形態に切り替え切り結ぶ。
「こっちの土俵なんだよ!」
佐倉の槍は蛇腹形態や多節棍形態に切り替えることで中距離において変幻自在の軌道を可能とする。
対してブレイカムバスターはロングバレル故の高火力のランチャーモードに、大重量高パワーのカリバーモードがコンセプト。
武器対武器ではこちらが不利だ。
「そらそら!」
槍に武器がからめとられる。
なので俺はそのまま綱引きをするより武器を手離し、胸のカプセムを回す。
<イレイス!>
ミッションスーツの性能を引き上げてインファイトに持ち込む。
いくら常識外の力を行使する魔法少女とは言え、擬装した俺の方が体格、パワーで勝る。からだ。
人飛び出懐に入り、腕をつかみ上げ連続パンチを叩きこむ。
「うわっ顔面……」
「やめて小鷹君!」
二人から声が上がるが俺は構わずさらにパンチを叩いこんで確実にグロッキーになると投げ飛ばして距離を造る。
「言ったはずだ。思い知らせると」
俺はインヴォーカーのカプセムをガンカプセムに切り替え、トリガムを三回押し込んでからカプセム中央のスイッチを押す。
<ナイトメア!バニッシュ!>
俺の手に黒いマスケット銃が出現。
影の中から出現した三本のリボンがアンカーと砲身の生成を行う。
「その技……まさか!」
驚愕する佐倉が爆炎の中に消えた。
「……ティロ、フィナーレ」
「な、なんであんたがマミさんの技を!?」
「カプセムとは悪夢を封じる力。
魔法少女の悪夢を封じても何も不思議はないだろう?」
「魔法少女の、悪夢?嘘……そんなまさか!」
「やめなさい」
鹿目が何かに気付いて声を上げそうになるが、ふいに俺たちの背後から冷たい声がする。
「暁美……やはり介入してきたか」
「小鷹賢政……私はあなたがもう少し賢いと思っていたわ」
「お前こそ。佐倉を助けるとは意外だ」
いきなりに現れた暁美は着弾直前の佐倉を助けたらしい。
変身解除された佐倉が暁美の足元で膝をついている。
「なんで……なんでマミが絶望したらその玉っころでマミの魔法が使えるようになるんだよ!?
お前、マミになにしたんだ!?」
「絶望し、魔女という悪夢に沈んだから倒した」
暁美以外の全員が俺の言葉に理解が追い付いていようだった。
「キュウべぇ」
「呼んだかい?ノクスナイト」
「っ!」
暁美は俺が呼び出したキュウべぇを撃とうとしたが、俺がガンカプセムのスイッチを押すと俺の影の中から出現したリボンが防ぐ。
「ママの躾がなってないな。
落ち着きを東京に置いて来たか?」
「黙りなさい。どうして今そいつを呼ぶ必要があるの?」
「製造元に確認を取るためだ」
「製造元って……」
「ソウルジェムが絶望で満ちるとグリーフシードに転じるのは仕様か?」
一瞬、時が止まったように感じた。
なんとなく思い当っていた、そして理解したくなかった現実が冷たい刃物になって突きつけられたからだ。
「仕様、仕様か。言い得て妙だね。
確かにもうしようと言ってしまってもいい」
「そうか」
それだけ聞くと俺は擬装を解除して帰路に就く。
「おい待て!場を引っ掻きまわすだけ引っ掻き回しておいて帰るな!」
「知るか。俺がエージェントの道を選んだように、魔法少女の道を選んだのはお前らだ。
そこに不都合な事実があろうがなかろうか、俺には関係ない。
せいぜい自分の現状を正しく認識して悔いのない選択をするんだな」
俺は鹿目からバリアーカプセムを回収するとその場を後にした。
See you next mission.