地球外の存在、キュウべぇと契約し、ある願いを叶える為に魔法少女になった中学二年生。
時間操作の魔法で何度も同じ一か月を繰り返す中、突如現れたいレギュラー、小鷹賢政。
彼が敵か味方かもわからないまま、私は新しいループを始める。
暁美の魔法により一か月の時間をさかのぼった俺は装備一式をもって暁美と合流すると、驚く彼女と最低限の情報交換を終わらせると、俺たちは神浜に来ていた。
「どうして神浜なの?」
「ワルプルギスの夜相手に毎度毎度決定的に足りないのは戦力なんだろう?
一人当てがある。そのまま協力させ続けられるなら、巴先輩たちとの協力も円滑に進められるかもしれない」
俺は暁美にナイトインヴォーカーを渡しながら言った。
「どうしてこれを私に?」
「それを持っていればブレイカムバスターを使える。
まだ武器の調達が済んでないから間に合わせだ」
「……礼は言っておくわ」
ぶっきらぼうに告げる暁美に肩をすくめる。
まあ、体感時間半日前に本気で殺し合ったにしては悪くない反応なんじゃなかろうか?
俺と暁美は無駄話の一つもなく目的の場所に着く。
「確かここだ」
「この辺りにその魔法少女が居るの?」
「ああ。前に魔女退治で金稼ぎをしている奴に獲物を横取りされた」
「……ねえ、それ当てにしていいの?」
「少なくともこっちがお客でいるうちはな」
そう言って俺がノクスドライバーを装着するのと、暁美が何かに気付いて走り出すのは同時だった。
「魔女か?」
「ええ。結構近い!」
そう言って走っていくと、路地裏に複数人の少女が入ろうとしていた。
「いた。あの金髪だ」
<ウルフ!>
俺はウルフカプセムをセットし、スイッチを押し込む。
右腕を顔の左前に持っていき、両手でバックルを覆うように持ち、360度回転させる!
「変身!」
<ウワッハッハッハッハッ!ライダー!
ノクス!ノクス!ノォクス!ウルフ!>
ライダーノクスウルフシャドウに変身した俺は少女たちに続いて魔女結界に突入していく。
振り向くと、暁美もブレイカムバスター片手に変身してついてきている。
「どっかーーーん!」
見ると組んでいたはずの魔法少女たちを置き去りにしてフェリシアが突っ込んで行っている。
「本当に彼女を当てにするつもり?」
「少なくとも対価と誠意さえ見せれば大丈夫……なはずだ」
俺は飛び出すと腕部武装で主人である魔女を助けようと群がる使い魔を倒す。
「もう一匹いたか!ばこーーーん!」
「っ!」
<ウルフ!>
振り向きざまに横なぎに振るわれたハンマーを避けれないと判断した俺はカプセムをタップして影の分身を盾に回避する。
大きく後ろに飛ぶとまた俺が元居た場所に大穴が空いた。
「あなた、自分で気付いてなかったの!?」
他の魔法少女と連携しながらブレイカムバスターで弱った魔女を攻撃しながらほむらが驚いた声を上げる。
俺は訳が分からないままフェリシアの攻撃を避け続ける。
「そのベルト、魔女の力で変身してるのだから魔女の魔力を感じるのよ!」
「なんだと?」
夢の中でしか変身したことがなかった上に、魔法少女たちの様に自前の能力で魔女を探していたわけではない俺はその事実に全く気付けてなかった。
だが幸いにして結界の主の魔女は暁美たちが倒してくれたので俺はフェリシアの次の攻撃を避けた瞬間に変身を解除した。
「よく見ろ俺は人間だ!」
俺の頭が割れたザクロになる寸前でハンマーが止まった。
そして武器を消してフェリシアは俺をしげしげと見つめる。
「本当に魔女じゃねえのか?」
「このベルト自体は魔法少女の願いの力で生み出された魔女の力が扱えるようになる装置で、使っている俺はナチュラルな人間だ」
「へー……で?態々つけてきてたんだからなんか様あるんだろ?」
「ビジネスの話がしたい。場所を変えよう」
フェリシア以外の魔法少女たちには今回倒した魔女のグリーフシードと俺のストックを渡してお引き取り願い、俺と暁美はフェリシアを伴って『中華飯店 万々歳』と書かれた店に入る。
「知ってる店なの?」
「いや、前の時間で来た時に通りがかったことがあるだけだ」
「こうゆう中華屋って、当たり外れが激しくないかしら?」
「オレは奢ってくれんならなんでおいいぜ」
四人掛けのテーブルに案内してもらい、注文を終えると話を切り出す。
「隣町の見滝原は分かるか?
一か月後、そこに最強の魔女『ワルプルギスの夜』が到来する。
君にはその時戦力になってもらいたい」
「いいぜ。どうせ全部の魔女をぶっ潰すつもりなんだ。
魔女退治は一回千円。あ、でも一か月続くからえーっとそうだな。
とりあえずここの奢りと……」
「何を勝手に話を進めている?」
フェリシアのそろばん勘定を誰かが遮った。
俺ではないし、暁美でもない。
見るといつの間にか暗い眼をした背の高い三十代前半ぐらいの痩躯の男性だった。
「かってなインキュベーター被害者との共闘に勧誘。
『ワルプルギスの夜』にその開発記録のないドライバーにカプセムに関する報告遅れ。
言い逃れの余地はないぞ、フォー」
俺のことをフォーと呼んだ男の右の人差し指には、『3』と彫られた指輪が鈍く輝いている。
「ん?なんだよオッサン。
この胸にベルトの兄ちゃんの知り合いか?」
「ちょっとお客さん?他のお客さんに絡むんだったら……」
店の少女が男に注意しようとすると、暗い瞳の男は迷わずフェリシアの隣に座り
「究極四千年定食一つ。このテーブルの支払いはまとめてこれで」
そう言ってクレジットカードを渡した。
「それで、仕事の話だったな」
「だから誰だよオッサン。
奢ってくれるのはいいけどまず名乗れよ」
隣のフェリシアをうざったそうに一睨みしてから男は告げた。
「極秘防衛機関『CODE』日本支部所属のエージェント。
コードナンバーはスリー」
この時は思っていた。
進めばよい未来があると。
だが俺は何も分かっていなかった。
極秘防衛機関『CODE』。
この組織の、深い深い闇を。