極秘防衛機関『CODE』に所属し、この世の悪を撲滅するエージェント……という夢を見ていた普通の中学二年生。
夢と現の合間で出会った同い年の魔法少女、暁美ほむらと共に一か月後に到来する最悪の魔女、ワルプルギスの夜と戦うことになった俺は仲間を募っていたのだが……夢だとばかり思っていたCODEは、なんと実在した。
俺と同じエージェントを名乗った男、スリーに連れてこられた俺、暁美、深月の三人は町外れの廃墟に来ていた。
「ここだ。少し待て」
スリーは俺が持つのと同じコードフォンを操作してから扉を開けると中へと入っていく。
「ここ二階の角部屋だぞ?」
「行こう」
まず俺が、そして魔法少女二人が後に続く。
そこには洒落たテーラーやカフェを思わせるブリーフィングルームがあった。
「すげー……外国の映画に秘密基地みてぇ!」
「みたい、ではなく本当に秘密基地だよ」
一段高いところに設置されたデスクの椅子が回転し、半分は外国人の血が入っているだろう初老の男がこちらを向く。
「はじめまして。フォーとその友人たち。
私はコードナンバー:
階段を下りて俺たちの目の前にきたゼロは握手を求めてきた。
俺はその手を取り、一番聞きたかったことを聞いた。
「あなたですら、CODEのトップではないんですね」
「ああ。日本では幕末の頃から存在し、通常の方法では対処できない人類を脅かす脅威から人々の自由と平和を守るために戦っている」
司令官ゼロは俺たちを招き、スリーに下がる様に促す。
どうやら上官に対する敬意は対してないらしく、義務的に一礼してスリーは去っていった。
残された俺たちは促されるままにテーブルにかけた。
「紅茶でいいかな?」
「お菓子はねえの?」
「あなた、少しは遠慮なさい。
というか、罠とか思わないの?」
「え?だって仕事の話するんだろ?」
「はっはっはっ!強かなお嬢さんだ。ビスケットでいいかね?」
出された紅茶に深月が胸やけしそうなほどに砂糖を入れてスプーンで混ぜている間に、ゼロは話し始めた。
「我々も元々ナイトメアと呼ばれる人の夢……深層心理に潜み明晰夢の力で実社会にも害をもたらす怪人に対抗する中で、魔女に魔法少女。
そして君たちがキュウべぇと呼ぶ存在に確信を持つに至った」
「そしてナイトメアとの対決に用いていたこのベルトを魔女退治にも使うようになった」
暁美が胸のナイトインヴォーカーを外してテーブルに置いた。
「そうだ。
そしてナイトシステムを扱えるのは強力な明晰夢の資質を持つ者だけ。
本来は特殊な訓練を受けなければ覚醒しない力だが、極稀に生まれ持って高い明晰夢の適性を発揮する者もいる」
「それが俺ですか?」
「そうだ。
我々は君をエージェントに育て上げる為に明晰夢に介入。
インヴォーカーとカプセム、そして任務を与えた」
「いずれ人類の守護者に仕立て上げるために?」
「おい暁美!」
「構わない、フォー。彼女の言うことも事実だ。
本来ならあと数年かけて君を一人前にするつもりだったが、君の明晰夢の力は我々の想像を超えていた」
そう言って司令官ゼロは俺の胸に装着されたノクスドライバーを指さした。
「話してくれないか?
そのドライバーを手に入れた経緯、そしてそちらの魔法少女たちと関わった経緯も」
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「なるほど。時間逆行とは」
自分のオフィスに戻っていたスリーは以前のループやドライバーの入手経路について話す4人の会話を聞いていた。
「ワルプルギスの夜か……」
CODEの資料でも名前と、最低でもスーパーセル規模の破壊力を持つということだけは分かっている最大規模の魔女だ。
「インキュベーターに先を越される前にエージェントの増員は必須か」
そう言ってスリーは自分のコードフォンを操作。
表示されたのは、見滝原中学校の生徒の個人情報だ。
エージェントにはミッションの遂行、及び新たなエージェント候補の選定のために一部国家機密を除くあらゆる情報の閲覧が許可されている。
「適性は、今晩調べるとするか」
そう言ってスリーは現在残っているタスクの処理を始めた。
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「あら?これは……」
『CODE』の極秘拠点の一つ、その地下にて。
鉄格子のはめ込まれた二重扉で外界と隔てられたラボのような部屋に妙齢の女がいた。
黒いドレスに、眠たげな瞳でひたすらに作業を続けていた女は画面に表示されたデータを前に小さく微笑む。
「まさかゼッツ計画より先に明晰夢の力で仮面ライダーの変身装置が完成するなんてね」
そう言って女は送られてきたノクスドライバーのデータの横にナイトインヴォーカーの図面を並べ、比較しながら新たなインヴォーカーをくみ上げていく。
そして同時に、変身機構こそオミットしながらノクスドライバーをそのまま手甲型にしたようなアイテムの図面もくみ上げていく。
「かわいそうな坊や。
こんな組織に目を付けられたばっかりに、死んだ女の数字を与えられ、彼女と同じように命果てるまで踊らされる。
本当、悪夢みたいな組織」
かつて組織を裏切り、ついぞ抗いきれなかった自分を嗤う。
今は一目見ることすら敵わない娘も、彼と、新しいフォーと同じぐらいだろうか?
そんなことを考えながらコードナンバー:
組織の支援を取り付け、ワルプルギスの夜を倒すために。
そして鹿目を魔法少女にしないために行動を開始する俺たち。
だが既に組織、そしてインキュベーターはすそれぞれの目的を果たすために行動を介していた。
新たなインヴォーカーのロールアウト。
そして、ゼッツ計画が動き始める。