プロローグ
――Side ???
桜舞い散る季節。
ソレは出会いと別れの季節でもある。
オレは……本来より2年遅い高校生活の始まりに胸を馳せていた。
目線を動かすと、隣で美少女がバスの車窓から外の景色をぼんやりと見ている。
「……何?」
「美女なら黄昏るような様子でも絵になるな」
「……そう」
彼女は綾川清華。
孤児として育った――ことになってる少女だ。
同時にオレ――千手頼久と共に高度育成高等学校に入学する女子学生でもある。
そして本当の名前は綾小路清香でホワイトルームというところで育てられた最高傑作だ。
……やはり何度確認しても、高育と綾小路とホワイトルームでよう実の世界なんだなと再認識してしまう。
オレにわかだから一年生編の一部しか知らないし、オレという異物や、欧州にいるミレニアム超えの年齢重ねた怪物とかソイツ率いる複合企業とかあるから完全に同じ世界ではないのだろうが。
「……にしても、2本も早いバスで来ることなかったんじゃないの?」
清華の言葉にオレは肩を竦める。
「バスが混雑してたらめんどくさいし」
「群れるの嫌いなくせに、わざわざ2年遅れの高校生活に飛び込む思考がわからない。……いや、認識阻害してホワイトルームで白昼堂々と試験に参加したり、私を連れ出してるようなトンチキの時点で、まともに相手してはダメな類だったわね」
「ひどくない?」
「気に入った相手に向ける情緒ぐちゃぐちゃすぎて仮面をタマネギみたいに被るけど本質ちいかわ、相手が色的に誘ってきたらフラフラ引き寄せられる色欲制御下手くそ、面倒くさいとか言いつつなんだかんだ面倒事引き受ける流され野郎……まだ羅列してもいいけど」
すると清華の後ろの席から手が伸び、清華の肩を掴んだ。
反射的に清華が手をつかんで外そうとしたが、外れない。
「清華、ダメ。御主人様傷つく」
背後にいた娘……神裂恋が忠告程度に力を抑えてそう告げる。
「……そうね。恋。御主人様をいじめちゃだめね」
「ん」
恋姫†無双の呂布その人と瓜二つな彼女が清華の肩から手を離してスッと引く。
「にしても……このバスに乗ってる一年生?たち……もしかして……」
ちら、と周りを見る清華。
バスには十名程の乗客。
オレや清華、本人が拒否した恋等を除いて制服の襟に有角の獅子――主に欧州で国境を跨ぎ一大勢力を誇る黄金の獣『ゲルマニアグループ』の総帥から認められた血族以外身につけられない――その紋章が刺繍されていた。
「まあ、そういうことだ」
「……わざわざ飛び級やらさせたのかしら、明らかに小さいのとかいるけど……」
小さいと言う言葉にバスの中にいた約2名が眉を動かした気がするが、オレは見ないふりをした。
「総帥殿の御意向だからな」
「誰のためにわざわざ3年間の箱庭生活に集めて放り込んだのかしら?」
「オレはないな。後継者の話を何度も蹴ってアンサラー建造からの原発解体修繕デスマーチで発狂からのサボりたいと駄々こねまくったオレのためにわざわざ集めるとかないだろうし」
オレの言葉にジトッとした目線が集まるが、スルーである。
「……あの1機で大国2つの電力+αを賄えるオバケ傘の設計に関わって、1人で4機建造した貴方以外のためとは思えないけど」
宇宙に浮かぶであろうソレをみるようにこぼした清華の言葉に、無言の賛同が集まる。
――が、オレは知らんぷりである。
『まもなく、高度育成高等学校に到着いたします』
重苦しい空気から、漸く抜け出せそうだ。
――校門から昇降口に向かうと、一年生の配属が書かれた紙か張り出されている。
各クラス43人。
Dクラスにはオレ、清華、恋の名前に……
「飛鳥馬トキ……」
「はい、逆レ事件以来……およそ3年間ぶりでしょうか」
振り向くとそこには金色の髪を後ろで結んだ娘が蒼い瞳をたたえて佇んでいた。
「……誰?」
「私は飛鳥馬トキ。3年ほど総帥より休暇をいただいておりましたが、今日から御主人様のメイドとして、ここに入学ついでに復帰した次第です」
清華の問いかけにそう答えるトキ。
彼女の襟にも、有角の獅子の刺繍がついている。
「……女の知り合いが多いようで何より」
「清華さんや、そういいながら抓らないでくれる?」
「前向きに検討する」
アカンソレ改善されないやつぅ。
早く来たため、教室には誰もいない。
悠々と席を確認して座り、他3人もそれぞれ手持ち無沙汰にならないように持ち込んだ本などで時間を潰し始める。
……教室やここに来るまでにあちこち設置されていた監視カメラの前ではおとなしくしてたほうが良いだろう。
全寮制だが、寮の部屋にまでカメラは……ないよな?
そう思ってる間に生徒が疎らに入ってくる。
その中で数名、オレの顔を見て目を丸くしたり、何か言いたそうな顔をしたり、好敵手と再会したように目を細めたりしたのが居たがガン無視である。
谷間見せつけしてる痴女みたいな茶柱という先生の指示により入学式会場へ向かい入学式を迎えた。
が……かつて中学中退するまで同級生だった堀北学が生徒会長になってて歓迎の言葉を言ったのは驚いたゾ(こなみ)
おい、こっち見て言葉止めるな、参加者が困惑してるやろがい!
アイコンタクトで『あとで話がある』とか言ってきた。やなこった!
とりあえず入学式は終わってDクラスにとんぼ返り。
担任になった茶柱先生から、学生証と学校支給の端末(スマホ)配布のち、Sシステムについて説明があった。
プライベートポイントという1ポイント1円相当のポイントが学園内の施設で使用可能。
入学に伴い10万ポイントが全クラス全員に配布。
毎月プライベートポイントは配布される。
あとクラスメンバーの変更や担任変更は3年間行われない。
明らかな箇条書きマジックですねありがとうございます。
「質問は……無いようだな。今日は以上だ。土日を挟み月曜から来るように。お前たちが優秀であることを期待する」
そう言って去っていく茶柱先生。
さて、寮の自分の部屋を早く確認しに――「失礼する」
入ってきたのは――堀北学。
「兄さん!?」「えっ、生徒会長!?」「なんでここに?」
驚く面々を無視し、こちらにやってくる。
オレはそっと道を譲るように退いたが、こちらに向いて進路を阻む。
「……久しぶりだな、頼久」
「ホリーも元気そうで何よりだ」
「3年と少しぶりだったか? よもやオレとタメのお前がオレの後輩としてココに入学するとは思わなかったぞ」
周りがざわめいてて『ああもう無茶苦茶だよ』と内心頭抱える。
「やんごとなき家庭の事情ってやつだ」
「相変わらず家のことについて秘密主義だな」
肩を竦める学。
「お前が生徒会に「断る」早すぎるぞはやてがえしか??」
「オレが昼行燈してたいの知ってるだろう?」
「……まあいい。かわりに土日のどちらか話せないか?積もる話もあるしな」
「土曜日、そちらの奢りでどこかで軽食摘みながらなら構わないが……「いいぞ」いいのか。それより……」
オレは視界の端に映る娘を見て
「……妹と話をしなくて「オレの影を盲目的に追い続ける愚妹に伝える言葉など何もない」そうか」
オレの言葉に対する回答でその少女は唇を噛みしめる。
「頼久、端末を貸せ。……これでいい。何かあったら連絡するし、そっちからも連絡してくれ」
手早く初期設定でロックかかってない端末に連絡をねじ込んだらしい。早くない??
「必要ならな」
「頼っても良いんだぞ?先輩として生徒会に支障ない範囲なら多少面倒見てもいいしな」
「なら後輩として適当に集らせて貰うかね」
オレと学は軽く笑い互いの肩を軽く叩く。
「一年だけだが、お前との学校生活、楽しみだ」
「一年しか頼れないのは悲しいなぁ」
学はオレの返しに口元に笑みを浮かべるとそのまま去っていった。
「――さて、寮で部屋の確認するか……」
オレは呆然としてる面々が我に返る前にそう言って去る。
その後に清華、恋、トキが続く。
呼び止められた気がするがオレはスルー。
気分は進路阻まなきゃ止まらない系NPCである。
――Side ???
私があの女こと密告したせいでいなくなってしまったあの人が去ってしまった。
……いや……同じクラスだし、3年間同じなら……近づけるチャンス……ある……よね?
……でも、あの女……飛鳥馬トキは……許せない。
私に見せつけるように、意識失ってるあの人を目の前で……。
堀北も排除したいけど……優先順位……どうしよう……。
そう思ってると、平田という人の良さそうな男子が自己紹介を提案してきた。
とりあえずそれに乗っかって、クラスでの立ち位置をある程度確保して置かないと……かな。