ようこそ怪物たちの居る教室へ   作:月神サチ

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第12話 中間テスト、そして……

――Side 頼久

 

平田が晴れやかな顔になったり、山内が50万PP稼いで他生徒煽って揉めたりしたが比較的平穏にときが流れ――

 

「さて、泣こうが喚こうが本日のテストで赤点を取れば退学だ。悔いのないよう、全力を出すことだな」

 

中間テスト当日。

 

茶柱先生の言葉に多くの生徒が身構える。

 

が……

 

 

 

 

 

1時限目の国語で桔梗が探し、オレや平田が複製して配布した「過去問」と全く同じであることが判明し、

 

安堵の雰囲気が流れている。

 

「過去問と全く同じ! これなら全員赤点回避できそうだな」

 

「それ差し引いても勉強会で学んだからど忘れしても案外なんとかなったな」

 

池と須藤の言葉に幸村がジト目になる。

 

「油断大敵だ。茶柱先生の言葉のニュアンス的に過去問に頼れるのは今回だけ。そして勉強は復習して思い出しをすることで記憶に叩き込みしないと気がついたら忘れてる、なんてことあるんだからな」

 

「分かってるよ。運動だって最低限すらやってないと身体が鈍るし感覚もブレちまうからな。やって、繰り返して、定着させ、思い出しを入れて再確認。勉強と運動、どっちも同じだ。運動のほうがオレは向いてる気がするがな」

 

「赤点取ってくれるなよ。勉強教えた分俺の運動コーチしてもらわないと困るんだからな」

 

「分かってるって。代わりに最低限のランニングは自主練頼むぜ?オレも単語帳や100マス計算の反復練習は自主練してるからな」

 

仲良さそう?で何より。

 

 

 

 

2時限目 社会終了後

 

「よし、この調子なら赤点はないわね」

 

「油断大敵」

 

「死亡フラグが立ったな。安心しろ、軽井沢。骨は拾ってやる」

 

「不吉なこと言わないでよ!?」

 

うーん、なんか恵さん、攻撃的にならなくてもいいせいか性格が丸くなったかな?

 

清華が言葉尻とったいじりにも特に変な反応ではないし……。

 

 

 

 

 

 

3時限目 英語終了後

 

「山場越えた感じがする……」

 

「あとは理科と数学だね」

 

「見直し用のプリントあるから手元に無い人言ってよー?」

 

佐倉が胸をなで下ろし、長谷部も落ち着いている。

 

桔梗が過去問回答付きの確認必要な人がいないか確認してくれて助かるゾイ……。

 

 

4時限目 理科

 

「冷静に考えるとコレは難しくないな。生物の範囲と実験用具の知識メインだし」

 

「そうかぁ?絵だけじゃピンと来なくねぇか?」

 

「器具はともかく、動植物はボーイスカウトとかしてると見たりしてるし、案外わかるんじゃないのか?」

 

「いや、キャンプとかボーイスカウトとか、やったことないやつも多いだろ。都会暮らしとか多いだろうし、女子も割とそうだと思うぞ」

 

「……えっ、そう??」

 

なんか池と須藤が会話してる。

 

山内がハブられてるのか、山内が孤高を気取ってるのか分からんが……三馬鹿と呼ばれることなさそうだな……。

 

 

 

 

 

 

 

5時限目 数学終了後

 

終了で試験官の先生が出ていった瞬間、全員が騒ぎ出す。

 

「やっと終わった!」

 

「次は自習だしゆっくりできるな!」

 

「この時間に採点してホームルームで返却とかありそう」

 

「そうだったらやばいな!」

 

笑い声が響いているがたぶん……

 

 

 

 

「さて、ホームルームの前にテスト結果を返却する」

 

「はっ?」「どういうこと??」「早すぎるだろ!」

 

自習で緩んでいた空気が一瞬にして弾け飛ぶ。

 

 

「安心しろ、千手理事の派遣した塾講師等による人海戦術とAIによる二重チェックで迅速かつケチのつけようがない採点がされている。各自呼ばれたらテスト結果票と答案の写しを受け取るように」

 

 

 

――先生返却中――

 

 

 

 

得点表は言わずもがなオール100で500点満点。

 

平均点は……70前後。かなり高い。

 

「今回、Bクラスには及ばなかったが――」

 

茶柱先生が喋ってる途中に教室のドアが開く。

 

そこには――父親がいた。

 

「どうぞお続けください。必要になったら、口を挟みますので」

 

そう言って持ってた折りたたみ椅子を広げて座る。

 

「……赤点が1人でている。――山内。退学回避ラインから国語15点、数学13点、英語12点、社会20点、理科10点下回っている。明らかに赤点だ。赤点ラインに近い10名には得点表に赤点ラインを記載しているから親切な奴が教えてやるといい」

 

「はっ、ならポイントで点数買うさ。ソレで試験パスさせてもら「1点につき20万PP。お前が赤点回避のためには、1400万PPだ、払えるのか?」はっ……?」

 

余裕かましていた山内が目を見開く。

 

父の方を見て確信する。

 

このためにわざわざやってきたのだろう。

 

「払えないだろう?生徒会長クラスなら持ちうるが、このクラスからかき集めて……払える額か?」

 

「そんな、嘘だ!嫌だイヤだいやだ!須藤!池!櫛田ちゃん!助けてくれ!」

 

喚き、縋る山内。

 

しかし縋り付いても、無い袖は振れない。

 

目をそらすしかないのだ。

 

「……何もなければ「――平田君」……」

 

茶柱先生の退学宣言がされる前に割り込むように父が口を開いた。

 

「ゲルマニアグループアジア統括マネージャーにして、この高育の理事である私なら、プライベートポイントを支払い、彼を救うこともできます。しかしコレは……私に対し、常人では返しきれない莫大な借りを貴方が作ることを意味します。既に私への借りがある君は自分の将来を犠牲に彼を救うか、遊び呆け過去問すらマトモに確認せずに挑み赤点となった救いようのない彼を切り捨てるか……判断を貴方に委ねましょう」

 

「ひ、平田!助けてくれ!頼むから!」

 

見えもへったくれもない山内が平田に縋り付く。

 

「僕……は……」

 

言葉に戸惑い、目線を泳がせ、そして――深呼吸をして、父に頭を下げた。

 

「お願い……します……!」

 

「――ということです、茶柱先生。初回から退学は回避できましたね。切り捨てるより、借りを作ることを選ぶのは個人的に悲しいですが……平田君の判断を尊重しましょう」

 

「……山内、平田は千手理事に感謝することだな」

 

茶柱先生がそう言う瞬間

 

「よっしゃぁ!!!やっぱりオレは持ってるんだ!!!」

 

とガッツポーズする山内。

 

ソレにドン引きや呆れ、怒りに近い感情を向ける生徒の面々と茶柱先生。

 

父は呆れた顔をしたあと、用は済んだと帰っていく。

 

「……ではホームルームを始めるぞ」

 

 

 

 

 

 

「んで、なんで山内(あんなの)を生かしてるの?」

 

「私を尻軽女扱いしてたあいつが退学宣言されてザマァって思ってた私の気持ち返してほしいんだけど?」

 

放課後オレより先にオレの部屋にいた桔梗と恵が不満そうにしてる。

 

ちなみに清華は図書室に行くと教室で別れ、トキは他クラス確認のため不在、恋は何やら佐倉たちに呼び止められていたので不在である。

 

「父の介入はオレの行動じゃないからなぁ。……生贄必要そうな試験があると思ったから、切り捨てる残弾としてストック方向で動いてた……が、あんなに酷いのは想定外。父が介入しなかったら切り捨ててたし」

 

「……先輩の想定下回ったんだ……」

 

「冷静に考えて頼久のお父さんの判断で平田を青田買いするために提案したみたいだし……とやかく言っても仕方ない……か」

 

2人がデカいため息を吐き出す。

 

ん?

 

端末に連絡が……坂柳有栖からだ。

 

『施術は何時からでしょうか?』……明日明後日が休みだから、そっちのどっちか都合がいいほうで、と返しておく。

 

「あーもう!アイツ残るとかイライラする!」

 

「わかる。あの薄っぺらい嘘聞いてると腹が立つわね!」

 

「コンビニスイーツ食べようか」「いい案ね!」

 

なんか意気投合してるから放置でも良さそうな気が……

 

「「どこ行くつもり???」」

 

ダメみたいだな……。

 

 

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