――Side 桔梗
山内のクズが伊吹とかいうCクラスの女子連れてきた。
明らかにCクラスによる苦肉の策なんだけど、平田君は拒否できないし、表向き私も隔てなく優しい立ち回りしてるからキャラブレ出来ないから受け入れ賛成するしかない。
こういうとき軽井沢やトキが反対してくれればいいけど……
「分かるけどもし本当なら私たちヒトデナシじゃない」
「私はどちらでも構いません」
駄目だったわ……。
「寧ろことを起こしてくれたほうが、御主人様のジャッジ召喚で確殺できますから好都合です」
いや私より腹黒ね、この無表情系メイド……。
「まあ裏話はさておき、禁則事項として過剰なタカリ禁止とスポット再占領のときスポットエリア外に付き添いと共に出てもらうことを条件にしておけば一先ず問題ないかと」
「平田君に伝書鳩してこいってことね。わかったわよ」
まったく、先輩はこの気まぐれ猫みたいな娘の手綱をよく握れてるわね……。
――Side 頼久
昼過ぎ。
取りあえず伊吹とかいう小娘は、穴倉に割り振られてるのを確認して、時間が近いから一旦エリア外に出てもらう。
そして占領終えたらトキに通達してエリア制限解除を通知してもらい、そのまま鈴音たちと共に他のスポット占領へ。
「にしても……私たちスポット占領以外休ませてもらってばかりだけれどいいのかしら」
鈴音がそう零すと愛里もうっ、と後ろめたさを感じてることを示す。
最後のスポットでスキャンが終わり一段落。
「寧ろソレ以外で馬車馬のように動き回る頼久が体力オバケなだけで――そこにいるのはわかってる。占領済みスポット不法侵入になりたくなければ隠れてないで出てきなさい。出てくれば一先ず不法侵入扱いは辞めてあげる」
オレはスルーしてたが、清華が反応して気配のする方を向いた。
「息すら止めてたのにすごいな?」
出てきたのはたしか……
「橋本……正義だったか」
「有名人に覚えてもらえて光栄だな」
オレの言葉に余裕な顔を見せる橋本。
「……あと3人。次はペナルティを与えるよう茶柱先生に告げるけど?」
その言葉に3人……チョウジと……スキンヘッドの男とそいつに付き従う男子が出てきた。
「だから言ったのに……ついでに頼久は気がついて泳がせてたから、綾川さんが引きずり出してくれなかったらペナルティ不可避だったよ」
そうチョウジが零す。
よくわかってるな。
「試すような真似をして悪かった」
「AクラスとCクラスとは……手でも組んだの?」
鈴音がそうカマかけすると
「……何のことかな」「……知らないなぁ」「オレ今回の話ノータッチだから」
Aクラスはすっとぼけ
「龍園が何かやってるようだけど、僕面倒くさいから関わってない。暇だからあちこち歩き回って昔の餓死寸前を思いだろうとダイエットしてるところ」
チョウジはマイペースしてただけらしい。
……2人ほどわかりやすく知らんぷりしてるがまあ良いだろう。
「葛城と戸塚だったか……まあリーダー当てしようとしてるのは止めないが……撃っていいのは撃たれる覚悟あるやつだけであることは忘れないほうがいい」
「「!」」
オレの言葉に無意識か後ずさりする2人。
「お前は」
オレは戸塚の方を見る。
「……お前は、坂柳に肩入れするのか?」
「アイツの病弱に関してとアイツのガス抜きを肩入れと言うならイエスだし、葛城と坂柳の派閥争いについてならノーだ。オレの存在をちらつかせてるとかは知らん。たぶんイザークたちが同じような回答で口を揃えてると思うが、コレで納得か?」
「……ああ」
戸塚という男子はそう頷いた。
「オレ以外は次のスポット占領まで休むからコレで」
愛里が歩きたそうなのでお姫様だっこさせずに歩き出す。
リーシャが暇だから見に来てるし……注目されてるね、うちのクラス。
――Side チョウジ
取りあえず暇つぶしになったし、のんびり拠点に「秋道、少しいいか?」おん?
流れ解散みたいになってボクたちには気配隠してないリーシャが去り、葛城と戸塚というAクラスも去ったので去ろうとしたらなんか橋本君が声かけてきた。
「秋道は千手と仲いいのか?」
「正直微妙だね。同じ総帥を祖に持つから最低限交流あるけど。やさぐれてた頃彼の身内に手を出して3回殺されたあと微妙に壁感じてる。トキちゃん経由で話通せるネルか、頼久が勘違いで半殺しにしかけてそれ以降なにかと目溢し気味の呪那の方がCクラスの紋章持ちは仲いいと思うし」
「……なるほど?」
「ボクが何か言うなら戦国時代や戦乱のように不安定の間コウモリロールするのは構わないけど、『飛鳥尽きて良弓蔵るってことにならなきゃいいね』ってことだけだ」
「そこは『狡兎死して走狗烹らる』の方が通りいいのでは?」
「元ネタ的に捨て置かれる方が潰されるよりマシでしょ」
「それもそうだな。済まない、邪魔した」
そう言って去っていく橋本君。
さて……今回の特別試験、どうなることやら。
ボクとしてはどう転んでもイイんだけどさ。
――Side 華琳
「あら、リーダー方々、直々の視察はどうだったかしら」
Aクラスの拠点に戻ってきたたち。
私の問いかけに対し、2人は複雑そうな顔をした。
「ヤツに会った」
「……千手頼久。話に聞いていた以上に、敵対したら不味いと本能が告げていた」
「実感できてよかったわね。それで……Cクラスとの裏取引はどうするつもり?」
「試験での結果は試験で返すようだからな。……続けるつもりだ」
「そう。その判断を私は尊重するわ」
「……お前はいいのか? アレと敵対することになるが」
「必要なら手を組み、時に戦う。でなければ歴史はもっと凄惨なことになってるだろうし、貴方の言うように試験の借りは試験で返してくるから」
それに……
「私も経緯はどうであれ、Aクラスのメンバー。限度はあるけど常識の範囲なら手を貸すのはやぶさかではないわ」
「……そうか」
「でも派閥争いに引き込んで私を使うつもりなら気をつけなさい。余りにも目に余るようなら乗っ取るくらいやるから」
「むう……」
コレくらい釘指して置かないとね。
使いにくい駒の扱い方も、上に立つモノの資質を見る試金石になるってこと、理解してもらわないと。
――Side 頼久
「どうだ千手。お前と違ってこんな捨て試験ハナからどうでもいいんだよ」
午後になりCクラスのビーチ偵察に来たらなんか絡まれた。
バーベキューしてるわウォーターボートで遊んでるわ好き勝手されていらっしゃることで……。
「持ち点が0以下になろうとCPには影響でないしな。せっかくのバカンス、楽しまないと損だ。違うか?」
「今後のために布石と恐怖政治で膨れていた不満というガスを抜くためにこの試験を実質的に捨てた、の間違いだろ」
オレの言葉に表情を一瞬歪めたが、直ぐに余裕の笑みに戻る。
「何のことだか。全く人を信じないなんざへそ曲がりかよ」
「囚人のジレンマで初手告発で相手をつぶそうとした奴が言うと重さが違うなァ」
「PPを100万単位で渡してくれるなら、Dクラスのやつ半分くらい呼んでもいいんだぜ?カモには餌をやるくらいの度量はあるつもりだ」
「生憎手持ちも口約束も覚束ないから踏み倒される前提なら連れてくるけど」
「「……」」
しばらく沈黙が続き……
「お前1人でリーダー当てられると思うのか?」
「オレは別に当てる気はないし、そっちの苦肉の策……埋伏の毒か……それと違って、血眼になってないからな。あとBクラスにもいるようだが、シャルロットやリーシャ、どうしても無理ならアルが四六時中べったりだとか。モテ期の1回をここで使うとは大変だな」
オレの言葉にバレてることを察し余裕を崩し舌打ちする龍園。
「チートだろテメェら」
「かもな。まあ……そういうじゃじゃ馬を上手く誘導したり、ニンジンぶら下げて釣ったりするのが腕の見せ所じゃないのか?社会に出たらそういうの多いぞ?」
「ケッ、ひより目的か?連れて行きたければ連れていけばいい」
「オレをなんだと「種馬」試験終わって高育戻る間に船から落ちないといいな」
オレは用事済ませたのでその場をあとにする。
Aクラス? あそこはイザークいるからパス。
スポット占領に来てたリーダーも確認できたし、行く必要はない。