――Side 頼久
「同席してもいいか?」
「おや、普段は私を避けているのに珍しいね。かまわないが」
船上試験の話し合いのあった夜、とあるレストランにて。
オレは高円寺と接触していた。
「お前今回の試験申グループで結果3を選んで1抜けした……で間違いないか?」
「無論。嘘つきを探すだけの簡単なルールだからね。君が無人島試験中から長谷部ガールたちと『仲良く』し始めたことくらい分かりやすかったよ」
「なるほど……それを聞けて安心した」
記憶はないがオレは試験関連で高円寺が結果3にすることを踏まえて何かしたのだろう、と裏取りが取れた。
「ふむ? メールにはMr.が私のグループが結果3になると信じていた……ようだが……」
オレを少し見てから指を鳴らす。
「大方試験の記憶を消されたか奪われたようだね。君たち側がどのグループに誰がどの結果かヤマを張ったことが分からないように」
「話が早くて助かる」
「そしてMr.が私に賭けたことから12のグループに対し、1人1グループ……あるいは1グループに複数人が結果について賭けている可能性がある……か」
優雅に紅茶を飲み始める高円寺。
「んで、厄介なのはオレの結果予想的中についての文面だ。『千手頼久(Dクラス)と結果が一致したため、DクラスのCP+20、Dクラスが受ける全ての結果が倍になりました。』とな」
「……なるほど、コレは予測が骨折れるね。それにそちらの予想と結果不一致の時に出される文面も恐らくは……結果次第で恐ろしいことになりかねない、と」
「あと一番不幸な可能性は『自分のクラスが優待者で結果3の予想が一致した場合』だ」
オレの言葉に紅茶を飲み終えてから納得した顔で告げる。
「CPが20入ろうと、出ていくCPが50の倍の100だったら……目も当てられないねぇ」
「しかもグループの結果について影響あるのが賭けたやつの所属してるクラスについてだけ……つまり本来想定のCPがクラス間で動くだけじゃなく、喪失するリスクもあるということだ」
「君たちの存在が船上試験を歪めてるのでは?」
「可能性は否定しきれないな。オレたちがグループに入ってたら法則を直ぐに割ってしまいそうだし、ワンチャンあり得る」
実際原作だとオレたちの試験などないからだ。そもそも居ないし。
「まあ私は試験を1抜けしている身。あとはなるようになるのを見守るだけだね」
「オレらも冷静に考えればそうなるし、見守るしかないんかね……」
取りあえず試験期間は1日2回ある話し合い以外は普通に自由行動なので、クラス都合で呼べない有栖を除き手を出した面々に暇なやつこの指とまれをしたのたが……。
「まさか1回目の話し合い直前まで連絡取れないとは……」
「心配したんだからね?」
「んで……そっちの試験について本当に覚えてないのかしら」
「ん。御主人様と同じで記憶がない」
「恋に同じくです」
茶柱先生と束以外の全員が揃うとのことで取りあえず桔梗、波瑠加、愛里、清華の部屋にて集まっている。
ちなみに
「よーくんたちの試験に関して束さんは知ってるけど、バラしたらよーくんたち連帯責任で退学だから試験終わるまで事故らないように会わないでおくね」と束が辞退し
「通常の方の試験の不正疑われかねないから篠ノ之博士と同じく試験終わるまではお預けだ。不本意だが」と茶柱先生から接触拒否された。
……一発で染まるとかチョロくない?
それはさておき
「あの高円寺のおかげで追加試験がこっちの試験結果に影響与えてくるらしいと認識されたからか、どのクラスも動きが慎重になってるわね」
「ただ、肝心の追加試験側が『誰が』『どのグループに』『どの結果になると』予想したか分からないのがなおさら厄介さを加速させてるし、外れた場合のペナルティの重さが分からないから動くに動けないってのが今の状況よ」
桔梗と鈴音の言葉で大体状況を理解。
「結果不一致のパターンの情報が欲しいけど、どのグループで検証するかで揉めてるわ」
「そもそもグループ毎の優待者が誰か予想つかないのよね……」
波瑠加と千秋が頭抱えてる。
「……もしかして……」
「ん?どうしたの、清華ちゃん」
清華が何か思ったのかこぼした言葉を愛里が気がついて拾い上げた。
「頼久たちが隔離された理由……別試験ってことで分離したけど、別試験組なら優待者を即看破できるんじゃないかなって……」
「「「!?」」」
愛里たちがこちらをバッと見た。
「何らかのルールがあり、別試験でそのヒントが与えられてると仮定すれば、ありえない話ではないですね」
「記憶ないけど、御主人様とか、華琳、シャルやネルなら優待者当てられると思う」
「何のヒント見たのかしら……思い出せ……はさすがに酷よね……卯グループで私が優待者なのヒントになる?」
その言葉で桔梗も優待者だと教えてくれた。
コレなら……言ってもバレへんやろ(こなみ)
「……2人の情報だけだとわからんなぁ。グループ単位で名簿でもあればワンチャンありそうだけど」
「グループ毎全部の名簿でも見れば何かわかるでしょうか……」
オレとトキの言葉に面々がハッとして動き出す。
そして一覧を作って見せてもらい……。
「……法則性見当たらない」
「教師たちはルールに基づいてと言ってるので、答えはあるはず」
頭を抱える面々。
答え知っててかなり申し訳なさがあるんじゃが……
「……グループ名が干支で、男女クラス関係なく名前で並べたんだが、2人の位置が干支の順番と合致するみたいだな」
「!」
「するとうちのクラスの3人目は……午の南君ね! 優待者か確認する!」
動き出すと早いな。
「コレが正しいと仮定するなら……」
皆冷静に答え合わせを始める。
僅か十数分で裏取りが終わり、優待者一覧が作成された。
「他クラスで裏取りしたほうがいいけど、たぶん合ってそう……」
「高円寺さんに聞いてみようか。たぶん……この人を優待者として回答したはず……みーちゃん経由なら答えてくれると思うし」
オレはもう用済みかなとスピードワゴンみたいにクールに去ろうとしたら捕まり、そのまま捕食された。
どうして……?
――Side 華琳
「それで……どうするつもり? 私本当に覚えてないからオブザーバー状態なのだけど」
私は葛城の子分してる戸塚に呼ばれて居酒屋風のお店の個室席に同席してるのだけど……。
「気になったことがあったら遠慮なく言ってほしい。今回結果1を狙えばよいと思ってたところにあの通知だ。記憶を封じられてるのか奪われてるか分からないが君が何か引っかかりを覚えたなら、それが糸口かもしれない。参考にさせてもらいたい」
「まあ、そこまでいうなら……クラスの一員として手伝うけど……」
戻るとしても試験終わるまでは思い出せないはず。
なら――私は――。