――Side 頼久
朝――クラスにて
「あれ?Cクラスの人では?」「何故ここに?」「つか座席変更されてるし」「どういうこと?」
座席が少し変更されてるのも含めてざわめいている。
「ひより、済まないクラスの面々に説明してなかった」
「? ホームルームになれば担任の先生が伝えてくれると思いますし、気にしてませんよ?」
小首かしげるひより。
ブレないな本当に。
と思ったらなんか来た。
金田……だっけか
「し、椎名氏!何故こっちに!?」
「……頼久君に引き抜きされました」
「なっ!?」
驚いている金田の後ろから2人分の手がそれぞれの方に置かれた。
そしてその背後から声がした。
「ウチの金田が邪魔したな。……戻るぞ、山田、葛城」
「なんでえっ、あの席葛城氏の!?」
とか言いながら引きずられていった。
「……説明してもらえる?」
平田が口を開いたのでオレは頷く。
「Aクラス……今はBクラスか。そことCクラスで生徒移籍の話があって、オレも相談というか資金援助?の要請があった折にCクラスから移籍協力と引き換えにひより引き抜いていいと言われたので本人了承の元、移籍させた次第だ」
「はい、あまりお友達いないクラスより、清華ちゃんや頼久君いるクラスの方がいいかなって」
ひよりの裏を感じない言葉にそれならまあ……みたいな空気が流れる。
「ちなみに葛城が龍園といた理由って……」
須藤が問いかけてきた。
「移籍話の対象だな……葛城とCクラスの伊吹が交代する形で移籍したからだ」
「「「!?」」」
「葛城って派閥作ってたんだよな!?」「Cクラス超強化されてない!?」「敵に塩送ったのかよ!」「Aクラスもたぶん坂柳で一枚岩になるだろうし手強くなるじゃねぇか!」
主に男子が言いたい放題である。
「いや、Aクラス人数減った分不利になるでしょ」「Cクラスが強くなったってことは、上3クラスで潰し合いになるから漁夫の利狙えるってことだし」
女子(主に手を出した面々)が援護してくれてなんとか有耶無耶になって「ホームルームを始めるぞ」
直ぐに生徒全員席についた。
「1つ目は明後日中間試験だ。試験範囲は1学期から9月までの全体だ。詳細は後ろ掲示板参照するように。1学期の中間や期末同様赤点がなく退学者0であることを願う」
その言葉で声は出ないが阿鼻叫喚になる一部の面々。
そして茶柱先生は手元の紙を見て続ける。
「次12月に期末試験を兼ねた『ペーパーシャッフル』がおこなわれ、詳細については期末試験後に発表される。それと……来週1問1点の100問ある小テストが行われる。この小テスト自体は成績に関与しないテストだ、たとえ0点だろうと問題はない」
妙な言い回しに小テストとペーパーシャッフルが連動してるなこれ……という顔になる一部の面々。
「最後に2つ。一つは千手が椎名ひよりを本人同意の元移籍させた。本日より正式に我がクラスの一員だ、仲良くするように。もう一つは昼1の5時限目に代わりに体育館にて生徒会の世代交代セレモニーが行われる。遅れずに来るように」
以上と告げて去っていく茶柱先生。
さて……ひよりに群がる男子をなんとかするかな……。
恋やトキが交代で羊を守る牧羊犬のように立ち回ったりオレの側に自発的に来てくれたおかげで昼休みまで特に何も起きなかった。
昼休みにオレとトキが用意した弁当に意味ありげな顔してたので食べたいと判断し、オレ、トキ、恋から分けた。
恋から腹ペコキャラ言われて全力否定していたが、微笑ましかったのでヨシ!
明日から用意しとくし、タッパー返してくれたら次の作りおき渡すからね。
体育館でのホリーは本当に見事なものだった。
1年間(半分は前年度だから知らないが)生徒会長として見事務め上げたようだ。
「――自分が引き継ぎ、紡いだ歴史を、次の生徒会長の南雲に託す。願わくばよりよいモノであることを祈る」
歴代最高と呼ばれてるホリーより上目指せとか、私ならプレッシャー半端ないじゃんね(こなみ)
そしてホリーに代わり出てきた南雲副会長……今は生徒会長か。
彼が口を開く。
「堀北生徒会長のやり方は素晴らしいところも多くあるが……今のままでは実力あるものが埋没したまま終わる部分があるのは否めないと思っています」
南雲の言葉に器用に片眉を少し上げるホリー。
「故に――自分は生徒会長として今までの良きものを残しつつ実力主義により舵を切る……その方針で活動していくことを宣言します」
その言葉に主に2年から拍手が沸き起こる。
橘さんは思う所ある顔をしているが……直ぐに素直な拍手を送ることにしたようだ。
反対に2年生の生徒会の1人は南雲を睨みつけていた。
なお書記になっているシャルロットと呪那は普通の拍手をしている。
ふむ、品定めしたがお眼鏡に叶わなかったかな?
取りあえず学校は滞りなく終わり、帰宅。
夕食を作ってついでに作り置きをしていると……
「すごい、魔法みたいです」「すごいだろう?」
なんかこの部屋に来るはずのない人としれっとソレを招いてる人の声がしたんだけど……。
確認するようアイコンタクトすると恋は頷き確認しに行く。
「……六花とみーちゃん……? なんで?」
「何、家庭的な料理でも一流のモノが出る食卓に招待しただけだが?」
「……先に言わないと、作る側が困る。次は気をつけて」
「む、ソレは失敬。ちなみに誰に連絡するのが一番かな?」
「料理ならトキか御主人様。ソレ以外は……まあどっちがに連絡すればいい。あるいは桔梗あたりなら手が空いてるなら反応してくれるはず」
「では次回からそうさせてもらうよ」
「先輩! ひとり追加で!」「おじゃまします……本当に広い……」
なんか桔梗とひよりの声がきこえるんですが???
「……増えた……」
恋の声が匙を投げた時の諦念の声なのが完全にあかん……。
取りあえず人数分増やして作っておくかな。
「この世の全ての食材に感謝を込めて いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
シンプルに麦ご飯、ワカメ葱豆腐の味噌汁に秋刀魚と切り干し大根に茶碗蒸し。
真ん中に3つほどセルフサービス用のチキンカツの山盛り大皿と取り分け用セットがある。
メンバーはオレ、トキ、恋、清華、桔梗、愛里、恵、鈴音、波瑠加、千秋、心に麻耶、六花にみーちゃん、ひより、そして佐枝に有栖である。
ぶっちゃけ17人ともなれば大所帯だ。
これで束も来たら野球2チームでの試合ができる人数である。
「本当に一つ一つが美味しいです……」「そうだろう。私も胸を張って自慢できる腕利きが作ったものだからね」「いや貴女なにも関わってないですよね?」
みーちゃんの言葉に六花がドヤ顔し有栖がジト目で指摘する。
「ひより様、我々はもう同じ卓を囲んだ間柄です。明日から朝食もお弁当も夕食もお任せくださいね」「えっ、いいんですか?」「トキたちが作るご飯美味しいからね」
なんかひよりにトキと恵がなんか懐柔してるし……。
「……私も移籍したいと言えば、Dクラスに移籍できるでしょうか」
「有栖が相当腑抜けてイザークが看過できないと動き出したらそうなるかもな……」
「上に立つ間は手が抜けない性分なので当面その機会は無さそうですね……」
有栖がひよりを羨ましそうに見ながらそう零す。
なんかのフラグかな?
そんなこんなでご飯が終わり、希望者だけ食べるデザートの段階で鈴音筆頭に半分くらいが退席する。
なおひよりたちは桔梗と六花に押し留められている。
そして……一息ついたところで……愛里が口を開く。
「――お二人も今夜はこのまま一緒に寝ましょうね」
「え?そ、それは帰り「君が平田ボーイとくっついて不幸になるくらいなら、彼に手込めにされたほうがマシだからね、諦めたまえ」そんな、六花さん……!?「大丈夫、直ぐに病みつきになるから」愛里ちゃんまで!?」
六花と愛里に押されるみーちゃん。
「……逃げないんだね?」
「俎上の鯉はされるがままといいますし、私は……逃げる理由ありませんし」
「なんか妙に好感度高いわね……?」
なんか堂々としてるひより。
「ここに来る前から知っていますし、頼久君とも話したことありますからね。……いつか思い出してくださいね」
悲報、オレひよりと高育以前から面識あるのに覚えてないらしい。
「うわ、先輩……最低です」
「が、頑張って、思い出します(白目)」
オレは決意を固め、下半身の一部も硬くするのであった……。