ようこそ怪物たちの居る教室へ   作:月神サチ

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第43話 ペーパーシャッフル試験に向けて その1

――Side 頼久

 

「12月に行われるペーパーシャッフルについて、説明を行う」

 

小テストの翌日、ホームルームにて茶柱先生からの通告に、身構えていた面々は予想通りと傾聴する。

 

「これは2学期の期末試験も兼ねている。本来なら本人の結果とクラスの平均点から赤点及び退学ラインが決定するが今回は変則的なモノになる。しっかりと耳を傾けるように」

 

そう言ってルールを説明する。

 

・クラス毎に8教科(現代文、古文・漢文、数学、英語、日本史、世界史、物理、生物・化学)の問題用紙及び模範解答を作成し、他3クラスの何れかへテストを解いてもらい(攻撃)、他クラスが作成した問題を解答する(防御)。

 

・攻撃先は担任に申告することで任意指定できるが、複数クラスで重複した場合は、攻撃、防御の関係が破綻しない範囲にて調整のち抽選で決定される。

 

・作成する問題の範囲は学校側指定の範囲、あるいは中学以下学習かつ一般常識範囲の単元に限る。提出後数日以内に条件を満たしているか査定され、問題ない場合は科目毎に承認される。問題が期日までに承認されなかった分は学校側の用意する簡単な問題が代替する。

 

・攻撃先と自クラス、攻撃してきたクラスと自クラスでテストの平均点を争い、高い方は低い方から50CPを獲得する。

 

・試験は学校側が指定した2人1組で受けるものとする。

 

・ペアのない人間は総合点を自身の得点を2倍し、5%ひいたもので計算する。

 

・ペア合計で60点以下、ペアなしは50点以下の科目があった場合、連帯責任で退学とする。

 

・ペア合計で総合点ボーダーライン(例年700点前後、実数値は試験1週間前にクラス毎確定)を下回った場合、連帯責任で退学とする。

 

・攻撃先指定及び問題提出について、期限以内であれば承認済みの科目でも変更・再提出は可能であり自クラスの指定済みの有無、問題提出の提出状況と承認状況は端末で確認可能。

 

「また組み合わせは端末の試験アプリから確認可能だから見落とさないように。まだ10月前半。約1カ月の猶予がある。どの学年も1〜2組脱落しているこの試験、誰も欠けないことを祈っている。ペーパーシャッフルに関しての説明は以上だ」

 

そう言って廊下を見る茶柱先生。

 

「……もう少し待ってろ」

 

そう言って廊下を出て何かを確認しにいく茶柱先生。

 

「?」

 

クラスの生徒のうち、『知ってる』面々以外は首を傾げている。

 

少しすると――機械仕掛けのうさ耳、薄い青紫の生地を使った不思議の国のアリスを彷彿させるエプロンドレスの女性……つまり束がやってきた。

 

「やっほー、よーくんたち」

 

「篠ノ之先生、今は学校です。自重お願いします」

 

「はーい」

 

「なんだあの人」「胸でっか」「エプロンドレスとかちょっとキツくない?」「いい年してあんな服なの……?」

 

ざわめくが束は笑顔……だけどしれっと最後の方発言でキレてるな……。

 

「篠ノ之束先生だ。かのゲルマニアグループの最高技術顧問であり、世界的にも有名な大規模発電・送電施設『アンサラー』の設計や木星圏資源採掘船の設計・建造に携わっている天才博士だ。同時に母親から高育のSシステムや権限を引き継ぎ、試験アプリ等高育システムの諸々を一手に引き受け、管理運営もしている。また本校にて11月より数年間放課後不定期に開講される全学年共通任意受講授業『情報学』で教鞭を取られる」

 

「出席数や小テストとかでいい成績取れば少額だけどPP出したりするし、私が有望と判断したらグループで書類審査免除の上、学校での成績次第では入社試験のペーパー試験や面接いくつか免除するし面接結果次第でグループ側が在学中に内々定出すこともあるかもね。私グループでも上から数えて5本の指にはいる程度には偉いし」

 

とニコニコ笑顔。

 

同時に小馬鹿にしたような面々は虎の尾を踏んだことに青ざめたりする。

 

「また、篠ノ之先生はペーパーシャッフルの試験の問題及び模範解答査定の最終責任者でもある。多忙な場合もあるし、科目丸ごとなど見せてもほぼ確実に拒否するだろうが……単体の問題ならチェックしてくれるかもしれないな」

 

「私結構好き嫌いあるし、無能だったり気に入らない奴の名前覚えるつもりないし返事してやるつもりもないからよろしくね」

 

一方的で、余りにも傲慢な発言に束の肩書くらいしか知らない面々が絶句する。

 

「……束先生、ありがとうございます。他クラスでも紹介あるはずなのでそちらに向かってください」

 

「えー……よーくんたちと授業受けたいー」

 

「……千手」

 

駄々捏ねた(100%フリ)束を見て茶柱先生がこちらに水を向けてきた。

 

「束「はいっ!」職員として入ったならやるべきことはやってください「……はーい」」

 

オレの言葉で漫画で言う落ち込みの縦線と共にとぼとぼと廊下に向けて歩き出し、チラッとこっち見てから廊下へ出ていった。

 

「……また篠ノ之先生について紋章持ち相手なら確実に会話に応じるから必要なら該当者を同行させるように。ホームルームは以上だ」

 

茶柱先生が出ていくと先日のペーパーシャッフル考察会議……だったか?の面々が集まってくる。

 

「アプリ見る限り点数調整して正解だったようだね」「あとはテストの作成と対策を8科目……骨が折れそうですね」「無難に勉強会開くか?」「ソレはそれとして情報学について気になるんだけど」

 

「ええいオレは聖徳太子じゃねぇそ!」

 

オレの言葉に集まってきた面々の喋るのが止まる。

 

「情報学は来月最初の放課後が1回目なので気になる場合は行ってみましょう」

 

「ペーパーシャッフルは……勉強得意な人で攻撃先と問題作成、勉強会の二手に手分けしたほうがいいと思う」

 

トキと恋がそう告げるとそうだなと納得した反応が返ってくる。

 

「とりあえず来月からだし、情報学はそこまで急がなくていいだろう」

 

「勉強会教師役と問題作成の割り振りからだな」「オレ勉強会側で……」

 

とワイワイガヤガヤ賑やかである。

 

「とりあえず放課後までに問題作成か勉強会教師役できそうな人は教えて頂戴。私や平田君あたりで役割分担の叩き台作るから」

 

「できる限り要望は飲むから頼んだよ」

 

鈴音と平田のその言葉が終わる頃にチャイムが鳴り、先生が入ってきた。

 

……とりあえずオレか恋のどっちかは問題作成側にいたほうがいいだろうな……束にチェックかけてもらう時の会話要因で。

 

……にしてもペアは小野寺かや乃か……自信無い人は意図的に0点取っていいと平田は言ってたが、よもやよもやだ……。

 

 

 

 

 

 

放課後、勉強会教師役と問題作成役の分担が発表された。トキは予備としてどちらからも外してもらっている。

 

教師役  オレ、ひより、波瑠加、平田、千秋、桔梗

 

問題作成 鈴音、恋、清華、幸村、みーちゃん、高円寺

 

恵、愛里、心の三名は残念ながら苦手科目のあちこちの分野に不穏なところがあるので心を鬼にして教師役も問題作成からも外している。

 

……にしてもオレが手を出した女子率高いなぁ(他人事)。

 

「さすがに今日明日で漠然とした範囲の勉強会教材は難しいと思う。だから今週教師役はそれぞれ教材になりそうな本をケヤキモールやフェナスエリアで見繕って教師役のグループメッセージで購入の共有とかをしたい、どうかな?」

 

「異議なし」「妥当ですね」「それが丸く収まりそうね」「千手君たちにおんぶにだっこは流石にね」「いいと思う!」

 

オレたちの賛成を聞いて胸を撫で下ろす平田。

 

「いっそ二手に分かれてフェナスエリアとケヤキモールのそれぞれの書店で良さそうな教材や問題集とか見てみない?」「そうしようか」「赤本……はさすがに範囲飛び出てるのが多いから教材には向いてないか……」「市販の問題集が無難ではありますね」

 

オレは即興でくじ引きを用意し――

 

オレ、千秋、平田のチームでフェナスエリアとひより、波瑠加、桔梗のチームでケヤキモールの書店を当たることに。

 

 

 

 

 

「考えてることは同じみたいだね」

 

フェナスエリアにある一番大きな書店にて、シャル、一之瀬、白波、神崎の4人と遭遇する。

 

「にしても酷いよね、移籍騒ぎで私たちAクラスだけ蚊帳の外だったし」

 

「寧ろ平和だから良かったのでは?」

 

「……」

 

「と、とりあえず私たちは最低限欲しいもの買えたから……またね!」

 

紙袋を手に去っていく一之瀬と、それに気が付き追いかける白波と神崎。

 

「……えっと、デュノ「シャルでいいよ」……シャルさんは行かなくて良いのかな……?」

 

平田が1人のこったシャルに首を傾げて問いかける。

 

「あの2人居るなら大丈夫かなって。それと平田君」

 

「何かな?」

 

「――頼久は両刀だから、頼久の前にいるなら、お尻に気をつけたほうがいいよ?」

 

「!!??」

 

「じゃ、またね」

 

あの女とんでもない爆弾落としていきやがった。

 

「……えっと、デュノアさんの出任せ……だよね?」

 

なんで千秋さんは若干頬染めて質問したんですか?(電話猫)

 

「野郎に興味はないな(男の娘は……ノーコメント)」

 

「そっかー」

 

一先ず追及やめた千秋の後ろで平田が安堵……と思わしき表情をしていた。

 

 

 

 

一先ずケヤキモール組とグループメッセージで確認しながら使えそうな参考書や問題集をいくつか購入。

 

コレを使って予想のテストを作ってみますかね……。

 

 

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