――Side 頼久
「リーシャは居るか!」
オレが帆波のクラスに突撃したら、そこにはクラス生徒全員が揃っていた。
「頼久さん……どうしたんです?」
紫紺の髪の娘がコチラを見る。
「ウチのクラスの男子4名……山内、東、石橋、本堂に心当たりは?」
「??? 全く心当たりないんですけど……」
チラッとシャルを見る。
油の切れたブリキよろしくぎこちなく他所を向くシャル。
「……そうか。一之瀬、シャルを借りるぞ。明日には関係ないしな」
「え? あ、ああうん。良いよ」
オレは許可を得たのでそのままドナドナすることに。
「あ、私もついていきますね」
さっきリーシャの名前出したせいか関係あると察し、リーシャが同行を申し出てきたがとりあえずオーケーしておく。
とりあえずオレの部屋に連れ込んで鍵かけてから告げる。
「シャル、きりきり吐け。内容次第なら命だけは許してやる」
「え?シャルさんなにをして「すみませんでしたオナホでも雌奴隷でも肉便器でもやりますから許してください」一瞬で全裸土下座!?」
服が丁寧に折り畳まれてるあたりプロだよコイツ(錯乱)
「……リーシャに化けて男の子たち誑かして遊んでました。あと山内以外は魅了で手を出せて未遂までやらせました」
どこかで鋼線引き千切れたような音がリーシャの方から聞こえた。
「頼久さん、お部屋血まみれになりますけど許してくださいね「ええっ!?白状したのに!」頼久さんが許しても私が許すわけないでしょう? 私の姿勝手に使われたのならなおさら!」
シャル首つかんで絞め殺そうとしてるリーシャを後ろから抱きしめて弱いところ軽く刺激。
「んんっ!?」
直ぐに力が緩むから、シャルが首絞めから抜け出せた。
「頼久さん???」
「とりあえずここで殺すな。あとシャルにまだ確認したいことがあるからな」
こっちを赤面で睨みつけるリーシャ。
すまんな本当に……。
「……それで、なにをいえばいいかな? 私一応頼久のために処女守ってるけど「私が偃月刀で破瓜してあげましょうか?」すみません許して……」
余計な情報で頭痛くなってきた。
「……体育祭で1年の赤組ボロ負けしたのと今回の試験でウチの男子3人が批判票集めて切り捨てを宣言したの、お前が原因でFA?」
「前半は部分的に、後半は概ねイエス。Cクラスが持ってきた情報の裏取りのために当時Aクラスの戸塚君魅了してADの写しをもらったけど、Cクラスが持ってきた情報と一致してたから実質体育祭はCが原因です」
土下座を華麗に決めるシャル。
「それで今回の試験は……束さんから昼休み連絡きてたから遊んでた玩具お片付けついでに頼久の役に立ってもらおうかなって「で、山内君とやらの後始末どうしてくれるんです?やっぱり死にますか?」ひぇ……リーシャの姿で山内の前で頼久にべろちゅーして脳破壊するから許して!「えっちなのはダメ!死刑です!」主文後回し!」
……束が昼休みに……?
オレは端末確認すると、昼休みギリギリでメッセージが来てた。
『なんか試験明日突発的に発生するけど、シャルが何とかするから何もしなくていいよ』
……なるほど?
「……とりあえず事情はわかった。……シャルはリーシャの姿でちゃんと山内の脳破壊しておいてくれ」
「ならここで証拠写真撮らないと」
一瞬でリーシャの姿に変わり、際どいキャミソール姿でオレにキスしながら器用にツーショットしよった。
「今からコレ見せて脳破壊してくるね!」
そう言って服と分身を作り出してそのまま部屋を飛び出していった。
「……なんかすみませんね」
「オレ的にあの3人は切り捨てる候補ではあったから丁度いいといえば丁度いいがな……山内はその次点だし」
「……とりあえず一段落したらシャルを半殺しくらいにしておきますね。完全に殺すと蘇生面倒ですし」
そう言って去っていく。
――Side 清華
「平田、なんで諦めてくれないんだ!」「嫌だ!クラスメイトがいなくなるなんて!」「なら自主退学するだけだ!」「そんなことしないでくれ!」
さっきから平行線。
私含め手を出された面々はもう東、市橋、本堂のお望み通り批判票を3人にだして退学させるつもりである。
他の女子も自分たちが、安全圏になるからと傾きつつある。
正直CP+50はしょっぱいけど……自主退学でCP-100されるのとは150も差が存在するとなれば仕方ないと割り切れる。
「失礼しますー」
教室に入ってきたのは……浅野リーシャ……にシャルロット?
帆波のクラスの紋章持ちで、スタイルすごい彼女たちが何故?
「お、リーシャちゃ「その呼び方、辞めてください」えっ?」
山内が絡もうとしたら、とても冷たい声でリーシャは拒絶した。
「私、この通り頼久君のモノですし、そもそも3人が余りにもだったので貴方を盾にしただけです。何を彼氏ヅラしてたんですか?」
なんか写真見せつけてきた。
……キャミソールで頼久にキスしてるとか、なかなか攻めてる。
「なっ!?」
「そういうことなので、試験とかの必要なとき以外話しかけないでくださいね」
そう告げると退学希望してる3人に顔を向けるリーシャ。
「3人は丁度良かったね。退学するタイミングあって。……じゃないと、大事にして頼久のクラスにCPのダメージ出るところだったし…」
「「「……」」」
シャルロットの言葉に顔を真っ青にしてる。
「君たち……が原因……なのか……彼らが自分から退学するからって、言い出したのは!」
平田がすごく声荒げてる。
それに反応するようにリーシャがシャルの後ろに隠れる。
「……私、力があっても気弱なんですよ。3人の男の人に囲まれたら流石に怖くて……されるがままで……」
本当?(疑惑の目)
「うわ、最低」「退学して、どうぞ」「女の敵じゃない!」
女子たちはもう3人投票で退学させる気で意思統一確定した。
「……すまねぇ」「3人でその……そういうことだろ?それは擁護できない」「学校側が取り上げて大事になる前に何とか……なるならいいが」
須藤……頼久が合意形成()するのを見てるからあんまり同意できないかな。
「皆!?そんな3人が退学に「平田君さ……千手理事に贔屓してもらっておいてそれに甘えすぎ」!?」
シャルが冷静に告げた。
「理想が有るのはいいけどさ……ソレを叶えるためには対価がいるでしょ」
「た、だから皆で半年間我慢を「君の自己満足のために皆納得してないのに巻き込めるんだ。補填もなしで」……っ!」
「退学しても死ぬわけじゃない。生きていればいつか会えたりすると思うよ?」
「で、でも……」
「生まれてきたら、いつかは死ぬ。総帥だって『私とて寿命はある。最も太陽のほうが先に寿命迎える故移住することになるだろうが』って言ってるし」
50億年+αは人類史的に不老不死と同意義では???
「……それに幼稚園や保育園、小学校、中学校と先輩を見送って、後輩に見送られたことあるでしょ? 社会に出たら、出会って、別れてを繰り返す。卒業と退学はまあちょっと違うけど、コレも一つの離別」
「僕は……それでも、誰も欠けさせたくない!」
平田の言葉に目を細くするシャル。
「なら一番残酷な言い方してあげるよ。――君は問題を先送りにして――最後に全て失うことから目を背けてるだけだよ」
「!?」
「だってそうでしょう? 退学回避できるって言われてるけど、ソレすればCP半減、PP半年間0。オマケに頼久から聞いたけどソレ選べば頼久から見放されて援助も無くなる。つまり生活水準低下して、クラスメイトがやる気を下げててる上、試験でも下位に沈みがちな人たちは何やってもPPが手にはいらないことになる」
「そ、それでも」
「上位で試験とかでPP手に入れた人から配分させる?それなら赤い国みたいに頑張ってる人が足引っ張ってる人を介護することになる。そしてPPがたりなくて、脱落が始まったら救済方法がないからどのみち詰み。手からドンドンこぼれ落ちていくだけ」
「…………」
「ぶっちゃけ生徒脱落する気配ないから尻に火をつけるために高育側が動いてるみたいだし、多分クラスで何人か脱落しない限り3年生後半まで手を変え品を変え、定期的に繰り返されると思うよ。学年単位で」
「……もしウチのクラスがずっと脱落なしを続け、半年……いや、数カ月ごとに同じ試験を学年単位で繰り返されたら……」
「ソレで『各クラス退学者1名出るまで試験は繰り返されます』なんて言われたら他クラスから袋叩きにされかねないと思うけど」
「歴代最高と名高い3年のAクラスですら退学者出してますからね」
六花が最悪の想定を述べると桔梗が便乗し、トキも3年生を挙げて誘導する。
「――この試験を実施したのは……私が、君たちに知ってほしいと思ったからだよ」
突然の声、いつの間にか、甘粕理事代理が私たちの教室の片隅でコチラを見ていた。
「……知ってほしい……何を?」
「理不尽は我々を持たないこと、どれだけ大切な仲間だろうが、時には非情に切り捨てねば全てを失うこともあるということ。……残された側は、それでも前を向かねばならんこと、失ったものにばかり目を取られれば、更に失いかねないということだ」
「それは戦争での経験則ですか?」
「ああ、神風して戦友の後も追えず、惨めに生き恥をさらす、貴様らからすれば傍迷惑でしかない爺の……な」
なんとも言えない空気になる。
「本当は人食い熊や致死毒持つ生物のいる本物の無人島に放り込んで、初日脱落した者を全員退学させるのがよい、死んでも蘇生できるのがいるのだから問題ないと進言したが断られてなあ……」
この人、自分基準で人の基準を完全に逸脱してる類だ……。
「妥協案を何度か出してみたら28回目でようやく納得してくれた。かなり手直しされたがな」
今この瞬間、この場にいた全員がこの男ヤバいと認識したのは、間違いないだろう。
「平田少年。君が半年間同胞を苦しませてでも全員生き残らせたい心意気は良し。だがソレを他の生徒が認めるかは別問題だ。……昔の私は、切り捨てて生き残る道をえらんだが、それでも進もうとするその意思は評価させてもらう」
そう言うと甘粕は去っていく。
「……とりあえず皆も一晩考えようか。明日は試験で終わりだし」
桔梗の言葉に皆頷く。
……平田が受け入れられるか……それだけの試験になりそうだが。