――Side 頼久
途中参戦した帆波たちもなぎ倒し、気がついたら朝である。
何故か総帥の残滓を感じたのでリビングに向かうと、そこにはツリーを覆い隠しそうなプレゼントの山。
ついでに特殊な結界で包み内部の時間停止して用意された朝食まで……世話焼きな総帥閣下様々である。
「……ちゃんとプレゼントの宛先が書いてあるな……」
しかも間違えないようにフルネームで宛先のついたタグがある大サービスである。
「……ナニコレ」「室内用クリスマスツリーがほぼ隠れるプレゼントの量……」「すごいわねコレ……」
起きてきた面々が驚きの言葉をこぼしている。
「総帥なんだかんだでよーくん好きだよねぇ」「後継者候補筆頭であり、世界でも片手で数えられるほどしかいない本当の意味での『同胞』ですからね。駄々甘になるのも無理はないかと」
「同胞?」「……何でもありません。さ、総帥が直々に作りました朝食を頂きましょう」「トキがごまかした!」
うーん、相変わらず賑やかで何より。
ん?
南雲からのメッセージ……時間は……ついさっき?
内容は……
『なずなそっちにいないか?』
……どういうこと???
「どうしたのよりー」「なんか悩み事?」
波瑠加と千秋がオレの端末覗き込む。
「……???」「なに、この、NTRされてる側が間男に疑惑を確認してるような言い回し……」
「オレ何もしてないぞ」「女絡みだと基本信用皆無な御主人様ですが、恐らく今回は完全に無実かと」
「ん、部屋にしか分身はいなかったし」
オレの言葉にトキと恋が擁護してくれた。
「なずな……あ、たしか2年生の朝比奈なずなさんか。南雲生徒会長が粉かけても袖にしてるっていう人でたしか生徒会長の幼馴染のハズ」
コネ作りのおかげで歩く生徒地引な桔梗がポンと手を叩いて頷いた。
「それならそれで、何故御主人様に連絡寄越したか、が謎ね」
「……頼久君の手が早いから?」「「「あー(納得)」」」
否定できないね(被害者の会立ち上がりそうな人数見つつ)
「でもここには朝比奈先輩はいない……よね?」
「なら何処に?」
愛里と心が顔合わせて首かしげ。
「とりあえず居ないことを伝えておくべきじゃあないかな? 既読スルーしたら余計な疑いかけられるだろうし」
六花のご尤もな言葉にオレは即座に返信。
『居ないですね。寧ろ居たら穏やかなクリスマスがホラーかサスペンスに早変わりしそうなのでこっちから連絡してます。それと甘粕理事代理あたりからオレのスタンス聞いてません?』
すると
『それならいい。おたのしみのところ、邪魔したようだな』
と返ってきた。
ラリー早いな。
「……」
とりあえず華琳にダメ元で確認のメッセージを送り、一息ついてから、総帥の用意した食事に手をつけることに。
ちなみにオレへのプレゼントは複数のボトルシップ。
なかなかに楽しいがまとまった時間が欲しいものを寄越してくれたものである。
朝食後は朝から第2ラウンド……とはならず、夕方にまた集まる形で流れ解散。
どうやら桔梗が(オレが手を出してない)女子と一部の男子のために別途クリスマス会をやるらしく(先輩に袖にされた女的な仄めかしで男子の手綱締め直すとのこと)、その支度のため断念となった。
千秋と恵、麻耶が桔梗の催しで賑やかしを手伝うとのことで桔梗と共に1抜けし、束は別案件のために仕事に戻り、教師2人も来年の試験の打ち合わせのために離席。
ひより、鈴音、波瑠加は気になる新刊があるといい、有栖が真澄の首根っこつかんで同行宣言。
愛里は心、みーちゃんと共にお腹周り気になるからジムに行くといい、清華、六花、帆波、千尋がソレに同行。
恋とトキはなにをトチ狂ったかベーリング海でカニ獲ってくると書き置き残していつの間にか居なくなっていた。自由人かな?
「……よし、家にいても仕方ないし、出かけるか」
決して1人が寂しくなったとかそんなんじゃないからね!
誰得かな、このひとりごと。
さて、フェナスエリアに来たわけだが、編入生女子会をフードコートにて見つけた。
「あ!千手君!こっちこっち!」
ライザさんや、女子会に男子を放り込もうとしないで?
しかも自分の隣においでおいでするとはどういうこと??
まあ行くけど()
「千手さん、1つお伺いしても?」「答えられるかはさておき、質問は自由だぞ」
殺生院が問いかけてきたので発言を促す
「学年で文武両面において最高の逸材と伺っていますが……何故Dクラスに甘んじているので? 入学もDクラスと聞いていましたし……」
「ぶっちゃけ高育の3年間はモラトリアムだからだな。試験には前向きに協力してるが、あとは他生徒が伸びていくのを見守る構えだ。……ああ、入学時の方なら意図的にバカみたいな面接してたから、とだけ言っておく」
「……なるほど。たとえAクラスで卒業できずとも、何ら問題はない、と」
「そういうこと」
ソレを聞いたライザがへにゃりと突っ伏す。
「いいなぁ、千手は……あたしなんて卒業しても良くて家業の農家、酷いと家を出る羽目になりそうだから……」
「……ゲルマニアグループにスカウトされたり、鉄血宰相の御子息からスカウト受けてるのに、嘆く必要あります?」
朝倉が首かしげる。
「自分の身の丈に合わないすごい人たちのスカウト受けろって?流石に農家出身の小娘には荷が重いって……2年ちょっとでそんな劇的に変われるなんて御伽噺の中だけだよ」
ライザの言葉に卒業を感じて2人もうっ、と言葉を詰まらせる。
「私は寺院で育てられ、保護されて間もなく此処に来た世間知らずなので……今のうちに一般人常識を知らないと卒業して外に放り出されたら路頭に迷いそうです……」
「私は……施設で育ち、施設を去ってからは親元に戻ったあと、甘粕理事の元で面倒を見て……見て?もらったので……私も世間知らずかもしれません……」
何で疑問形?
……しれっと3人の裏話聞いてしまって居心地悪いな……。
お詫びに案を出しておくか。
「うちの住み込み系で働いてある程度余裕できたら別の企業に再就職とかのルートでも良さそうだし、大学気になるところあるならグループの面接で返済がもらった額の2割以下で済むガッツリ生活保障コミコミの準奨学金とか3人なら審査受かるだろ。編入で理事たちが選ぶ実力持ってるんだから」
「真面目にそのルートで日本永住考えようかなぁ」
「私も願わくば……ですね。卒業したら無一文ですし」
「私は……色々決着つけられたら、そうするのもアリですね」
3人は将来悩んでるんだな……。
っと、ようやく華琳から連絡か届く。
『シャルのところにいた』
…………そう、か。
「ん?どうしたの?」
ライザがオレの険しい顔に気がついて覗き込んできた。
「人には言えない悩み事」
「えー、私たちには内緒なの?」
「誰かに話すことで考えがまとまることありますよ?」
「口が堅い方だと自負してますが……まあ編入して日が浅いので信用ないですよね。ラーバーダッキング法とかどうですか?」
3人が親身に話してくれる。
いやー、昼ドラみたいな痴情のもつれになりそうな話を3人に話したくないなぁ(白目)
「ラーバーダッキング法は考えておく。……3人を面倒事に巻き込むわけには、いかないからな」
裏表のないライザはともかく、ワケアリな2人の藪をつついて蛇を出すことになりかねないだろうし。
あと……朝倉について、いましがた受信した電波のこと清華に教えるべきか……悩むな。
食事だけ一緒に食べて3人と別れたオレは、シャルに電話する。
『ど、どうしたの?頼久が珍しいね?』
「……オレを朝比奈女史の間男的な立ち位置において、南雲の目をそらすのは自由だが、オレになにも言わないのはどうなんだ?」
『……華琳の千里眼使ったんだね。ごめん。君の邪魔になりそうな生徒会長に釘を差すための布石をしてたんだけど、君を共犯者に巻き込みたくなかったんだ。教えなければ、本当に知らないから、ジャッジ出しても問題ないでしょ?』
……筋は通ってる……が……
「南雲が好き勝手されて面倒なのはこっちも同じだ。まあ……お前が『シャルロット』ならこれ以上は何も言わん。だが、『シャルル』として暗躍するつもりなら……」
『するつもりないよ。君のハーレムを荒らすようなことになるんだから。もし不安なら君の封印で女の子から変われなくなるよう、縛ればいいじゃん。ボクは全然ウェルカムだよ♡』
なんでやろなぁ。
メスの顔してるシャルが幻視されるんだが。
「なんかやだ」
『(・д・)チッ、君との繋がり、欲しかったんだけどなぁ。封印なんて、束縛してもらえてるみたいでゾクゾクするのに♡』
発情メンヘラ顔から一転、ブタを見るような目で舌打ちからの発情しながら自分の身体抱きしめて絶頂で震えるシャルが幻視できた。
うーん、昔会った時は人妻誑かすインキュバス系クソショタだったから、少しぶん殴って説教したのだが……それのせいで何処か壊れたのかもしれない。
それからはイザークからの手紙でしか様子聞いてなかったが……どうしてこうなった?
「とりあえず……シャルロットとしての範囲で暗躍するなら……南雲の件は不問にしとく。たが……」
『シャルルとしては活動しません。既に3人退学の件と今回の件で1アウト1ストライクってところでしょ? 気をつけるよ。君にこれ以上嫌われたくないからね』
「……わかってるならいい」
オレはそう言って通話を切る。
さて、恐らくシャルが南雲に脳破壊しかけるのは次の試験……恐らく体育祭のような3学年合同のやつ……その前後。
とりあえずは……様子見しておくか……。
「君が、千手頼久だね?」
なんか六花と似た雰囲気の上級生(六花は金髪のロングだか、こっちは銀髪のロングだ)
「そうですが何か?」
「おっと、自己紹介がまだだったね。私は鬼龍院楓花。今は2年Bクラスに所属している。12月になり、面白そうな後輩に声をかけているんだが……君は紋章持ちのなかでは一際『面白い』部類のようだ」
「そいつはどうも?」
「複数人の女をさながら宝のように大事にしてる、さながら御伽噺に出てくるドラゴンのようだ」
「ドラゴンネタならこの9ヶ月でAクラスになった元Cクラスの龍園の方がそれっぽくないです?」
「彼は面白くないから論外」
酷い切り捨て方だ……。
「それで……オレを観察する宣言するのはかまいませんが……あまり深入りしたら、奈落の底まで落っこちるかもですよ?」
「それならそれで構わない。親の敷いたレールから抜け出したいと思っていたし、ちょうどいいくらいだ」
なんだろう。
六花をぶつけたくなる。
「おっと、高円寺というあの同族嫌悪不可避な娘をぶつけようと思われたようなので辞めて欲しいとお願いしておこう。たぶん向こうも同じことを言うと思うよ」
バレテーラ……うん?
端末に通知が入ってる。
六花からのものだ。
……なになに?
『なんか私を変なのにぶつけさせようとしてる君の気配を感じたのでお断りさせてもらうよ。君の愛人ポジにいるとはいえ、非人道的所業には拒否権くらいあるはずだからね』
エスパーかな?
「たまにあるよね、虫の知らせ……」
「ふふ、それと肉体関係持つのも面白そうだ。君の周りにいる娘たちも、ひと皮もふた皮も剥けて化けている娘が多いようだからね」
オレを進化素材かなんかと勘違いなさってる?
「あんまり吹聴しないでもらいたいですね」
「対岸の火事にわざわざ飛び込む意味もない。わざわざ無駄な労力割いて虎の尾を踏むメリットもね」
……メリット合ったら動くかもしれない、か。
まあそうですよねとしかならない回答〜!
「さて、ある程度楽しませてもらったし、私はコレで失礼するよ」
そう言って去っていく鬼龍院。
……さて、そろそろいい時間なので、部屋に戻るか……。
ちなみに今夜は水着サンタのアレンジコスでした。
六花を人海戦術で重点的に弄り倒したとだけ残しておく。