第56話 混合合宿 0日目前半
――Side 清華
……また別行動……か……。
新年三賀日が終えてすぐのこと。
私たちDクラスの面々はバスに揺られていた。
しかしそこには……半ばいつものことだが――頼久たちはいない。
紋章持ちは別行動らしい。
単にバスの補助席なしのキャパ的にギリギリになるからという可能性が否めないけど。
「これより混合合宿についての説明を行う。各自冊子を受け取るように。ああ、コレはバスを降りるときに回収するから、此処で目を通しておけ」
茶柱先生が冊子を配っている。
……頭の中に全部叩き込める頼久たちが居ないのは、これも理由かもしれないけど……
私なら問題ない。
手早く目を通して頭に叩き込む。
……クラスどころか学年の垣根越えてのグループ生活……。
男女別で活動。
男女分かれたあと、それぞれで学年毎に6つの小グループになり、3学年の小グループで1つの大グループを形成。
大グループで生活をし、7日目に『禅』『スピーチ』『駅伝』『筆記試験』で試験がされ平均点を競い合うのが今回の試験だという。
小グループは人数がある程度制限があり、同時に複数クラスでグループを組むほど、人数が多いほど、上位3グループ側の時のメリットがある。
当然大グループの順位が4位以下ならデメリットが発生するが、これは人数やクラス補正がかからないらしい。
また小グループで責任者を指名しなければならず、責任者の居るクラスは報酬に更に補正が付くようだ。
ただし6位になった時、小グループ平均の成績がボーダーライン(計算方法不明)を割った小グループは責任者が退学しなければならない。
補足として責任者が退学になった小グループは個人成績がボーダーラインを割ったグループメンバー1名を道連れで退学にできるとのこと。
それとグループ結成の翌日から7日間、夕食の1時間を除き男女完全別行動……か。
口頭での説明もほぼ同じ。
「何か質問は?」
「そう言えば千手たちは何処に?」
「……その質問に回答できない」
できないときたか。
……可能性としては12人いるから、男女の各大グループに1人ずつ割り当てられる……とおもったけど、イザーク、エド、アル、チョウジ、頼久で男子5人で華琳、シャルロット、リーシャ、呪那、ネル、トキ、恋の7人とバランスが悪いからその可能性はうすそうだ。
不穏ではあったけど、私は合宿という外の環境に少し楽しみにしていた。
――Side 頼久
「よし、これで合宿所の掃除終わり!」
「「「ようやく終わったよ……」」」
オレたちは一足先に現地入りし、合宿の代わりに普段掃除しない施設のアレコレまで念入りな掃除要員として扱き使われていた。
途中オレが数百人くらいになってたから、遠目から見たら面妖なことになってたかもしれない(こなみ)
「……ケチの1つでもつけようと思いましたが、流石は紋章持ちの皆様だ」
月城理事長代理がそう含むところを見せつつ称賛する。
「それで、オレたちはまた別行動で?」
「いえ、合宿でそれぞれ各グループのお手伝いをお願いします」
「手伝うとは?具体的に何すれば良いんですかね」
アルが首かしげて確認。
「平たく言えば雑用です。資材搬入に生徒の服の洗濯や大グループの駅伝などで体調不良者がでた場合の救護等をお願いします」
「実質運営側スタッフだなこりゃ。……大方クリスマスあたりに総帥がしれっとやってきたときにそうするよう言われたんだろうな」
「賢すぎるのも考えものですね」
エドの言葉に月城は肩をすくめる。
「それで、ボクたちはその大グループとやらにどう振り分けられるのかな?」
アルがすかさず問いかける。
「それは彼らが選びます。……今端末に送りました情報が混合合宿で皆さんが所属大グループに齎すメリットデメリットです」
端末の通知から試験情報を確認。
オレは……
メリット
大グループが1位のとき、もらえるCPおよびPPが倍になる。(責任者は追加で2倍)
朝食作成について、1人1000PPを支払うことで代行可能(高い回復力とバフあり)。
1人あたり500PP支払うことでスピーチの指導を個別追加で受けることができる。
デメリット
大グループが4~6位のとき、ペナルティが倍加し、責任者は6倍のペナルティを追加で受ける(実値8倍、道連れ人数変更なし)
……上位陣に入る前提の大グループじゃないとメリット薄いってことか……オレ。
他の面々も見れたのでしれっと見ておく。
……最下位時のみピンポイントとか、下位のときだけとか、3~4位のときという特殊な順位時のメリットとかでだいたい分散している。
メリット薄いけどデメリットも……とかそういう感じだから、ピンポイント狙いのハイリスクハイリターンか、安牌か……とかそんな感じになりそうだ。
「ちなみに男女比が一定ではないので、男女混合されてます。選ばれるまで双方相手が誰か分かりません」
「「「「……え゛っ」」」」
マジかよ。
しかも話し方的に男女別れて小グループ→大グループ→オレら選択だから、たぶん夜くらいまで関われないだろこれ。
……龍園と葛城にかけておいた保険が此処で生きるとは……。
――Side 堀北学
男子の小グループの結成が予定よりかなり早く終わり、せっかくだからと大グループの結成を南雲から打診されたのは良いのだが……。
「先輩、せっかくなんで勝負しません?」
……本当にきたな、南雲。
「断る」
「連れないですね。そんなに自信ないですか?」
「想像に任せる」
オレと南雲の会話を聞いて、男子……たしかAクラスを率いている龍園と葛城だったか――その2人が互いに何か確認してる。
「勝っても負けてもペナルティなしの純粋な勝負でも駄目ですかね?」
「……勝負はオレとお前だけのモノ。互いの所属する大グループを含めた生徒への攻撃はなし。純粋な大グループの結果だけで競いたいなら構わん」
「――ええ、それで構いませんよ」
「――面白い」
声の方を向くと、甘粕理事代理が立っていた。
「オレが立会人として、2人の勝負を見届けてやろう。……正々堂々と勝負するといい」
甘粕理事代理の登場で南雲の口元が吊り上がった。
「――なら、勝負について契約書、取り交わすべきでは?」
葛城を従え龍園がそう告げてきた。
「ふむ、妥当だな。……龍園と言ったな、貴様作れるか?出来栄え次第では私が報酬をPPで支払おう」
理事代理の言葉に龍園が笑みを深めた。
……ヨリー、お前はどこまでコレを視ていたのだろうか……?