――Side 清華
5月まであと数日となったある休みの朝のこと。
「また……」
寮の郵便受けに(意味もないが)習慣として確認しにいったら、何やら手紙を見て震えてる女子が居た。
「どうしたの?」
「え?あっ?そのっ」
ワタワタする女子……確か佐倉……だったはず。
手紙をチラ見したら『いつも見ている』みたいなことが書かれている。
「……穏やかじゃないね」
「あの、えっと……」
わたわたされても困るんだけど……
こういう時は
「ストーカー(推定男)には男の肉盾に限る」
「へ??」
――Side 頼久
「というわけで連れてきた」
「ふええ……男の人の……部屋……それにさっきの3人に……それにこのニオイって……」
なんか地味に偽装してるけど、グラドルやれそうなポテンシャル持ってる佐倉さんを清華が連れてきたんだけど……。
「清華さんや、なんも連絡無しに人を連れてきたらアカンよ」
明け方までやらかしてた部屋にとなれば尚更なぁ!(シャワー室に慌ててぶち込んだ恋とトキと桔梗から目を逸らしつつ)
え?女子4名と日常的に同衾してるのが悪い?
それはそう(全面肯定)
それはそれとして、オレと清華がシャワー先に浴びてなかったらもっとヤバかったし、ちゃぶ台と座布団なかったらもっと危なかっただろう。
いや気が付かれてるし……ダメかも(諦念)
「……んで、なんで連れてきたんだっけか(再確認)」
「たぶんストーカーにつき纏われ始めてる」
清華がそういいつつお茶を出した。
「ふむ……心あたりは?」
「そ、それは……その……」
「貴方が口硬いと自負してるなら、彼を頼るのはオススメできますよ。口を滑らせたらあの世へ『転校』することになるかもですが」
「ひえっ」
タオル首に巻いて牛乳片手にマッパでやってきたトキとその発言に二重で驚く佐倉さん。
やめたげて??
佐倉の重い口から流れるのは地味に偽装していた彼女のもう一つの側面とそれにまつわるいざこざだった。
グラドルの雫という名義でグラビアにも何度か乗って、高育でも条件付きでSNSで自撮りをしていたらしい。
ここでSNSに返信してくるストーカーっぽいのが四月中旬に郵便受けに手紙を投函したらしい。
偶然と思って手紙を捨てたが今朝2度目の手紙が入っていたと。
「そうなると、高育の敷地内にいる誰かになる」
「外部とのやりとりは制限されてるもんね」
清華の言葉に桔梗が頷く。
「手っ取り早いのは呪那か……あるいは……」
「あの高校生活デビューでギャルになってる呪那より、現実的手段で行きましょう。生徒の場合説得力が足りなくなります。呪殺でストーカー死亡事件を迷宮入りさせるつもりなら止めませんが」
オレの思考に補足するトキ。
「……ってことだから佐倉さんや。一応解決手段は先生巻き込むか、オカルト側だが確殺してくれるやべーやつの二択ならどっちにする?」
「せ、先生巻き込む方……かな……」
「よし来た。善は急げだ」
「え?」
オレは彼女を玄関までお姫様抱っこして靴履かせたらそのままお姫様抱っこのまま学校へ駆け込む。
ちなみに恋は風呂好きでもあるのでまだ風呂に入っていた。
「……なるほど。それが事実なら、監視カメラの映像を調べる必要が出てくるな」
休日出勤していた茶柱先生を捕獲して話をしたところ、納得した顔でそう告げた。
「佐倉、ちなみに1回目の投函される前の数日、どこに行ったとか覚えてるか?」
「え? たしか……寮と学校以外は……ケヤキモールの電気屋さんくらいかな……? カメラ買うために行ったから……」
オレの言葉に思い出しながら告げる佐倉。
そういえばあそこポイントカード作れるんだよな。
「ポイントカードは?」
「作ったけど……」
オレはほぼ確信する。
「茶柱先生。茶柱先生の連絡先とケヤキモールの警備員への連絡先をお願いします」
「何するつもりだ?」
「犯人に潜られても面倒なので……感情掻き乱して釣り出し、取り押さえます」
「目星は」
「ケヤキモールの電気屋店員の誰かですね」
「失敗したら?」
「プライベートポイント半額返納しますよ」
「クラスメイトを危険に晒すつもりか?」
「そうしないためにオレが居る」
「吐いた唾は飲めんぞ?」
「できないことは無理と言う」
「良いだろう。コレが私の、こっちがケヤキモールの警備室への連絡先だ。警備室への連絡先は連絡先登録しないように」
そう言って2枚、茶と併記されたメモと警備室と書かれたメモを差し出してきたので受け取る。
「それじゃ、作戦開始だ」
――Side ???
ふふふ、雫たんはラブレターちゃんと見てくれたかな……ん?
「すみません、会計お願いします」
目の前にはチャラそうな男子と……えっ、雫たん?
男子が雫たんの肩に手を回してオレのモノみたいにアピールしてる……?
「あの〜聞こえてますか?」
っ!今はただの店員として――なにこれ
男子が買おうとしてるのは――電気マッサージ器だ。
「愛理、帰ったらコレ、部屋で使おうな」
「……はぃぃ……」
は?
は?
はぁ???
コイツ、まさか!
雫たんを手籠めにしようとしてる!?
「あの、早くしてもらえません?」
「あ、ああはい」
平常心、平常心だ……大丈夫。
もうすぐシフトは終わる!
コイツの後をつけて雫たんを助けねば……!
「楽しみだなぁ。コレであんなこともやったりさぁ……」
「はわわ……」
畜生!仕事してる場合じゃねぇ!
オレはバックヤードに駆け込み、取るものとってあの2人を追いかけた。
――Side 頼久
「よしよし、ちゃんと釣れたな」
背後に感じる殺気が心地よさすら感じる。
「……こ、こわい……」
腕の中で震える佐倉。
「追い払うのは任せときな。ただ、あの手の輩はちゃんと拒否しないと何時までも追い続けるだろうな。息の根留めていいならやりようあるけど」
「ひえっ」
安心させるつもりが怖がらせてしまった……。
さて、カメラもスタンバイも問題ない、比較的人の少ない場所に来たし……。
「待ちきれないし、ここでやっちゃう?」
「そ、それは……」
「おい待てそこの雫たんを手籠めにしようとしてる不遜な輩!」
オレはわざとらしく振り返る。
そこには店にいたヤバい雰囲気の店員だった。
「どちらさん?あと……雫……って誰のことです?」
「その娘だ!ボクの雫たんだ!」
「そうなの?」
男の言葉に確認するように問いかけるが
「違います……私は、貴方のものでは、ありません……!」
「そんな、ボクの雫たんが……そんなこと言うはずない!」
錯乱するように叫び、そしてハッとする。
「そうか……その男に洗脳されてるんだな!今助けるからね!」
「違います!」
「大丈夫!そいつを倒して元の雫たんに戻してあげるから!」
オレはそっと彼女を逃げるように促し、駆けてくる男に向かう。
「この、野郎!」
手に持つのはカッターナイフ。
刃は細いがうまく何度か避けつつ――狙った攻撃を誘発させる。
「この!雫たんにつく悪い虫が!」
カッターナイフを逆手にして、振り下ろす動作を左腕で受け止める。
派手に突き刺さり、血が流れ出す。
ソイツがカッターナイフを抜こうとしたが、抜けない。
「おいおい、刃物振り回しちゃいけないって」
右腕にほどほどの力を込めて
「習わなかったかこの野郎!」
調整した顎にいい一撃をいれると、男が吹き飛び地面に大の字でたおれる。
様子からして意識しっかり刈り取れただろう。
「――愛里」
「は、はいっ!?」
「茶柱先生へ連絡頼む。オレ警備員呼ぶから」
「う、うん。……その、腕……」
「ガッツリぶっ刺さってるけど、まあこの程度なれた」
「えっ?」
「あと……恋たちのバックアップは必要なかったみたいだし」
オレが目線向けた方に愛里も目線を向ける。
そこにはカメラの死角にいる恋たちがおり、撤収してるところだった。
「さて、外患誘致に関して、学校側と交渉もしないとかな」
「それより先に手当て……あれ、私がおかしい……?」
ぼんやりと覚えてる通りだったのでよし!(現場猫感)
あっ、今月クラスポイントふんだくって加算されても相殺されてどのみち0になるかも……もう少し後にしたほうが……たしか本来なら別のイベントと並行してたはずだし……でも原作通りにいかなかったら大変だったし……等と悶々。
オレは最終的にヨシ!(現場猫)と無理やり自分を納得させるのだった……。