――Side 頼久
2月上旬のある放課後――理事長室にオレたち紋章持ちは呼び出されていた。
「ということで貴様らには3月の試験中、オレの召喚するツァーリボンバーを回避しながらちくわだけ的確に食う試験を並行して行ってもらう。被弾1発CP-80、ちくわ16本で1回被弾回避のストックは1までだ。おおよそ5時間耐久がんばりたまえ」
なんか唐突な鬼畜回避耐久ゲーを予告されたんだが?
「頭イカれたか理事代理」
「核回避5時間耐久はもはや拷問なんだよなぁ」
「忍者ハットリくんのボーナスステージネタじゃない。レトロゲーも収集してる総帥か当時のゲーム持ってない人にそのネタ通じないわよ?」
「いや、最近銀魂でそのネタやってたから、知ってる奴は知ってるだろ」
「爆発でちくわが飛び散るから試験不成立、そしてそんなものどこでやるんですか?核なんて何処で使おうと世界情勢大騒ぎ不可避なのでそもそも不可能により却下です」
月城理事長代理含め全員辛辣である。
「……流石に冗談だ。だが、次の選抜種目試験について、お前たちは各クラスの3枚のジョーカーとして司令塔やクラスに負担がかかることを覚悟しておくように」
「かなり横並びですからね。コレも調整の一環です」
理事代理の言葉にジト目の面々。
「予告してくれる分まだ胃痛少なくてマシではあるんだけどさ」
「なんか、釈然としない……」
「あ、コチラからの通達は以上です。もう帰ってもらって構いませんので」
「「「えっ、メール通知で良くなかった……?」」」
色々ツッコミどころあったが、次試験はオレたちの立ち回りでCPゴリゴリ削れるということだけはハッキリしたのである。
「それでは、3月に行われる試験を説明する」
その翌日の帰りのホームルームに茶柱先生からそう通達された。
ルール、流れとしては以下のようだ。
・2月上旬に司令塔と対決クラスを選ぶ。被った場合は高育側で調整される。
・2月下旬に各クラスが10種目(本命5種目・ブラフ5種目)を選び公開。
・このとき10種目内で参加人数が被ってはいけない、また引き分けになる種目は禁止。(ならないよう、ルール調整がされている場合はあり)
・3月中旬、対決クラスの本命5種目×2から7種目がランダムで選ばれ、それぞれの種目で勝敗を競う。
・各種目の参加者はあらかじめ選ばれた司令塔が状況に合わせて選出。競技ごとに司令塔は介入する権利を持つ。
・勝ち越しクラスは100クラスポイント増。負け越しクラスの司令塔は退学(プロテクトポイントは有効)。
・種目の勝敗毎に敗北クラスから勝利クラスに30クラスポイントが移動する。
此処までは基本的なルールと流れだ。
次からがオレたち紋章持ちによる司令塔やクラスへ負担がかかるルール。
・紋章持ちが選択され、出場して敗北した場合、CP-30
・1つの種目に紋章持ちを2人以上出す場合、勝敗に関わらずCP-40×(n-1)
・試験終了時出場のなかった紋章持ち1人あたりCP-100
・紋章持ちの出場する種目人数が4人以下の場合、CP-40×(5-種目人数)
・出場人数の関係で全員一度出場した場合、2度目の出場は不可能
・司令塔に紋章持ちは設定不可
……出しても負けたらダメ、出すタイミングミスってもダメ、少人数種目に出したら最悪ボロ負けよりデメリット、出し損ないはもってのほかということである。
「せんせー、流石にコレ理不尽では?」
「単体でほぼ勝ち確定になるジョーカーのようなものだからな。今まで縛りがほとんどなかったのが不思議なくらいだった……ということだろう」
「やべえ、ご尤もとしか言えない……」
「優秀だが、性格に難のある人材を的確に使えるか、という司令塔役へのテストでもあるようですね」
プロテクトポイント持ってる清華に生徒の視線が集まる。
「……司令塔と攻撃先は明後日まで、種目について再来週までに決めるように。提出が間に合わなかったら適当に高育が決定するのでそのつもりで」
質問を確認したが、特になさそうなのを確認した茶柱先生はホームルーム終了を宣言する。
そして茶柱先生がいなくなると、生徒たちが話し出す。
「人数被りできないのと少数のところに切り札ねじ込みにくいのキツイな」
「何処でどうしようか」
と会話し始めるところに、鈴音が手を叩いて注目を集める。
「一先ず、司令塔はプロテクトポイント持つ綾川さんでいい?」
「「「「「異議なし」」」」」
何か言いたそうな清華だが、自分以外満場一致なので沈黙する。
「次、平田君と櫛田さんは仕事をお願いするわ」
「ん?仕事?」「何かな?」
「詳しくはこれからよ。……紋章持ち以外は『コレなら他クラスの紋章持ち以外のほとんど相手でも負けない』という種目を1つ以上、明日までに用意してきて。運動と知識……恐らく雑学系でもある程度通せるはずだからそちら方面でもいいと思うわ。そしてそれを男子は平田君、女子は櫛田さんに伝えて頂戴。集計しやすいようにメッセージか紙で出来るだけ渡すように」
「なるほど」「40人近い面々を1人で集計するより分担したほうがわかりやすいよね」
「あ、ついでにどのクラスと戦うのがいいかの意見もあるといいかもしれないわ。高育側に調整されるかもしれないけど、意見は聞いておきたいから」
鈴音の言葉に前向きな声が聞こえてくる。
「そして紋章持ち3人は明後日の攻撃先確定したあと、10種目について選定を頼んでいいかしら」
「ん、それくらいなら」「ええ、構いません」「頑張らせてもらう」
「とりあえずできそうなことはこのくらいね。ーーそれじゃ、部活のある面々もいるだろうし、解散ってことで。一応私や松下さんあたりで候補の相談くらいできるようにしばらくいるけど、生真面目な内容ばかりになりそうだから、搦め手な内容が出てくることは、期待しないように」
「それで、そちらはどんな種目を選んだので?」
「教えてほしいかなーって」
有栖の日だったが、なんか真澄に帆波、千尋と共にベッドにやってきて問いかけてきた。
「……ウチのような尖ったステータスの面々が揃ったクラスの内容、今日の数時間で決まってたらホラーじゃない?」
「「それは失念していましたね(たなぁ)」」
「まあ、知ってても教えるつもりはないけど」
「教えてくれるとは思ってませんが」「最近裏方に控え気味?」
「元々そういう性質じゃないでしょうに」「昼行燈してどうしても必要な時に動くスタンスがいいみたいですし」
真澄と千尋が納得したような顔をしている。
「私はもちろんDクラスと戦わせてもらいます。ーー清華ちゃんが司令塔として盛大に戦えるのはこれくらいの時じゃないと無理そうですからね」
「私はAクラスの龍園君たちかな。ーーって千尋ちゃんたちに先越された!?」「むう、いつの間に」
真澄と千尋がオレにキスを強請ってるので応じていたらなんか帆波がふくれっ面している。
「対戦相手確定したらまた声かけるといいさ。もしかしたらうっかり喋るかもしれないぞ」
そういいつつ二人を招き寄せる。
真澄と千尋がいつの間にか服を脱ぎ始めていたので、オレも脱ぐことにするのであったーー。