――Side 頼久
「やはり、か」
朝食を食べながら端末から、変動してないプライベートポイントの残額を見てそう零した。
「こっちも変動なし」
「恋のも」
「言わずもがな」
「コレ散財した連中大丈夫かなぁ……」
「「「「「はぁ……」」」」」
5人で朝食食べながら全員ため息が出てしまう。
「でもコレで」
「ん、黙秘の制約は終わった」
「Sシステムを踏まえて話したりできそうね」
「そんじゃ、桔梗は紋章持ち後回しでいいから学校全体に人脈作り引き続き頼む。トキは他クラスの紋章持ちからクラスのスタンス確認して、桔梗の集める情報とクロスチェックよろしく」
「わかったよ」「お任せください」
「恋と清華は放課後の各棟での監視カメラの定期点検とかを頼む。異変を感じたら伝えてほしい」
「つまり見回りってことね。了解」「ん、清華。ある程度分担しよう」
「オレは……桔梗不在時のクラス取り纏め補助や協調性無い生徒とお話したりかな」
「無理せずに?」「女増やしそうで心配ですが」「ん、リーチかかってるの居るし」「道連れ……仲間が多いに越したことはないからいいけど」
桔梗以外辛辣な気がするのは気のせいだろうか。
「――お前たちには失望したよ」
朝のホームルームにて開口一番茶柱先生がそう口を開いた。
そしてクラスポイントの存在とプライベートポイント支給の連動について告げ、学校始まって以来初の「最初の一ヶ月で初期クラスポイント全損」を成し遂げたという不名誉極まりない褒め言葉(ほめてない)をオレたちに贈った。
そしてクラスポイントは
Aクラス 980
Bクラス 703
Cクラス 520
Dクラス 0
と通達された。
幸村が内訳を求めると、詳細は伏せたうえで
遅刻、欠席、授業中の私語始め諸々が原因と告げ、
ぶっちゃけ0で止まらなかったらオーバーキルで減少量はCクラスのトリプルスコア超えだったぞ、と告げる。
「まさに不良品のDクラスといったところか。馬鹿と何とかは使いようというが……匙を投げたくなるほど使いようが無く、一周回って笑いすら出てくる」
煽りまくるおかげで一部の生徒は憤慨し、一部生徒がクラスポイント減少の心あたりの生徒を睨む。
そしてクラス配分は生徒の能力で判断したものである、とも告げ、一部の生徒が噛み付くが茶柱先生はガン無視。
「それと高育が言っている希望したところに進学・入社100%だが……あれは「卒業時のAクラス」だけだ。「卒業時のAクラスの生徒は100%希望する門戸をこじ開けて入ることができる」というわけだ」
よってこのクラスは今の状態では到底無理だな、と茶柱先生が告げると阿鼻叫喚が始まる。
「精々3年間、有意義に過ごすことだ。ああ、あとSシステムについてだが、教員および上級生、そして一年生でいち早く真実にたどり着いた者たちが語ることできるようになったし、端末のヘルプから調べられるようになっている。うまく使え」
そう言って去っていく。
「おい、どうするんだよ!」「プライベートポイント10万はいると思って使い切っちゃった!!」
約6割くらいの生徒が慌てふためき、
「無料のモノで食いつなぐのか……」「節約しないと……でもいつまで……?」
約2割が終わりの見えない節約生活に憂鬱な顔になり
「……ここからどうやってAクラスになればいいの……?」「冗談じゃない!なんでオレがDなんだ!」
1割がAクラスに成り上がるビジョンが無くて絶望したり、自分のクラス配置に納得せずに不満を口にする。
「君たちは落ち着いているね」
高円寺が話しかけてきた。
コイツモデルみたいに高身長でスタイル良いな。
筋肉もしっかりつきつつ女性的丸みもある。
凄く難しいバランスでスタイル維持してる感じがある。
っとそれはそれとして……
「否定しない。箇条書きマジックでこうなる可能性があったし、そもそも倹約生活には慣れている」
「それは何よりだ」
「ちょっと!その可能性あったなら最初から言いなさいよ!」
軽井沢がかみついてきた。
「確定してないことを言っても眉唾と言われかねないし……そもそも茶柱先生がクラスポイントの減点対象にあげた内容、小中で先生とかに言われたことないのか?」
「なっ!?」
「そして勉強や運動する場は設ける。だがソレを有効活用できるかは受ける側次第。コレが高育のスタンスなんだろうな」
「何……ソレ……」
「平田、済まないがそろそろ授業だ。彼女さんと取り巻きを頼む」
「あ、ああ。済まない!」
オレの言葉に平田が軽井沢を引き取り席に戻す。
さて……鈴音たちのケアを昼休みにしますかね……。
昼休み。
恋はAクラスの華琳の餌付けに釣られてトキと共にAクラスに行っており、清華と桔梗は佐倉と長谷部というスタイル良しな娘と交流のため不在でボッチ飯してたのだが――
「知ってたのね、こうなること」
「予想はしてた。予想通り過ぎて薄ら寒いものを感じてる」
しれっとやってきた鈴音の言葉に同意を示す。
「それで、何か考えとかあるの?」
「まだ様子見だが……クラスの素行とかでCPが減少するなら、逆もまた然りだろ」
「CPが増える可能性……その心は?」
「減るだけのシステムなら、全クラスのCPが0ポイントにすれば仲良く全員Aクラスになれちまう。競争心煽ってる高育側がそんなシステムのバグを残してるとは考えにくい」
嘘です前半は原作ぼんやりと知ってるから、ただのインチキです。
まあそれはソレとして後半供述したハイリスクしかないウルトラCに挑んだ学年ないだろうけどな。
まず学年全員の協力が必要な一大事業になるし、逆にそんなことされたら運よく生き残ってるやつ全員の希望叶えることになる。
そんなキャパが学校側にあるとは思えない。
いや、あるとしてもそんなトンチキなバグ引き起こす学年を希望するところにねじ込むとか、学校として胃痛案件だろうし……。
「それは、そう……ね?」
「ソレにCPが減るだけなら、2年3年は先月の水泳の時みたいな手にはいるイベント以外にPP獲得チャンスがなくなっていくことになる。つまりクラスメイトによる限られたPP争奪戦というクラス内戦国時代待ったなし。学級崩壊フラグが建つよな」
「減点方式で進むならあり得る話ね」
「そして仮にも国立で人を育てる旨を喧伝してる高校が全員協調性皆無で社会に放流とかなったら評判ガタ落ちになるし、それをやるとは考えにくい。だから何らかのイベント……体育祭とかそういうのでクラスが成果上げたらクラスポイント追加という飴で協調するよう促すこともあるはずだ」
「……つまりAクラスになるチャンスは」
「0じゃないはずだ。というか『進学や就職叶えるのAクラスだけ』というニンジンぶら下げて競争促す以上、終盤での大事故以外ならリカバリー可能な調整をいれると思うぞ。三年の最後まで自爆し続けて救済の余地なし判断されて切り捨てられるとかはだろうが、それは是非もないだろうし」
「……続けて」
「一年目のこの5月1日にSシステムの真実突きつけるのは、自分たちの行動をチェックさせられてることと、ソレで自分たちの首が締まりうることを最初に教えるためだろう。最初から知ってて意識してないとこうなるを自覚せずに仮面被らせるより、最初に好き勝手した結果痛い目に遭って次がないようにさせる方が、実感湧くだろ。ほら、自分がその立場にならないと分からないこともあるしな」
「……つまり私たちがAクラス卒業するためには……個々の実力とクラスの協調が必要の可能性が高い……と」
「まだ予想でしかないがな。ソレにここに入るために入試を(清華とオレら紋章持ち以外は)受けたはずだ。それなら最も入試で成績いい奴を上から入れればいい。それならDクラスでももう少し授業態度マシだったと思うぞ」
「それはそうね。国が喧伝するような教育機関なら、倍率も高くなってもおかしくない。つまり……このクラス分け、こうなったのは……入試項目……五教科や面接以外でも評価されて……そういえば茶柱先生は能力で配分したとも……」
誘導尋問同然だが、本人も腑に落ちたようだからヨシ!
「たぶんな」
「なら貴方は何が原因でDクラスに?」
「たぶん紋章持ちでもクラス分散させておきたかったけど、11人と半端だったからその枠にねじ込まれた一般人」
いや、オレも紋章つけて良いんだけど、面倒くさいから恋と共に拒否してるだけなんだよね。
「…………全然納得できない。けど、『そういうこと』でとりあえず引いてあげる」
「ちなみに顔面偏差値も評価対象に、かなり優先度高めで入ってるとおもうぞ。男子も女子もピンキリな人間の上澄みしかいないし」
「……否定できないわね」
複雑そうな顔になる鈴音。
「とりあえず他になんかある?」
「……一先ずは問題ないわ。明日も色々聞かせてもらうわ。誘導強めとはいえ、思考整理の手伝いのおかげで、腑に落ちたことがたくさんあったから」
「それはなにより」
オレはそう告げて食事を再開する。
クラスポイントがオーバーキル云々は
4月最初の須藤会話イベントスルーによるコンビニで揉めた+上級生と揉めた
電気屋さんについての情報再精査の時にDクラスの数名が態度よろしくない等、負の方面に再評価を食らった
等が原因で悪化しているためである。