見切り発車で1年生編まで書ききったので満足です。
――Side 頼久
桜の舞い散るまさに出会いと別れの季節。
生徒たちはいずれも制服をしっかり着こなしている。
オレもちゃんと制服をチェックして一足先に体育館へ。
体育館には普段舞台袖に控えているグランドピアノが檀上の見える位置に移動している。
さて、お仕事始めましょうかね。
――Side 堀北学
『卒業生、入場』
3年という時間は、振り返ればあっという間だった。
箱庭のような環境、監視カメラや後から明かされるルールたち。
生徒会に入り、運営側として関わり、思うところはあるが概ねよい後輩に恵まれた。
そして、大学も望むところに茜と入れた。
高育は卒業だが、まだまだ人生の途中なのを忘れてはだめだな。
ふと視線を感じて目を向けるとそこには南雲の姿。
……バツが悪そうにするくらいなら、最初からやらねばよい……いや、今それを言ってもどうしようもないな。
……ん?
ピアノ弾いてるの頼久か。
例年は専用機材でディスクの曲を流したりして、生徒会役員が裏方で曲の切り替えしていたのだが……ピアノの生演奏は初めてみたな。
『卒業証書授与』
ふむ、曲が変わるか。
穏やかな曲から少し明るい曲調に変わったことに皆も気がついたようだ。
というかアイツ認識ずらししてるだろ。
曲調変わるまでオレや茜以外の3年気が付いてなかったぞ。
――Side 頼久
卒業式も滞りなく終わり、謝恩会が行われている。
「流石堀北先輩、人気だな」
なんか生徒会長が隣で後方腕組み院してて誇らしげである。
「……人気でホリー超えられると良いですね」
「そのつもりでまじめにやるし、緩めていいところは緩めるつもりだ」
「それは何より。……たぶん来年は、秋の始まりまで『ウチと下』が少し揺れるかもしれません」
「……なら体育祭でお前と戦えるかもしれないのか」
目線をこちらに向けずにそう告げる。
「オレ単体なら割と早期に暇になると思いますが、予定は未定です」
「理事長代理か?」
「ええ。橋本正義の上位互換みたいなコウモリさんは八方美人を崩せないから大変ですね」
「そうか。オレは深入りしないほうがいいか?」
「失敗前提、ベットしていいのは損切りできる範囲でそちらの自由とだけ」
「……さて、聞きたいことも聞けたし、そろそろ行けそうだからな」
そう言って南雲生徒会長は去って行く。
「今の何? 男同士の友情?」
しれっとやってきたライザ。
「どっちかと言うと悪徳商人とお代官様」
「えっ、おまわりさん案件?」
「単に裏話してただけだよ」
「ふーん? まあいいかな」
ライザはどうでもよさそうだ。
「……壁の花になってるのはなーぜ?」
こちらをチラチラ見て帰らないのかという顔をするライザ。
まあ上級生と関わるのは基本混合合宿だけだったし、3年生に特に思うところもなさそうだし妥当か。
「なんとなくだ」
「なんとなくかぁ」
「時にはなんとなくが千の理由を超越した動機になるってこど」
「それっぽいこといわれたら、反論しにくい〜」
「いや、キアラたちと帰れば?」
「それが、キアラは育った施設の関係者が3年生にいるとかで――」
それ先に言ってくれる?
最悪の想定だとかなりめんどくさいんだけど!
特に何もなく、オレの部屋に戻ると何故か橘先輩とホリーが揃ってeスポーツをやっていた。
「なんでわざわざここでやるかね、卒業式やったあとに」
「お前が直ぐに帰ってきてると思ってた」「学君についてきました」
「2人仲良くキャンパスライフ頑張れよ」
「大学中に親に挨拶して、就職したら結婚しようと考えてる」
ホリーに死亡フラグ立った気がする……。
「車の免許、家賃水道光熱費もろもろ金がかかる。高育のPPと同じ感覚で金はいると思うなよ」
オレの指摘であっ、となる2人。
3年間高育のシステムに慣れてしまうとこうなるから怖いよなぁ……。
「一応PPと金で換金できるらしいが……」
「レートは?」
「……たしか……」
耳元で教えてくれるが……。
「なら普通にオレが渡したほうがいいまであるな」
「正気か?」
「オレの専属の弁護士や税理士にそっちの支援つくよう言い含めておけばいいかなって。数兆規模のポケットマネーとその数倍上の資産あるし」
「……スケールが違いすぎる……」
橘先輩が遠い目をしてる。
「その辺り明日話つけて連絡しとく。それより、鈴音とかと会ったのか?」
「え? 会ったが……お前のためにまた髪伸ばそうとか言ってたな」
「節操なし……」
ジト目向ける橘先輩。
「本人たちが幸せそうなあたり、オレたちが口出しすることはできんよ。……義兄としては、思うところあるがな」
そういえばそうなるのか……事実婚ではあるがな。
そんな感じで珍しく夜遅くまで2人はオレの(学生寮の)部屋で夕食食べて遊んで、窓から降りて帰っていった。
……うーん、自由人……。