――Side 頼久
「須藤」
「あぁ?お前はたしか……千手だったか」
昼休みの空いた体育館でバスケしてる須藤に声をかけるオレ。
「素人だがカカシよりはマシな練習相手になると思う。混ぜてくれないか?」
「別にいいけどよ」
オレは上着脱いで上をワイシャツにしてコートに入る。
すると須藤がボールを、なげて寄越した。
「そっちがこのゴールに入れてみろよ」
「なら遠慮なく」「は?」
オレはいきなりスリーポイントシュートでゴールネットを揺らす。
「……いやそこはオレのディフェンスを超えようとするところだろ。ってかお前やっぱり運動全般できるクチだな?」
そういえば水泳で調整してタッチの差で隣泳いでた須藤に勝ったっけか……。
「否定はしない。攻守交代だ。スリーポイント狙ってもいいし、オレを超えてもいい。簡単にはゴール入れさせないがな」
「いいぜ、オレのホームで啖呵切ったこと後悔させてやる!」
ボールをもって中央に戻ってから――勢いの良いドリブルで駆け上がってくる。
が、オレには止まって見えるんだよな。
「――はい、攻守交代ね」
「――!?」
指先でバスケットボールを回しながらそう宣言すると、今までの余裕が消え、スイッチが入ったように彼の気迫が増した。
「テメェ……!」
「只人では敵わない化け物相手に、何処まで食いつけるか見せてくれよ人間」
オレは相手に合わせて回避し、又抜けや1人ワンツーで須藤を抜き、点を何度も入れる。
そして須藤の攻撃は徹底して弾き、無力化。
凡人なら心折れてるがその戦意に衰えなし。
さて、そろそろいいかな……。
「――次だ次!」
「そろそろ片付けて戻らないと授業始まるからここまでね」
「ふざけるな!まだ一度も点を入れられてねぇし、防ぎきれてない!」
「いや、寧ろアレだけ食いつけてる時点で選手として上澄みの上澄み。プロでもやれるレベルだ、誇っていい」
「いや、それならお前はなんだって言うんだよ」
「バグ過ぎて出禁枠……かな」
「……」
何かを言おうとして、何も言葉にならない。
須藤はそんな顔をしていた。
「だけど惜しいな」
「何がだよ」
「ソレだけ熱量をもって何かに打ち込めてまだ力を有り余らせてるんだから」
「勉強はからっきしだが、運動は自信あるぞ。体力だけは有り余らせてる」
力こぶ作るな、この場にそんなもの需要ないぞ。
それか農業やらせようか?(銀匙感)
まあそれはそれとして……
「……もし勉強に困ったら声かけてくれ、できる限り教えるから」
「あん?どうした急に」
「なに……スポーツの才能あって、勉強も上の中くらいまでなら射程圏内のポテンシャルを持て余してるのを見て惜しいと思っただけだ。――オレがバスケ部に入れば全国いけそうだと思ってたお前みたいにな」
「……はっ、慰めの言葉は要らねぇよ。お前のような乗り越え甲斐のある天才がいるって分かったしな」
「いや、素直に惜しいとおもった――」
言い終える前に5分前の予鈴が鳴る。
「うおっ!?遅刻したら白い目で見られる!」
「廊下走るなよ。競歩だ競歩!」
遅刻ギリギリだったが、何とか間に合ったとだけ、言っておこう。
そして午後の時間、変則的小テスト五教科が行われ、ホームルームに突入したところ……。
「午後の変則的小テストは2週間後の中間テストの予行演習だ。小テストは範囲内から出されていることを、マトモに授業受けていれば気がついているだろうがな」
その言葉に声こそでなかったが、ざわめきが起こる。
「2週間後に中間テストを行う。赤点を下回った場合、容赦なく退学となる。赤点については基準が設けられているが、計算方式は非公表だ。小テストの成績上位者と平均点、赤点、試験範囲については各クラス毎後ろの掲示板に張り出されるので参考にするといい」
その言葉に何か意図があると考える一部の面々。
「だが、今回に限ってはお前たち不良品だろうと乗り越えることは可能だと確信している。私の見込み未満でないことを願っている。以上だ」
そう言ってホームルームをきり上げ、去っていく茶柱先生。
「退学……」「せっかく入ったのに……?」
ざわめく面々。
「テストで成績上位者か点数の振るわない面々に勉強を教える勉強会をしたいと思う!どうかな!?」
平田がすかさずそう言うが――
「何故落ちこぼれをフォローしないといけない?」
幸村がそう告げたことで空気が冷え込んだ。
「授業をしっかり受けていればあの小テストなら8割は余裕で取れるようになっていた。赤点は計算方法は不明だがよほどがなければ6割取れれば回避できるはずだし、小テストと同じ難易度なら簡単なはずだ。今まで授業を上の空だったのだから自業自得だろう」
「んだと!」
「須藤、だめ」
恋が即座に羽交い締めにして抑え込む。
なんか顔赤くして止まったな。
……恋の胸、柔らかいもんな……。
「でもクラス一丸となってやらないと「勉強は覚えて自分のモノにする過程だ。誰かが教えたとしても、ソレを聞く側が受け止めてモノに出来ないなら時間の無駄になる。徒労に終わるくらいなら、自主勉強していたほうがまだ有意義だ」……」
そう言い捨てて去っていく幸村。
「私も済まないが降りさせてもらう。ああ、幸村ボーイよりは教師役に前向きのつもりだが、私ではきっと生徒役を怒らせてしまうだろうからね。お互いマイナスになるくらいなら、やらないほうがマシだろう?」
採点くらいなら手伝うのもやぶさかではないが……と雑誌に視線を戻す高円寺。
ちらっとこちらを見る平田。
「桔梗とトキは別件で動いてほしいことあるから回せないが、オレと清華と恋に堀北で佐倉とあと女子数人に須藤と男子数人くらいなら何とか面倒見るぞ」
「しれっと人巻き込まないでくれる?」
鈴音が反応するが――
「そうか、知識のインプットは得意だが、教えるというアウトプットはダメそうか学ならできたぞ「安い挑発ね、仕方ないから乗ってあげる」平田、こっちのできそうなのはコレくらいだ」
ふっ、他愛なし……
「いや、とても助かる!」
なんか平田が男泣きしそう(こなみ)
「とりあえず小テストの内容から逆算した範囲になるが明日使う分の問題集を軽く作っておくぞ」
「そんなことまで!?」
「恋と清華で、中学生とかの、復習必要そうな分野、簡単な問題集作っておく「単元洗い出しはこっちでやるから難易度調整たのんだ」ん」
「本当はそっちに回ったほうがよさそうですが、御主人様のオーダーを優先します。オーダー終わりましたら、御主人様と合流します」
「私も先輩のお願い終わったら恋や清華の方に合流するね」
さて、忙しくなりそうだ。
「……ちなみに勉強会参加の拒否権は「ねぇよ須藤。あんな悔しそうな顔して勉強方針も思いついてない奴放置できるか」……すまねぇ」
「わ、私はみーちゃんと「問題なさそうでそっちがそれでいいなら放流するから明日だけは参加するように」はい……」
「で、私は何をすればいいかな?」
解散したあと、オレの部屋にて桔梗が真面目な顔で問いかけてきた。
「桔梗は生徒会や上の学年主軸に接触して、中間テスト……とできればこの時期に行われたであろう小テストも含めた過去問を過去数年分集めてほしい」
「堀北生徒会長に言えば良いのでは?」
清華が小テストの問題を復元して教科書と照らし合わせる手を止め問いかけてきたが……
「アイツに頼るのは最終手段。何でもかんでも同じヤツを使うとそのルート駄目になったときが手痛いことになる。まあ学ならなんだかんだで渡してくれそうではあるが……な」
念には念を入れて、だ。
「この過去問探しを名目に人脈づくり強化週間してほしいってことよね。わかったよ。できれば交渉のためにPPを多少サブ口座から出したいんだけど……」
オレは端末操作で20万ほど送る。
「コレは多すぎないかな……?」
「食事や買い物してると口が軽くなることもあるだろう?」
「……なるべく使わないで目的達成してみるね」
「頼んだ。んで、トキは……」
トキの方を見ると小さく頷く。
「紋章持ちの様子見と牽制、同じ結論に至ったメンバーがいるか確認、可能なら協調ですよね」
「パーフェクトアンサーだ。頼んだぞ」
2人は頷いて行動を開始した。
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