01 とある提督の日記
○月×日、雨が鎮守府に着任しました。
不味い事になった。
何から書けば良いのか分からないので、とりあえず全部書くことにする。
高校の友達と海へ釣りに行ったんだが、その時に近くにあった鎮守府が目に入った。
横須賀の鎮守府だったっけ?良く分からんけど、近くに見えたその建物に俺達は興奮した。
深海棲艦。人類が艦載機などを飛ばしても勝てなかった相手と唯一戦える兵器。艦娘?だっけか。それがある事を俺達は知っていたからだ。
んで、なんと言うか俺達の誰かが中に入ってみない?と話を持ち出して、最終的にはジャンケンになって俺が入る事になった。
俺としては怒られるのも嫌だし入りたくなかったのだが、ノリ悪いと言われるのも何か嫌だったので仕方なく鎮守府に侵入したんだけど……、まぁ当然の如く見つかったんだよね。
防犯のベル鳴らされて、警備員らしい人に追われた。
逃げている時に鎮守府の窓の外を見たら俺の友達がトンズラしてて、見捨てられたと思うとともに怒りが湧いたけど俺は何とか逃げ続けた。
途中でメチャクチャ可愛い女の子達(武装してる)に追われて、最後は発砲されたから本気で、本気と書いて
うん、怖かった。本気で死ぬかと思ったよ。そして逃げ続けてたんだけど、その途中になんか分からん小ちゃい生物に建造してとか言われてパソコンを適当に弄って、何かその近くにあった画面にゲーム? だったのかな。
俺を追いかけてきた女の子達と似た武装をしていた女の子達がなんか化け物と戦っている映像が映ってて、面白そうだなーと、プレイしてみたら完全勝利したんだよね。うん、逃げてる時にやる事じゃなかったけど。
んで、気がついたら捕まえられてお偉いさんの部屋の前。ギリギリ携帯で日記書いてますけど、恐らく俺は警察に引き渡されるだろう。
グッバイ、俺の日常。
○月△日、外見てみろ、雨降ってんぞ。
なんか知らんけど、立派な部屋を用意されてその中で待機するように言われた。
訳が分からん。逮捕するんじゃねーの?
それと、俺を追いかけてきた女の子達が何故か謝ってきた。
侵入したのは俺の方だったのでその事を謝ると何故か恐縮された。解せぬ。
あと、妙に視線を感じる。食堂に行ったら凄いガン見された。
……にしても俺を見捨てたあいつら後でどうしてやろうか。
あ、そうそう。何か、歩いている時に「なのです!」と言っている女の子が俺にぶつかってきた。
目にゴミが入って慌てて走ってしまったらしい。凄い謝られた。
そういう時は慌てないでゴミを取ることを先にした方がいいよって教えたら次からは気をつけます! って言ってたけど大丈夫かな?
……にしても、何で海軍にあんな子供が居るのだろうか。
○月□日、天気は雨だ。異論は認めん。
今日も何故かあの立派な部屋で一日を過ごした。監禁にしては自由過ぎるけど、何か外には出られないらしい。
独房代わり?にしては立派過ぎるし待遇が良いよな。
あ、それと今日、俺を尋ねてきた人が居た。
横須賀鎮守府、提督。階級は大佐らしい。お偉いさんの登場にとうとう俺も終わったか……と人生の終わりのような目をしていたら何故かお礼を言われた。
何か知らんけど戦いに勝ったとか、大和が建造出来たとか。それからあのゲームは面白かったか? 的な質問をされた。良く分からなかったので適当に答えたら凄い驚かれたのを覚えている。
あ、勿論ゲームは面白かったしパソコンは俺にとって無くてはならないものって伝えたけどね。
それと、別れる時に今度やって欲しい事があると頼まれたんだけど一体何なんだろ?無茶振りだったら怖い。
あ、そうそう。昨日の「なのです!」の子がドアの前でウロウロしていたので声を掛けると、何かクッキー貰った。
お礼らしいけど俺何かやったっけ?見事な指揮でした、とか言われたけど良く分からん。
それから今度、第六駆逐隊を紹介してくれるらしい。姉妹なんだそうだ。
「なのです!」の子が話す駆逐艦の細かな知識と役割に最近の子供はやけにリアルなごっこ遊びをするものだ、と少し驚かされた。
そして帰って行くときに「本当にありがとうございました!」って頭下げられたんだけど、俺何もやってないというか身に覚えが無いんですけど。
……にしても子供は良いな。やっぱり心の安寧に繋がる。
○月☆日、雨でも……良いよね?
元帥って人に会わされた。無精髭が似合うお爺さん。
なんつーか威厳が凄いあった。あぁいうのが軍人ってやつなのかな?
横にはナイスバディなお姉さん。名前は長門と言うらしい。
あんな爺さんでさえリア充かコンチクショウ! 本人は秘書とか言ってたけど長門さんは頬を染めてたぞリア充爆ぜろ!(以下、暫く何かを書き殴った跡)
……ニコニコとした表情でお爺さんは面白い話をしてくれた。お話し上手なようで、時折笑い合いながら楽しい時間が過ごせたと思う。
(ただしリア充なのは認めない)
特に長門さんも凄い綺麗な人だったせいか思わず見惚れてしまった。
(この人があのお爺さんを好きだなんて……)
「でだ。キミに第六駆逐隊と、新しく作られた鎮守府を任せたい。勿論、受けてくれるね?」
話の内容は、俺の処遇だった。どうやら、俺はそこで働いて罪を償うらしい。
……そんな感じで話していてふと気付いたら、変な書類みたいなの見せられてサインするように言われたんだよね。
いや、本当、えっ……? って思ったよ。
良い人だなって思ってたから裏切られた気分だった。
書類の内容は良く分からなかったけど、サインしたら不味い気がしたから丁重にお断りしたんだけど、良かったんだろうか。
一応、書類の内容を説明されたけど、この鎮守府で死ぬまで働きますか? って流石に罪が重すぎるだろ。
俺がやったのって不法侵入だけだし、まぁ怪しげな書類にサインも嫌だったから止めた。
でも、働く事はオッケーって言ったけどね?
それで何故かごねられたから、いっそ警察に連れていけって言ったら凄い気迫でそれだけはやめてくれと頼まれた。
……俺、ただの不法侵入者なんですが。
とりあえず適当に答えて部屋を出たら「なのです!」の子と会った。
明日、第六駆逐隊の子達を紹介してくれるらしい。
後、提督さんが凄い青い顔してたけどどうしたんだろうか?
○月@日、これより、雨の指揮に移ります。
朝、起きたら「なのです!」の子に連れられて第六駆逐隊の皆を紹介してもらった。
四人姉妹らしく、とても仲睦まじそうにしていた。
いや、本当に可愛らしいね。(ロリコンではない)
微笑ましいって言うのかな?俺の周りにワラワラと集まって色んなことを話してくれた。
どうやらあの子達の間では「艦娘ごっこ」ってのが流行っているらしい。
四人とも駆逐艦の役をしているようだ。
装備、なのかな? かなり精巧に作られた武装を見せてくれた。
どうやら妖精さんに作って貰ったらしい。
……何処の人か知りませんが妖精さんってのは少し無理がありませんかね?
それと、やっと「なのです!」の子の名前が分かった。
「なのです!」の子は
呼びにくかったので
それから、暁型駆逐艦の三番艦の役をしているらしい
これも呼びにくかったので
オドオドとした電ちゃんとは対照的に雷ちゃんはハキハキとしていた。
それから、言葉の端々にロシア語が入った女の子。名前は
少しクールな感じだったが、自分を不死鳥と言うあたり少し中二病も入っているようだ。
もしかしたら不思議ちゃんってやつかもしれない。
最後に、暁型駆逐艦の一番艦の役をしている
一人前のレディーとして扱ってと言われた。……背伸びしたい年頃なのだろう。思わず微笑ましくなって頭を撫でたら顔を真っ赤にして怒られた。……うん、ごめん。女の子の頭を撫でるのはデリカシーが無かったね。
んで、俺も自己紹介してと頼まれたので自己紹介してみた。
「俺は、
折角だから電ちゃん達のごっこ遊びに付き合ってあげようとした結果がこれだ。
でも、なんか作戦みたいなのを考えて欲しいとか言われたり装備や陣の弱点って何だろうって聞かれたりして結構本格的だった。
……最近のごっこ遊びスゲー。
んで、俺も適当に作戦を考えてみたら凄い驚かれた。アレ、やらかした?
そう言えば、遊んでいる途中に提督さんに呼ばれて明日、演習を見ないか?と言われた。
どうやら、艦娘同士の演習らしい。そもそも艦娘がどんな兵器なのかすら分からないけどとりあえずお願いしますと言っておいたら凄い喜ばれた。……何故に?
まぁ、喜ばれるに越したことはないけど。明日は忙しくなりそうだ。