とある提督の日記   作:Yuupon

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これで一旦区切り、次は別視点です。
うーむ、誰を書こうかな。


12 とある提督の日記

 ☆月D日、雨の夜(詩的)

 

 

 今日は、朝から昨日の処理をしていた。

 どういう事かと言うと、昨日の雨で土砂崩れが起こった場所があったのだ。

 まぁ、そこの復旧作業を一日かけて終わらせた。

 ……にしても電ちゃん達、力持ちだったな。土砂が一杯に入ったバケツを軽々と持ってた。

 うん、何だか男として情けないね。これでも頑張ったんだけど。

 

 んで仕事が終わってから報告書を纏めて、夜。

 

 何となく昨日の紅い光が気になったからまた堤防の所に行ったら電ちゃんが居た。

 何をしているのかな?って思って近付いたら悲しそうな声で海に向かって呟いていた。

 

 ……何となくあの表情は嫌いだ。

なんと言うか、あんな悲しそうな顔をされると俺の心が暗くなる。

 思えば、横須賀鎮守府に居た時もそうだったか。笑っているのに、心では泣いている。笑顔という仮面を貼り付けて無理をしている。

 

 ……居た堪れなくなった俺は電ちゃんを抱き締めた。

 

 どんな事情があるのかなんて分からない。

 でも、俺は助けになってやりたかった。

 

 …………今日はもう日記を書きたい気分じゃない。

   止めよう。

 

 

 

 

 

 ☆月E日、霧雨は幻想に降り注ぐ

 

 

 電ちゃんはどうやら元気を取り戻してくれたようだ。朝、心からの笑顔を見せてくれた。

 ーー本当に良かった。

 子供にあんな顔をさせたくなかったから。

 

 

 

 さて、仕事に移ろう。

 今日の仕事は無人島の探索だ。まぁ、半径二Km位はあるみたいだし、何処に何があるのかを正確に把握する必要がかったからね。

 

 とは言え大部分が森だったし、見つけたものと言っても風化してボロボロになった神社位だったけど。

 ……何となく神社の神様が可哀想だから掃除したんだけど、良かったのかな?

 うーん、あ。そう言えば神社の中で変な人に会った。

 

「貴方が掃除してくれたの?助かるわ。お礼にこの御守りを上げる。これがあれば海での危険を一度だけ無くせるわ」

 

 そう言って首に掛けるタイプの勾玉を貰った。蒼い光を帯びててかなり綺麗だったと思う。

 にしても美人だった。やっぱり黒髪の巫女さんは良いね。

 

 ……だけどそう言った後に消えたのはどうやったのだろうか。

 まさか瞬間移動(テレポーテーション)?いや、まさかなぁ。

 

 

 

 

 ☆月F日、うう、雨だ(不幸)ーっ!

 

 朝起きたら金剛さんが横で寝ていた。

 な、何を言ってるか分からねーが俺も何を)ry

 

 昨日まさかお持ち帰りしてしまったのか?と思ったが、どうやらそうではなくただ気まぐれで入ったらしい。

 周りからも勘違いされるわ暁ちゃんは顔を真っ赤にするわ、雷ちゃんには怒られるわ。

 

 あーもう!何なんですかこの不幸はーっ!

 

 ……うん、ちゃんと説教しておいたよ。

 まったく、男は獣!これ常識!って言うくらいなのに何であんな行動取るんだか。

 そもそも見た目も良くてスタイルも良いんだから、俺じゃなかったら絶対勘違いしてるよ?

 朝起きて隣に服のはだけたエロ可愛い女の子が居たら襲っててもおかしくないからね?

 ……ハァ、俺が某ツンツン頭の人みたいに鋼の理性を持っていたから良かったものの。

 

 ……でももし、アレが大和さんだったら持たなかった気もする。

 

 

 

 

 ☆月G日、雨だって精一杯降ってるんだぞ!!

 

 

 今日はある程度資材が溜まったので出撃する事にした。

 とは言え鎮守府前の海域をもう一度。らしいが。

 どうやら俺が知らない間に鎮守府前の海域を攻略していたらしい。流石です大和さん!

 

 コホン、まぁ。今回の目的は敵の殲滅及び、海上基地の建設らしい。(所謂監視塔というヤツだ)

 

 中では妖精さんが代わる代わる監視の役目を務めてくれるそうなので、基地さえ作れば後は費用はかからないようだ。妖精さん凄ぇ!

 

 そう言えば妖精さんって種類は一種類しか居ないのかな?何故か⑨とか大妖精という単語が脳内に浮かんだんだけど。

 ちなみに基地は簡単に出来たようだ。その間はゲームしてたから知らん。

 

 

 

 

☆月☆日、今日も雨だ(大本営並みの感想)

 

 

 今日は深海棲姫さんと堤防で会った。どうやら俺が提督になったのを知って来てくれたらしい。

 コッソリと厨房からジュースを持ってきて二人で乾杯しつつ、色んな事を話した。

 

「提督ハドウダ?中々ニ疲レルダロウ?」

と、尋ねられた時は思わず俺も愚痴を吐いてしまった。

 特に性欲とか。

 

 そう言うと笑われてしまった。懐かしい、ウチの提督もそうだったな。と懐かしげにしていたのも印象的に覚えている。

 

 ……そう言えば、去り際に。

 

「私ハ静寂島ニ居ル。ソレト最近、深海棲艦ノ動キガ活発ニナッテイル。精々気ヲ付ケロ」

 

と、忠告をくれた。

 やっぱり海に潜っていると深海棲艦の情報も分かるのだろうか?

 

 

 

 

 ☆月H日、世紀末帝王AME()

 

 ……本部から伝令がきた。

 

 『志島鎮守府ニ置イテ強襲後、提督ガ行方不明』

 

 内容を簡単に説明すると夜に深海棲艦の集団に鎮守府を強襲され、志島鎮守府の提督が連れ去られたらしい。

 余りに突然の出来事だったせいか殆ど、迎撃という迎撃が出来ぬままあっという間に。だったそうだ。

 

 ……そしてその提督名は『氷桜 理緒』。つい、この前俺と話したアイツーーだった。

 

 

 その事から敵は想像以上に手強いと予想出来る。尚且つ、次の狙いは恐らく此処である可能性が高い。

 

 横須賀提督とも連絡を取り合い、万が一の場合は直ぐに連絡を入れることを話し合った。

 

 ……、深海棲姫さんの昨日の忠告はこれを危惧していたのだろうか?

 

 

 

 ☆月J日、雨なんざどうでも良い。ただ、ふざけるな。

 

 

 新たな指令が届いた。

 

『志島鎮守府ヲ奪還セヨ』

 

 つまり、敵艦に奪われた志島鎮守府を奪い返せ。単純に言えばそんな命令だった。

 ……確かにそれ自体に不満はない。寧ろ当然だからだ。

 

 だが、

 

「奪還後、俺と電ちゃんと島風の三人で志島鎮守府で防衛せよだと!?」

 

 一言言わせて欲しい。ふざけるな、と。

 確かに俺はまだ良い、提督だからな。

 だけど、

 

「何で電ちゃんや島風まで連れて行かなきゃなんねーんだよ!」

 

 こんなの明らかにおかしい。確かに俺は提督という立場があるから危険を追ってでもそうしなきゃならないのは理解出来る。

 でも、電ちゃんや島風は関係ない。

 どうして死の危険がある場所に二人まで巻き込まないといけないのだ。

 

 書かれていた作戦によると最高速で志島鎮守府まで向かい、その後奪還して防衛。暫くすれば援軍が着く。と、記されていた。

 だが、こんなのおかしい。

 

 ……だけど、やるしかない。

 志島鎮守府にもまだ生き残りがいるかもしれない。氷桜だって助けを求めているかもしれない。

 

 ……ソレを見捨てるなんて出来ない。

 

 だから俺は覚悟を決めた。

 

 

 

 

 ☆月K日、守り切ってみせる、例え豪雨の中だって

 

 

 結果から言えば志島鎮守府へは到着した。

 そして現在俺は、志島鎮守府内の治療室に寝かされている。

 

 ……キッカケは一発の銃弾。志島鎮守府へと真っ直ぐ突き進む道の中で、雨のように降り注ぐ一発の弾丸が俺の心臓に当たった。

 

 即死だった、……本来ならば、

 だが、俺は軽い怪我で済んでいる。

 

『勾玉』

 

 ついこの前に貰った勾玉に、銃弾が当たった。

 降り注ぐ銃弾から二人を守るように飛び出した俺の心臓に命中したその一発を。

 

 『海での危険を一度だけ無くせるわ』

 

 ふと、神社で出会った女性を思い出した。

 

「ありがとう」

 

 気が付けば、そんな言葉が口から出ていた。

 

 彼女までその思いが届きますようにと願いながら。

 これでまた守る事が出来る。と感謝しながら。

 

 

 

 ☆月L日、こんな雨……全部残らず吹き飛ばしてやる

 

 

 援軍が来た。戦線は本当にギリギリの状態で、いつ打ち破られてもおかしくなかったとも言えるが、これで危機は脱した。

 傷も回復したし、この場に必要無いと判断した俺はこれからとある無人島へと向かう予定だ。

 

 その無人島の名は『静寂島』

 

 その情報を得たのは偶然だった。

 パソコンのディスクに残されていたメッセージ。

 

『ーーもう戦線は持たない!静寂島へ撤退する‼︎ーーっ!?ぁ……』

 

 静寂島。この志島鎮守府からそう離れていない無人島で、深海棲姫さんが住んでいる場所。

 

 

 ……もしかしたら氷桜はまだそこにいるかもしれない。

 深海棲姫さんが助けてくれているかもしれない。

 

 だからこそ、俺は行く。

 例え死ぬ危険があったって関係無い。

 

 ただ…………、

 俺の手の届く範囲で誰一人だって殺させはしない!

 

 

 


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