とある提督の日記   作:Yuupon

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ちょっと間が空きました。
定期テストェ……。

さて、今回の話は提督の仕事ぶりを横から見た感じを書いてみました。前回の大和さんの書き方がガチガチ過ぎて少しアレだったかな?と思ったのでかなり柔らかくしています。

……にしても日記風って、何でしたっけ?


16 秘書艦・大和日記

 ☆月Ω日

 

 昨日この日記を提督に見られ、なんか小説みたいだね。と言われました。

 書き方がおかしかったのでしょうか?

 

 さて、今日も青空。良い天気ですね。

 そして今日は資材の受け渡しがありました。各資源はそれぞれ3,000ずつ。私を運用するには少ない量ですね。

 提督は早速駆逐四隻を出撃させていました。

 

「提督、今日は何処まで攻略を?」

「鎮守府前は全部だね。そこまで難しくは無いし」

 

 ……提督の言う簡単と私達が言う簡単の度合いが大きく違う気がするのですが、私の気のせいでしょうか。

 

「とりあえずAー1攻略っと。次はAー2だな」

 

 開始から僅か十数分、最初のエリアを開放させることに成功したようです。提督の命令を駆逐艦達に伝えているだけなのに結構作業がギリギリなのが情けないですね。

 もっと早く命令を伝えれるようにならなければ。

 

「トドメ、これでクリアか。じゃ、次はAー3だな」

 

 どうやら仕事になるとかなりキツイ事もやらせるタイプのようです。普段は駆逐艦達に甘々な分、ちょうど良いメリハリを付けられているのかもしれません。

 ……やはりそこも考えて行動されているのでしょうか。

 

 そして結局、言葉通り鎮守府前の海域を全て解放させることに成功しました。

 使った資材も必要最低限。それぞれ100も超えていないのでは無いでしょうか。

 ……流石、としか言いようがありませんね。

 

 

「ん、新しい艦娘……?」

「え?あ、あぁ。新しい娘が来るんですか。どなた……かは流石に分かりませんよね。後で本部に連絡を取ります」

 

 提督の呟きに意識をそちらに向けると、パソコンの画面に新たな艦娘を発見しました。という文字が浮かんでいました。

 成る程、どうやら新しい艦娘が海で見つかる事がある事を知らなかったようですね。すると提督として問題点は知識量ですか。

 ……にしてもつくづく末恐ろしい提督ですね。これで知識が身につけばもはや弱点が無くなりそうです。

 ただでさえハイスペックなのにこれ以上凄くなったら一体何処へ辿り着くのやら。

 

 ちなみに新しい艦娘は島風のようです、……うむむ、また駆逐艦ですか。

 そろそろ戦艦と駆逐艦だけ……なんとも戦力的に心配になってしまう鎮守府ですね。

 

 

 

 

 

 

 ☆月ε日、天気は晴れ

 

 

 

 横須賀提督が来られました。

 どうやら何処まで攻略したのかと、どんな事をやっているのか参考に来たそうです。

 私の日記を見せると、「うわっ細かいな。ってかこれ日記じゃなくて小説だろう」と言っていました。

 教えられた書き方で今、書いているのですが大丈夫でしょうか?

 

 そう言えば、島風と同時にもう一人。この神無鎮守府に着任する事が決定しました。

 間宮さんです。どうやら家事全般を担当してくれるそうなので、私と提督と金剛さんの負担が減りそうですね。

 まぁ、提督は料理が好きなようなので自分で勝手にやるかもしれませんが。

 

 そう言えば、提督が島風と会った時に直ぐさま着替えさせるように命令したのは少し意外でした。

 いえ、まぁあのような露出度の高い服装が目によろしくないのは分かりますが、まさかロリコン……では無くペドフィリアではありませんよね?

 

 あっ、それから横須賀提督が今日をまとめた日記を見せてくれました。

 どうやら書き方は小説風でも構わないそうなのですが、私の場合文章が硬いそうです。

 むむむ、何だか難しいですね。

 今日は時間が無くて簡単にしか書けなかったので明日は助言を活かして頑張ってみましょう。

 

 

 

 

 ☆月ζ日。

 

 

「今日、人が来るから」

 

 早朝。仕事を始めますかー、と司令室へと足を向けた私に提督がそんな事を言いました。

 来客?疑問に思った私が聞き返すと、まぁ知り合いだよ。との返答が。

 提督の知り合い……、神無鎮守府(ここ)に来るという事は提督のどなたかが来られるのでしょう。

 そう解釈した私は、その方をお迎えする為に準備を始めました。

 ……、始めたのですが。

 

「うーん、困りましたね。突然言われてもお出しするモノが」

 

 食堂で、まるでどうやっても攻略出来ない海域にぶち当たった提督のように私は呟きました。昨日までは幾つかお出し出来そうなもの(和菓子)があったのですが、丁度切れてしまっていたからです。

 間宮さんとも相談しましたが、作るにしても時間が足りないのだとか。

 困りました。

 本当に困りました。

 

「ん、大和さん。何をしているのかな?もう三十分もしたらお客様が来るって聞いたけど」

「悩みがあるなら私がスピード解決してみせますよっ!」

 

 そんな風に考えていると背後から声。

 身体ごと振り返ると、そこには響と島風の姿がありました。

 

「響と島風ですか。うーん、そうですね。今は猫の手も借りたい位ですし……」

 

 特に打開策も浮かばない今、なりふり構っていられ……ませんね。

 仕方ない。

 そんな思いで、何か案が無いか尋ねてみると響がクスリ、と笑いました。

 

「お茶請けか……、普通に作れば良いんじゃないかな?」

「いえ、間宮さん曰く納得出来るモノを出すのに時間が足りないと」

「簡単なのじゃダメなのかな?カップケーキくらいなら直ぐ作れそうだけど」

「うーん……そうですね」

 

 中々に難しい。間宮さんはカップケーキ一つでも、ちゃんとした工程を踏んで作らないと納得しないでしょうし。

 いっそ提督に聞いてみますか。

 

「私は元々料理を作れた艦じゃないからな……。専門的な事までは分からないけど、まぁもし作るなら手伝うよ」

「料理はあんまりした事ありませんけど作る早さは負けませんっ!」

「ありがとうございます、響、島風」

 

 心優しい駆逐艦達にお礼を述べ、私はその場を後にしました。

 

 

 

 (次のページへ)

 

 

「お茶請け?あぁ、それならこの前持ってきたのが残っているよ」

 

 司令室。そこで忙しそうに働いていた提督に尋ねると、自室へ来るよう指示されました。

 どうやら個人的に持っていたモノだそうですが、「無いなら仕方ねーか」の一言で持ち出す事を許可してくれたので良かったです。

 

「えっとー、確かここにカステラを入れていたような……」

 

 ゴソゴソと。

 タンスを漁りながらそんな事を呟いた提督は、やがて目当てのモノを見つけたのか、取り出し私に渡しました。

 

「とりあえずコレを。あっと……そろそろ来る時間だな。出迎えてくる」

 

 そう言い残し提督はパタパタと部屋を後にしました。時間は……あぁ、成る程。気が付けばお茶請けを探し始めて三十分くらいが経過していました。どおりで急いでいるわけです。

 

「さて……、私も準備をしましょうか」

 

 そう呟いて出迎える準備を始め、何とか準備を間に合わせることが出来た私でした。

 にしても今から考えれば来客用のお菓子は常に用意していた筈なのに一体誰が食べたのやら……?

 

 

 

 

 

 ☆月@日

 

 

「で、私達はもう少し働くべきだと思うんだ」

 

 駆逐艦達の部屋。

 生憎の土砂降りで外の仕事が一切出来なかった私は駆逐艦達の部屋にいました。

 開口一番にそう宣言した響の方へと目を向けます。

 

「む〜、確かに。九条提督ってば私の事子供扱いするし」

「確かに最初に会った時に子供はそんな格好しちゃいけませんっ!て怒られちゃいましたしね」

 

 暁と島風がそう言って、小難しそうな表情を浮かべます。

 うーん、人間である九条提督からしたら見た目子供な彼女達を働かせるのがOUTだと思っているのでしょうか?

 法律的な感じで見ても見た目の年齢は明らかに基準を下回っていますし。

 

「最初、此処に来た時もそうだったんだよ。確かに私達も働いてはいたよ?鎮守府の防御機能の取り付けをしたりさ。でも、やらされたのは子供でも出来るような事ばかりなんだよ」

「確かに、今考えてみればそんな感じだったわね」

 

 響と雷も何だか微妙な顔つき。良く思い出してみると、あぁ。確かにそうでした。

 子供でも出来るような小さな荷物運びやら、材料運び。組み立ては基本私と提督と金剛さんと妖精さんで行いましたし、10キロ以上の重さのモノは殆ど提督が汗水垂らして運んでいた覚えもあります。顔が真っ赤になるまで力を込めていたような覚えもありました。

 

「おぅ!確かに提督は毎日誰よりも早く起きて誰よりも遅くまで働いていますね!最近は早く起きるようにしてるのに、負けたままです!」

 

 島風も追加でそのような事を口にします。……ってあれ?

 

「ちょっと待って下さい島風。貴女、何時に起きているのですか?」

「おぅ!?えっとー最近は四時半くらいに」

「…………っ!!?」

 

 ちょ……ちょっと待って下さい。私が普段寝るのは夜の1時半です。提督は二時頃寝ていると聞いたので、二時。

 起きるのが、島風よりも早い。証言から考えて四時頃?

 

「ちょっと待って下さい。提督は二時頃に寝ていると聞いた覚えがあります。そうなったら二時間程度しか寝ていない事になりますよ?」

「「「「「!!?」」」」」

 

 私の言葉にこの場にいる全員が驚愕の表情を浮かべました。

 それもそのはずです。提督の普段している仕事は普通の仕事よりもよっぽどハードな仕事です。

 体力も使いますし、パソコンの前や書類作成もありますので事務的な疲れもあります。

 そのうえたった二時間しか寝ていない?

 

「……ヤバイですね」

 

 少なくともこのままの生活を続けていたら……。

 私は考え得る限り最悪の未来を告げます。

 

「このままだと……、過労死しますね。間違いなく」

 

 朝から晩まで駆けずり回り、何人分の仕事を一人でこなし、満足な休憩すら取れていない。

 ブラック企業でもここまで酷くは無いと思います。

 

「思っていたよりも深刻だね。やっぱり仕事を私達ももっとしないといけないよ、これは」

 

 というかそれを飄々と行っている提督が異常なのですが。今は……何をしているんでしょうか?

 電と金剛さんの姿が見えないので彼女達の元に居ると思われますが。もしくは間宮さんの所。

 ……どちらにせよ、提督には近いうちに休みを取らせなければなりませんね。

 

 それと、最近金剛さんの行動が不審になってきました。提督へのアプローチが些か激しいというか。

 ……こちらに関してもある程度気にしておきましょう。何かの拍子で野獣になられても困りますし。

 

 …………あぁ、憂鬱です。

 

 

 


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