とある提督の日記   作:Yuupon

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 最近、艦娘への憑依or転生が増えてきましたね。
 無人島漂着→提督も多いですが。
 やっぱりこの辺りがテンプレで人気なんですかねぇ?
 それを考えるとこの作品は『読者層を考慮したマーケティング(人気作品としての)』を丸々ぶっ飛ばした趣味の作品ですね。
 いつも付き合ってくださっている皆様ありがとうございます。


35 ダメ提督製造機 雷の日記

 

 

 

 S月G日、晴れよ……。

 

 

 失態だったわ。

 艦娘失格かもしれない。司令官を守るのが役目なのに、逆に守られて。本当に情けない。

 今思えば、レーダーに頼りきりだったのが悪かったのかもしれないと私は思う。レーダーで感知出来るのは深海棲艦だけだもの。

 恐らく私達を襲ったのは深海棲艦以外の、深海派の敵。私達艦娘は基本、軍艦並みの力を発揮出来るけど、それを人間に対して使えば危ないからストッパーを掛けられているのを知っていたのだろう。

 艤装。

 私達の耐久、攻撃力。全てに作用する艦娘の為の装備。

 それを剥ぎ取られたら私達は見た目通りの力しか出せない。勿論武術は習っているけれど、それでも大の大人には通用しない。

 ……油断大敵。慢心してはならない。

 

 それを忘れてしまった。

 これを艦娘失格と言わず何となるのだろう。守る相手である司令官に守られて、傷ついて。本人は気にしていないと言って撫でてくれたけど、それで私達の罪が無くなってしまったわけではない。

「無事で良かった」と。

 司令官は言ってくれたけれど、私達の心の闇は晴れない。

 響やほっぽとも話したが、いずれも消沈していた。

 それだけではない、司令官は深海棲艦であるほっぽちゃんも守っていた。元司令官、横須賀提督の追求をあっさりと丸め込んで。

 しかも敵を捕らえる戦果。司令官は対深海棲艦用の武器と言っていたけど、電気ショックで相手を無力化させる武器を妖精さんに作らせていたらしい。昔はよくそんな研究もされていたが、私達が深海棲艦と戦うようになって、そして今日では人間が深海棲艦と戦うなんて殆ど考えすらされていないのに。

 

 きっと、あの人は私達が慢心している事に気付いていたんだろう。

 だから、あんな武器を作って、命をかけて守ってくれたのだろう。

 もう二度と、慢心させない為に。

 

 これが戦場なら死んでいた。死んだ命を、司令官さんに繋げてもらったのだ。

 だから、まずは。慢心せず、弱った司令官を守る為に私達は決めた。

 

 

 

 

 S月H日、晴れよ!

 

 

 昨日の夜、私と響とほっぽは司令官のベッドの中に潜り込んだ。その理由は幾つかあるが、まずは守る為だ。

 ドアの前に立っていればどうしても気配が残ってしまう。ならいざという時にすぐ守れる位置にいるべきだと判断したのだ。

 

 司令官は苦笑いを浮かべていた。予想外だったのだろう。怪我も完治したらしく、元気な姿を見せてくれた。嬉しい。

 

 

 

 

 

 S月I日、晴れよ! 

 

 

 鎮守府の方から金剛さんがきた。私達の失態を受けて、来る事になったらしい。再会直後に司令官に抱きついていた。突然飛びついてきた金剛さんを優しく抱きとめた姿は、まるで映画のワンシーンのようだったわ。

 ……何だか司令官が取られた気がして胸がチクチク痛んだけど。

 

「デートの約束、覚えてマスカー?」

「あぁ、当たり前だろ」

 

 その言葉を聞いてさらに胸が痛くなった。響の目からは光が失われてたんだけど、何かしらあれ。ほっぽちゃんはニコニコ笑っていたけどね。

 

 それから。

 デートは今度にして朝一で出掛けることにした、という司令官の言葉で私達はバスに乗った。二時間くらいバスで揺られていて、で司令官がここ、と指差した場所なんだけど。

 

「東京ネズミーランドだ」

「!」

 

 嬉しい。

 正直、嬉しい。艦娘ということもあって、来れる機会が無いと思っていたから本当に嬉しい。

 遊園地。

 人間が作ったアトラクションには私達も興味があった。その中でもユニバーってところとネズミーランドは特にだ。

 電や暁が居ないのが少し罪悪感があったけど、凄い楽しめた。ほっぽちゃんが深海棲艦だとバレることも無かったしね。

 

 で、夜にショーを見てた時。

 

「……金剛、少し良いか?」

 

 司令官が突然金剛さんだけをこっそり呼び出していた。響とほっぽはショーに夢中で気付いていなかったけど、ふと気になった私は付いていく事にしたんだけど。

 

「これであの子達の気も紛らわせる事が出来たかな?」

「慢心を教えるには良いタイミングデース。特に子供達は連戦連勝で気が大きくなってマースから。そういう意味では提督の行動は間違ってません」

「……俺はさ、本当はあんな目に遭わせるつもりは無かったんだ。少し叱ってやれればと思ったんだけど」

「イレギュラー、ですか。提督にも読みきれない事があるんデースね」

 

 暗い顔をした司令官が金剛さんと話していた。何を話しているのかしら? と気になって聞き耳は良くないと思いつつ聞いてしまう。

 

「買い被るな。流石に情報も無しに敵の目的は分からねぇよ。恐らく、の検討なら幾つか付いてるけど」

「……何にせよ、しっかりと構えておきます。折角の休暇デースから」

 

 そうしてまた元の場所へ戻ってきていた。

 ……何だろう。敵、ってもしかして三日前の? また、司令官は私達の知らないところで動いているの? なら、こうしていられる場合じゃないわ! 私達も司令官を守る為に警戒しないと!!

 

 だって、今度こそ守るって決めたんだから!

 

 

 




 今更ですが、原作が無いので日記内に状況描写がいるのが辛いです。
 うん、まぁその分好き勝手書けますが。

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