とある提督の日記   作:Yuupon

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 金剛さんの口調がわからない件。
 かなり書きづらい話でした。


38 金剛日記・デースノート

 

 

 

 S月J日、晴れデース

 

 

 九条提督と合流して二日目。一つ思ったのデースが、やはり九条提督には不思議な魅力がありマース。具体的に言えば敵である深海棲艦ともfriend(友達)になれるあたりデースね。いえ、friend(友達)は言い過ぎかも知れませんが、普通に接することが出来るくらいには慣れているようでした。

 うーん、常識的に考えれば機密情報云々で報告しなければならないのデースがこれはどうするべきでショーか? 私としてはLOVE(好き)提督(ヒト)を訴えたくはありませんが。

 まぁ良いでしょう。この話は置いておきマース。

 

 今日、暁型駆逐艦の二人と、……北方棲姫。

 それから九条提督と行動していた時に、『空母棲姫』と遭遇しました。

 ……本土で。

 ついでに言うなら某ネズミーランドで。

 

 …………、What()!? 

 何デースかこれ!? そもそも昨日から思っていたのデースが北方棲姫と行動している時点で意味不明デース!

 そして周りの対応もおかしいデース!! 何、頭撫でてるんディスカ提督ぅっ!? 羨ま、妬ましいデース! というか敵デースから! 思いっきり敵デースからっっ!!

 

 とか思っていたら空母棲姫に対しては流石に雷達も敵対反応していたネー。良かった、本当に良かった。

 

 それから色々あってそのままネズミーランドで遊ぶことになったのですがこれは良いんでショーか? 深海棲艦と仲良くネズミーランドで遊び尽くすなんて、シュール以外の何物でも無いんデースけど。

 あぁもう提督! また子供達の頭を撫でてマース。

 本当に訳が分からないし羨ましいっっ!! 全くもってwhyデース。もうとりあえず事実だけを呑み込むことにしました!

 今日は深海棲艦と遊べて楽しかったデース! それから提督! さりげなく手を繋いでくれた事thank youネ! 

 

 

 

 S月K日、曇りデース

 

 

 また面倒ごとデース。

 前々から話はあったんデースが、深海側の人間ですかね? 真っ白い身体の人間達が襲ってきました。まるでゾンビ映画みたいだったネー、迫力MAX(満点)ヨ!

 

 それらを従手空拳(としゅくうけん)で適当に蹴散らしてから(雷達は砲撃して怒られていたネー……)提督に指示を仰いだのですが、提督曰く横須賀鎮守府に連絡をつけたとのこと。流石、仕事が早いデース。

 

 と思っていたら、突然北方棲姫が何やら叫びました。どうやら敵sideの姫級が出たとかなんとか。雷と響がほっぽに確かめて、本土に侵攻しているのが数日前に轟沈させたはずの『港湾棲姫』だと分かりました。

 というかアレだけ食らって生きているのが信じ難いデース。本当に化け物デースね、princess(お姫様)は。

 

 それから提督の指示で二人きりになり、港湾棲姫の捜索をすることになりました。

 のデースが。

 ……What!? 提督はどこデースかっ!?

 と、そんな具合ではぐれてしまいました。というか気が付いたら提督が居ませんでした。

 それからしばらく捜索して、やっと提督を見つけて。

 

 私は思わず驚きを隠しきれませんでした。

 

 提督は、一対一で港湾棲姫と対峙していたのデース。

 九条提督の顔は非常に真剣で、漂う雰囲気は人間と思えない異常性を孕んでいるようにも見えました。

 何を話していたのか。

 私には聞こえませんでしたが、やがて港湾棲姫は頷くと海の方へと歩き出しました。

 

 『姫級深海棲艦を言葉のみで撤退させる』。

 そんな馬鹿みたいな単語が頭を過ぎりました。

 九条提督は。

 去りゆく彼女の姿を見た後、分かっていたように一直線で私の元まで歩いてきました。それから一言二言話したのですが、何を言われたのか覚えていません。

 北方棲姫達のような中立の存在を含め、深海棲艦について考えさせられる一日でした。

 

 

 

 S月L日、晴れデース

 

 

 一日考えて決めました。心を鬼にして提督を怒ることに!

 というかそもそもの話、周りは姫級が本土まで来ても被害が〇だった事に目を向けていますが、その原因って提督じゃないデースかっ!

 それに姫級が本土に来たというならほっぽ、空母棲姫、それから港湾と三艦も来てるじゃないデースかっ! 警備ガバガバ過ぎじゃありまセーンかっっ!?

 というか普通に本土侵攻されているけど本当に良いのでしょうか。かなり、というか非常に不味いと思うんデース。

 

 それからまた提督の姿が消えました。巡回の者に聞けばなんとパトロールに行ったとの情報が。

 ……一つ良いですか?

 無双ゲームじゃないんデースからっ! 何で大将が突撃しかけてるんデースかっ!? というか慌てて追いかけてみれば港湾棲姫と何やら話していたし!

 本当にWhat! デース!!

 

 それから話を聞いてみれば原因は戦艦棲姫を捕らえた事で、それを助けに来た、なんて。

 自分で捕まえといて他人事のように言わないで下さい! というか提督本当にそれ敵デースよ? もしかして分かってなかったり……ぃゃ、それはありませんよね。

 とりあえず一言。

 提督、お人好し過ぎます。

 

 

 

 S月M日、雨デース

 

 

 雨は嫌いデース。最近提督の事で心配しすぎているのか、少し気分が良くない気がします。

 で、今日は朝から大本営へと向かいました。その内容は『姫級深海棲艦の本土上陸について』デース。

 海軍の名だたる将校、そして陸軍総大将の石蕗耕三(つわぶきこうぞう)などに名前を挙げられていました。やはり提督は凄い人なんデースよね。時々、というかしょっちゅう無謀を犯しますけど。

 ……私は貴方に危険な目にあって欲しくないのに。

 

 そんな事を考えて遠い目をしていたら提督が妙なものを見るような目で私を見てきました。

 適当にごまかして、会議デース。

 

 会議室の周りには大勢の警備員が存在していました。やはり日本の重役達がいるからでショーか?

 これで少しはpeace of mind(安心)かな?

 

 

 ……そう思っていた時期が私にもありました。

 

 突然サイレンが鳴りました。敵が攻め込んできたという放送が流れて、現状対処している部隊が劣勢だと。

 それを受けて元帥さん達が即席メンバーを編成し出撃、敵を完膚なきまで叩き潰していました。

 敵の目的は戦艦棲姫の奪還である、と聞いてふと昨日の港湾棲姫が思い浮かんだネー。

 陸軍総大将の石蕗(つわぶき)氏はかなりの実力者のようデース。指示から何から全てに安定感がありました。とはいえ敵の練度も高く、若干苦労しているところもありましたが。

 

 ……で。

 

 気がついたらまた提督が居ませんでした。

 慌てて探し回っていると、何人かの警備員が倒れているのを発見して、驚いたのを覚えています。そしてその警備員達の肌は肌色のペンキ(、、、、、、)で塗りたくられていました。その頰には殴り跡が残っており、誰かに気絶された事が伺えたのデース。

 そしてその警備員達……いえ、深海棲艦側の人間達が倒れている先には戦艦棲姫を収容しているという部屋。

 

 もしや、という思いが浮かびました。

 

 そして扉を開けて、その『もしや』が現実である事に気づいたのデース。

 

 九条提督は戦艦棲姫と会話していました。

 昨日の空母棲姫の話をしていたのデース。

 ややあって、私に気づいた九条提督はやぁ金剛さん、と。戦艦棲姫からこちらに顔を向けて言いました。

 

 その言葉に私は一瞬反応出来ませんでした。だって、おかしかったからデース。深海棲艦に感情なんて存在しないと思っていたのに、特に敵だった相手がそんな風に心を開きかけるなんてそれこそあり得ないのに。

 

 戦艦棲姫は。

 ーーーー泣いていました。

 ポロポロと涙を零して、人間や艦娘(私達)のように。

 

 今まで深海棲艦は敵だと言われて。それで沈めてきて。それなのにこれは何なんでショーか?

 艦娘として私はおかしいのですか? アレだけ沈めて沈められてきた敵を敵だと思えなかった私は。

 

 提督の為なら、という思いで今までは深海棲艦と触れることを認めていたケド、やっぱり複雑デース。

 前の艦隊で沈められた娘も居ますし、友達も沈められていマース。別の艦隊では私達の同型艦も沈められていますから。

 

 やっぱりこういう時はまだ新人であり着任したばかりの雷達が羨ましいデース。思考の切り替えが出来るのは得ですから。

 

 それと、倒れていた警備員達。前述しましたが、全員例の深海側の人間である可能性が高いとの結果が出されました。人数は述べ七人。

 以前捕獲した事例を持つとはいえ、ただの人間が七人を気絶させたこと。今考えればまさか……という気持ちがあります。それを言えば戦艦棲姫から生き残ったこともそうデースけど。

 しかも中には銃器を持っている者も居たのに(深海棲艦出現後法律改正されたのデース)。

 

 そして戦艦棲姫との会話データも残っていました。

 プロの自白を促す役職の方でさえ反応すら引き出せなかったのに。

 それを九条提督は成し遂げた。しかも簡単に。子供のようにニコニコと笑いながら。

 でも、提督はそれがどんな意味は持つのか気付いているのでしょうか?

 元々、提督はただの一般人。それが抜擢され、不法侵入罪の償いの為だけに働いている。そんなものとうに返しきっているのに。

 

 ーーこれで、九条提督はますます『普通』に戻れなくなりました。今更かと思うけど、それでも今までは上層部にその情報が入ってなかったから何とかなっていたのに。

 いえ。

 きっと判っていマース。だってそれを覚悟しなきゃ、あんな派手な真似はしません。港湾棲姫の説得だってあの人一人でやり遂げていたのだから。

 ーーーー素直に、凄いと思いマース。

 私は海軍所属でありながら、前線が優勢だと聞いて本陣が攻められていることに気付きさえしなかった。いや、あんなの他の誰も気付いていなかったでショー。身内に敵がいた(、、、、、、、)なんて。

 

 心の整理が付かなかったのとそんな提督を見ていられなかったのとで無理やり引っ張って帰ってしまいました。

 とにかく今日はもう寝ます。GoodNight(おやすみなさい)

 

 

 

 S月N日、晴れデース

 

 

 やはり、深海棲艦と触れ合うのは慣れまセーン。

 今日、北方棲姫達が海へと帰って行きました。

 昼頃、ようやく合流出来た雷達は提督に抱きついていました。子供らしくて良いですね、癒されマース。

 にしても、昨日撤退したという戦艦水鬼。未だに討たれていないのが気になりますね。

 それから提督が何やら表彰されていました。思い当たりがあり過ぎて困る経験は初めてデース。

 まぁなんにせよ。

 

 ……逃げ延びた戦艦水鬼。この嫌な予感が杞憂なら良いんデースけど。

 

 




 



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