とある提督の日記   作:Yuupon

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更新遅れてすみません、まだモチベが上がらないです。
今回書けたのは雷ちゃんの浴衣姿に萌えたからに他なりません。

とりあえず今回はシリアスパートです(ついでに日記が四日分しかねぇ)

次回は久々に横須賀提督の日記でも書きましょうかね。
そろそろ三章で書いている日記が増えてきたので多分三章で書かれる日記では最後の一人でしょうが。
陸軍や海軍本部に関しての説明全てを横須賀提督にぶち込んでやるぜ(投げやり)


40 駆逐艦・電の日記(ミニ)後編

 

 

 

 S月I日 晴れなのです!

 

 

 司令官が襲われたそうです。昨日は書きませんでしたが、そんな話を聞きました。もちろん司令官さんは無事だったそうなのですが、警備が足りないので一人増援を送ってほしい、と横須賀鎮守府から要請が来ました。

(……骨折したと聞いたので心配なのです)

 

 もちろん居なければこちらで用意すると書いてありましたが。

 でも、やっぱりというか皆司令官の元に行きたいわけで。

 

「HEY! このじゃんけん大会! 金剛が制しましたヨーッ!!」

 

 壮絶なるじゃんけん大会の結果、金剛さんが勝ち抜いて司令官の元へ行くことになりました。

 うう、金剛さん強いよぉ。

 

 暁ちゃんも行きたそうな顔をしていましたが金剛さんは何のその。軽く私達の頭を撫でた後に彼女が持っていたお菓子を貰いましたが、これって餌付けされちゃったのかな? その時、思わず今回は譲ろうって気分になっちゃいましたし。

 後でハッ! と気付いて島風ちゃんに呆れた顔をされましたけど……。

 まぁ仕方ないのです。今回は諦めます。

 その代わり全力で訓練をしてやるのです! 

 

 でもなぁ、やっぱり行きたいのです……。

 

 

 

 S月J日 晴れなのです!

 

 

 今日も訓練なのです。最近は朝起きたら遠征→訓練というのが習慣付いてきた気がします。

 ……にしても暁ちゃんはお寝坊さんなのです。私が起こしてあげないといつも寝過ごしちゃうなんて、可愛らしいお姉さんなのです。

 ……最近姉を妹に見てしまう自分が怖い。

 

 まぁいつまでも末っ子ではいられません。私には今はまだ身の丈に合わないような大きな大きな『理想』がありますから、いつかその理想に『現実味』を帯びさせられるよう頑張らないと!

 

 暁ちゃんも、一流のレディーは強いのよ! と言っていました。

 

 

 

 

 S月K日 晴れなのです

 

 

 嫌な夢を見ました。

 九条司令官に出会う前、私が命を捨てる覚悟をした時。初めて彼の指揮を受けた時の夢でした。

 

 海は朱色に染まっていました。

 周りを見ると、艦娘の装備の破片のようなものが見えました。紅の海は血のように真っ赤で、海の上なのに燃えていました。

 

 気がつくと、すぐ近くで暁ちゃんや雷ちゃん、響ちゃんがボロボロになっていました。

 

 受けた指揮は九条司令官のモノではなく、玉砕命令。

 ふと気がつくと多くの敵に囲まれ、命を捨てろと。そんな事を言われる夢でした。

 

 そこで私は目を覚ましたのです。

 

「ーーハァッ、ハァッ……!」

 

 起きて、荒い息を吐く。

 動悸が激しく、吐き気がする。そして心の底を覆うのは恐怖。

 身体中から汗が生まれ、涙がポロポロと落ちました。

 

 もしかしたら、あれは九条司令官が居なかったら。

 そんな未来ではないかとふと思い当たったのはそれから二時間以上経っての事です。

 

「……司令官、さん」

 

 もしかして。

 自分は司令官さんがこの場にいない事が怖いのではないか。そう思いました。

 彼がいなければまたあの時のようになるのではないか、とそんな不安を。

 

 その時。一通の電話が掛かってきたのです。

 プルルルル、と。

 鳴った電話に私が出ると、知った声が聞こえました。

 

「もしもし、こちら雷よ」

「雷ちゃん、ですか?」

 

 電話の相手は雷ちゃんでした。後ろからは響ちゃんの声も聞こえました。

 

「ーー電、どうしたの? 涙声だし。喉の調子が悪いの?」

「い、いえ! ……少し、怖い夢を見てしまっただけなのです」

 

 流石姉妹だけあって、あっさりと雷ちゃんには私の様子が見破られてしまいました。

 

「どんな夢だったの?」

「え、えと……それはその」

 

 どんな夢、と言われても言いづらいです。

 それでも頭の中で文章を組み立てて、ポツリポツリと私は言いました。

 

「九条司令官さんの指揮を、初めて受けた時。もし、九条司令官の指揮が、指揮が無ければどうなるか……という夢、なのです」

「…………、」

 

 また涙が零れそうになりましたがグッと堪えます。

 雷ちゃんは静かに聞いてくれました。

 

「海が、赤色に染まってて。壊れた艤装が散らばってて。雷ちゃん達がボロボロで。玉砕命令が、玉砕命令が」

 

 本当はもっと涙交じりだったので聞き取り辛かったと思います。それでも、雷ちゃん達は最後まで聞いてくれました。

 聞き終わってから雷ちゃんはそう、と一言呟いた後にポツリポツリと優しい声でこう言いました。

 

「電の話と少し違うけど、司令官が来てから。今の、九条司令官が来てから、私は妙に安心しきっていたわ。それは司令官の指揮能力を信じ切っていたからーーという理由もあるけれど、それ以上にこの人についていれば絶対に死なない、って思ったの。今までの戦績を見ても司令官の指揮能力、策謀。何をとっても負けないって心の底から思い込んでしまっていたからーーーー」

 

 何を話し始めたのか。

 一瞬理解出来なかった私は反応を返せませんでした。

 その間にも雷ちゃんはポツポツと語ります。

 

「数日前。司令官が襲われた話。電も聞いたでしょ?」

「う、うん。聞いたのです」

 

 思わず怪訝な声で頷くと、

 

 

「司令官が怪我をしたのは、私達のミスなの(、、、、、、、)

 

 

 ハッキリと、そう聞こえた。

 意味が、分からなかったというのが正しいかもしれません。

 私が少し黙り込んだ間にも、雷ちゃんの説明は続きます。

 

「司令官が怪我をしたのは私達を守ったから。守られる対象に守られるなんて滑稽よね。でも、言葉の通り油断していた私達は艤装を奪われちゃって、気がついたら一方的に倒されていた。司令官が来たのは、倒れた私達を助けるため」

 

 頭の中で整理する。

 雷ちゃんと響ちゃんが倒された。あり得ない話ではないと思う。それは私だって例外じゃないから。そもそも護衛中にやられてしまう可能性など低くとも一パーセントはあるはず。

 だが、問題はそこではないのです。

 問題はもっと根本的な部分。護衛対象である司令官が雷ちゃん達を助けるために行動し、怪我をした。

 この前の戦艦棲姫の時を思い出すと、成る程。納得出来ます。

 実際、司令官は一度姫級の深海棲艦と生身で相対して生き延びているほど、行動はアグレッシブな方ですから。

 それでも。

 

 

「ーー情けないでしょ? 艦娘として最悪も最悪。一番守らなくちゃいけない人に守られるなんて、さ。響も大分落ち込んでるわ。勿論私も。自己批判してはその度に自分のミスが浮き彫りになる。今はそれの繰り返しよ」

「…………っ、」

 

 

 私は思わず顔を天井に向けて、息を吐きました。

 知らなかった。

 司令官さんが怪我をしたとは知っていても、実際何があったかなんて。そして、自分達が呑気に訓練なんてしている間に雷ちゃん達が辛い目にあっていた事も。今こうして聞くまで、何も知らなかった。

 

 

「ーーーーーーーー、」

 

 

 言葉が出ない、という表現が正しいのでしょう。

 私はまともな反応を返すことができませんでした。

 

「でもね気付いたのよ、電の話を聞いてさ。正直、このままずっと一人で悩んでたらノイローゼになってたかもしれない。だから、ありがとう電。私、一つ決めたわ」

 

 雷ちゃんはそう言って

 

「もう、油断しない。慢心もしない。一度死んだはずのこの命、司令官の為に使う。狂信だとかそんな意味じゃなくて、純粋にあの人を守りたいの。そして、守る対象は司令官だけじゃない。電も、他の皆も。全部、全部守りたい。だから、電の見た悪夢は皆が殺されてしまう夢だったけど、そんな悪夢は私がぶち壊してやるわ! ーーだから、元気出しなさい」

 

 その声は、安心感を抱かせるような柔らかい声で。

 気がつけば、私の心は穏やかに、安心しきってしまっていたのでした。

 

 ーーそれから一時間くらい電話をしていました。

 途中、響ちゃんにも変わってもらって、私を安心させるような言葉をくれました。

 暁ちゃんも起きてきて、眠そうな目をこすりながら一言二言話したあと私の布団で寝始めたのはご愛嬌。でも、お陰で落ち着いて寝れたのです。

 

 

 ……ありがとう、お姉ちゃん。

 

 

 

 

 S月L日 晴れなのです!

 

 

 今日もまたいつも通りの訓練、なのですが。

 いつもと違うことが一つあります。

 

 雰囲気が違っていたのです。

 

 誰が、と聞かれると私と暁ちゃんが。

 いつも以上に身の入った訓練。だけれど、それ以上に。

 

 心の持ち方を変えた動きは軽く、精度が確かに高まったのでした。

 

 

 




 


次回の話が終わったら三章を完結させにかかります。
(そろそろ本編の終わり方も考えないといけませんね)

ではまた次回。お会いしましょう。
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