とある提督の日記   作:Yuupon

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やっと……やっと書き終わった。
どうも、ゆうポンです。お気に入り1500越えありがとうございます。

……今回はかなり難産でした。(多分内容が少しアレな気も)

とりあえずこれで第1章の電ちゃんサイドは終わりです。
次回が第1章のエピローグかな?(どう書こうか悩み中)

では、本編へどうぞ


08 駆逐艦・電の日記

 ○月&日、はわわわ!晴れだったのてす。

 

 今日は九条さんと提督……の、彼女さんだったかな?

 提督よりも階級の高い、少将の理沙提督と九条さんの演習を見ました。

 ……結果から言うと、九条さんの完全勝利。その指揮は正に圧巻の一言に尽きました。

 

 理沙提督の艦娘達が放つパワー重視の攻撃を着弾点を完全に予測する事でギリギリを回避し続け、密度の高い砲弾をもかい潜り、一人、また一人と大破させていったのです。

 

(ーー凄い)

 

 九条さんが言葉を発する度、九条さんが指揮する艦娘さん達が的確に攻撃を当て、相手の攻撃を紙一重で回避する。

 最初の方では提督ですらない九条さんに指揮される事に不安を抱いていた艦娘さん達も、数分で彼を百%信頼していた。

 

(ーー凄い!)

 

 凄い、その一言に尽きた。

 気付けば、私は九条さんの姿をジッと見つめていました。その動き、声。指令の全てに。

 

「ラスト……っと」

 

 そして最後に九条さんが呟いた瞬間、海でバーン、と大きな爆発音が響きました。そして、煙が晴れた先には大破した艦娘さんの姿が。

 

 

 ーーーー完全勝利。

 

「ーー凄い」

 

 その言葉が口から溢れました。

 今まで、あんな指揮は見たこと無かったからです。

 そして、やっと実感が湧いてきたのです。

 

 ……あぁ、私達はこの人に助けられたんだなぁ、と。

 そのまま九条さんの姿を目に焼き付けるように私は見ていたのですが、ここで驚くべき事が起こりました。

 

 突然九条さんが立ち上がり、演習の終わった海を見つめて……、表情を暗くしたのです。

 

「……………………………」

 

 その表情は、何だかやるせないような……そんな表情でした。

 そして、九条さんは提督さんに向かってこう呟いたのです。

 

「…………俺、謝まりたいんですが良いですか?」

「……っ!?」

「えっ……?」

 

 その言葉は予想もしていなかったものでした。

 思わず、顔を見るとその表情(かお)は悲しそうな……そんな顔。

 

「九条……君。キミは対戦相手の艦娘にも優しいんだな……」

 

 それを見た提督さんも何かを察したようでした。そして感嘆の目を向けると、こう言ったのです。

 

「…………………」

 

 その言葉に対し、九条さんは言葉を返しませんでした。

 

 

 

 

 ……それから暫くして、私は九条さんの元に行きました。

 端の方で壁にもたれ掛かるようにして立っていた九条さんは、何時もと少し違っていて緊張したのを覚えています。

 

「九条さん、あの……あの」

 

 緊張しちゃったせいか、少しオドオドとしてしまった私を見た九条さんは柔らかい笑みを浮かべると頭を撫でてくれました。

 そして、真剣な表情でこう話し始めたのです。

 

「……電ちゃん。何か悩み事があるのかな?」

 

 その言葉は問いでした。それと同時に、私は九条さんの言葉に驚いてしまった事を覚えています。

 

「その反応からしてやっぱりか……、一昨日の時もさ、何となく違和感があったんだよね。俺で良かったら相談に乗るよ?」

 

 ーー気付かれていた。皆の前で隠していた姿を。

 

「……ぅ」

「あぁ、無理にとは言わないよ。うーん、そうだね。じゃあ俺の体験を一つ話してみようか」

 

 そう言うと、九条さんはとある話を話し始めました。

 ……そのお話は、『夢』についての話でした。

 

 

 夢というのは叶わないから夢……って言う話があるけどそれは違うんだ。

 

 ……夢は、つまり目的なんだよ。こうなりたい!とかあぁなりたい!とか。これをしたい……成し遂げたい。とかね。

 

 電ちゃんは多分、俺よりも長く生きれると思う。だからその分、夢を叶える時間は一杯あるんだ。

 

 だから電ちゃんが、電ちゃん自身が、一杯考えて、一杯悩んで、一杯努力して、それを目指せばいい。

 

 勿論、電ちゃんが途中で苦しくなったり一人で出来なかったら俺も協力する。いや、俺だけじゃない。提督さんだって、第六駆逐隊の皆だってきっと電ちゃんの事を助けてくれる。

 

 だから……電ちゃんには笑顔でいて欲しいな。

 

 一通り話した九条さんはフゥ、と溜息を吐くと缶コーヒーを取り出しました。

 ……何故か、私にはそんな九条さんの姿が輝いているようにも思えました。

 

 

「あ……あのっ!」

「何かな?」

「あの……九条さんは。九条さんはどうして、こんな事を私にーー?」

 

 だからこそ、不思議でした。一応、接点はあるとは言え。未だそこまで親しく……アレ?

 そう言えばおんぶしてもらったりとか色々と…………。

 

「は……はにゃぁぁああ!!」

「ちょっ!?電ちゃん大丈夫……よし、直ぐに医務室に連れて行くからね!」

 

 一昨日の忘れたい記憶(出来事)を思い出した私は気付けばそんな声を上げて顔を真っ赤にしていました。

 座り込んでしまった私を九条さんが心配そうな表情で抱き上げます。

 …………って、よく考えたらさっきの九条さんの言葉って、

 

「にゃぁぁああ!!恥ずかしいのです!!」

「余計ひどくなった!?俺の何が悪かったんだ!?」

 

 私の声を聞いた九条さんが困惑の声をあげますが、既にそんな声は私の耳に入ってきませんでした。

 

(わ……私に笑顔でいて欲しいって……それは、その。プロポーズってやつなのです!?)

 

 私の顔が真っ赤になっていたのはその言葉を思い出したと同時に現在の状況がお姫様抱っこをされている事にも気付いたからに違いありません。

 気が付いたら医務室に居たのですが、……なんと言うか、とても恥ずかしい思いをしたのです。

 ……ついでに、九条さんに色々と聞きたい事があったのに何一つ聞けませんでした。

 ……うぅ、厄日だよぉ。

 

 

 

 

 ○月!日、雨なのです……。

 

 今日こそ九条さんに昨日の事と三日前の事を尋ねるべく部屋に向かったのですが、運悪く会えませんでした。

 ……うーん、なんでだろう?結構な時間を使って探していたのに。

 とは言え、会えなかったのなら仕方が無いのです。諦めて明日……という事にします。

 後から聞いた話では赤城さん、加賀さん。それから金剛さんと会っていたらしいのですが……。

 あっ、そうだ。明日、釣りに行かないか誘ってみようかな?

 

 ……それにしても女の子に対してあんな態度は(以下、愚痴のようなものが続く)

 

 

 ○月?日、晴れなのです!

 

 

 ……正直、信じられない気持ちで一杯なのです。

 いや、もしかしたらアレは私の夢だったのかもしれません。

 とにかく、今日起こった事を書き綴っていきます。

 

 

 ……アレは、釣りが始まって暫くしてから起こったのです。

 

「中々釣れないのでポイントを変えてきます」

 

 そう言って九条さんが立ち上がりました。九条さんが持つバケツの中には未だ一匹の魚の姿もありません。

 恐らく、余りに釣れないので業を煮やしたのでしょうか?

 ……何にしても、丁度良かったのです。昨日、一昨日と聞けなかった事を聞けそうだし。

 

 そう考えた私は九条さんの後を追いました。

 

 

「……ここらで良いかな」

 

 九条さんは急に立ち止まると、折り畳み式の椅子を開いて釣竿の先を海へと放りました。

 タイミングも良さそうだったので声を掛けるべく近付こうとした私なのですが、その時。

 ……私の目の前で、信じられない事が起こったのです。

 

「うぉ!?いきなり掛かった!しかも大物…………って待て!重い!重いってこれ明らかに!!」

 

 竿が激しくしなります。それも……え?これ、明らかにあの竿で釣れるような魚さんじゃないような。

 

「んぎぎぎ!これを逃してたまるか!!」

 

 しかし、九条さんは強引に釣竿を引っ張り上げました。その際にバキン、と音を立てて釣竿が真っ二つになりましたが、それを手で掴み、強引に引き上げます。

 そしてその釣り針の先にいたのは予想もしていなかった人物でした。

 

「オマエガ……イレギュラー(異常)か?」

「!?」

 

 深海棲姫。種類は分からない……。

 その身体は真っ白で透き通り、私達、艦娘が日々戦っている深海棲艦のおやだまと言っても過言ではない化け物。

 そして……私達の仲間を沢山沈めた張本人。

 

 

 無表情な目からは彼女が何を考えているのかなど何一つ理解出来ない。ーーいや、自分自身が理解する事を本能的に拒否している。

 

(……ぁ…………ぇ?)

 

 ただ、私が感じたのは恐怖でした。

 

 怖い……怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!

 

 彼女が纏う雰囲気。それは、彼女に関わるモノ全てを消してしまうかのような残虐性。

 実際、その通りなのでしょう。恐らく、彼女にとっては私一人。息をする間に轟沈……いや、"消す"事が出来るに違いありません。

 それを目の前にした私の心の中で、一つの感情が爆発的に上昇していきました。

 

 

「ぁ…………」

 

 怖かった。

 それは、目の前の存在が。

 

 身体が震えた。

 それは、彼女が圧倒的強者である所以か。

 

「ぅ……ぁ…………」」

 

 そしてーー

 

異常(イレギュラー)?……それを言うなら俺よりも海の中から出てきたキミの方が似合うと思うけど?」

 

 その圧倒的強者に対して平然と対応している九条さんが。

 

 ……その時、私は。自分が抱いていた夢は"今の"私では一生掛けても不可能である事を悟りました。

 

 助けたい……、そんな思いが軽く消えてしまう。

 殺される……、そんな映像(ヴィジョン)がやられてもいないのに思い浮かぶ。

 

 自分が太刀打ち出来ない相手に対してそのような思いしか抱けなかった私は。……いや、私では。

 

 ーー絶対に叶えられない。

 

「ニンゲン……。イヤ、キサマハ。ナゼワタシカラニゲナイ?」

(人間……。いや、貴様は。何故私から逃げない?)

 

 深海棲姫(種類が分からない為仮名)は九条さんにそう尋ねました。その声は少し驚いているようにも感じられます。

 ……でも、それは当たり前です。提督さんだったら直ぐさま逃げている筈ですし、実際にそうするように義務付けられています。

 それに、普通の人でも目の前にこんな異常が現れたら逃げる筈なのに。

 この人はーー、

 

「何で逃げる必要があるのかな?確かに少し見た目が異世界人みたいだけど、別にそれだけで逃げる理由にはならないし。よく見たら結構可愛らしいしね。それに女の子から逃げるのは個人的にもどうかと思うな」

「……バカニシテイルノカ?」(馬鹿にしているのか?)

 

深海棲姫が思わずそう呟いても無理は無かっただろう。

 

「してないさ。マジも本気(マジ)大本気(おおマジ)だよ」

 

 しかし、それと同時に私は心の底から嬉しさ……が湧き上がるのを感じていました。

 

 ーーこの人は、私と同じだ。

 ーーこの人は私と同じように深海棲艦さんとも仲良く出来ると思っている。

 

 あの人。九条さんの行動は全て、私が思っていた"その"行動だったから。

 

「……フン、オカシナヤツ」

「自覚しているから問題無いよ」

「……ナオ、ワルイトオモウノダガ?」

 

 "二人"は楽しげに談笑していました。九条さんは笑いながら。深海棲姫さんは少しやり辛そうに。

 そして二人は楽しげに話しながら一瞬。

 

「っ!?」

 

 ーーゾクッ。

 音にするならそんな表現でしょうか?

 しかし、ハッキリと二人の目は私の姿をしっかりと捉えていました。

 

 九条さんは少しだけ眉を顰めて。深海棲姫さんは軽い敵意を込められて。

 

 

 ーー気付かれていた。

 そんな思いが脳内を駆け巡りました。しかし、身体は動きません。

 まるで、私だけが時間の波に取り残されたかのように身体は動きませんでした。

 

 そして深海棲姫さんが一歩前に出て手を振り上げようとゆっくり動かし始めた所で、

 

「おっ!?イルカじゃねーかっ!」

「!?」

「なのです!?」

 

 突然、九条さんが大声を上げました。そしてその指先が示すのは、確かにイルカの姿が。

 ですが、その時。同時に石化が解けたように私の身体も動けるようになった事に気付いた私は一目散にその場を後にしました。

 

 …………私が逃げる時に、九条さんが此方に軽くウインクしていたのを考えると……恐らく私を助けてくれたのでしょう。

 暫くしてから無傷で私達の元に戻ってきた九条さんにお礼を言うと、「あれくらい気にしないで」、と優しく声を掛けてくれたのを覚えています。

 

 ……そう言えば、あの事を提督に報告していませんでした。でも信じてもらえなさそうなので止めておきます。

 電は無駄な事はしない子なのです!

 

 

 

 

 ○月$日、○月¥日。両方とも晴れなのです!

 

 この二日間は、第六駆逐隊の皆と遠征に出ていたのです。

 さて!今回の任務は、南西諸島海域の『資源輸送任務』でした。

 南西諸島海域は既に解放された海域である事もあり、かなり安全でした。

 特に特筆すべき出来事が起こらなかったのが残念なのです。

 

「むぅー、なんか物足りないわね。出てもイ級とかばっかりだし」

「それだけ平和だと思えば良いのではないか?」

「確かにそうなんだけどぉ……なんか物足りないのよねぇ」

 

 雷ちゃんと響ちゃんもそんな会話をするくらいでしたし。輸送に関しても問題無かったのです。

 

「これが流行の……」

 

 ……暁ちゃんは任務中以外の休憩中はファッション雑誌に載っている大人っぽい服をジッと見ていましたし。

 

 

 

 

 ○月%日、眠いのです……。

 

 一昨日から寝る前に九条さんの事を思い出していたら一睡もしていなかったのです。

 うーん、何だろう。何故かは分からないのですが九条さんが気になります。

 ……例えば、あの人の素とか。他にも聞きたい事はいっぱいあるのです。

 

 深海棲姫さんと話してどうだったのか。何処であそこまでの指揮能力を得たのか。

 そしてーー、どうして私達艦娘に優しいのか。

 

 それが気になって気になって眠れず、結局二徹。

 正直、書いている今も眠くて眠くて……(以下、よだれの跡が付いていて読めない)

 

 

 

 

 ○月£日、晴天なのです!

 

 昨日は寝落ちしちゃいました。うぅ……カッコ悪いよぉ。

 涎の跡とかもありましたし……。

 

 ハッ!、そんな場合では無かったのです!!

 大変大変!それもとっても大変な事があったのです!!

 

 ……なんと!九条さんが提督になるそうなのです!

 驚きのあまり『!』を連発していますが、正直、それくらい驚いています。

 

 そして、もっと驚く事が。

 

 『私達第六駆逐隊は、九条さんの指揮下に入る』

 

 つまり、私達は提督さんから九条さん。いや、九条提督の元で働く事になるのです。

 

 ……これはチャンスなのです!

 私が九条さんに色々な事を学ぶ事が出来るチャンスなのです!!

 

 

 

 

 

 九条さんの元で学べば……私の夢だってきっと。

 

 

 

 

 ○月○日、晴れなのです

 

 昨日は、あれ以上文章を書く気が起きませんでした。

 むぅ、ちゃんと分かりやすく書きたいのですが文章力が足りないのです。

 そう言えば今日は間宮さんの所に行きました。第六駆逐隊の皆も一緒です。

 

 その理由は、暁ちゃんの一言がキッカケでした。

 

「そう言えば……理沙提督が言ってたんだけど一人前のレディとか関係無く料理が出来るのが普通にしておいた方が良いって言われたんだけど」

 

 お料理、……ハッキリ言いましょう。

 確かに今の私達は女の子ですし、考え方や普段の生活だって女の子の『ソレ』です。

 でも、軍艦が料理なんかを覚えているわけが、

 

「私は一応出来るな。日本料理やロシア料理が大半だが」

「「「え?」」」

 

流石不死鳥(響ちゃん)。沈んだ私達に出来なかった事を平然とやってのける。そこに(女の子のステータスとして)痺れて憧れます!

 ……そう言えばこのネタの元って何なんだろう?提督さんが楽しそうに話していたけど。

 

 

 まぁ、そんなこんながあって間宮さんのいる食堂の料理室に私達は居るのです。

 

「じゃあ先ずは手を洗って下さいね。料理の前には手を綺麗に洗う!これが基本です。それと響ちゃんに関しても私の指示には従ってもらうからね?」

「「はい!」」

「なのです!」

「了解した」

 

 

 こんな感じで間宮さんの料理教室は続き。

 

「じゃあ、ココでポイント!少し面倒だけど、玉ねぎは飴色になるまでやった方がジュワッとして美味しくなるわ。早速やってみましょう」

 

 細かいポイントや作る際の注意を説明され、

 

「あぁっ!それを入れたらダメよ!」

 

 ミスを指摘され、

 

「美味しそうな匂いがしてきたわね。皆、ちょっとずつ味見してみよっか?」

 

 偶に美味しい思いをさせて貰った。

 

 

 そしてカレーは無事に完成し、初めての料理(お菓子などは除く)を成功させたのでした。

 

 

 

 ○月+日、晴れなのです!

 

 

 今日も間宮さん指導の元、私達はお料理を教わりました。

 今日作ったのは、ハンバーグです。

 カレーと同じく簡単そうなイメージがあったのですが、これまたとても奥が深かったのです。

 

 肉の塊を混ぜる時には塩を入れないと豚肉と牛肉の繊維がきちんとくっついてくれないのだとか。

 他にも、豚肉や牛肉に含まれる脂分は、体温に非常に近い温度で溶け出す性質があり、手の平など体温が感じられる部分でかき混ぜると脂が溶け出して、ベタベタになってしまうというからビックリしました。

 

 ……毎日こんなに手間暇かけて間宮さんは皆さんのご飯を用意しているんですね。

 純粋に凄い……と、感じました。

 

 

 

 ○月*日、快晴なのです!

 

 ……いよいよ明日は私達の。そして九条さんの移動の日なのです。

 どうやら九条さん。いや、九条提督は階級を幾つか飛び級し、大佐からのスタート。そして、無人島に新たに開発された鎮守府を任されるそうです。

 とは言え、本土からそこまで離れているわけではないので直ぐに戻る事も出来ますが。

 

 そして、此処。横須賀鎮守府でも盛大なパーティが開かれました。

 ……提督さんは両手に花の状態で大変そうというか凄い事になっていたのですが。

 

 何となく九条さんに話しかけようかな?と思って向かってみましたが、九条さんは常に様々な階級の提督さん達に囲まれていて話す事が出来ませんでした。

 

 

 ……まぁ、それに関しては明日からいくらでも話せるので良いのですが。

 

 

 ーーそれにしても、いよいよ始まるのです。

 夢を。私の夢を叶える為のスタートが。

 

 『人間、艦娘、深海棲艦の三つそれぞれが手を結べる未来を目指したい』という夢のスタートが。

 

 ……少なくとも、今の私では私が不可能です。

 あの時に感じた恐怖は今でも覚えていますし、今の私では目の前に立つ事すら叶わないでしょう。

 

 でも、この人は言ってくれたのです。

 

『電ちゃんが壁にぶつかったら俺も手伝う』

 

 九条さんが……『九条日向』さんが手伝ってくれなら、それが出来る。

 

 だからこそ、私は一人の艦娘として前を向くのです。

 

 今までみたいなオドオドした私じゃなくて。

 自分がやりたいと思える事に迎える私に。

 

 ーーーーそう、夢に続く大きな航海へと向かって。

 


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