「相席、良いか?」
フォルテと飲んでいる最中、そんな声が俺たちのテーブルにかけられた。
辺りを見回すと……人は、まばら。
席はまだある筈だが……。
「構わんぞ!」
フォルテがそう答えてしまった。
俺の向かいに、男が座る。
……ライダースーツに、真紅のマフラー、そしてサングラス。
「お前……!」
見覚えしかなかった。
かつてやりやった連中の中で、別格に強く……勝てなかった相手。
「カリュドーンの、チャンピオン……!」
「今はカリュドーンの子、さ……あと俺はライトってんの」
「何っ……!?チャンピオンだと!?」
「気付いてなかったのかよ」
ライトの隣にいるフォルテが、今更驚いた。
「……何の用だよ」
「ここは、ウチのシマだ……見慣れん奴が居たら少しばかり見に来るもんさ」
「………………」
「オイオイ……そう警戒しなさんな。こんなトコに後輩が居たら気にはなるだろ」
「……後輩?」
俺とコイツに接点なんて無い。
一度やりあったくらいだし。
……だが……ふと、ある考えに思い至る。
「………………お前、居たのか?あそこに」
「ああ……居たさ」
「? ? 何の話だ……?」
……………コイツ……ライトは、あの賭博場に居たのか。
「ずいぶん前の話だがな。だからまぁ……お前のことは知ってんぜ、レックス」
「……アレックスだ」
微妙に名前覚えてねぇじゃねぇか。
ライトは一瞬キョトンとした顔になって、サングラスの位置を直した。
台無しだ。
「何だ知り合いだったのか。そんな邪険にするなよアレックス」
「……知ってるだけだ」
「フッ……リングの外でも不愛想な奴だ」
「やかましいぞ」
「ま、元気にやってんならそれでいい」
ライトが席を立った。
「もう行くのか?」
フォルテがニトロフューエルを注文しようとしていたのをライトが止める。
「ああ。誰かは知らんが……コイツと、仲良くしてやってくれ」
「モチロンだとも!もう俺とアミーゴは友だ!」
「何でだよ」
「今日は俺たちの初仕事の祝勝会だ!俺たちは世界を取るぞアミーゴ!」
「……出来上がってんな」
「ああ……」
「しかし、初仕事か……」
「コイツ、こう見えてもプロキシでな」
「ほう……?で、お前は選手引退か?」
「……死んだことになってる」
「なるほどな……そういうことなら、またうちからも仕事を回すかもな」
「本当かっ!?」
「……社交辞令だろ」
ライトは苦笑し、軽く手を振って去って行った。
「さぁアミーゴ!まだまだ夜は始まったばかりだ!」
「おい、まだ飲むのかよ……そろそろ閉店だろ」
「ならばウチへ来い!」
「あ!?」
「ゆくぞ!ビバ、メヒコー!!」