「バイク?」
香辛料を渡した後。
フォルテが料理を始めてしばらくしてから、そんな話をした。
「郊外で脚がないのも辛いからな……運転は出来る」
免許は無いが。
「そうだな……ツールドインフェルノのコース周辺は結構落ちてるぞ」
「……なるほど。レストアするのも手か」
過去に無理やり修理させられていたため、それなりに自前でできるようにはなっている。
「俺は明けの明星さんに報告に行かなきゃならないからついて行けない。すまんなアミーゴ」
「いや、泊めて貰った上に飯まで用意してくれて……感謝しきれん」
ちなみに俺の味覚はぶっ壊れていたため、フォルテの飯は全然美味かった。
「キリが着くまでは使ってくれアミーゴ」
「何から何まで、悪いな」
「良いさ。また一緒に仕事しよう」
フォルテから鍵と工具を借りて、件の地点まで歩いた。
「……廃品とは言えよりどりみどりだな……」
バイクだけではなく、様々なスクラップが散らばっていた。
これなら全部共食いさせてなんとかうごかせるマシンが作れるだろう。
「さて……」
「動くんじゃないよ」
「……はぁ」
思わずため息を吐いて両手を挙げる。
なんで日に2度も背中に銃突きつけられなきゃならないんだ。
「何か気に障るようなことしたか?」
「ここはウチのシマでね」
「シマ?お前傭兵だろ」
「最近カリュドーンの子に就職したのさ」
「え?お前が??」
意外だった。
所属を持たないプルクラが、あんなとこに入るとは。
「……私も意外だと思ってるさ」
「………………人生、何があるか分からんさ」
「……アンタに言われちゃおしまいね」
「………………何でだよ」
手を挙げ続けるのも疲れたので振り返った。
「で?こんなトコで何してんの」
「足が要る」
「それで、スクラップレストアしてバイク作るって?ふーん……そういう事……」
プルクラがニヤニヤしながら俺を眺める。
なんだが猛烈に嫌な予感がする。
「ねぇ、アンタ私の仕事手伝いなよ」
「なんで俺が……」
「じゃないとここで私を襲ったって言って突き出しても良いんだよ?」
「拒否権ねぇじゃねぇか……!」
「さ、どうする?」
「1択だろ……」
またしてもため息を吐かざるを得なかった。
「……で?報酬は」
「良いね、そう来なくっちゃ。私が商品にしようとしてたバイク、譲ってあげるよ」
「……は?待て、破格過ぎるだろ」
「そう?まぁ私もだいぶ奮発してるからね」
……まさか、困ってるのか?
「……内容は」
「『猪突猛進』の輸送ルートの整地ってとこだね」
猪突猛進、とは……カリュドーンの子が運営している運送会社だ。
郊外でも有数の大型トラックを使った大規模輸送会社で、かなり重宝されている……と、同時に同業者から目の敵にされているとか。
ツルールドインフェルノで覇者として君臨してからはそういった話は減ったと聞くが。
「荒事か……」
「どう?」
「……乗った」
とは言え、俺向きかつ破格の条件でバイクが手に入る……乗らない手はない。
「即決かい。良いね」
「で?日時は」
「……今から」
「………………嘘だろお前」
「ちなみに、場所はそこ」
「………………まさか」
「アンタを泳がせてここまで誘導したってことさね」
「………………ハメられた……」
本日三度目のため息。
その様子をプルクラが腹を抱えて笑った。
マスクも外して。
こいつ、マスク付いてると結構怖い顔に見えるが……素顔は割と可愛らしい造りで一瞬ドキッとしてしまう。
「……笑い過ぎだ」
「ははは……アンタ、良い反応だよホント。あははは……」
「……クソッ」
ちなみに作者はあんまり車やバイクの知識は無いのでフィーリングです。
許して……。