ゆるくランクマやったりフレンドとカスタムしたりワールドツアーしたりしてます。
どうやら俺には、所謂前世の記憶みたいなものがあるらしい。
この賭博場で戦わせられていたうちに……朧気だったそれがどんどんはっきりしてきやがった。
前はごく普通の会社員で、普通に働いて、ゲームしてとにかくそんな普通の人生だった。
だが、普通ってのもいつかは呆気なく終わっちまう。
そいつの人生も、交通事故で呆気なく終わってしまった。
そして、目が覚めれば記憶にある世界と全く違う人生が始まっちまったわけだ。
「………………」
じゃあ、何で俺がアレックスを名乗っているのか。
前世でやっていたゲームのキャラクター。
鏡を見たとき、自分の姿が本当にアレックス・ウィンガーだったのだ。
あの時は本当に驚いた。
しかも、今まで朧気だった前世の記憶が急に鮮明になってきやがる。
全てを思い出し……結局、俺はアレックス・ウィクスと言う男になった。
この名前は、かつて巻き込まれた災害から生き延びた時……息絶え絶えに名乗った名前だったらしい。
乗っていた車両が、縁石に乗り上げたのか大きく揺れた。
揺れる車内から、窓の外を見る。
……荒野の真ん中にある巨大な黒い塊。
ホロウ。
それは全てを飲み込む災害だった。
突如として現れ、何もかも見境なく飲み込んでいく。
俺は、そんな災害と隣り合わせの世界に産まれた。
「ハッハッハ!やったな!」
同乗者のひとりが、運転手に声をかけた。
いやに上機嫌だ。
……それもそうだ。
以前から目障りだった走り屋のクランのひとつを、代表だけとはいえ公衆の面前で叩き潰したのだから。
荒野に生きる走り屋たちは、何よりもメンツを重んじる。
これで、あのクランは暫く首が絞められた様に活動を縮小せざるを得ない。
しかし、結局のところうちは所詮『ツール・ド・インフェルノ』に参加することすら許されない弱小クランだ。
こんな事をしていた所で、のし上がることは不可能だ。
それに……。
(負けた)
俺はかつて、「カリュドーンの子」と言うクランの代表とやり合った事があった。
リーダーは不在にしていたため、チャンピオン(荒事になった際に代表を立てて勝負させる人員)と対戦した。
ヤツは強かった。
俺もそれなりに食い下がりはしたものの……あと一歩及ばず敗北した。
まぁその後お役御免と言わんばかりに当時俺を雇っていたクランは早々に俺を切り捨てたんだが。
(あのサングラス……いつか、またリベンジしてやる)
「なぁ、アレックス。俺たちに拾われて正解だったな?」
隣でべらべらと喋っていた男のターゲットが俺に変わったらしい。
うんざりしながらテキトーに返そうとして……前を見た。
「おい」
「あ?」
「……前ッ!!」
轟音。
そして浮遊感。
(くそったれ……!)
後から知ったのだが、先程の試合で負かしたクランが報復に来ていたらしい。
帰り道に張ってロケットランチャーを構えていた。
見事、乗っていた車両は吹き飛び……。
(……最悪だ)
近くにあった共生ホロウへと、突っ込んだ。