第22話『Welcome to 新生活』
あれから暫くして。
俺は、新エリ―都でのIDを手に入れた。
「……俺の、家」
真新しい鍵を回して、ドアを開く。
フローリングと備え付けのトイレ、シャワー、キッチンのある簡素な1LK。
遂に手に入れた……俺の帰る場所。
色々あった。
(本当に色々あった……)
ホロウに入ったり、郊外でお礼参りにあったり、澄輝坪で住み込みのバイトしたり。
ようやく金が貯まり、申請していた住民票が手に入り……部屋が借りられた。
(長かった……)
目頭が熱くなる。
何もかも無くして、遂にここまで来たのだ。
(さて……)
まずは家具を揃えていこう。
そう思い外出しようとして……。
「あの……」
「っ……!?」
声をかけられて、思わず身構えた。
どうやらお隣さんらしい。
「ああ、今日ここに入ってきた……」
「あ、ああ……!?」
言葉に詰まった。
だってこの女性治安官の制服着てるんだもん。
郊外出身の俺には少々相性がよろしくない。
「私は朱鳶と言います。見ての通り新エリ―都の治安官をやっています」
「……アレックス。アレックス·ウィクス……」
ホロウレイダー、と治安官に正面から言う訳にもいかない。
なんと答えるべきか。
「……お仕事は?」
「……ヒールレスラーだ」
「そうだったんですね……!確かに立派な筋肉……」
感心した様にアレックスの筋肉を褒め始めた。
ヒールレスラーなのはスト6のアレックスの設定なんだがな……。
(……咄嗟とは言えあまりにも嘘だな……)
それで納得したのか、追及の言葉は終わった。
「それでは、私はこれで。お仕事頑張ってくださいね」
朱鳶はそのまま去ってしまった。
「………………はぁー……」
思わず深い溜め息が出る。
後ろ暗いことは…………………心当たりあるけどさ。
「何ビクビクしてんのさ」
「お前……治安官だぞあれ」
「ふぅん……で?」
「で?ってお前………………お前何でここに居るんだよ」
振り向いたらプルクラがいた。
何でだよ。
「へぇ、ここがアンタの」
「おい入るな……!」
「何もないじゃない」
「今入居したばっかだからな……!」
「つまらないねぇ」
「何もないからな……!」
いきなりコイツにバレてしまった。
ろくなことにならない気がする。
「私も、新エリ―で拠点が欲しかったのよね」
「入り浸る気満々かよ……」
「ついでに私が家具選んであげるよ。感謝しな?」
「上から目線だなオイ……!」
俺の城は秒で陥落したのだった。
このあとフォルテが遊びに来てプルクラはそそくさと逃げ出した。
「アミーゴ、どうした?疲れているようだが……」
「………………ちょっとな」
後日、普通にプルクラに合鍵作られた。
なんなんだよコイツ……!
つ、次こそリナさんを……!