プラチナまで、あと少し……!
ルミナスクエア。
ヤヌス区の中心に位置する商業地帯。
新エリー都の中でも特に繁栄している場所の一つだ。
六分街と比べても背の高いビルにスクランブル交差点など都市として発展している気が強い。
……そんな場所に、俺みたいな奴が来るなんて夢にも思わなかったさ。
『せっかくだから、栄えてるとこで揃えなよ』
プルクラからそんなメッセージが来ていた。
ちなみにスマホも買った。
こんなに便利なシロモノだとはな……。
田舎からのおのぼりなので、駐車場が有料なのに驚いた。
「……何処だ」
迷った。
広過ぎだろ……。
建物が密集しすぎてどこも同じ景色に見えてきた。
えっと、駅がそこだろ……?
「もし?」
「え?」
右往左往しているうちに……声をかけられた。
俺そんなに不審者に見えるか……?
なお、本日もディゲンヌTシャツである。
ニット帽は被らず長い髪は後ろで束ねている。
「……俺か?」
「ええ、お困りの様でしたので」
声をかけられてしまった。
そんなに困ってたように見えたのだろうか……。
振り返って声の主を見る。
……メイドだ。
ロングスカートの。
ちなみに俺は身長が最後に測った時は195センチあった。
この女性、頭ひとつかちょっと俺より背が低いから女性にしてはかなり背が高い。
プラチナブロンドとでも言うのだろうか。
白とも金とも言えない長い髪。
正直参ったね……めちゃくちゃ顔もスタイルも良い。
身体のラインも抑えられている筈の服の上からでも分かる双丘。
超がつくほどの美人さん。
そんな人が、俺に声をかけてきた。
「あら……?あらあら、まぁ!貴方は」
メイドさんは俺の顔を見るなり驚いていた。
「……何処かで会ったか?」
美人さんに緊張しまくって不愛想さ200%増しである。
郊外の女とは何もかも違う。
無骨さも素朴さも無い。
気品、優雅さ。
そんなもの目の当たりにする日が来るとは。
「覚えておりませんか?以前……ホロウで庇っていただきました」
「ホロウで………………あ、ヴィクトリア家政……?の……?」
デッドエンドブッチャーと戦ったあのホロウ。
俺がブッチャーの攻撃から庇ったメイドだった。
「思い出して頂けましたか。では、改めて自己紹介を。わたしはアレクサンドリナ・セバスチャンと申します」
「……アレックス。アレックス……ウィクス」
イマイチやり辛い感がある。
どう受け答えしても向こうの手のひらの上のような、そんな感覚。
と言うか名前長いな。
確かカリュドーンの金髪ちびすけも名前長かった気がする。
アイツは元々お嬢様だったし……この女性も高貴な出なのかもしれない。
「長いので、リナとお呼びください」
「そうかい」
「アレックス様」
「様付けは辞めろ」
むず痒い。
こんな呼ばれ方されたことないから本当に居心地が悪い。
「では、アレックスさんと」
「……好きに呼べ」
「あの時は助けて頂きありがとうございました。わたしも腕に覚えはありますが、不覚でした」
「……そういうこともある」
「そう言えば、貴方は郊外の方なのですよね……?今日はどういったご要件で?」
「え?ああ……新エリ―都に、越した。六分街だ」
なんでこんな事ほぼ初対面の女性に伝えた……?
「あら、そうなのですね?それでは……新居の家具探し、といった所でしょうか」
ご明察過ぎる。
「……そんな所だ」
「そうだったのですね。男性向けの調度品や家具でお安めのお店ですと……スマホはありますか?」
「ああ」
ポケットからスマホを取り出す。
リナが、密着するように画面を覗き込んできて危うくスマホを落とすところだった。
「大丈夫ですか?」
「……ああ」
「ここと……あと、ここですわ」
地図アプリにピンを差してくれた。
普通にありがたいんだが近くに来られたせいでめちゃくちゃ綺麗な顔が本当に目と鼻の先。
なんかいい匂いまでしてきた。
勘弁してくれ。
「……助かった」
どうにかそのひと言を捻り出してそれとなく離れた。
……リナが一歩踏み込んできた。
……俺は後退った。
……またリナが一歩。
……俺もまた一歩。
「何で追いかけて来る!」
「何故と言われますと……貴方が逃げてしまわれるので……」
「に、逃げてない!」
「まだ時間に余裕がありますので……聞きたいことがありまして」
「聞きたいこと……?」
「はい。カリンちゃんの事で」
「カリン……?」
ヴィクトリア家政の、あの緑の子か。
「……悪いが俺はなんも覚えてない。旧都陥落以降のことしか記憶には無い」
「……申し訳ございません」
「……謝ることじゃ無ぇよ。この街で……何もなくして無い奴なんて居ない」
旧都陥落。
まだ思い出せるほどしか時が経っておらず……この世界に住まう誰もが何かを失くしている。
リナも、思い当たる事があったのかも知れない。
「カリンちゃんは、わたしとライカンで引き取った子です」
……孤児だったのか。
「ですので……あの子の家族かも知れない貴方も、放っておけなくて」
「これは……偽名の可能性もある……違うぞ、多分」
「それでも、カリンちゃんがずっと貴方を心配していますので…
…連絡、してあげていますか?」
……実はあれから、一度も無い。
連絡先を知らないし俺がスマホ持ってなかったから。
「はぁ……仕方ありませんわ。わたしが連絡先を共有しておきましょう」
「え、いや……」
「あの子のモチベーションに関わることなのです」
そう言われると断りづらい。
俺はあの子に借りもあるし。
「……分かった」
「はい、それでは……」
……俺のスマホのノックノックに、リナとカリンの連絡先が追加された。
その後、リナは時間が来たので帰った。
何となくどっと疲れた気分で、とりあえずベッドとソファを購入して部屋に送ったのだった。
まあ、でも……。
「……とんだ美女だな」
めちゃくちゃ好みの外見だった。
いきなりプラチナのマノンと当たってボコボコにされました(
ランクの差は分厚いものですね……。
遂にメインヒロイン登場です……出すまでに時間がかかり過ぎてしまった……。
いつも感想ありがとうございます。
頑張って完結まで走り切るので、どうか最後までお付き合いお願いします。