あるのか……?アレックス……?
エドモンド本田。
スト6において初心者の壁となるキャラである。
ガードされてもお咎めはほぼないスーパー頭突きと、めくり対空なんでもござれ百貫落とし、そしてコマ投げの大銀杏投げ。
なんか色々卒なくこなせるのだコイツ。
モダン操作の本田は本当に嫌われていた。
ブーイングが鳴り響く中、俺はリングに上がる。
一回戦の時は歓声上がっていたのだが……完全にヒール扱いだ。
そんな中、力士が目を閉じてリングの上で蹲踞の姿勢で待っていた。
(マジで見たまんまエドモンド本田だな……)
「来たでごわすな」
(喋り方もまんま本田じゃんね)
『さぁリングオブファイターズ第2回戦!次の対戦カードは……新エリー都の相撲レスラー!エンディミオン権田!』
一際大きな歓声が轟く。
結構人気者なのだろうか。
『そのお相手は……完全新規のニューフェイス!しかしてその実際は黒衣のデビル!ヒールレスラー、RX·ウィングマン!』
凄まじいブーイング。
え?あの一戦で俺の立ち位置決まった感じ?
権田が目を開き立ち上がる。
「ダイソンを破ったと聞く」
「……ダイソン?」
「一回戦であんたが戦った相手でごわす」
「……そうか」
知らなかった。
「だが!わしは奴のようにはいかんぞ!」
ゴングが鳴った。
『試合開始ィ〜〜〜!!』
「どっせーい!!」
権田が腕をクロスした瞬間……頭をこちらに向けて突っ込んできた。
しかも水平に跳んで。
(スーパー頭突き!)
マジでそのままのモーションじゃん。
俺は……。
「Catch!!」
「何っ……!?!」
エアニースマッシュで迎撃した。
そう……本田のスーパー頭突きには、見てから強版エアニースマッシュが間に合うのだ。
「ハァッ!!」
「ごはっ……!?」
そのまま権田をリングに叩き付ける。
「初見でわしの頭突きを破っただと……!?」
初見じゃないからな。
「どうした?来いよ」
わざとらしく見下す視線を向けて、手招きする。
「わしの相撲は世界一!負けんぞ!!」
「っ!」
凄まじい速度の張り手。
流石にこれはガードに徹する。
(技が悪目立ちしてるけど本田はシンプルに強いんだよな……)
「ヨイヨイヨイヨイ!!」
「調子に乗るな!」
「のわっ!?」
無理やり頭突きして割り込んだ。
ドライブリバーサル……ドライブゲージを消費して切り返す全キャラ共通のシステムだ。
アレックスにとってはSA1と並んで防御の要になる技だ。
「ならこっちも頭突きじゃい!」
「ぐおっ……!」
流石に対応出来ない。
結局、戦いは読み合いであり択を散らした方が通りが良くなる。
対策はあるがそれを放てる状況に持ち込まないとそれが生きてこない。
「百貫落としじゃい!!」
「くっ……!?」
頭突きを食らってよろめいた所に、頭上からケツが降ってきた。
「っ……!」
押し潰された。
リングに沈む。
「がーっはは!どうじゃい!」
「やるじゃねぇか……!」
けど。
この距離は……。
「大銀杏……」
「遅い!」
起き攻めでコマ投げは定石。
だから俺が取るのはぶっ放しだ。
「LOCK ON!GO!!」
「ぐふっ……!?」
権田の腹にタックルがヒットする。
密着でダウンを奪った。
つまり、
「この程度なんぼのもんじゃい!」
「今度はこっちの番だ!」
権田の身体を掴む。
どれだけ体重があろうと関係ない。
「パワー、ボム!!」
権田を頭からリングに叩き付けた。
「ごはっ……!」
「はっ!聞けよ……!」
わざわざ大の字に倒れた権田に向かって高らかに宣言した。
観客席から聞こえるのはブーイング。
「しょっぱい試合に、ご不満のようだぜ!」
「なんじゃと……!」
「
「ぬおおおお!」
「オラァッ!!」
権田の渾身の張り手。
俺も右腕を突きだした。
『こ、これはァ……!?』
……お互いの腕が、相手の顔面に突き刺さる。
『クロスカウンターだぁぁぁぁ!!』
場が膠着する。
そして、しばらくして……俺と権田は二人ともリングに倒れた。
『まさか!?まさか!?ダブルKOか!?審判!カウントダウン!』
審判が高らかにカウントを読もうとした瞬間に、俺は意識を取り戻した。
危ねえ……。
なんでクロスカウンターなんてやってんだ俺は。
「その、必要は……ねぇよ……!」
『立ち上がった……!立ち上がったのは、RX·ウィングマンだァァァァァ!!』
ゴングが鳴る。
試合終了だ。
――――――――――
「いってぇ……!!」
権田に張り手を受けた左の頬が、思いっ切り腫れていた。
「だ、大丈夫ですか……?」
「アドレナリン抜けたらめっちゃ痛む……」
リナが持ってきた氷嚢で冷やす。
つめてー……。
「何はともあれ、2回戦突破ですわね」
「ああ……」
あと……2戦か。
次が準決勝。
「頂点が……見えてきたな」
俺のは、まだ見ぬ闘争で滾っていた。
前世ではのらりくらりと生きていたのに、今の人生では闘争心に満ちあふれている。
「頑張ってくださいましね」
「あんたらが苦労しないよう、せいぜいやってやるさ」
「……ふふっ」
憎まれ口を叩くと、リナが口に手を当てて上品に笑った。
「なんだよ」
「いえ……そう言ってもらえると、こちらも助かりますわ」
「……はっ、そうかい」
気恥ずかしくなってリナから視線を逸らす。
やっぱ苦手だ、コイツ。
「ふふふ」
「……なんだよ」
「なんでもございませんわ。案外初心で可愛らしいなんて」
「なんでもあるじゃねぇか」
「とんでもございません。うふふ」
「やめ……見るな……!」
……その時、俺のスマホから通知音が鳴る。
「……電話?」
俺に?
誰から……?
2回戦突破。
リングの外に大きな変化は無い……が?