S級には及ばないのでした。
「簡単に言うとね?TOPSの内部監査局だよ」
「……つまり……」
ハワードコネクションに、何か後ろ暗い疑いがあると。
……いやまぁ非公式格闘大会開いてる時点で今更か。
「あ、勘違いしないでね?ROFは黙認されてるから」
「えっ、マジで?」
「うん。お金の巡りのためだからね」
「……ほぼ公認じゃね?」
「黙認だよ〜」
どう違うってんだ。
「その話は一旦置いといて……照ちゃんはね、キミにちょーっとお願いがあって来たの」
「俺に……?TOPSと無関係だろ俺は」
「電話に出たの、キミだけなんだ」
「嘘だろ」
「ホントだよ〜。ダイヤちゃんやっと繋がったって言ってたから」
「………………」
ダイヤちゃんが誰かは知らないがあのオペレーターの事だとしたらもうちょっと言い方があるだろ、とは思う。
「猫の手貸してくれるって言ったしね?」
「言葉の綾だ……」
「でもね、キミも実は無関係ってワケじゃ無いんだ」
「……は?」
「それ」
照に指さされる。
……まさか。
「……音動機」
「正解。ハワードコネクションは音動機メーカーでもあるの。その会社が作った一点ものの特注品」
「え……?これが?マジで??フリンツ合金は地上には無いって話じゃ……」
そこまで言って、失言したと察した。
照の気配が変わったからだ。
「……ふぅん?フリンツ合金、ねぇ」
照は笑顔のまま。
だが……こちらに向けられる視線は、冷たい。
「な、何だよ……」
「どうして、そんなものの存在を知ってるのかなぁ?」
「それは……」
言い淀む。
元々……店長に言われて知っただけ。
しかし……店長のことも黒枝に知れ渡るのは避けたい。
このままでは、店長がプロキシである事もバレかねない。
「黙秘?別に良いけど……ここに来てるキミのおともだち……大事じゃないの?」
「て、てめぇ……!」
「ネコのシリオンと、覆面レスラー?変わったおともだちだね」
「……フォルテも来てるのか」
プルクラだけかと思ったが、フォルテも試合を見に来ていたのか。
「そろそろ試合でしょ?」
「………………」
「そんな怖い顔しないで。ね?キミにお願いしたいのは……ギルスと会って話をして欲しいなーって」
「……俺なんかと会うことはないだろ」
「次の試合に勝てば、決勝戦。例年通りだと決勝前に選手と面談するんだって」
「………………」
「ギルスは照ちゃん達に何かを隠してる。キミに探ってもらえたら……照ちゃん達の仕事は楽になるなぁって?どう?やってくれる?」
「………………チッ……」
思わず舌打ちした。
プルクラ達の安全と天秤にかけられている。
協力の話を持ちかけられているがれっきとした脅しだ。
「拒否権ねぇだろ」
「少なくともキミには害はないよ?」
「……用が済んだらぶん殴ってやる」
「ひゃあ、こわーい」
めちゃくちゃムカつく。
ムカつくけど背後にいる掃除屋の存在に踏みとどまる。
……俺は、コイツに勝てない。
それほど、掃除屋としての実力が高い。
「まぁ、キミは保険みたいなものだから……仮に会えて何も聞けなくても問題ないからね」
「……脅すだけ脅しといて、それかよ」
「大丈夫大丈夫。キミがちゃーんとギルスに会ってくれたら誰も不幸にならないから」
「この……!」
「それじゃあ、照ちゃん達も仕事があるか。頑張ってねー」
「待ちやがれ……!くっ……」
一方的に話を打ち切る照を引き留めようとして、掃除屋に睨まれる。
……情けないことに、俺はその視線で身動きが取れなかった。
2人の気配が消えた時、俺は……。
「……情けねぇ」
思い上がっていた。
強くなったと、そう思っていた。
けど現実は違った。
あんなに実力差があったなんて。
こんなに……俺はビビってたなんて。
「……クソッ」
……照ちゃんあまりにも悪役っぽくない?
大丈夫かな……。
ここらでアレックスに心理的デバフを入れておこうと思います。