GO!ALEX!〜希望再誕〜   作:塊ロック

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準決勝も無事に終了。
ゼンゼロ要素……どこ……?ここ……?


第37話『暗雲立ち込める』

 

……ほとんど、無意識だった。

俺に浴びせられる歓声に、片腕を天に突き上げて応える。

 

ふと、視線を上げると……プルクラと目が合った気がした。

 

(……ありがとな)

 

俺は、プルクラに向けてサムズアップを送る。

プルクラは手を振って返した。

 

「ゲホッ……ったく、お前マジで強いな……」

「鍛えたからな」

「……鍛え直しだな……」

 

ダンはそのままリングを降りていった。

俺も、帰ろう。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「お疲れ様ぁ。ちょっと冷や冷やしちゃったよ」

 

控室までの選手通路。

そこに、照と掃除屋が居た。

 

「………………」

「でも、ちゃんと勝てたから問題ないよね。じゃあ、ギルスとの面談、よろしくね」

「………………」

「……無視?酷いんじゃない?」

 

照を無視して、俺は掃除屋の前に立つ。

 

「……なんだ?」

 

やっぱ怖い。

けど、ここで退くのは俺のプライドが許さない。

 

「俺の仲間に手を出してみろ。黒枝だろうが掃除屋だろうが関係ない。ぶっ潰してやる」 

 

掃除屋を精一杯睨見つけて啖呵を切る。

照が呆れたように見ていた。

 

しばらくして……掃除屋の女が無表情で言った。

 

「プロメイア」

「あ?」

「今の名前だ。掃除屋は廃業した」

「あっ、おい待て」

「……良い啖呵だった」

「はぁ……?」

「あっ、ちょっと、何処行くの?照ちゃん置いてかないでよぉ〜」

 

二人が去ってから……俺は、大きくため息を吐くのだった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「やぁお疲れ様!鮮やかな逆転劇で感心するよ。あ、そのまま近くに寄らないでくれたまえ。汗臭い」

「………………」

 

控室に戻ると、ダッドリー……ヒューゴにいきなりそんな事を言われる。

 

「さっさとシャワーで汗を流し給え。情報共有がある」

「わーったよ……」

 

多分汗の気配が消えるまでヒューゴは話を進める気がないだろうからさっさとシャワーを浴びてくる。

 

「……あ?ライカンか」

 

戻ってみると、ヒューゴとライカンが何やら話していた。

と言うかライカン、ここまで来れたんだな。

服装はいつも通りだし。

 

「お疲れ様です。アレックス。目覚ましい活躍でしたね」

「……敬語はやめてくれ……なんか気になっちまう」

「ハハハ!」

「何がおかしい……はぁ……分かった」

「いや、何……どうもきな臭い話が出てきてな」

「……面倒事か?」

「面倒事だ」

 

冗談めかして聞いてみると、ライカンが真顔でそう返してきた。

 

「美術品の販売はどうやら社長の命令ではないらしいのだよ」

「……何となく、そんな気はしてた」

 

ギース·ハワードがそんなのに興味あるイメージが無いんだよな……。

シノギとして使うにしたって盗品は足がつくだろうし。

 

「ほう?それはまたどうして」

「……何となく、だ」

 

前世でそっくりさん見たことあるんですよー、とか言えるか。

 

「含みがあるな」

「やめろって……本当にただの勘だ……」

「ヒューゴさんもその辺にしておいてあげてくださいまし……アレックスさん、怪我の治療もまだなんですのよ?」

 

ヒューゴの追及を止めたのは、バスケットを持ったリナだった。

 

「……リナ、それは?」

 

心なしかライカンの顔が青ざめている気がする。

シリオンの嗅覚で中身を察知しているのだろうか。

 

「何だかんだ、もうお昼ですもの。軽めのものですが昼食を用意しましたわ」

「……必要ない、と……言いましたよね」

「ライカンさんの分はありませんわ。アレックスさんの分ですもの」

 

ライカンとヒューゴが顔を見合わせ、安堵したように見えた。

同時に、こちらを哀れむような目をしてきた。

なんだアイツら。

 

「……俺に?」

 

何となく、試合前のやり取りのせいで気まずい。

 

「はい。量は少ないかも知れませんが……どうぞ、召し上がってください」

 

リナからバスケットを受け取る。

中身はサンドイッチだった。

具材は……中々、口にいれるには挑戦的な色をしている。

 

「……もらおう」

「アレックス……!」

「待て、ライカン……下手に止めれば怪しまれる……!」

「だが、昼からの試合に影響が……!」

 

一切れ手に取り、口に入れた。

……中々、刺激的な味だ。

まるで口の中で弾けているような。

 

「……旨い」

「……!本当ですか……?」

「ああ……」

 

二切れ目、三切れ目と口に放り込んでいく。

誰かの手作りとか久し振りだし味わって食べたい所だが……朝から連戦で腹が減って仕方なかった。

 

……食事中、ライカンとヒューゴが俺のことを化け物でも見るような目で見ていた。

 

「……ごちそうさん。うまかったよ」

「お粗末様でした。では……」

 

リナがバスケットを回収して、外に出ようとしたのを……。

 

「……ちょっと、待ってくれ」

「はい?」

「……話が、ある」

 

後ろの2人に目配せして、俺はリナと共に控室を出た。

 

「お話とは……?」

「あー……その……」

 

誘ったは良いものの、やっぱり言い辛い。 

 

「何か?」

 

小首を傾げてこっちを見ている。

……その反応が似合ってるのも凄いよなぁ。

 

「………………」

 

勇気を出せ、俺。

リングの上ではあんなに喋るじゃねぇか。

 

「……すまなかった」

「はぁ……?」

「試合前に、キツく当たっちまっただろ」

「……ああ。その後に『俺の女だ』と言っておりましたわね」

「あっ……あれは、その、なんだ……」

 

バッチリ聞かれてたじゃねぇか……。

 

「アレックスさん、わたしをそんな目で見ていらしたのですね」

「ぐ、ぬ……」

「そんなに照れなくても良いではありませんか。わたし、こう見えても見た目にはそれなりに自信がありますので」

 

知ってる……!

 

「そ、そうじゃない……あの時……黒枝と接触していた」

「黒枝……!」

 

リナの目が険しくなる。

おふざけの雰囲気が消える。

 

「どうして、アレックスさんに……?」

「……ギルスとこのあと接触するタイミングがある。そこで……奴と話して欲しい、と」

「……ギルス·ハワードと対面するのですか……?」

 

珍しく、リナが驚いた様な顔をする。

 

「決勝前に、選手と面談をするのが通例らしい」

「なるほど……」

「……プルクラを、人質に取られた」

「……そう、だったのですね。打ち明けてくれた、と言うことは……」

「もう、心配ない」

「はぁ……」

 

リナがため息を吐く。

珍しい……そう思っていると、

 

「えい」

「っ!?」

 

つん、とリナが指で俺の額を突く。

思いっ切りダンに蹴られていた場所なのでめちゃくちゃ痛かった。

 

「ぐぉ……!」

「全く……貴方は本当に手のかかる方ですね」

「な、なんだと……!」

「そこらの悪ガキと同じです」

「そこまでいうか……!」

「ですが……」

 

すっ、とリナが俺から視線を逸らす。

と言うか、そっぽを向いた。

 

「……カッコよかったですよ」

 

……辛うじて見える耳が、赤かった。

 

「……お、おう」

 

「あー、そろそろ良いかね?お二人とも」

「「!!!」」

 

ヒューゴの声に二人して驚く。

その様子にくっくっくと笑う。

 

「内線で連絡が来た。社長面談だとさ」

 

遂に、来た。

 

 




遂に、社長と対面。
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